※この記事は2023年10月5日に公開した内容をアップデートしています。
食品ロス(フードロス)とは?
食品ロス(フードロス)とは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品のことです。まだ食べられる食品を捨てるのはとてももったいないことですが、それだけでなく、地球環境にも大きな負荷をかけてしまいます。
残念なことに日本ではいま、国民一人当たり、毎日お茶碗一杯分に相当するフードロスが発生しているとされています。より良い未来を目指す世界共通の目標であるSDGsでも、12番目の目標「つくる責任 つかう責任」でフードロス削減の取組みを推奨しています。SDGsについてより詳しく知りたい人は、こちらの記事も併せてご覧ください。
なぜフードロスが発生するの?
フードロスは、家庭や飲食店、食品の製造・流通の工程など、さまざまな場面で発生します。まず、家庭でフードロスが発生する理由としては大きく3つあります。1つ目が「食べ残し」、2つ目が調理の際に野菜や果物の皮を多くむきすぎるなどの「過剰除去」、3つ目が賞味期限切れなどによる「直接廃棄」です。
食品の製造や流通、小売などでフードロスが発生する理由には、ルールや商習慣などが複雑に関係しています。例えば、野菜や果物は流通しやすくするために、種類ごとに大きさや形などの規格が定められています。その規格に合わないものは出荷されず、生産地で消費し切れない場合には廃棄されることがあるのです。
また、スーパーマーケットなどの小売店で販売される食品は、包装にキズがあったり賞味期限が近づいたりすると期限内でも返品されることがあり、フードロスの発生につながっています。飲食店での注文のしすぎなどによる食べ残しも、フードロスが発生する理由の一つになっています。
なぜフードロスの削減が必要なの?
食品が作られて私たちの食卓に届くまでには、多くのエネルギーが使われています。原料となる農作物や水産物を収穫したり、牛や豚、鶏などを育てたりするのには膨大な資源が必要です。携わる人も多く、たくさんの手間暇がかけられているでしょう。フードロスは、こうして費やされたエネルギーを無駄にしていることに等しいのです。
また、食品には多くの水分が含まれているため、捨てるとごみの重量が増えることになります。自治体がごみ処理として運搬、焼却する際などに余計なエネルギーを使い、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を多く排出してしまう恐れがあるのです。
さらに、国連によると、世界の人口は、2022年の80億人から2050年には97億人に達すると推計されていて、食料問題の深刻化も懸念されています。
フードロスの現状
深刻な問題であるフードロスはいま、どのような状況になっているのでしょうか。世界と日本の現状について解説します。
世界の現状
2021年、国連の補助機関であるUNEP(国連環境計画)が、世界の食品ロスに関するレポートを初めて発行しました。レポートによると、2019年には世界で販売された食品のうち、9億3000万トン前後がフードロスになったとのこと。これは、本来食べられるはずの食品の約17%に相当するとされています。
また、食品が無駄にされることで大量のCO2が発生していることも指摘されました。フードロスによるCO2排出量は、全世界のCO2排出量の約8~10%と推測されています。地球温暖化を抑制するためにも、フードロスを削減することは喫緊の課題だといえるでしょう。
参考:UNEP Food Waste Index Report 2021
日本の現状
日本に目を向けると、2021年に国内で発生したフードロスは約523万トン。これを国民一人当たりに換算すると、毎日お茶碗一杯分に近い約114gの食品を捨てていることになります。1年間では、一人当たり合計約42kgに上ります。
約523万トンの内訳を見ると、家庭からの発生が約244万トン、食品の製造や流通、小売などの事業系からの発生が約279万トンです。事業系では食品製造業から発生するフードロスがもっとも多く、約125万トンとなっています。
フードロス削減のためにできること
前述の通り、国内のフードロスの約半分は家庭から発生しています。気がついたら冷蔵庫の中の食品の期限が切れていて、処分したことがあるという人もいるのではないでしょうか。フードロス削減の取組みには、個人でできることもたくさんあります。取り組みやすいものから始めて、フードロスを減らすように心がけましょう。
個人でできること
・買い物の前に冷蔵庫の中身をチェックしよう
買い物から帰って買った食品を冷蔵庫に入れていると、同じ食品がいくつもあったという経験は、誰しもあるのではないでしょうか。食品を余計に買うと、期限内に食べ切れずフードロスの発生につながってしまうことがあります。
買い物の前には、必ず冷蔵庫・冷凍庫の中身をチェックして、食品を重複して買わないように気をつけましょう。スマートフォンなどであらかじめ冷蔵庫内の写真をとっておくと、買い物中に確認できるのでおすすめです。
・工夫して食材を上手に使い切ろう
食材は残っているものから使い、食べ切るように心がけましょう。同じメニューで食べ飽きてしまわないように、リメイクレシピなどに挑戦してみるのもよいでしょう。また、買ってきた野菜はすぐに茹でて冷凍するなど、傷まないようにすることも大切です。
企業で行っていること
・フードバンクの取組み
フードバンクとは、さまざまな理由で店頭に並べられない食品を、必要としている人々に届ける仕組みのことです。外箱にキズがあるなど食品の品質には問題がないものをフードバンクが回収し、食品を必要とする人々に届ける取組みが行われています。
・未利用食材を活用した新商品の開発
関西電力では、入社2年目の社員の発案で、未利用食材の“おから”で作った「オカラット ベジドーナツ」を販売しています。フードロス問題の解決に役立てたいという思いから、豆腐を作る工程で廃棄される“おから”に着目し、食物繊維やたんぱく質が豊富で低糖質なドーナツに加工。アスパラやカボチャ、芋ヅルなどの未利用野菜も練り込まれており、フードロス削減に役立つだけでなく、風味が良いと好評を得ています。
できることから始めてフードロスを削減しよう
フードロスは、もったいないだけでなく地球環境にも負荷をかける問題であり、世界的な食料問題と密接につながっていることもわかりました。フードロスを削減する取組みには、個人でもすぐに始められるものがあります。買い物の前に冷蔵庫の中身をチェックしたり、食材をすべて食べ切るように工夫したりして、フードロスを削減するためにできることから始めてみましょう。
よしおちゃん
持続可能な社会の実現のためにもフードロス削減にはしっかりと取り組んでいきたいですね。私自身も個人でできることとして、食材をきっちりと使い切れるような買い物、調理を心がけたいと思います。