しかし、「SDGsという言葉は知っているけれど、どのように取り組めば良いのかわからない」「SDGsに取り組むのってなんだかハードルが高そう」とまだまだ自分事として捉えきれない方もいるかもしれません。
そこで、ここでは、個人や企業でもすぐに行動に移せるSDGsに関する取組みをご紹介します。この記事を読めば、SDGsをグッと身近なものに感じられるようになるでしょう。SDGsに当てはまるアクションが、意外にも身の回りに存在することに気付けるはずです。
※この記事は2022年6月14日に公開した内容をアップデートしています。
SDGsとは
SDGsとは、2030年までに持続可能でより良い世界を目指すための国際目標です。日本語で「持続可能な開発目標」という意味の「Sustainable Development Goals」の頭文字をとってSDGsと呼ばれます。
SDGsは世界共通の17の目標で構成されていて、世界中の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことをモットーに、世界をより良く変えていくことを目指しています。
SDGsで設定されている17の目標
では、SDGsの17の目標 とはどのようなものなのか、一つずつご紹介します。
目標 | 詳細 |
---|---|
1.貧困をなくそう | あらゆる場所や、あらゆる形態の貧困を終わ らせることを目指します。 |
2.飢餓をゼロに | 飢餓を終わらせ、食料安全保障や栄養改善を 実現し、持続可能な農業を促進します。 |
3.すべての人に健康と福祉を | あらゆる年齢のすべての人々が健康的な生活 を送れるようにし、福祉を促進します。 |
4.質の高い教育をみんなに | すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育 を与え、生涯学習の機会を促進します。 |
5.ジェンダー平等を実現しよう | ジェンダー平等を達成し、すべての女性・女 児のエンパワーメントを行います。 |
6.安全な水とトイレを世界中に | すべての人々が安全に管理された水を利用で きるようにすると同時に衛生的な環境を整備 し、その持続可能な管理を確保します。 |
7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに | すべての人々の、安価かつ信頼性があり、持 続可能で近代的なエネルギーを入手できるよ うにします。 |
8.働きがいも経済成長も | 包摂的で持続可能な経済成長と、すべての人 々の完全で生産的な雇用と働きがいのある人 間らしい仕事「ディーセント・ワーク」を促 進します。 |
9.産業と技術革新の基盤をつくろう | 強靭(レジリエント)なインフラを構築し、 包摂的で持続可能な産業化を促進するととも に、イノベーションの推進を図ります。 |
10.人や国の不平等をなくそう | 国内の不平等や、国と国との間の不平等を是 正します。 |
11.住み続けられるまちづくりを | 包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持 続可能な都市や居住空間を実現します。 |
12.つくる責任つかう責任 | 持続可能な消費と生産の形態を確保します。 |
13.気候変動に具体的な対策を | 気候変動や、その影響を軽減するための緊急 対策を講じます。 |
14.海の豊かさを守ろう | 持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を 保全し、持続可能な形で利用します。 |
15.陸の豊かさも守ろう | 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の 推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対 処、土地の劣化を防ぎ、回復させると同時に 生物多様性の損失を阻止します。 |
16.平和と公正をすべての人に | 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会 を促進し、すべての人々が司法へアクセスで きるようにし、あらゆるレベルにおいて効果 的で説明責任のある包摂的な制度を構築しま す。 |
17.パートナーシップで目標を達成しよう | 持続可能な開発のための実施手段を強化し、 グローバル・パートナーシップを活性化しま す。 |
また、ご紹介した17の目標のそれぞれについて、さらに細かな169のターゲットが設定されています。これらのターゲットは、目標が達成されているかどうかを判断するための指標と位置付けられています。
個人でできるSDGsの具体的な取組みについて
SDGsには、実は私たち個人でもすぐに取り組むことができるさまざまアクションがあります。私たちが日々の生活の中で身近な取組みを積み重ねていけば、SDGsの達成が近づくかもしれません。では、個人でできるSDGsの取組みには具体的にどのようなものがあるのか、詳しく見ていきましょう。
節電や節水を日々心がける
使っていない部屋の電気を消したり、水の出しっぱなしをやめたりすることは、 資源の節約につながります。
私たちの暮らしを支える電気や水が私たちの家庭にまで届くまでには、多くのエネルギーが使われています。こうしたエネルギーを作り出す際には、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)が発生します。節電や節水によってエネルギーの無駄をなくすことは、こうしたCO2を削減することにつながるのです。
つまり、節電や節水とは、地球温暖化対策にも役立つアクションであり、13番目の目標「気候変動に具体的な対策を」の達成に役立つと言えます。エネルギーの節約が、CO2を減らすだけでなく、 水道光熱費の節約にもつながるとすれば、取り組まないという選択肢はありません。
上手に節約して、SDGsの実現に貢献しながら、地球にもお財布にもやさしい暮らしを心がけましょう。
プラスチックごみ・紙ごみを削減する
プラスチックごみや紙ごみを減らすには、使い捨てをなるべく減らすことが大切です。例えば、毎日のお出かけや買い物の際にマイボトルやマイバッグを持ち歩けば、使い捨てのペットボトルやレジ袋を使わずに済むため、プラスチックごみの削減に役立ちます。コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどで配布されるストローやフォークなども、不要な場合には断るのが良いでしょう。
買い物の際には、できるだけ簡易包装の商品を選んだり過剰な包装を断ったりすると、紙ごみを削減することができます。自分用の買い物であれば、レジでその旨を伝えれば過剰な包装を避けることができるでしょう。プレゼントの場合には、繰り返し使える風呂敷などに包んで渡すと、おしゃれでエコな演出ができるかもしれません。
プラスチックごみや紙ごみの削減に取り組むことは、12番目の目標「つくる責任つかう責任」に役立ちます。
環境に配慮した製品やサービスを利用する
最近は、SDGsに対する意識の高まりから、環境に配慮した製品やサービスを展開する企業が増えています。環境に配慮した製品やサービスの一例を挙げると、リサイクルした素材を使って作った製品や、無農薬など環境に負担をかけない方法で作った農作物を使った商品などがあります。ほかにも、製品やサービスの売り上げの一部を、環境を守る活動に寄付するといったケースもあるでしょう。
日々の買い物で商品を選ぶ際には、その企業が環境に対してどのような取組みを行なっているかを基準の一つにすると、12番目の目標「つくる責任つかう責任」の達成に近づくことができるでしょう。
フードロスを減らす
SDGsの12番目の目標「つくる責任 つかう責任」でフードロスの削減に向けたターゲットがあるということは、先ほどご紹介した通りです。実は日本ではいま、国民一人当たり、毎日お茶碗一杯分に相当するフードロスが発生しているとされているのです。
今日からすぐに始められるフードロス削減のアクションといえば、賞味期限の近い商品から先に購入するということ。スーパーマーケットやコンビニエンスストアといった小売店 では、賞味期限切れの食品は廃棄されてしまいます。フードロスの発生を防ぐためには、すぐに食べる商品は、賞味期限の近いものから購入するように心がけましょう。
家事や育児の分担を行う
家事や育児をパートナーと分担して行うことは、5番目の「ジェンダー平等を実現しよう」と密接な関わりを持ちます。性別に関係なく 家事や育児を分担し、男女が同じように社会に出て活躍する基盤を整えることは、SDGsの考え方に即したものです。
特に、先ほどの国際レポートでも、日本は「ジェンダー平等を実現しよう」において取組みの遅れが指摘されています。家庭の中から、ジェンダーの格差をなくしていくことも、SDGsの達成に向けて不可欠なアクションだといえるのではないでしょうか。
リサイクルを積極的に行う
使い終わったモノを回収して再資源化するリサイクルも、SDGsの12番目の目標「つくる責任 つかう責任」に役立ちます。暮らしの中でどうしても出てしまう空き瓶や空き缶、食品トレーや牛乳パックなどはリサイクルして、ゴミの発生を抑えるようにしましょう。
また、自治体によっては包装紙や雑誌などを「雑紙」として回収・リサイクルしているところもあります。お住まいの自治体でこうした取組みが行われているかも確認すると良いでしょう。リサイクルに積極的に取り組むことで、資源を大切にできるとともに家庭ごみの減量にもつながります。
災害対策をしておく
11番目の「住み続けられるまちづくりを」につながるのが、日頃からの災害対策。「誰一人取り残さない」ことを誓うSDGsでは、災害時への備えも重要になります。
人数分の飲料水や食料品を備蓄したり、避難時にすぐに持ち出せるように生活用品一式を詰めた袋を準備したりすることも有効です。また、自治体のハザードマップを確認し、避難所の場所や、安全な避難経路をあらかじめ家族で確認しておくのも良いでしょう。
以下の「防災ハンドブック」は、災害に関する知識や備えておくべきことを具体的に紹介しています。「いざ」という時のため、ぜひこのハンドブックを活用していただければと思います。
(コラム)個人でできるユニークな取組み
個人でできるSDGsの取組みの中でも、ユニークでおすすめなのがコンポストです。コンポストとは、野菜や果物などの生ごみを堆肥に変える装置のこと。家庭のベランダなどでもできる小さなコンポストなら、家族みんなで取り組むことができるでしょう。できあがった堆肥を家庭菜園の肥料にすることで、資源の循環を実感することができます。
そのほか、ガスや電気を使わず太陽の光で調理をする器具「ソーラークッカー」も面白い取組みの一つです。太陽の光だけなのに食材にしっかりと火を通すことができるため、太陽の力を感じることができるでしょう。小学生の自由研究などにもおすすめです。また、ソーラークッカーの使い方に慣れておくと、アウトドアや災害時の備えにも役立ちます。
日本のSDGsの達成状況
2015年に採択されたSDGsですが、これまでの達成状況はどのようになっているのでしょうか? 英国のケンブリッジ大学が公表している最新の国際レポート「Sustainable Development Report 2021」から、日本と世界の2020年のSDGs達成状況を比べてみましょう。
同レポートでは、SDGsのスコアによる国のランキングを発表しています。日本の2020年のSDGs達成状況は、スコア79.8の第18位でした。17の目標別に見てみると、4番目の「質の高い教育をみんなに」や9番目の「産業と技術革新の基盤をつくろう」、16番目の「平和と公正をすべての人に」は達成していると評価されています。
その一方で、5番目の「ジェンダー平等を実現しよう」や14、15番目の「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」では、取組みが足りていないと厳しい評価が下されています。より良い社会を目指すためには、日本でもSDGsの取組みがさらに積極的に進められるように期待されています。
なお、2020年に最も高いスコアを獲得したのはフィンランドの85.9、続いてスウェーデンの85.6、デンマークの84.9と北欧諸国が第3位までを独占しました。
世界的に見ると、2020年はパンデミックが起こったことから、貧困と失業が増え、SDGsの達成状況を示すSDGsインデックススコアが前年より低下しました。パンデミックが経済、社会、環境のすべてに影響を及ぼしたとし、パンデミックを抑制しなければ持続可能な開発と経済回復はないと結論づけています。
参考:Sustainable Development Report 2021
企業が行うSDGsの具体的な取組み|関西電力の具体例
企業が取り組むSDGsのアクションとして、具体的に関西電力が行っているユニークな取組み事例を3つご紹介します。関西電力と言えば電気というイメージが強いかもしれませんが、電気という枠にとらわれないさまざまな取組みを行っているのです。どのような取組みなのか、早速みていきましょう。
フードロス削減に!「未利用野菜」を利用したドーナツ
入社2年目の社員の発案でスタートしたのが、未利用食材の“おから”から作った「オカラット ベジドーナツ」です。国内のフードロス問題の解決に役立てたいという思いから、豆腐を作る工程で廃棄されてしまう“おから”に着目。食物繊維やたんぱく質が豊富で低糖質なドーナツに加工して販売しています。
この「オカラット ベジドーナツ」には、おからだけでなくアスパラやカボチャ、芋ヅルなどの未利用野菜も練り込まれています。フードロス削減に役立つだけでなく、風味が良いと好評を得ています。
リサイクルしてよみがえる「再生パソコン」
関西電力グループの株式会社ポンデテックは、使用済みパソコンの再生事業を行っています。企業から使用済みの高性能なパソコンを買い取り、再生処理を施してスペックを高めたものを家庭や教育現場に販売する取組みです。これまで廃棄されていたパソコンの大部分を再利用できるため、電子ゴミの排出量を大幅に削減することができます。
実際にパソコンの再生作業を行うのは、障がいのある方の雇用を促進・安定するために設立された特例子会社のスタッフです。新型コロナの影響でスタッフの仕事が減っていたことから、新たな仕事として使用済みパソコンの処理作業を依頼しています。再生されたパソコンは、若者のICT教育などに活用されています。
カーボンニュートラル社会の実現を目指した「洋上風力発電」
海の上で巨大な風車を回して発電する「洋上風力発電」は、発電する際に地球温暖化の原因である二酸化炭素(CO2)を排出しません。そのため、環境にやさしく効率の良い発電方法として普及に向けた取組みが加速しています。
メリットがいくつもある洋上風力発電ですが、海の上に大きな風車を設置するため雷が落ちやすく、メンテナンスコストが高いという課題があります。そこで、メンテナンスコストを抑えるためにドローンなどの活用が期待されています。海の風車にドローンを飛ばし、撮影した画像を送信するというものです。
関西電力が参画するコンソーシアム(共同事業体)では、ドローンが撮影した画像をリアルタイムで送信するために、超高速・大容量・低遅延で画像を送信できる「ローカル5G(第5世代移動通信システム)技術」の実用化を目指しています。
この新たな技術によって洋上風力発電のメンテナンスコストを削減できれば、カーボンニュートラル社会の実現が近づくと期待されます。
個人でも身近な取組みから始められるSDGs
SDGsは世界全体で取り組んでいくべき大きな目標ですが、だからといって個人や企業のレベルでアクションを起こせないということはありません。毎日の節電や節水、買い物の際のちょっとした地産地消の心がけなども、SDGsにつながる取組みの一つなのです。
SDGsをもっと身近なものとして日々の生活に取り入れることで、サステナブルなライフスタイルを送ってみてはいかがでしょうか。
ももぱん
SDGsに関するアクションを、ちょっとでも身近に感じてもらえればうれしいです。早速私も、スーパーでは賞味期限の近い商品を選んで買うことを意識しています!