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国内の使用済みパソコンのうち、約3分の2が国内での再利用を検討されないまま海外へ輸出されたり、部品回収後に廃棄されたりしていることをご存じでしょうか。この現状を変えるために、「使用済みパソコンの再生事業」を手がけているのが、関西電力グループの株式会社ポンデテック。企業から使用済みの高性能なパソコンを買い取り、再生処理を施してさらにスペックを高めたものを、家庭や教育現場などに向けて販売。さらに、複数の社会問題の解決にも貢献しています。詳しく話を聞いてみましょう。

画像: 関西電力株式会社 経営企画室イノベーションラボ ポンデテックのハンズオン支援を担当する、大上翔(左)、関西電力株式会社 経営企画室イノベーションラボ 近藤杏樹(右)

関西電力株式会社 経営企画室イノベーションラボ ポンデテックのハンズオン支援を担当する、大上翔(左)、関西電力株式会社 経営企画室イノベーションラボ 近藤杏樹(右)

電子ゴミの削減にも貢献する「再生パソコン」ってどんなパソコン?

ポンデテックが取り扱う、再生パソコン。中古パソコンとは何が違うのでしょうか。

大上「簡単に言うと、再生パソコンは『新品と中古のいいとこ取りパソコン』です!」

-いいとこ取り、とは?

大上「中古パソコンの内蔵パーツの一部を新品に取り替えたものが、再生パソコンです。だからスペックは新品と同水準なのに価格は中古並という“いいとこ取り”ができるんです。弊社が手掛ける再生パソコンの販売ブランド『PC next』では、最も不具合が出やすいHDDを新品のSSDに取り替えることで、性能面と寿命を大幅に伸ばしています。それだけでなく、メモリを増設して複数の作業もストレスなくこなせるようにした高性能で快適なPCのみを販売しているんですよ」

画像1: 電子ゴミの削減にも貢献する「再生パソコン」ってどんなパソコン?

-それは魅力的ですね!どうして「使用済みパソコンの再生事業」を手掛けようと思ったのでしょうか。

大上「私たちは、企業の遊休資産を活用することで、さまざまな社会課題を解決し、持続可能な社会づくりに貢献することをミッションに掲げています。そこで企業に眠るリソースに着目した際、パソコンの約3分の2が国内で十分に再利用されていないことがわかりました」

国内でパソコンの再利用が浸透しない理由。そこには心理的な要因があるのではないかと、大上は話します。

画像2: 電子ゴミの削減にも貢献する「再生パソコン」ってどんなパソコン?

大上「そもそも再生パソコンというジャンルをご存じない方が多く、また、認知されている企業様のなかでも『データが流出するのではないか』など、さまざまな不安を感じておられる方も多いのではないかと」

―パソコンって難しいイメージがあるから、なるべくトラブルは避けたいと思いますもんね。

近藤「ですが、パソコンなどの電子ゴミのうち、正規に回収・リサイクルされた割合は22.2%で、残りの77.8%はどのように処理されたか記録に残っていないのが現状なんです。国内の電子ゴミの廃棄量は、2024年には300万トン近くに達し、2030年には350万トン近くまで増えると予想されています」

画像3: 電子ゴミの削減にも貢献する「再生パソコン」ってどんなパソコン?

―え!? そんなに増えるんですか?

大上「再生パソコンは、これまで廃棄されていたパソコンの大部分を再利用します。廃棄するのはわずかなので、極端な話、排出する電子ゴミの量も10分の1まで削減できるんです。再生パソコンの良さをより多くの方に知っていただくことで、リユースの一歩先を行く循環型経済のスキームに貢献したいというのが、私たちの思いです」

画像1: 仕組みひとつでいくつもの社会課題を解決!ポンデテックの「再生パソコン」とは?

お財布にも環境にもやさしいとは、魅力的ですね。
しかも、社会貢献の取組みはそれだけじゃないんだとか。

障がい者の仕事創出のきっかけは、2020年から続くコロナ禍だった

画像1: 障がい者の仕事創出のきっかけは、2020年から続くコロナ禍だった

ポンデテックが取り扱うパソコンの再生処置作業を担当するのは特例子会社(※)のスタッフのみなさん。同社では、関西電力グループのかんでんエルハートと、ヤマハ発動機の特例子会社であるヤマハモーターMIRAIの2社に、パソコンの再生処置を委託しています。

※特例子会社…障がいのある方の雇用の促進・安定を図るために設立された会社のこと

―特例子会社で働く障がい者の方に再生処置をお任せすることになったきっかけについて教えてください。

大上「この事業が始まったのが、2020年の4月。丁度、コロナ禍でリモートワークが浸透しつつあった頃です。かんでんエルハートの経営陣とポンデテックの岩田代表の間で『コロナの影響でかんでんエルハートの障がいのあるスタッフに提供できる仕事が減った』という話が上がりました」

当時、かんでんエルハートのスタッフの方々は、施設の清掃や印刷業務などに従事していましたが、コロナの影響で仕事が減少。新しい仕事の創出が急がれていました。

大上「再生パソコンの処置作業のなかには、パソコンの汚れやホコリなどを取り除く作業もあり、かんでんエルハートから話を聞いた岩田代表は『もしかしたら一緒に仕事ができるのではないか』と考えたそうです」

画像: 再生処置作業では、ブラシやエアダスターを使って小さな汚れまでくまなく除去。新品のように美しい状態に仕上げてから販売する

再生処置作業では、ブラシやエアダスターを使って小さな汚れまでくまなく除去。新品のように美しい状態に仕上げてから販売する

―とはいえ、これまでとは違う仕事ですよね。スタッフのみなさんは不安だったんじゃ……?

大上「不安だったと思います。パソコンの裏蓋を開けて部品を交換するのって、障がいの有無に関わらず、誰でも難しいって感じますよね。それにパソコンは、メーカーが異なると内部の構造も異なりますし、同じメーカーであっても機種が異なれば、ネジ穴やパーツの位置も違ってきます。そのため、せっかく一つの機種の再生処置ができるようになっても、また別の機種の作業をイチから覚えないといけません」

―慣れるまで時間がかかりそうです。

近藤「そこで、できる限りスタッフの方が戸惑いや不安といったストレス要素を感じずに業務を行っていただけるよう、仕入れたパソコンを分類して、一人のスタッフの方がなるべく同じ機種の再生処置を行えるように調整してから作業委託することにしました」

画像2: 障がい者の仕事創出のきっかけは、2020年から続くコロナ禍だった

スタッフのみなさんが作業に集中できるよう調整した結果、作業効率も徐々に上がり、かんでんエルハートでは1ヶ月で約200台ものパソコンの再生処置を行えるように。

画像3: 障がい者の仕事創出のきっかけは、2020年から続くコロナ禍だった

大上「スタッフのみなさんも『これまで自分たちが関わった仕事の成果が見えづらかったけれど、お客様に喜んでもらえることを知って自分たちも輝くことができる』と、やりがいを持って働いていただいているそうです。今後はさらなる供給の安定のために、体制の強化を目指します」

画像2: 仕組みひとつでいくつもの社会課題を解決!ポンデテックの「再生パソコン」とは?

難易度の高い作業が伴いますが、効率化の工夫とスタッフの方の丁寧な作業によって、新品のように美しい再生パソコンが作られているんですね。

「小さな頃からパソコンに触れる環境を」 ICT教育の充実にも寄与するポンデテック

電子ゴミの削減や障がい者雇用の創出と、複数の社会課題に取り組むポンデテック。さらに、ICT教育への貢献にも力を注いでいます。

画像1: 「小さな頃からパソコンに触れる環境を」 ICT教育の充実にも寄与するポンデテック

近藤「2020年から小学校でプログラミング授業が必修化しましたよね。日本は、ほかの先進諸国に比べて、若者のパソコン所有率の低さがプログラミング教育の遅れにつながっているという指摘もあるんです。そこで、需要が高まっているプログラミング教室やパソコン教室に向けて、安価かつ最新の教育ソフトが動作可能な再生パソコンをご提供しています」

画像2: 「小さな頃からパソコンに触れる環境を」 ICT教育の充実にも寄与するポンデテック

まとめ

複数の社会問題の解決に貢献するポンデテック。最後に、今後の展望について伺いました。

画像: まとめ

大上「企業様のなかには、パソコン以外にも、使わなくなったスマートフォンやタブレットを多く抱えているところもあると、私たちは考えています。これらの電子機器も、やがて電子ゴミになってしまうので、私たちで再生処置を行えないか、現在模索をしているところです。
 また、現在、2社の特例子会社様との取引をさせていただいていますが、その輪をさらに広げていくことも重要だと思っています。ポンデテックが再生パソコンというジャンルを築くことで、より多くの特例子会社様とつながるハブの役割を果たしていきたいと考えています」

捨てられるはずのパソコンが、企業から働く障がい者へ、そして子どもたちへと渡っていくなかで、誰にとっても不可欠なものになる。仕組みひとつで社会を変える、ポンデテックの挑戦は続きます。

ポンデテックが運営するPC next

画像3: 仕組みひとつでいくつもの社会課題を解決!ポンデテックの「再生パソコン」とは?

よしおちゃん

再生パソコンは、スペックが高いものを安価に手に入れることができ、利用者にとってもメリットが大きいですが、それだけではなくサステナブル社会の実現につながっていくところも素敵ですね。

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