中には「サステナブルという言葉を聞いたことはあるけど、どのような取組みが行われているのかは知らない」という方もいるかもしれません。そこで、ここではサステナブルという言葉の意味や具体例をわかりやすく解説します。読めばきっと、サステナブルの意味や、SDGsとの関係といったポイントをつかむことができるでしょう。
サステナブルの意味やSDGsとの違いを解説
まず、サステナブルという言葉の意味について解説します。サステナブルというキーワードは、近年関心が寄せられているSDGsと密接な関係を持つものです。
サステナブルは持続可能を意味する言葉

「サステナブル」とは、英語の“sustain(持続する)”と“able(可能な)”という2つの言葉を組み合わせたもので、日本語では「持続可能な」という意味になります。
例えば、日頃耳にする「サステナブルな暮らし」「サステナブルな食品」といった言葉を言い換えると「持続可能な暮らし」「持続可能な食品」と同義になります。
このような環境への負担が少なく、将来世代にわたってずっと続けていける、持続可能な あり方を「サステナブル」と呼ぶようになっています。私たちを取り巻く衣食住すべてにおいて、サステナブルな社会が望まれているといえます。
SDGsはサステナブルの具体的な取り組みのこと

サステナブルというキーワードと深い関わりを持つのが「SDGs」です。そもそも、SDGsとは正式には「Sustainable Development Goals」といい、日本語では「持続可能な開発目標」と呼ばれます。
SDGsは、大きく分けて環境・社会・経済の3つの側面から、持続可能な社会を実現するための17のゴールで構成されています。
つまり、SDGsとは、サステナブルでより良い未来を実現するためのアクションを具体化した目標であるといえるのです。
SDGsの定める17のゴールにはどのようなものがあるのかなど、SDGsについてもっと詳しく知りたいという方は、「SDGs 取り組み方」の記事も併せてご覧ください。
サステナブルが重要視されている理由

では、なぜいま「サステナブル」が重視されているのでしょうか。
その背景として忘れてはいけないのが、地球環境が置かれている現状です。世界共通の課題とされているのが、地球温暖化というとても大きな問題。人間活動によって排出される温室効果ガスによって地表の平均気温が上がり、地球規模の気候変動が起こっているという危機的な状況に直面しているのです。
なぜ地球温暖化が起こるのか、そのメカニズムについては、以下の記事で詳しくご説明しています。サステナブルが注目される背景にもつながる重要なトピックですので、ぜひこちらも併せてチェックしてみてください。
こうした地球温暖化や気候変動の原因と考えられているのが、従来のような消費だけに重きを置いた経済活動や社会のあり方だとされています。資源を使うばかりで、回復させることのない一方的な経済や社会のあり方が問題視され、このまま今のやり方を続けていては、持続可能な未来は遠のいてしまうと危機感が募ってきました。
そこで、こうした課題の解決策として脚光を浴びているのがサステナブルな経済や社会の新しいあり方なのです。サステナブルには、限りある資源の浪費を止め、環境を回復させながら、将来世代により良い環境を残していこうとする考え方が息づいているといえるでしょう。
サステナブル社会の具体例を3つ解説
では、サステナブルな社会の実現につながる取り組みの具体例を、衣食住の観点から3つご紹介します。
ファッション|環境に配慮した素材の衣服を作る・着る

ファッションは世界規模で大きな産業に発展し、ファッション業界の 過剰な在庫や廃棄といった数々の課題が指摘されることも増えてきました。
そこで、ファッション業界では、着なくなった古い衣類を回収し、新しい衣類へと生まれ変わらせる「アップサイクル」という仕組み作りがスタートしています。これは、古い衣類をゴミとして捨ててしまうのではなく、資源として捉え直し、もう一度活用するという新たな循環の取り組みです。
また、他にも、1着の服をより長い間着ることができるように、丁寧な服作りを心がけることも求められています。さらに今後は、衣類を長持ちさせるために修繕する「リペアサービス」の普及も期待されています。
環境に配慮した服作りとともに、より長く大切に着続けられる社会のあり方に向け、少しずつ変革がスタートしているのです。
フード|フードロスの削減や持続可能な方法で食材を調達する

総務省人口統計(2019年10月1日)令和元年度食料需給表(確定値)
衣類と同様に、食料も地球の資源によって生み出されるものです。しかし、現在日本では毎日、一人当たりお茶碗一杯の食品が捨てられているとされ、大量の食品ロスが大きな問題となっています。
そこで注目されている新たな取り組みが「フードバンク」というものです。フードバンクとは、さまざまな理由で店頭に並べられない食品を、必要としている人々に届ける仕組みのこと。
現在の商習慣では、食品の流通の過程で外箱に傷がついてしまう場合があるほか、賞味期限に達する前に売り場から撤去されたりすることがほとんどです。しかし、この場合であっても、食品の品質に問題はありません。
そこで、フードバンクなどがこうした食品を回収し、食品を必要とする人々に届けることで食品ロスの発生を防ごうとする取り組みが始まっているのです。もちろん、従来の商習慣を少しずつ見直そうとする動きも生まれています。
一方で、食品の生産者も、生産方法を持続可能なものにシフトし始めています。水産業では、持続可能な方法で海産物を採ったり養殖したりする取り組みもスタートしており、このような方法による海産物を認証する国際的な制度もあります。日本でも複数の水産事業者がこうした認証制度を取得しています。
参考:農林水産省
参考:Marine Stewardship Council
住宅|省エネやCO2(二酸化炭素)の排出を抑える

住宅の分野に関しても、省エネな暮らしを実現できるような住宅も登場しています。例えば、太陽光発電や高効率な設備のある住宅などです。
国では、こうした省エネルギー住宅の導入を促進しており、さまざまな施策を打ち出しています。
生活者ができるサステナブルな取り組み
サステナブルな社会を実現するために、私たち生活者ができる取り組みには、どのようなものがあるのでしょうか? 衣食住のそれぞれについて、アクションをご紹介します。
【衣】環境に配慮した衣服の購入や着用。リユースを楽しむ(古着もおしゃれ)

ファッションについては、リサイクルやリユースによる古着でおしゃれを楽しむのが効果的だといえるでしょう。
最近では、古着を販売する店舗やネットショップも増えてきており、古着を選ぶことへの抵抗感も薄れてきているようです。逆に、古着だからこそ出会える一点ものの服に価値観を見出すこともでき、おしゃれが多様化しているといえるのではないでしょうか。
【食】無農薬の食品購入やマイ箸、マイストローの使用

食品に関しては、サステナブルフード関連の認証を受けた食品を選ぶのも有効なアクションです。
また、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで配られるプラスチック製品を断ったり、マイバッグを持ち歩いたりすることでも、余計なゴミを減らすことができます。外出の際にはマイボトルやマイ箸などを使えば、さらにゴミ減量につながるかもしれません。
【住】可変性が高く自然素材を使った住宅を採用する

家族構成が変わっても住み続けられる住宅や、自然素材を使った住宅を採用することも、サステナブルな取り組みです。例えば、出産や子供の結婚などにより、住宅に住む家族構成が変わることがあるでしょう。可変性の高い住宅であれば、家族構成の変化に応じて間取りを変更しやすく、住み心地の面で持続性があると言えます。
また、地球に優しい自然素材を使うことも、地球環境の持続性を考慮する取り組みです。木質系の断熱材や漆喰が例に挙げられます。自然素材にはそれならではの温かみがあるので、住み心地を良くしてくれることでしょう。
まとめ:サステナブルの意味を正しく理解しよう
最近話題のサステナブルですが、その背景には、実は地球温暖化という大きな問題があります。そして、これまでの資源を消費することに偏った経済や社会のあり方を改め、より環境にやさしい未来を目指していこうとする考えを基礎にしていることもわかりました。
重要なことは、こうしたサステナブルの意味や本質を正しく理解し、衣食住におけるさまざまなアクションを実行に移していくことではないでしょうか。サステナブルな社会に向けた取り組みとは、国や事業者だけが行えばよいというものではなく、私たち生活者も買い物という選択を通して意思表示を行うことが重要だといえるでしょう。

さっさん
私も古着を選んでみたり、リユースショップを活用してみたり、身近な「サステナブル」を楽しみながら取り組んでいきます!