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1956年に完成した丸山ダムを「新丸山ダム」へとアップデートする、計画開始から数十年にわたる大規模な工事。その現場で、関西電力の管轄となる新丸山発電所の改良工事に携わる社員がいます。今回ご紹介するのは、水力発電所の土木設備の設計や安全管理の業務に励むエンジニアのお仕事。担当者に詳しく話を聞いてみましょう。

推シゴトファイル〜推しからみえるお仕事の世界〜

関西電力が担う業務は実にさまざま。電気にかかわるものはもちろん、一見関連性がないように思える意外な分野まで、幅広く手がけています。このシリーズでは、社員が語る、業務やプライベートの“推シゴト“を通じて、多種多様な「お仕事」をご紹介します。

画像: 関西電力株式会社 再生可能エネルギー事業本部 水力エンジニアリングセンター 丸山・笠置発電所改良工事所 奥平 雅樹

関西電力株式会社 再生可能エネルギー事業本部 水力エンジニアリングセンター 丸山・笠置発電所改良工事所 奥平 雅樹

発電能力が強化される新丸山発電所を構成する、土木設備の設計や工程・安全管理が主な仕事

─まずは、現在の勤務先のことを教えてください!

奥平「私が所属しているのは丸山・笠置発電所改良工事所です。この工事所は、現在国交省が進めている新丸山ダム(岐阜県)の建設に伴う、発電所の改良工事をするために設けられました。2029年完成予定の新丸山ダムは、1956年に完成した丸山ダムの、簡単にいえば強化アップデート版にあたります。ダムの高さを約20メートル上げることで貯水能力を大幅にアップさせて、洪水などの災害を防ぐために役立てるほか、関西電力の管轄となる水力発電所の発電能力を高めることができるんです」

画像1: 発電能力が強化される新丸山発電所を構成する、土木設備の設計や工程・安全管理が主な仕事

─その丸山・笠置発電所改良工事所で、どんなお仕事をしているのでしょう?

奥平「水力発電所の改良工事のなかで、私が担当するのは土木設備の工事です。具体的には、ダムの水を発電所に送る取水口や調圧水槽といった設備ですね。配属当初は設備の設計をしたり、工事の計画を立てたりする業務にあたっていました。実際に工事が始まってからは、主に工程管理や工事の安全管理、品質管理を担当しています」

─これまでのお仕事で、いちばん大変だったことは?

奥平「実は2021年に入社して、すぐにこの工事所に配属されたんです。そこでいきなり設計や工事計画に携わることになったので、最初はわからないことばかりで戸惑うこともありましたが、上司や先輩方に助けられ、なんとか業務を進めることができました。今となっては、当時苦労して色々考えた経験が自身の成長につながっているなと実感しています」

画像2: 発電能力が強化される新丸山発電所を構成する、土木設備の設計や工程・安全管理が主な仕事

─現在、主に携わっている管理のお仕事で大変なことはありますか?

奥平「適切な品質を保ちながら、安全にかつ工期内に工事を終える必要があるため、管理の仕事は責任重大です。とはいえ今回の工事ではDX(デジタル・トランスフォーメーション)が取り入れられていて、リモートで現場の様子が把握できたり、作業員の方とチャットツールでコミュニケーションが取れたりするので、従来に比べれば効率的になっていると思います。この工事所ならではの大変さを強いて挙げるなら、新丸山ダムが国交省の管轄になるため、お互いの工事に支障がないように工事エリア等の調整に気を配る必要があることかもしれませんね」

画像: DXの一環として、工事現況の記録撮影にはドローンが導入されているとのこと。 ダム改良工事の現場業務は、より安全かつ効率的に進化しているようです。

DXの一環として、工事現況の記録撮影にはドローンが導入されているとのこと。
ダム改良工事の現場業務は、より安全かつ効率的に進化しているようです。

先人の時代から続く長期間の改良工事―その歴史の1ページに関わることが大きな喜び

─では、これまでのお仕事で、いちばん嬉しかったのは?

奥平「やはり、自分が設計した設備がはじめて形になったことですね! 誰も怪我をすることなく、工期も遅れずに完成したときには大きな達成感をおぼえました」

─どんな設備なのか見てみたいです!

画像: はじめて設計・工事管理を対応した横坑門扉(おうこうもんぴ)。その重さは約4トンもあります。

はじめて設計・工事管理を対応した横坑門扉(おうこうもんぴ)。その重さは約4トンもあります。

奥平「導水路トンネルの入口扉である『横坑門扉(おうこうもんぴ)』という設備です。発電中は閉じて、水が外に出て行かないように押さえています。今回の改良工事でダムの水位が上昇して、元々あった門扉が水圧に耐えられなくなることから、取替を行いました。ほかにも、これから続々と設備が完成していくので、今からワクワクしているところです!」

─ズバリ、今のお仕事に感じている“やりがい”とは?

奥平「よく言われることですが、土木工事に携わるいちばんの魅力は『地図に残る』仕事ができることです。自分が設計した構造物が、この先何十年も人々の役に立つことに対して、一種のロマンを感じています。特に新丸山発電所の改良工事は、計画がはじまってから数十年の調査・検討期間を経てようやく今工事が始まっているので、自分がその歴史の一部を担っていると思うと、身が引き締まる思いとともに大きなやりがいを感じますね」

画像: 先人の時代から続く長期間の改良工事―その歴史の1ページに関わることが大きな喜び

趣味のランニングやプラモデル製作が現在の仕事に役立っている理由とは?

─プライベートでは、ランニングが趣味とのことですが?

奥平「学生時代に陸上部所属だったこともあり、走るのが好きなんです。今年は『美浜・五木ひろしふるさとマラソン 2023』の10km 29歳以下男子の部にも出場しました!」

─ちなみに、そのときの成績は?

奥平「4位に入ることができました。順位というよりも、10kmを40分以内で走るという目標を達成できたことがなにより嬉しかったですね。来年は、さらに練習して上位を目指したいと思っています」

画像1: 趣味のランニングやプラモデル製作が現在の仕事に役立っている理由とは?

─それはすごい! ランニングは体力づくりにも役立ちそうですね。

奥平「現場が山間部なので、階段や足場の上り下りが多いんですが、おかげさまで同年代と比べてもへばることが少ないと思います(笑)。フィジカルだけでなく、メンタル面でもランニングが役立っていますね。走っている間は無心になれるので、忙しいときや煮詰まったときには、ひたすら走ってリフレッシュするようにしています」

─ランニングに加えて、最近あらたにハマっている趣味があるとか?

奥平「某ロボットアニメのプラモデルですね。子どもの頃にハマっていたのですが、最近放映された新シリーズを見て、あらためてブームが再燃しました(笑)。社会人になって自由に使えるお金が増えたので、あの頃は手が出なかったプラモデル用の工具を揃えたりして楽しんでいます」

画像2: 趣味のランニングやプラモデル製作が現在の仕事に役立っている理由とは?

─水力発電所を造るお仕事と、趣味のプラモデル製作に共通項を感じることは?

奥平「好きな人ならわかると思いますが、プラモデルって完成後の姿をイメージしながら、各パーツをどのように加工するかや、組み立てる順番を考える工程がとても大事なんです。いわゆる段取りですね。もちろん規模や関わる方々の数は大きく異なりますが、プラモデル製作で身についた段取りの感覚は、仕事にも役立っていると思います」

子どもたちに堂々と自慢できるような、次世代につながる仕事をこれからも続けたい

─最後に、今後のお仕事に対する意気込みを聞かせください!

奥平「まずは、今携わっている業務を安全に遂行することがいちばんの目標です。新丸山発電所の改良工事は長期間にわたるため、完成まで現場でかかわることができないかもしれません。その場合でも完成した際には、必ずこの場に戻って自分が手掛けた設備を見届けたいと思います」

画像: 子どもたちに堂々と自慢できるような、次世代につながる仕事をこれからも続けたい

─ひょっとしたら、そのときには奥様やお子さんがいるかもしれませんね?

奥平「そうだと良いのですが(笑)。もし子どもが生まれていたら、絶対に連れていきますね。自分がかかわった建造物を、子どもと一緒に眺めることができたら、それこそエンジニア冥利に尽きると思いますので」

計画開始から 数十年にわたる大規模な工事を経て、完成後は子どもたちの世代にまで受け継がれる「地図に残る」仕事。改良工事によって、より多くの電気をお客様に届けることができるようになる日を目指して、奥平は今日も業務に励んでいます。

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