推シゴトファイル〜推しからみえるお仕事の世界〜
関西電力が担う業務は実にさまざま。電気にかかわるものはもちろん、一見関連性がないように思える意外な分野まで、幅広く手がけています。このシリーズでは、社員が語る、業務やプライベートの“推シゴト“を通じて、多種多様な「お仕事」をご紹介します。
新たな価値を創出する場へ。進化する尼崎実験センター
─まずはここ、尼崎実験センターについて教えてください!
中尾「尼崎実験センターの元は、関西電力の前身となる関西配電(株)技術研究所です。1951年に関西電力(株)技術研究所として引き継がれ、1967年には総合技術研究所として、電力・配電関係のほか、火力関係、土木関係の研究業務などが集約されたんです。それ以降、急激な社会情勢の変化やニーズの多様化に対応して、全社の技術業務全般に関する実用化研究や多岐にわたる技術開発を推進してきました。この研究所が2023年7月の組織改正で、『イノベーション推進本部 尼崎実験センター』として再編されました」
─1951年設立というと70年以上もの歴史があるんですね。今回、尼崎実験センターが「新たな価値を創出する場になる」と聞いてきたのですが……。
中尾「はい。70年間で使われてきた研究設備や機材のなかには、すでに社内での役目を終えたものも少なくありません。それらを整理することで生まれたスペースを、新たな価値の創出に役立つ場に進化させることが、私の仕事の一つなんです」
自由な創造の場「イノベーションスペース」には、これまでの知見を活かした工夫がてんこ盛りに!
─「新たな価値を創出する場」って具体的にどういうものですか?
中尾「いろいろと計画している最中なのですが、今日は2021年に開設された『イノベーションスペース』をご案内します」
中尾「イノベーションスペースとは、さまざまな研究にかかわる人たちの自由な交流の場です。心地よく働けるコワーキングスペースの機能もありますが、設計の際に重視したのは、普段かかわる機会がない人たちの会話が自然と耳に入るような空間にすること。私自身の経験からいえることですが、新しいアイデアのヒントって、自分が知らなかった知識や情報から得られることが多いんですよ。研究者って自分の専門分野に没頭しがちなので、こうした場を設けることにより、互いに良い刺激を受け合い、新たな価値につながるコラボレーションが実現すれば良いかなと考えました」
─スペースの中心に植物が置かれていたり、自由な姿勢で働けるようになっていたりと、遊び心も感じられる場になっていますね。
中尾「要するに、私がこんな場所で働いてみたかったというだけなんですけどね(笑)。たとえば、植物を中心に置いたのは、ストレスの緩和効果を期待してのこと。園芸療法やアロマセラピーなどの『緑の療法的効果』の研究に携わっている先生とたまたま知り合い、緑が視野に入るだけで癒し効果があるという話を聞いてアイデアをいただいたんです。そんな感じでイノベーションスペースには、主に外部との交流を通じてひらめいたアイデアが、たくさん盛り込まれています」
─自身の知見が、イノベーションスペースに活かされているわけですね!
中尾「もともと人とかかわるのが好きな性分なんですよ。特に、目をキラキラと輝かせながら新しいアイデアを語るような人たちと触れ合うことが大好きで。私自身もこれまでは研究者の立場で、そうした人たちとの出会いからアイデアを育み、面白い仕事をたくさんしてきました。ですから今後は自分の知見を活かした場づくりを通じて、次世代を担うイノベーターたちが自由で楽しい『新たな価値』を創り出すお手伝いをしたいと思っています」
趣味のレザークラフトも仕事の提案も、いちばん大変なのは「最初の一裁ち」
─プライベートでは、レザークラフト(革細工)にハマっているとのことですが。
中尾「始めてから、すでに10年くらい経ちますかね。イノベーションスペースと同じく、自分にとって使いやすい財布がほしいと思ったことが、レザークラフトに興味をもったきっかけでした」
─まるでプロが手掛けた作品のようなクオリティじゃないですか! レザークラフトをする上で、もっとも大変なことは?
中尾「材料に使う革って、文字通り一点モノなんです。たとえば、このリュックサックは1枚の革からパーツを切り出していますが、切り方を間違えたからといって別の革を使うと、望んでいる形や質感を得ることができないんですね。それだけに、1枚の革に対して最初の一裁ち(たち)を入れるのって、大変な勇気がいるんです。最初の頃は、革を前に30分以上躊躇したあげく、結局作業を諦めてしまうことが何度もありました(笑)」
─聞くだけで息が詰まるような話ですね……。イノベーションスペースの開設をはじめ、これまで多くのアイデアを社内で実現させてきたそうですが、“最初の一歩”を踏み出すという意味で、レザークラフトと共通項はありますか?
中尾「ぶっちゃけた話、革に最初の一裁ちを入れるほうが、よっぽど勇気がいりますよ(笑)。仕事にかかわる“最初の一歩”は、万が一失敗しても会社がフォローしてくれますから。それが、組織の一員として『新たな価値』の創出に挑むうえで、いちばんのメリットでもありますよね。そのためにイノベーション推進本部があるわけですから、特に若い人たちには自由な発想で大胆な挑戦をしてほしいです。私も、精一杯応援しますので」
未来を担う若きイノベーターたちに関西電力が遺した資源を活用してほしい
─これから実現させたいことはありますか?
中尾「最初に話したとおり、今は既存の研究設備の整理をしているところなんですが、不必要と判断された機材のなかには、まだまだ使えるものがたくさんあるんです。そうしたこれまでの関西電力を支えてくれた機材を、再び社会の中で役立てたいと思っています。たとえば、理科に興味を持っている小中高の学生たちに譲渡したりできればと。最近の子どもたちって、僕らの時代に比べると、知識もスキルもかなりハイレベルなんですよね。目をキラキラさせながら挑戦する子どもたちの手に渡り、さらに新しいイノベーションが起こる……こんなサイクルを作れたらとても嬉しいことです。イノベーションスペースについても、将来的には何らかの形で、子どもたちに使ってもらえるようなイベントなどができれば良いなと考えています!」
これまでにユニークなアイデアをいくつも実現してきたイノベーターの先輩でもある中尾。社会に貢献する「新たな価値」を生み出す人材を社内外問わず応援する仕掛け人として、これからも活躍していくことでしょう。
現在、イノベーション推進本部 尼崎実験センターでは、まだ使用可能な設備や資機材を未来のイノベーターのために使っていただける“里親”を募集しています。ご興味がある方は、以下のメールアドレスへご連絡をお願いいたします。
問い合わせ先メールアドレス | press@kepco.co.jp |
件名 | かんでんWITH YOU 推シゴトファイル#7の”里親募集”について |
記載内容 | 下記を本文中にご記載ください ・所属、氏名 ・どういったものを要望しているか ・用途や理由(可能であれば) |
※内容確認の上、イノベーション推進本部の担当者から改めてご連絡させていただきます。