加湿器の種類は大きく分けて4種類
加湿器の種類は、加湿の方法によって4つに分けられます。種類別に、加湿の仕組みを説明します。
超音波式
水に超音波を当てると、小さな水の粒子が発生します。これにファンで風を当て霧のように噴出させて加湿するのが、超音波式の加湿器の仕組みです。ヒーターを使わないので電気代が安いのが特徴。一方で、水が霧のように放出されるので、周囲の家具などに水滴がついたり、乾いた後に水垢が残ったりすることがあります。
加熱式(スチーム式)
内部のヒーターで水を加熱し、水蒸気を発生させることで加湿を行います。鍋ややかんなどでお湯を沸かすのと同じ仕組みで、大量の蒸気を出すことができるパワフルさが魅力。冬期は、暖房と併用することで室温を上げる効果も期待できます。反対に、夏期に冷房と加湿器を併用する際には、室温が上がりやすくなります。また、吹き出し口が高温になるため、小さなお子さんやペットが触れないように注意が必要です。
気化式
水を含ませたフィルターに風を当てて、気化※した水蒸気を使って加湿する仕組みです。ヒーターを使わないので、電気代が抑えられるメリットがあります。また、大量の風を送るため、本体が大型で運転音が大きいといった特徴が挙げられます。
※液体が気体に変わること
ハイブリッド式
加熱式と気化式を組み合わせたものや、加熱式と超音波式を組み合わせたものなど、2つのタイプを組み合わせたものがハイブリッド式の加湿器です。異なるタイプのメリットを掛け合わせるため、利便性が高いのが特徴です。
種類別のメリット・デメリットを比較
続いて、それぞれの違いを、加熱の範囲、運転音、電気代、清潔性という4つの観点で比較してみましょう。
①加湿の範囲
加湿できる範囲がもっとも広いものは、加熱式と気化式です。前述の通り、加熱式は水を加熱して大量の蒸気を出すことができます。それに対して、超音波式、超音波式のハイブリッドの場合は、本体周辺などピンポイントを加湿するのに向いています。
②運転音
運転音に関しては、ファンがついていない超音波式の加湿器がもっとも運転音を抑えられます。ファンのついている気化式や加熱式は、ファンが回転する音が発生するため、超音波式と比べると運転音が気になるという方もいるかもしれません。
③電気代
電気代の観点で比べると、ヒーターを使う加熱式は多くの電気を使うため、電気代が比較的高くなりやすいといえるでしょう。同じ理由から、加熱式のハイブリッドも電気代がかかりやすいでしょう。気化式、超音波式はより省エネ性能が高く、電気代を抑えながら加湿することができます。
④清潔性
ヒーターを使う加熱式は、熱を加えるのでタンク内の雑菌が発生しにくいというメリットがあります。一方で、超音波式は加熱することがないので、使用環境やお手入れの状況などによっては、内部の雑菌が水滴に付着して、室内に放出されるおそれがあります。
加湿器の選び方のポイント
加湿器を選ぶ際には、こうした特徴を踏まえて、目的に合った加湿器を選択することが大切です。加湿器選びのポイントを4つ解説します。
ポイント①用途で選ぶ
まず、加湿したい範囲を決めることが、加湿器選びの第一歩です。加湿器の取扱説明書や仕様書には、加湿できる床面積の目安が記載されています。加湿したい範囲が決まっているときは、こうした記載をチェックすると良いでしょう。
例えば、オフィスの中で、自分のデスクまわりだけ加湿したいときには、ピンポイントで加湿できる超音波式がおすすめ。リビングなど部屋全体を加湿したいときには、より広範囲を加湿できる気化式や加熱式が良いでしょう。
ポイント②使用環境で選ぶ
寝室など、できるだけ静かにしたい場合や、オフィスの自分の机の上で使うときには、運転音の小さい超音波式がおすすめです。
赤ちゃんやペットのいる部屋など、特に安全に気をつけたい空間では、熱を使わない気化式の加湿器が最適です。ヒーターを使わないため、万が一、加湿器を倒しても熱湯がこぼれることがありません。
ポイント③電気代で選ぶ
ヒーターを使う加熱式は多くの電気を使うため、電気代が高くなりやすい特徴があります。電気代を抑えたいなら、ヒーターのない超音波式や気化式が良いでしょう。
加湿器のメーカーや機種によっては、取扱説明書や仕様書などに消費電力や電気代の目安が記載されているものがあります。これらを事前にチェックしておくと、電気代のイメージを掴むことができます。どのようなシチュエーションで使いたいか考慮しながら、選ぶことがおすすめです。
ポイント④お手入れのしやすさで選ぶ
超音波式の加湿器は、他の加湿器に比べて、こまめなお手入れが求められます。内部で雑菌が繁殖しないように、毎日タンクの水を替え、水を替える際には中をすすぐようにしましょう。内部にぬめりなどがあるようであれば、柔らかいスポンジなどでこすり洗いをしましょう。
同様に、気化式の加湿器も毎日水を入れ替え、その際に中を軽くすすぐようにしましょう。フィルターは月1回程度、しっかりと掃除をします。外側のフィルターは掃除機で汚れを吸い取り、内側のフィルターは水洗いをします。
一方で、加熱式の場合、他のタイプに比べて、加熱によって雑菌が繁殖しにくいため、お手入れが楽というメリットがあります。加熱式の加湿器の一般的なお手入れとしては、給水のたびに内部を水ですすぐだけ。旅行やシーズンオフなどで長期間使わないときは、中の水を完全に捨てるようにします。
このように、加湿器のお手入れ方法は種類によってさまざまです。自分にとって本当に使いやすい加湿器を選ぶために、購入する際には日々のお手入れについても忘れずに確認しましょう。
加湿しすぎによるカビの発生に注意
加湿器を使うときには、最適な湿度を維持することが大切です。加湿しすぎると、室内の気温よりも温度が低い窓の周囲などに、余分な水蒸気が水滴として発生します。これが結露です。
過度な加湿は、カビやダニの発生原因になり、住人の健康にマイナスの影響を及ぼしてしまう可能性があります。家の建材にとっても良くありません。加湿器を使うときには、結露が発生していないかをときどき確認して、加湿しすぎを防ぐようにしましょう。
さまざまな角度から比較して選ぼう
一口に加湿器といっても、加湿の仕組みによってそれぞれ違った特徴を持っています。加湿器を選ぶときには、さまざまな角度から比較して考えることが大切です。加湿したい範囲や運転音、電気代といったポイントをしっかり比較・検討することで、自分のライフスタイルに合った加湿器を選ぶことができるでしょう。