
関西電力 原子力事業本部 原子力企画部門 原子力企画グループ 文田 賢二
推シゴトファイル〜推しからみえるお仕事の世界〜
関西電力が担う業務は実にさまざま。電気にかかわるものはもちろん、一見関連性がないように思える意外な分野まで、幅広く手がけています。このシリーズでは、社員が語る、業務やプライベートの“推シゴト”を通じて、多種多様な「お仕事」をご紹介します。
カーボンフリーなエネルギーとして注目される「嶺南産水素」とは?
─まずは、現在携わっているお仕事について教えてください!
文田「私は入社以来、一貫して原子力発電に関わる仕事に携わってきました。現在は、原子力事業本部の原子力企画部門に所属しており、主に『嶺南産水素』の製造や利活用などにまつわるプロジェクトに取り組んでいます」
─「嶺南産水素」とは具体的にどのようなものでしょう?
文田「関西電力の原子力発電所が立地している、福井県の嶺南地域で製造される水素のことです。嶺南地域のおおい町にある『うみんぴあ大飯』の敷地内には、原子力発電で生まれた電気を活用して、水から水素を取り出す装置が設置されています。ちなみに、この水素のことを『原子力由来水素』と呼ぶんですよ」
─原子力由来水素は、ほかの水素とどこが違うんですか?
文田「ご存じのように、水素は燃やしても二酸化炭素(CO2)を出さず水しか排出されないため、クリーンなエネルギーとして注目されています。効率よく水素をつくる方法のひとつに、水を電気分解して水素と酸素に分離する『電解法』があります。ここでポイントとなるのが、電解法で使用する電気の“由来”です」

─どんな仕組みなのでしょう?
文田「たとえば火力発電は、石油や天然ガスなどを燃料とするため、発電する際にCO2が排出されてしまいます(※)。一方、原子力発電は核分裂で起きたエネルギーを利用するため、発電する際にCO2を排出しません。つまり、原子力発電で生まれた電気を使って水素をつくる工程では、CO2がほとんど排出されないわけです。そのため原子力由来水素は、太陽光や風力といった、再生可能エネルギー由来の水素と同様に、カーボンフリーのエネルギーとして注目されています。ちなみに原子力由来水素の製造は、嶺南地域での取組みが全国初なんですよ!」
※火力発電においても、水素混焼やCCSなどカーボンフリーに向けての取組みを行っています
大阪・関西万博にも貢献する嶺南産水素の魅力を伝える仕事でみせた“こだわり”
─それはすごいですね! カーボンフリーの嶺南産水素は、どのような場所で活用されるのでしょう?
文田「皆さんにとって、いちばんわかりやすい利活用の場となるのが、大阪・関西万博の会場と大阪市街を結ぶ水素燃料電池船『まほろば』です。名前のとおり、水素で動く最先端の旅客船ですが、必要な水素の一部を嶺南産水素が担っています。また大阪・関西万博の会場では、姫路第二発電所で実証実験が進められている『水素混焼発電(天然ガスに水素を混ぜる発電方式)』で生まれた電気が電源構成の一部として利用されています。そこで必要な水素の一部も嶺南産水素です」

提供:岩谷産業株式会社
─つまり嶺南産水素は、大阪・関西万博にも役立っているわけですね。
文田「実は私は、嶺南産水素のメリットや魅力を一般の方々にお伝えする仕事にも関わっているんです。SNSを使った情報発信のほか、『まほろば』の船内で上映される嶺南産水素のプロモーション動画の制作もお手伝いしました。これまでプロモーションの仕事を経験したことがなかったので、なにもかも大変でした(笑)」

「まほろば」で上映されている様子
「まほろば」で上映されている動画は以下よりご覧ください!
https://youtu.be/BXe8XGF3Sls
─プロモーションのお仕事で特にこだわったことはありますか?
文田「今回のプロジェクトは、嶺南地域の方々と一体で進めているので、地域の魅力をわかりやすく伝えることには、特にこだわったつもりです。地球に優しいカーボンフリーのエネルギーである原子力由来水素が、自然豊かな嶺南地域でつくられていることを、『まほろば』で上映されている動画やSNSで知っていただけたら嬉しいですね」

社内研修で知り合った“大親友”がプライベートのイチ推しなんです!
─そういえば最近、滅多に出会えない“大親友”ができたそうですね?
文田「社内研修で知り合った先輩社員なんですが、まさに私にとってプライベートのイチ推しですね。8歳年上なんですが、上下関係や年齢を問わず、誰とでもフランクに接する人柄が本当に素晴らしくて。出会ってから半年も経たないうちに、2人で韓国旅行に行ってしまうほど意気投合してしまった、尊敬できる“大親友”と呼べる存在です。先輩を通じて交友関係もひろがったので、とても感謝しています」

─ご家庭には3人の息子さんがいるそうですが、仕事と同じく子育ても大変なのでは?
文田「長男と次男がミニバスケットボールのチームに所属しているので、週末はほとんど付き添いで使ってしまいますね…。とはいえ、子どもの成長を身近に感じられるので苦労は感じていません。また大阪・関西万博も家族で行く予定です。私が関わっている嶺南産水素で走る『まほろば』には、ぜひ乗せてあげたいですね。駆動音や揺れが少ない水素燃料船ならではの魅力が、子どもたちに伝わればよいのですが(笑)」

嶺南地域から世界へ。クリーンなエネルギーを支えるためにこれからも
─最後に、現在のお仕事に対する意気込みや今後の抱負について聞かせてください!
文田「先ほどは大阪・関西万博会場での利活用についてお話しました。そのほかにも嶺南産水素は、FCバス(燃料電池バス)や水素アシスト自転車など、嶺南地域で暮らす方々の新たな移動手段に使用される“地産地消のエネルギー”としての利活用も期待されています。私は入社当初から原子力発電に関わってきましたから、発電所がある嶺南地域にも特別な思い入れがあります。それだけに自分が関わってきた原子力発電で生まれた電気が、嶺南地域の持続可能な未来に貢献できることに、とてもやりがいを感じています。私が関わるプロジェクトは嶺南地域だけでなく、日本全国、そして世界へとクリーンなエネルギーの可能性をひろげる重要な存在ですから、これからもできる限りのお手伝いをしていきたいですね」

入社以来、信念を持って打ち込む原子力発電の仕事を通じて、持続可能な未来社会の実現に貢献したいという文田。大阪・関西万博のほか、さまざまな利活用の実証実験やその準備が進められている嶺南産水素にも、ぜひご期待ください!
かんでんWITH YOUでは、ほかにも、大阪・関西万博に関する記事をご紹介しています。
一覧はこちら