今回は、寿命を延ばすコツと買い替えのベストなタイミングについて詳しく解説します。そろそろ冷蔵庫の買い替えを検討している人も、冷蔵庫をなるべく長く使い続けたいという人も、ぜひ参考にしてください。
冷蔵庫の寿命は9~14年!
冷蔵庫の一般的な寿命は、9~14年といわれています。その理由として挙げられるのは、次の2つ。データを示しながら、冷蔵庫の平均的な使用年数について説明します。
消費動向調査の「平均使用年数」では14年
内閣府は、家電の買い替え状況などを把握するために、定期的に「消費動向調査」を行っています。この調査によると、冷蔵庫の平均使用年数は、2人以上の世帯で14年とされています。買い替えの理由として65%以上を占めるのが、故障です。ほとんどの家庭で、冷蔵庫が壊れたことをきっかけに、買い替えを検討していることがわかります。
メーカーの部品の保有期間は9年
家電メーカーには、家電の製造を終了した後も一定期間、補修用の部品を保有しておくことが義務付けられています。そのため、使っている家電が壊れても、この期間内であれば補修用の部品を手に入れることができます。しかし、この期間を超えると部品を入手するのが難しくなります。
公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会によると、冷蔵庫の補修用性能部品の保有期間は、製造終了後9年間です。自宅の冷蔵庫が、製造終了後9年以上経っているようであれば、修理ではなく、買い替えを検討するのがよいでしょう。
これって冷蔵庫の寿命が近づいているサイン?
長い間冷蔵庫を使っていると、普段とは違った兆候が見られることがあります。もしかしたら、それらは冷蔵庫の寿命が近づいているサインかもしれません。しかし、中には修理することで改善できるケースもあるので、しっかりと見極めましょう。
庫内が冷えていない・冷え方にムラがある
庫内が思ったより冷えていない場合、まず、冷気の吹き出し口を食品などでふさいでいないかチェックしましょう。吹き出し口は庫内の奥にあることが多いので、庫内にたくさん食品を詰め込んでいる場合、冷気が全体に行き渡りにくくなることがあります。
また、ドアのパッキンが劣化すると、庫内を密閉できずに、冷気が外に漏れ出て庫内が冷えにくくなる場合もあります。
もし、冷気の吹き出し口やパッキンに異常がなくて、庫内の温度設定を調整しても冷えていないと感じる場合は、冷蔵庫の冷却機能そのものに何らかの異常があるかもしれません。取扱説明書を確認の上、修理や買い替えを検討するのがよいでしょう。
氷ができない
自動で氷をつくる製氷機能がある冷蔵庫の場合、冷蔵庫は冷えていても、製氷ができないケースがあります。まず、製氷用の水を入れるタンクが空になっていないかチェックしましょう。タンクに水が入っているなら、冷却機能に何らかのトラブルが発生していることが考えられます。
水が漏れている
冷蔵庫から水が漏れている場合は、どこから漏れているのかを確認します。床や背面に水漏れしている場合は、停電などによって電源が一時的に切れていないか、ドアのパッキンが緩んでいないかを確認します。庫内で水漏れしている場合には、製氷用のタンクがしっかり設置されているかもチェックが必要です。
こうした確認をしても異常がない場合には、冷蔵庫本体に問題が発生している可能性が考えられます。取扱説明書を確認して、販売店などに修理や買い替えを相談しましょう。
異音がする
冷蔵庫の運転中には、さまざまな音がします。例えば、運転中に背面から「ブーン」といった機械音がしたり、製氷機能で氷ができると「ゴトゴト」と氷が落ちる音がしたりします。こうした音は異常を知らせるサインではありません。
もし、普段と違う音に気づいたら、まず、取扱説明書を確認しましょう。取扱説明書に記載がなく、明らかにおかしな音が続いている場合は、何らかの対処が必要かもしれません。普段から、冷蔵庫の運転音にも気を配っておくことが大切です。
ドアの閉まりが悪い
ドアのパッキンが劣化していると、ドアの閉まりが悪くなり、庫内が冷えにくくなったり、冷気が漏れて水滴になり、床に水漏れしたりすることがあります。ドアのパッキンは、長年使っているとどうしても劣化してしまう箇所の1つ。冷却機能に問題がないなら、パッキンを交換すれば冷蔵庫を使い続けることができるでしょう。
冷蔵庫の寿命を延ばす6つのコツ
冷蔵庫は暮らしに不可欠ですが、買い替えにはそれなりのコストがかかります。できるだけ大切に長く使いたいと考える人も多いでしょう。冷蔵庫の寿命を延ばすためのコツを解説します。
ドアの開閉回数を少なくする
前述した通り、ドアのパッキンは経年によって劣化します。なるべく劣化させないようにするため、ドアの開閉回数を少なくしましょう。ドアの開閉が少ないと、庫内の冷気が逃げにくくなり、省エネにもつながります。
パッキンが劣化していないか確認する
ドアのパッキンが劣化していると、庫内が冷えにくくなったり、冷気が漏れて水滴になり、床に水漏れしたりすることがあります。カードや名刺など、ある程度の厚さがある紙を挟んですぐ落ちる場合には、パッキンを早めに交換しましょう。
物を詰め込みすぎない
庫内に食品などを詰め込みすぎると、庫内の温度が上がります。また、食品が冷気の吹き出し口をふさいで、庫内が冷えにくくなる可能性もあります。庫内の温度が上がると、冷蔵庫がもっと冷やそうとしてフル稼働するため、寿命を縮めてしまいます。庫内には物を詰め込みすぎず、食品の間にすき間をつくるように心がけることで、省エネにもつながります。
熱い食品は冷ましてから入れる
熱い鍋やお皿をそのまま冷蔵庫に入れていませんか? 庫内が温まると、冷蔵庫が余計に冷やそうとして寿命を縮めてしまう可能性があります。また、冷やすためにより多くの電気を使うため、電気代が高くなってしまうこともあります。熱い食品は常温でしっかり冷ましてから冷蔵庫に入れましょう。
冷蔵庫の周りに物を置かない
冷蔵庫は、庫内の熱を外部に排出することで冷却しています。そのため、冷蔵庫の周りに物があると、排熱がうまくできず、冷蔵庫そのものに負担がかかってしまうことがあります。冷蔵庫の上部や側面には物を置かず、壁などからも少し距離をとって設置することが大切です。どれくらいの距離をとったらよいかは取扱説明書などに記載されているので、しっかりチェックしておきましょう。
こまめにお手入れする
お手入れのコツは、汚れが冷えて固まる前に、できるだけすぐにお掃除すること。お手入れの際には、電源プラグを抜いておきましょう。製氷タンクや引き出しなど、取り外すことができるものは、取り外して汚れを拭き取ります。年に1回は、冷蔵庫の下に溜まったホコリもお掃除をしましょう。
冷蔵庫を買い替えるベストタイミングは?
家電は、毎年のように新製品がリリースされているので、新製品が発売される前後には、従来の製品が安く販売されることもあります。他にも、冷蔵庫の買い替えを検討すべきタイミングには、次のようなものがあります。
メーカーの修理対応年数・部品の保管期間が過ぎたとき
前述した通り、家電のメーカーには補修用の部品を保有する期限が定められています。この期限を過ぎると、修理の対応が難しくなります。自分が使っている冷蔵庫が、製造終了後9年を過ぎている場合は、買い替えの検討をスタートしましょう。
20年、30年と長期間使い続けているとき
中には、数十年にわたって同じ冷蔵庫を使い続けている家庭もあるかもしれません。物を大切に長く使うのは素晴らしいことですが、最近の家電は、数十年前の製品と比べて、省エネ性能が格段に上がっています。買い替えることで、月々の電気代を抑えることができるでしょう。実家や親戚などで古い冷蔵庫を使っている家庭があれば、買い替えをおすすめしましょう。
家族の人数やライフスタイルに変化があったとき
家族の人数に変更があった場合には、冷蔵庫の容量も見直すことが大切です。一般的に、冷蔵庫の容量の目安は、次の式で求められます。
「70L×家族の人数+120L〜170L(常備食材)+100L(予備スペース)」
つまり、4人家族なら500~550Lが目安です。ライフスタイルが変わったときは、冷蔵庫の買い替えを検討するのによいタイミングです。これまで使ってきた冷蔵庫の性能に問題がない場合は、リサイクルショップやフリマサイトなどで売って、買い替えの費用にあてることもできます。
コラム:不要になった冷蔵庫はどうやって処分するの?
不要になった冷蔵庫を処分する場合は、冷蔵庫を買った販売店に連絡して処分してもらうことができます。販売店がわからない場合などは、自治体の定めに従って処分することも可能です。地域によって処分方法や依頼先が異なるため、事前にこちらのサイトなどを使って確認することをおすすめします。
もし、冷蔵庫に問題がなく、引き続き使えるのであれば、フリマアプリやリサイクルショップなどを通じて、必要としている人に販売したり譲渡したりすることもできます。
なお、冷蔵庫などの家電は、処分する際にリサイクル料金を支払うことが定められています。家電量販店などに引き取りを依頼する場合や、新しい家電に買い替える場合、古い家電を下取りに出す場合には、収集運搬料金に加えてリサイクル料金を支払う必要があります。
冷蔵庫の寿命のサインを知って正しく使おう
冷蔵庫の寿命が近づくと、さまざまなサインが現れることがわかりました。どのようなサインが現れたら買い替えを検討すべきなのか、しっかり把握しておくことが大切です。暮らしに欠かせない冷蔵庫ですから、正しく大切に使い、適切なタイミングで買い替えるように心がけましょう。
みかりん
冷蔵庫のサインを見逃さないように、定期的に状態をチェックしたいですね!