暑い夏は、冷房を適切に使って熱中症対策を行うことが大切です。しかし、電気代の値上がりが話題になる今、「電気代が気になる」という人も多いのではないでしょうか。節約しながら冷房を上手に使うには、設定温度が重要です。今回は、冷房の設定温度や、電気代を節約するコツについて紹介します。省エネしながら快適に過ごすためのポイントを知って、今年の夏をエコで健康に過ごしましょう。
環境省推奨の「28℃」は冷房の設定温度ではなく室温!
環境省は、冷房を使うときの適正な室温として、28℃を推奨しています。注意したいのは、冷房の設定温度ではなく、室温が28℃であるということ。つまり、設定温度は28℃より低くてもOKなのです。
室温は、外気温や部屋の湿度、部屋の向きなどさまざまな影響を受けます。例えば、西側に大きな窓があって、西日が差し込む部屋では、夕方になると室温が上がりやすくなるでしょう。また、体感温度は人によっても大きく異なります。
そのため、室温28℃を目安として、部屋を冷やしすぎないように調整するのがベストです。くれぐれも、室内にいる人の体調を優先しながら、無理のない設定温度にするようにしましょう。
寝るときも室温28℃が理想
暑くて寝苦しい夜は、冷房を適切に使うことが大切です。熱帯夜で、夜中に室温が29℃以上になりそうな場合には、冷房をつけたまま就寝すると良いでしょう。その際には、体調を崩すことがないように、次のような点に気をつけましょう。
風が直接当たらないようにする
冷房の風が直接体に当たると、体が冷えすぎてしまうことがあります。体調を崩す可能性があるため、寝る前に冷房の風向を調整して、体に直接当たらないようにしておきましょう。冷房には、風向や風量を自動で調整してくれる「おやすみモード」などもあります。機能が搭載されている場合は活用しましょう。
扇風機を併用する
扇風機を使うと、部屋の空気を循環させて、床にたまった冷たい風を効率よく部屋全体に行き渡らせることができます。設定温度を下げなくても、涼しく感じやすくなるため、快適に眠ることができるでしょう。ただし、前述の通り体に風が当たらないように注意しましょう。
冷房と扇風機を併用する際のポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
冷房の設定温度で電気代を節約できる!
冷房の設定温度を1℃上げることで、どのくらい電気代を節約できるのでしょうか。資源エネルギー庁によると、外気温が31℃のときに、エアコン(冷房能力2.2kW)の設定温度を27℃から1℃上げた場合(使用時間:9時間/日)、年間で30.24kWhの電気の使用量、約940円の電気代を節約できるとしています。
これは1つのシミュレーションですが、設定温度を適切にすることで、電気代の節約に効果があることがわかります。だからといって、冷房の設定温度を無理に上げることは望ましくありません。体調を考慮しながら、無理のない範囲で設定温度を調節するようにしましょう。
冷房を省エネに使いながら快適に過ごすコツ
夏場の冷房は、家庭の電気の使用量の約3分の1を占めるといわれています。無理のない範囲で省エネに取り組むことで、電気代を節約することができます。冷房の省エネのコツを5つ紹介します。
湿度を下げる
「室温28℃だと暑く感じるのでは?」と思う人もいるかもしれません。快適に過ごすには、温度だけでなく、湿度のコントロールも重要です。エアコンのメーカーであるダイキンと理化学研究所の研究結果によると、湿度を55%に保てば、温度28℃でも十分快適に過ごすことができるとしています。
エアコンの除湿機能や、除湿機などを併用して、室内の湿度をコントロールするようにしましょう。温度と湿度を同時に確認できる温湿度計を部屋に置いて、ときどきチェックすると良いでしょう。夏場は湿度が高くなりやすいため、温度だけでなく、湿度を下げる工夫も大切です。
部屋の湿気対策については、こちらの記事でより詳しく解説しています。気になる人は、ぜひチェックしてください。
部屋の熱気を逃がしてから冷房をつける
夏場に帰宅した際、締め切っていた室内が暑くて驚いたという経験はありませんか? 室内の空気が暖まったまま冷房をつけると、電気をより多く消費してしまいます。まずは、暖まった空気を外部に逃がすことが大切。窓やドアを開けて、扇風機やサーキュレーターで内部の空気を外に逃がしましょう。
換気をして室内の温度を下げたあとで冷房をつけると、電気の使用量を抑えることができるため、省エネに繋がります。
また、室内に熱気をこもりにくくするために、外出時にはカーテンやブラインドを閉めたり、窓の外側にすだれを設置したりするのも効果的です。
冷房と扇風機やサーキュレーターを併用すると、冷たい空気を効率よく部屋に循環させることができるほか、体感温度を下げて、設定温度を極端に低くしなくても涼しく過ごすことができます。こちらの記事も参考にして、冷房の省エネな使い方をマスターしましょう。
冷房を稼働させる前に掃除をする
冷房を本格的に使う前には、フィルターや送風口、室外機などを掃除しておくと良いでしょう。特に、エアコンのフィルターがホコリなどで目詰まりしていると、空気を吸おうとしてより多くの電気を消費してしまいます。冷房を使うシーズンが到来する前に掃除をしておくことで、気持ちよく冷房を使うことができます。
ただし、エアコンは精密な電気機器なので、無理に自分で掃除しようとすると、かえって思わぬトラブルや故障を引き起こすおそれがあります。エアコンを隅々まできれいにしたい場合には、プロにお任せするのがベターです。
古いエアコンは買い換える
家電の省エネ性能は年々向上しています。古いエアコンを使っている場合には、思い切って買い換えることで大幅な省エネに繋がると期待できます。環境省によると、10年前のエアコンと比べて、現在のエアコンは、平均的な電気の使用量が約15%も削減されているとのこと。また、内閣府の調査によると、エアコンの平均使用年数は13年前後とされています。10年以上エアコンを使っているという人は、買い換えを検討してみましょう。
できるだけ軽装にする
夏場には、オフィスでネクタイの着用を省略するなどの「クールビズ」が推奨されています。多くの企業が取り入れて、ノーネクタイは広く普及しています。家庭でも、できるだけ軽装にして涼しく過ごしましょう。
「緑のカーテン」にチャレンジする
ベランダや庭がある場合には、窓際でアサガオやゴーヤといった、つる性の植物を育てる「緑のカーテン」もおすすめです。すだれやオーナメントのように、植物が窓を覆うことで、直射日光を遮り、室内の温度が上がるのを防ぐことができます。
また、部屋の中からグリーンを鑑賞できるので、涼しく感じることができるでしょう。アサガオなどの花を楽しんだり、ゴーヤやキュウリ、オクラといった野菜を収穫して味わったりできるメリットもあります。
無理のない範囲で省エネしながら冷房を活用しよう
冷房を使用する際の28℃は、あくまで室温であり、設定温度ではありません。大切なことは、体調を考慮しながら、省エネを心がけることです。扇風機やサーキュレーターを併用すると、室内を冷やしすぎることなく快適に過ごすことができるようになります。また、使用前などに冷房の掃除をすることで、電気の使用量が抑えられるなど、ちょっとした工夫も省エネに繋がります。
今年の夏は、冷房のエコな使い方をマスターして、冷房を上手に使いながら快適に過ごせるように心がけましょう。
みかりん
今年の夏も猛暑が予想されているので、熱中症対策としてもエアコンを適切に使っていきたいですね!!