どこよりも「安全最優先」が求められる原子力発電所。そこには、あらゆるリスクに備えて働く社員がいます。今回ご紹介するのは、「動画編集で安全を守る」という一風変わったお仕事。担当者に詳しく話を聞いてみましょう。
推シゴトファイル〜推しからみえるお仕事の世界〜
関西電力が担う業務は実にさまざま。電気にかかわるものはもちろん、一見関連性がないように思える意外な分野まで、幅広く手がけています。このシリーズでは、社員が語る、業務やプライベートの“推シゴト“を通じて、多種多様な「お仕事」をご紹介します。
チャレンジ精神を持って臨んだ原子力発電所の仕事
責任重大な防災訓練業務に感じる“やりがい”とは?
─まずは、現在携わっている業務について教えてください!
大倉「私が所属している安全・防災室では、主に防災訓練業務を担当しています」
─防災訓練業務とは、どんなお仕事なのでしょうか?
大倉「簡単にまとめると、原子力発電所の安全性を高める訓練計画から実施までをディレクションする業務ですね。さまざまなトラブルのパターンはもちろん、その際に起こりうるミスまで想定して計画を立て、訓練を実施しています。大きな訓練の場合は、計画立案から実施まで半年以上の時間をかけることもあるんですよ」
─聞くだけでも責任重大なお仕事だとわかります。ズバリ、プレッシャーを感じることも多いのでは?
大倉「もちろん、常に責任の重さを感じながら業務にあたっています。とはいえプレッシャーを感じたことは、あまりないかもしれません。そもそも、原子力発電所の仕事に就きたいと思って関西電力に入社しましたから。というのも、学生時代にはワンダーフォーゲル部で、登山やスポーツクライミングに明け暮れていまして」
─それと原子力発電所のお仕事に、どんな関係が⁉
大倉「上手に説明できないんですけど、要するに“チャレンジする”ことが昔から好きなんですよ。原子力発電所の仕事が大変ということは理解していましたが、だからこそ敢えて挑んでみたかったといいますか」
─挑む“相手”が大きいほど、やる気が出てしまうということなのでしょうか?
大倉「それは確かにありますね。防災訓練は、現場で働く人だけでなく発電所の運営スタッフや関連会社など、とてもたくさんの人たちと協力して一緒に実施する大規模なイベントです。それだけに苦労も多いですが、やりがいはそれ以上だと感じています」
いつでもどこでも、誰もが便利に視聴できる。マニュアル動画の制作が現在の“推シゴト”
大倉「新たなチャレンジとして、今お話した防災訓練業務をベースに『動画編集』にも取り組んでいます」
─発電所に動画編集のお仕事があるとは驚きです!
大倉「イメージがつきづらいかもしれませんね。主に、現場で働くスタッフが参照するマニュアルや資料類を印刷物から動画に再編集する業務です。上司からの『動画編集って興味ある?』という一声で、いきなり任されました(笑)。とはいえ、入社当初は現場で働いており、現場スタッフの業務効率化には以前から課題を感じていたんです。ですから印刷物よりも効率よく学習できる動画の制作は、自分がやってみたいことでもありました」
─マニュアルや資料類を動画にする際にあたって工夫している、自分なりの“推シゴト”ポイントは?
大倉「一言でまとめると『いつでもどこでも見ることができて、誰もが理解できる』編集をすることです。いちばん気にしているのは、動画の尺ですね。普通の動画でもそうですけど、あまり長いと見る気がなくなるじゃないですか。なので、最大15分くらいに収めるようにしています』
─内容をギュッと凝縮させるということですか?
大倉「そうですね。取捨選択を含めた情報の整理も重要なポイントです。例えば進路の説明をする際だと、印刷物なら地図を載せますよね? それが動画なら、実際の進路を映像で見せることができるので、よりわかりやすくなります。とはいえ、それを等速で見せると時間がかかるじゃないですか。そこで、進路の説明部分は理解できる程度の範囲で倍速以上にしてみたりとか」
─YouTubeやTikTokなどでも見かける手法ですね!
大倉「基本的な考え方は一緒だと思うんですよ。テロップを入れて、ポイントをわかりやすく示したりとか、やってることは普通の動画と変わらないです」
─BGMや効果音も使ってみたり?
大倉「そこは私のこだわりなんですが、基本的に音は入れないようにしています。仕事で参照する動画なので、音が出たら困る場所で見ることもありますからね。逆に、周囲の音がうるさくて音声を聞き取りにくい場所で見ることもあるので、音による情報提供は極力少なくしたほうが良いのかなと」
─まさに、現場経験者ならではのこだわりですね! そこまでこだわった動画編集だと、時間もかなりかかるのでは?
大倉「そうなんですよ。ほかの業務に影響がないように時間配分を考えながら作業しているのですが、好きな作業だけに、つい夢中になりすぎてしまうこともあったりして……(笑)」
プライベートでも動画編集⁉ 現在の業務に役立った趣味の“推シゴト”とは?
─ところで、これまでに動画編集の経験はあったんですか?
大倉「実は、以前からプライベートでちょっとした動画編集をしていたんです。パートナーから手伝いを頼まれたのが、動画編集を始めるきっかけでした」
─なんと!いわば、プライベートの“推シゴト”が、そのままお仕事の“推シゴト”につながってしまったわけですね。
大倉「まぁ、そういうことになりますね(照)。結果論ではありますが、仕事に役立つスキルを得られたわけですから、パートナーにはとても感謝しています」
─仕事でもプライベートでも動画編集をしていて、飽きてしまうことはありませんか?
大倉「むしろ動画編集をしている時間以外は、勉強もかねてさまざまな動画を見まくってるくらいです(笑)。より多くの人に正しく、わかりやすく情報を伝えるために、編集力を磨いていきたいです!」
チャレンジ精神に突き動かされて、仕事もプライベートも動画編集に熱中しているという大倉。防災×動画という新たなアプローチで、今日も原子力発電所の安全性向上へ挑んでいます。