万博会場で実現した未来の「あたりまえ」をエネルギーで支える

“いのち輝く未来社会のデザイン”をテーマに、10月13日まで開催されている大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)。158の国と地域が参加するこのイベントでは、すべての人々の幸せや可能性を最大限にひろげることができる「持続可能な未来社会」の実現に欠かせない、さまざまなテクノロジーや取組みに、直接触れることができます。
そのうち、関西電力が関わっているのが主にエネルギーの分野。姫路第二発電所で行われている「水素混焼発電」から生まれた電気や、福井県にある原子力発電所で作られた電気など、クリーンなエネルギーでつくられた電気を万博会場に届けているほか、 会場内で実現している未来の社会では「あたりまえ」になっているモノやコトを、エネルギーで支えるテクノロジーの開発に貢献しています。
エネルギー自体は目に見えるものではありませんが、未来の「あたりまえ」を支えるテクノロジーの成果を、会場で実際に“体験”できるのが万博のすごいところ! そこで、大阪・関西万博における関西電力の取組みをご紹介していきましょう。
関西電力が関わる大阪・関西万博の注目ポイントはこちら!

それでは、会場に足を運んだ、かんでんWITH YOU編集部が、大阪・関西万博で出合うことができる、関西電力が創る未来の「あたりまえ」をご紹介します!
関西電力の万博サイト「Beyond 2025」も随時更新中! あわせてチェックしてみてください。
EXPO Vertiport(空飛ぶクルマの離着陸場)の充電インフラ

今回の万博における大きな注目ポイントとなっているのが、最新技術を使った未来の移動手段「スマートモビリティ」を見たり体験できたりすること。なかでも「空飛ぶクルマ」のデモ飛行は、開幕前から話題を集めています。
この分野で関西電力が関わっているのが、オリックス株式会社が協賛・運営を行う空飛ぶクルマの離着陸場である「EXPO Vertiport」の電力インフラ整備・運営。そして、株式会社SkyDriveが開発した機体のための超急速充電設備です。

地上を走る自動車のように渋滞を気にすることなく、素早く快適な移動ができる空飛ぶクルマを実用化するためには、短時間で安全かつ効率的に充電できるしくみが欠かせません。今回の万博ではデモ飛行のみですが、力強く空を飛ぶ姿は見るだけでも感激の一言! 想像以上に駆動音が少ないことにも驚かされました。

EXPO Vertiportでデモ飛行を見学する際には、空飛ぶクルマをサポートする充電設備にも、ぜひご注目ください。
e Mover(来場者移動EVバス)の充電制御システム(EMS)

約155ha(甲子園球場約40個分!)という、広大な万博会場を移動するために用意されている「e Mover(来場者移動EVバス)」もスマートモビリティのひとつ。自動運転で走る車両はもちろん、ぜひご注目いただきたいのが、道路に埋め込まれた装置を通過することで、走りながらEVバスを充電する「走行中給電システム」を採用していることです。

ちなみに長い区間で実施する本格的な実証実験(実際の環境でテストすること)としては、全国でも初の試みなので、実際に走りながら走行中給電システムを体験できるのは、万博会場だけなのです!
そして、この分野で関西電力が関わっているのが、EVバスの充電を効率良く行うための「EMS(Energy Management System)」と呼ばれるシステムの研究開発。これは1車両ごとのバッテリー残量や走行状況、運行計画をリアルタイムで把握し、車両基地内における充電の優先順位を細かく制御することにより、電気を効率よく使うために役立つしくみです。

会場で運行されるe Moverは、先ほどご紹介した走行中給電システムやEMSのほか、EVバスの運行管理を効率よく行う「FMS(Fleet Management System)」など、最先端技術が導入されており、今回の実証実験の成果が未来の交通システム実現に役立つことになります。近い将来、私たちの近所を走る姿が「あたりまえ」になっているかもしれない未来のEVバスを、ぜひ体験してみてください!
会場内のe Mover ターミナル

先ほどは、会場で運行されるe Moverに採用されている最新技術をご紹介しましたが、正直なところ乗ってみただけでは、そのすごさを感じるのが難しいはず。そこで、ぜひご注目いただきたいのが、関西電力が設計・建築する3ヵ所のe Moverのターミナル・停留所です。
単にお客さまが乗り降りする場所というだけではなく、各ターミナル・停留所が万博にふさわしい未来を感じさせるデザインになっているのが大きな特徴。たとえば、東ゲート北停留所は、関西電力も参加するパビリオン「電力館」でも採用されているボロノイ構造を共通要素としたデザインになっています。

さらに、この停留所では先ほどご紹介した走行中給電システムのしくみがわかる展示を設置。

ちなみに、写真に写っているバスの模型に対応するスマートフォンを置くと、ワイヤレス充電ができるので、ぜひお試しください(置き忘れにはご注意を!)。
そして、この停留所にはもうひとつの秘密が。停留所の標識付近にある「Photo Point」の位置に立って写真を撮ると、なんと道路に描かれた走行中給電システムのイメージ図が“飛び出す”んです!

隠れた「映えスポット」なので、立ち寄った際は写真におさめてみてください。
ほかにも、東ゲート南停留所にはボロノイ構造のフレームの中にモニターが組み込まれているほか、西ゲート北ターミナルには天井に多数の3Dホログラムサイネージが設置されており、それぞれゼロカーボンエネルギーを未来に活かす取組みを紹介する動画が上映されています。


どのターミナル・停留所も、大きなパビリオンに負けないくらい凝ったつくりになっているので、移動の合間に少しだけ足を止めて、注目していただければ嬉しいです!
水素燃料電池船「まほろば」のエネルギーマネジメントシステム

提供:岩谷産業株式会社
今回の万博で導入されているスマートモビリティのなかでも、特にユニークな存在といえるのが、商用運航としては国内初となる、水素燃料電池船「まほろば」。クリーンな未来のエネルギーとして期待が集まる水素を燃料として動くこの船は、ユニバーサルシティポートと万博会場を30分でつなぐ会場の移動手段となります。
ここで関西電力が関わっているのが、「まほろば」を動かすエネルギーマネジメントシステムの構築と充電設備の導入です。また、福井県おおい町で原子力発電による電気を用いたゼロカーボン水素を製造し、水素燃料電池船に一部供給しています。まったく新しい存在になるため、水素で動く船と聞いてもピンとこないかもしれませんが、環境に優しいだけでなく、駆動音も静かで揺れも少ないなど、乗り心地の快適さは体験してみれば、すぐにわかるはず。万博会場へ向かう時点から「未来」を感じたい人は、ぜひご利用ください!
クリーンな電気を万博会場へ届ける「水素混焼発電実証」

冒頭でもご紹介したように、関西電力は万博会場に電気を届けるという重要な役割を担っており、社会課題となっているCO2排出量削減につながる「クリーンな電気」を届けることにこだわっているのが大きなポイントです。1970年の大阪万博(日本国際博覧会)では福井県の美浜発電所から原子力の電気を届け、それから半世紀以上を経た今回は、姫路第二発電所から水素の電気を届けています。その取組みは、“いのち輝く未来社会のデザイン”という大阪・関西万博のテーマを象徴する存在のひとつといえるでしょう。
もちろん電気は目に見えないものですが、e Moverのターミナルなどで、持続可能な社会の実現に向けた水素発電をはじめとする関西電力の取組みを知っていただくためのコンテンツを上映していますので、ご注目いただければと思います。なお、現在行われている「水素混焼発電」の実証実験について詳しく知りたい人は、こちらの記事もぜひご覧ください!
電力館 可能性のタマゴたち

万博でいちばんのお楽しみといえば、なんといってもパビリオンですよね! 180以上もあるパビリオンの中でひときわ目を引くのが、関西電力を含む全国の電力会社10社で構成する電気事業連合会が出展するパビリオン「電力館 可能性のタマゴたち」です。2050年を目標とする「カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を差し引いて実質ゼロにすること)」の、一歩先に実現させたい未来社会に必要とされるエネルギーのカタチとその可能性を感じる体験型のパビリオンです。

展示や体験に連動して、光ったりふるえたりする「タマゴ型デバイス」と一緒に、館内に待っているさまざまなエネルギーの可能性を探す体験が楽しめるこのパビリオンで特に楽しいのが、水素をはじめ未来のエネルギーのしくみをゲーム形式で理解できる「可能性エリア」。

水素のほかにも、歩くことで発生する床面の振動を活かした発電など、まさにエネルギーの未来に多様な可能性があることを、遊びながら学べるのでおすすめです。

約45分間の体験のフィナーレを飾る「輝きエリア」で上演される光と音のショーには、誰もがウルっときてしまうはず。なお電力館は完全予約制となるため、事前のご予約をお忘れなく!

電力館の建築は関西電力からの出向者が担当しました。詳しく知りたい人は、こちらの記事もぜひご覧ください!
Beyond 2025~大阪・関西万博で見た未来の「その先」へ~
大阪・関西万博の会場で出合うことができる、関西電力がエネルギーで支える未来の「あたりまえ」の数々。パビリオンや各種のイベントのほかにも、ワクワクできる体験が会場で待っていることを、おわかりいただけたでしょうか?
とはいえ、今回ご紹介した取組みは、万博のためだけのものではありません。現在、関西電力では、今回の万博における知見を活かし、水素発電や効率的な充電のしくみの実用化など、エネルギーの観点から持続可能な社会を実現するための活動を推進しています。万博の会場で体験したモノやコトが「あたりまえ」になる未来まで、あともう少し。関西電力の取組みに、ぜひご期待ください!