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奈良県生駒市にある、一見ふつうの駄菓子屋「チロル堂」。実はこのお店、普通のお店とは少し変わった理由で、“まほうのだがしや”と呼ばれています。食べる、買う、何気ない行動が、子どもたちを喜ばせることにつながる。そんな不思議なチロル堂の“まほう”や想いを理解し、「楽しいから通う」というお店のファンが多いそう。今回は、ユニークなチロル堂の魅力を探りに、「WITH YOU」編集部が訪れてみました!

奈良県生駒市の駄菓子屋「チロル堂」の“まほう”とは?

昔はどの町にも「駄菓子屋さん」がありましたが、今では全国的に少なくなりました。しかし、生駒駅の近くで2021年にオープンした駄菓子屋があります。それが「チロル堂」。扉を開けると、くじ付きのお菓子やおもちゃなどの昔懐かしいアイテムが所狭しと並んでいます。

不思議なのは、小さな子どもたちだけでなく、昼どきになると「大人のお客さん」がどんどん入ってくること。ご夫婦やサラリーマン、女性一人客……。なぜ大人が駄菓子屋に?

「チロる」ことで“まほう”が生まれる、チロル堂の仕組み

画像1: 「チロる」ことで“まほう”が生まれる、チロル堂の仕組み

実はチロル堂は、駄菓子屋と飲食店が一緒になったお店で、昼はカレーなどのご飯、夜はお酒と料理が楽しめる“ハイブリッド駄菓子屋”なのです。

さらに面白いのは、子どもが入店すると真っ先にカプセル自販機を回すこと。「1チロルか〜」「やったー!3チロル!」。そんな声が飛び交い、カプセルから「チロル」と書かれた木の札をスタッフに渡して、ジュースやカレーを注文しています。

メニュー表を見ると、子ども用メニューには「チロルカレー500円(1チロル)」、大人用メニューには「ツキノワおとなカレー900円(2チロル)」と、ここにも「チロル」の言葉が。

画像2: 「チロる」ことで“まほう”が生まれる、チロル堂の仕組み

種明かしをすると、ここは大人が支払った代金の一部がドネーション(寄付)となり、そのお金で子どもたちがご飯を食べることができる場所。「チロル」は店内通貨の名称で、寄付をすることは「チロる」と呼ばれています。これが、“まほう”の正体です。

画像: こども用のチロルカレーは、1歳でも食べられる甘口

こども用のチロルカレーは、1歳でも食べられる甘口

カプセル自販機は18歳以下限定で1日1回、100円で回すことができます。出たカプセルには1~3枚のチロル札が入っており、1チロル=100円相当として店内で利用可能。駄菓子を買っても、カレーを食べてもOK。500円のカレーも1チロルでいただけるんです。

困っている子にも困っていない子にも、“まほう”をかけたい

なぜこんな“まほう”ができたのか。キーパーソンとなったのは、バンド『DOBERMAN』のボーカルであり、アートスクール「アトリエe.f.t.」を主宰する吉田田タカシさんら4人だそう。

画像: 共同代表の一人である吉田田さん

共同代表の一人である吉田田さん

きっかけは、もともと生駒市の公民館でこども食堂を運営していた溝口雅代さんが、コロナ禍で施設が使えなくなったこと。放課後等デイサービスを運営する石田慶子さんがそのことを知り、これまで一緒に活動してきた仲間である吉田田さんとデザイナーの坂本大祐さんに呼びかけ、「駅前にこども食堂を作ろう」という計画が持ち上がりました。それが「チロル堂」の始まりです。

しかし吉田田さんは当時、こども食堂に関して「ある課題」を解消したいと考えていました。

画像1: 困っている子にも困っていない子にも、“まほう”をかけたい

「こども食堂という取り組み自体は素晴らしいけれど、そこへ来る子どもが『施しを受けている』ような気持ちになってはいけないなと。困っている子も困っていない子も誰でも来ることができて、子どもが子どもらしくいられる場所を作りたいと思いました」(吉田田さん)

画像2: 困っている子にも困っていない子にも、“まほう”をかけたい

「だから、子どもたちは100円で「チロル」をゲットして、“自分で選択したもの”を食べたり、買ったりできる仕組みにしました。飲食だけでなくこの空間では、歳も学校も違う子たちが集まるため、子ども同士の世界が広がり、学校では教わらないことも学ぶことができます。もちろん大人のお客さんも来るので、家族以外の年配者や、お兄さんお姉さんとの交流も生まれるんです」(吉田田さん)

大人がおいしく食べると、子どもが笑顔に。“チロる”を体験

画像1: 大人がおいしく食べると、子どもが笑顔に。“チロる”を体験

ところで、大人たちがチロル堂に来るのは、やはり「子どものためにチロるのが目的」なのでしょうか。その問いに吉田田さんは意外な答えを返してくれました。

「実は、単に『ご飯がおいしいから』『コーヒーを飲みに』という理由で通うようになったというお客さんも多いんです。味はイマイチだけどこれが支援になるなら……というスタンスではなく、チロル堂が好きで来てくれて、結果的にそれが支援に回る。そういう関係性じゃないとこの場所が成り立たないですからね」(吉田田さん)

では実際に、大人はどんな料理がいただけるのか、“チロる体験”をしてみました。お昼の看板メニューは「ツキノワおとなカレー」で、食べるとチロル札2枚分を寄付したことになります。

画像: ツキノワおとなカレー900円。キーマかチキン(写真)を選べます

ツキノワおとなカレー900円。キーマかチキン(写真)を選べます

カレーは吉田田さんの友人で協力者でもある大阪の有名店「創作カレー ツキノワ」の店主が作ってくれたもの。カルダモンやクミンなど15種のスパイスが利いたルウに、しっかり和風出汁が感じられ、さすが専門店クオリティの本格派。ツキノワさんのレシピで作られた副菜も、燻製オイルが香るキャベツや揚げ茄子など盛りだくさんです。

夜は料理上手なスタッフによる一品とお酒を提供しており、「僕が言うのもなんですが、めちゃくちゃ旨い」と吉田田さんも絶賛。無限白菜、大根のからあげ、鶏ハムねぎだれといったメニューが週替わりで登場します。

確かに絶品料理を味わえる上に、それが子どもたちの支えになるなら、大人も「おいしい」以上の「うれしい」を得ることができますよね。

画像: 工事現場が見える窓に、こんなユーモラスな貼り紙が

工事現場が見える窓に、こんなユーモラスな貼り紙が

「結果的にここは、大人にもメリットがあるお店になったなと感じています。次に来る未来の社会を学べる場所、と言えるでしょうか。子どもを地域の大人たちがみんなで育てるという、今は薄れかけている自治活動の大切さに気付ける場所なんだと思います」(吉田田さん)

つまり大人も、まほうをかけるだけでなく、自分もまほうにかかることができるのかもしれません。

画像: 料理上手のスタッフ「まゆげ」さん(左)と、チロ野菜を手にする「しい」さん

料理上手のスタッフ「まゆげ」さん(左)と、チロ野菜を手にする「しい」さん

チロル堂では飲食代金だけでなく、地元の農家が野菜を無償提供してくれたり、遠方からお米を送ってくれたりと、全国に「まほうつかい」がたくさんいるそうです。募金やオンラインチロルも受け付けており、店内の壁は「まほうつかい」からの応援メッセージで埋め尽くされています。

画像2: 大人がおいしく食べると、子どもが笑顔に。“チロる”を体験

「チロル堂」は、大人にこそ来てほしい駄菓子屋

画像: 「チロル堂」は、大人にこそ来てほしい駄菓子屋

一つ言えるのは、チロル堂は子どものための場所ではありますが、大人が行くことで初めて「まほう」が成り立つ場所ということ。500円のカレーを100円以下で提供するためには、たくさんの「まほうつかい」の力が必要なのです。

さらに今回訪れて感じたのは、チロル堂が大人にとっても魅力たっぷりの空間だということ。ハンドドリップのコーヒーもカレーも夜のメニューも、これを目当てにわざわざ訪れる価値は大いにあります。「貢献しよう!」と身構えずとも、まずは気軽に、おいしく楽しい時間を過ごしに行ってみてはいかがでしょう。

チロル堂

住所:奈良県生駒市元町1-4-6
電話番号:0743-61-5390
営業時間:駄菓子屋 11:00〜18:00/チロル堂酒場 18:30頃〜23:00(L.O. 22:30)
定休日:駄菓子屋 水曜・日曜・祝日(水曜はたわわ食堂になります)/チロル堂酒場 日曜・月曜
WEB:https://www.tyroldo.com/
Instagram:https://www.instagram.com/tyrol.do/
※営業曜日・時間は変更になる場合があります。

画像7: 大人が“おいしい”と、子どもが“うれしい”⁉
奈良の駄菓子屋「チロル堂」が提案する次世代の地域貢献

りかごん

地域でのふれあいや助け合いなどの温かさを思い出させてくれ、かつとてもおいしい料理がいただける素敵な空間でした!ぜひ足を運んでみてください!

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