[先輩世代・精神科医Tomyさんの答え]自分の機嫌をとるとは、気持ちを切り替えるための選択肢をいくつも持っておくこと
ーやはり、自分の機嫌は自分でとるべきなのでしょうか?
他人に機嫌をとってもらいたいと思っても、その人はあなたの気持ちが沈んだタイミングでちょうどよく機嫌をとってくれるとは限らないから、余計に不満が溜まりますよね。今、機嫌が悪いのに、他人が機嫌をとってくれるのを待つなんて、とても非効率的なんです。その場ですぐに、自分で自分の機嫌をとっちゃった方が早いよ、ということです。
ーそもそも、機嫌をとるとはどういうこと?
恋人に嫌なことを言われたり、上司から理不尽に怒られたりと、ストレスを感じてイライラした時に、気持ちを切り替えるための方法を自分で知っておくこと。自分が少しでも楽しくなれて、前向きになるためには何をすればいいのか。行動の選択肢をいくつか用意しておきましょうと。状況やかけられる時間などによって選べるように、いくつかの選択肢があるといいですね。
ーなるほど。例えば、どんな選択肢でしょうか?
自分が気持ちを切り替えられる方法なら何でもいいんですよ。例えば、運動が好きなら、少し家の周りをジョギングするだけでもスッキリするとか、友達と美味しいものを食べに行くとか。「嫌なことがあったら寝る!」という人もいますが、これもシンプルでいい方法だと思います。
ーご褒美に何かを買うというのも定番ですよね。
ご褒美としてブランド物やアクセサリーなどを買う人がいますが、これは要注意。高価なものを買うという行為で気持ちをスッキリさせてしまうと、どんどん欲が出て、ローンを組んでまで買おうと依存してしまうケースもあります。いくらまでなどと制限を設けるか、同じ買い物でも、仕事で使うかわいいデザインの文房具を一つ買い足すなど、低価格のもので満足できるようにしておけば、何の問題もありません。
ーほかにも、依存しやすいものは?
やはり、お酒やギャンブル、ゲームなどです。のめり込みやすいので、時間とお金の両面から制限を設けるといいですね。どれもほどよく気分転換として楽しめるならいいですが、例えば徹夜で飲んだり、ゲームをしたりして、翌日の仕事に支障をきたすようになったら注意が必要。また、ゲームの場合、長時間集中しすぎるとリフレッシュにならず、かえって疲れてしまいます。
ー特におすすめの、自分の機嫌をとる方法はありますか?
スポーツはおすすめです。ジョギングやヨガ、ピラティスなど、エクササイズを兼ねた気分転換は、健康的で心身に好影響ですね。ただ、これも注意点なのですが、こういった運動は、真面目な人ほど一度始めたら「家で自主トレもしなきゃ」「週3回は通わなきゃ」などとノルマを課してしまうんです。それがまた心の負担にもなるので、楽しく、つらくない程度にやるのがおすすめです。
ー確かに、一度始めると、つい継続しなければと思ってしまいそうですね。
それはもう、宿題とか課題になってしまう。そもそも課題は自分で課すものではなく、課されるものなんです。自分で自分をわざわざ苦しめる必要はありません。三日坊主でもOKで、気が向いたらまた三日坊主でやろう、ぐらいにゆるく構えたほうがいい。せっかく楽しむためにやっているのに、続かないことをストレスに感じると、また不機嫌に逆戻りしてしまいます。いつも機嫌良く楽しそうな人っていると思うのですが、そういう人は、自分の息抜きの方法をいくつも持っていて、そのやり方にも無理がない。バランスをとるのが上手なんだと思います。
精神科医Tomyさんのオトシドコロは?
リフレッシュ法はたくさんあるほどいい! エクササイズを兼ねた気分転換はおすすめだけど、のめり込みすぎずバランスよく。
[まとめ]日常生活の中で、十分自分の機嫌はとれる!
お金や時間をかけなくても、日常生活を少し変えてみるだけでリフレッシュはできるもの。精神科医Tomyさん、ものすごい愛さんの回答に共通するのは、基本を見直す大切さ。身近なところでできるリフレッシュ法の選択肢を、普段からいくつか見つけておいて、状況に応じて使い分けましょう。
精神科医Tomy
1978年生まれ。心療内科・精神科クリニック院長として勤務。心に響く言葉を発信しているTwitterが人気で、フォロワーが38万人を突破。さまざまなお悩みにわかりやすく答えるYouTubeチャンネル「精神科医Tomyの人生クリニック」も人気となっている。著書『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)に始まる「1秒シリーズ」は、30万部突破のベストセラーに。新著に『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)。
ものすごい愛
1990年生まれ。エッセイスト。札幌在住。明朗快活で前向きな発言、最愛の夫との仲良し生活を綴ったツイートが人気。著書に『今日もふたり、スキップで ~結婚って“なんかいい”』(大和書房)、『命に過ぎたる愛なし 〜女の子のための恋愛相談』(内外出版社)、『ものすごい愛のものすごい愛し方、ものすごい愛され方』(KADOKAWA)。現在、女性の恋愛に関する悩みを解決するメディア『AM』にて『命に過ぎたる愛なし』を連載中のほか、さまざまなメディアにエッセイを寄稿。