中には「サステナブルという言葉を聞いたことはあるけど、どのような取組みが行われているのかは知らない」という方もいるかもしれません。そこで、ここではサステナブルという言葉の意味や具体例をわかりやすく解説します。読めばきっと、サステナブルの意味や、SDGsとの関係といったポイントをつかむことができるでしょう。
※この記事は2022年6月21日に公開した内容をアップデートしています。
サステナブルの意味やSDGsとの違いを解説
まず、サステナブルという言葉の意味について解説します。サステナブルというキーワードは、近年関心が寄せられているSDGsと密接な関係を持つものです。
サステナブルは「持続可能」を意味する言葉
「サステナブル」とは、英語の“sustain(持続する)”と“able(可能な)”という2つの言葉を組み合わせたもので、日本語では「持続可能な」という意味になります。
例えば、日頃耳にする「サステナブルな暮らし」「サステナブルな食品」といった言葉を言い換えると「持続可能な暮らし」「持続可能な食品」と同義になります。
このような環境への負担が少なく、将来世代にわたってずっと続けていける、持続可能な あり方を「サステナブル」と呼ぶようになっています。私たちを取り巻く衣食住すべてにおいて、サステナブルな社会が望まれているといえます。
SDGsはサステナブルの具体的な取組みのこと
サステナブルというキーワードと深い関わりを持つのが「SDGs」です。そもそも、SDGsとは正式には「Sustainable Development Goals」といい、日本語では「持続可能な開発目標」と呼ばれます。
SDGsは、大きく分けて環境・社会・経済の3つの側面から、持続可能な社会を実現するための17のゴールで構成されています。
つまり、SDGsとは、サステナブルでより良い未来を実現するためのアクションを具体化した目標であるといえるのです。
SDGsの定める17のゴールにはどのようなものがあるのかなど、SDGsについてもっと詳しく知りたいという方は、「SDGs 取り組み方」の記事も併せてご覧ください。
サステナブルが重要視されている理由
では、なぜいま「サステナブル」が重視されているのでしょうか。
地球温暖化や気候変動による環境の変化
その背景として忘れてはいけないのが、地球環境が置かれている現状です。世界共通の課題とされているのが、地球温暖化というとても大きな問題。人間活動によって排出される温室効果ガスによって地表の平均気温が上がり、地球規模の気候変動が起こっているという危機的な状況に直面しているのです。
地球温暖化が起こる理由、そのメカニズムについては、以下の記事で詳しくご説明しています。サステナブルが注目される背景にもつながる重要なトピックですので、ぜひこちらも併せてチェックしてみてください。
エネルギー資源の枯渇
こうした地球温暖化や気候変動の原因と考えられているのが、従来のような消費だけに重きを置いた経済活動や社会のあり方だとされています。資源を使うばかりで、回復させることのない一方的な経済や社会のあり方が問題視され、このまま今のやり方を続けていては、持続可能な未来は遠のいてしまうと危機感が募ってきました。石油や石炭、天然ガスといった化石燃料は埋蔵量に限りがあるとされています。限りある資源を大切にし、回復させることの重要性が高まっています。
居住地や性別による経済格差
現在の社会では、個人の違いではなく、居住地や性別などによって得られる収入が変わってしまうことがあります。例えば、経済協力開発機構(OECD)によると、2022年の日本の男女の賃金格差は21.3%とされています。誰もが居住地や性別などに関わらず、のびのびと暮らすには、全員が平等に評価される社会を目指すことが大切だと考えられています。
そこで、こうした課題の解決策として脚光を浴びているのがサステナブルな経済や社会の新しいあり方なのです。サステナブルには、限りある資源の浪費を止め、環境を回復させながら、将来世代により良い環境を残していこうとする考え方が息づいているといえるでしょう。
サステナブル社会の具体例を4つ解説
ここからは、サステナブルな社会の実現につながる取組みの具体例を4つご紹介します。
ファッション|環境に配慮した素材の衣服を作る・着る
ファッションは世界規模で大きな産業に発展し、ファッション業界の 過剰な在庫や廃棄といった数々の課題が指摘されることも増えてきました。
そこで、ファッション業界では、着なくなった古い衣類を回収し、新しい衣類へと生まれ変わらせる「アップサイクル」という仕組み作りがスタートしています。これは、古い衣類をゴミとして捨ててしまうのではなく、資源として捉え直し、もう一度活用するという新たな循環の取組みです。
また、他にも、1着の服をより長い間着ることができるように、丁寧な服作りを心がけることも求められています。さらに今後は、衣類を長持ちさせるために修繕する「リペアサービス」の普及も期待されています。
環境に配慮した服作りとともに、より長く大切に着続けられる社会のあり方に向け、少しずつ変革がスタートしているのです。
フード|フードロスの削減や持続可能な方法で食材を調達する
現在日本では、毎日一人当たりお茶碗一杯の食品が捨てられているとされ、大量のフードロスが大きな問題となっています。
そこで注目されている新たな取組みが「フードバンク」というものです。フードバンクとは、さまざまな理由で店頭に並べられない食品を、必要としている人々に届ける仕組みのこと。
現在の商習慣では、食品の流通の過程で外箱に傷がついてしまう場合があるほか、賞味期限に達する前に売り場から撤去されたりすることがほとんどです。しかし、この場合であっても、食品の品質に問題はありません。
そこで、フードバンクなどがこうした食品を回収し、食品を必要とする人々に届けることでフードロスの発生を防ごうとする取組みが始まっているのです。もちろん、従来の商習慣を少しずつ見直そうとする動きも生まれています。
一方で、食品の生産者も、生産方法を持続可能なものにシフトし始めています。水産業では、持続可能な方法で海産物を採ったり養殖したりする取組みもスタートしており、このような方法による海産物を認証する国際的な制度もあります。日本でも複数の水産事業者がこうした認証制度を取得しています。
参考:農林水産省
参考:Marine Stewardship Council
住宅|省エネや二酸化炭素(CO2)の排出を抑える
住宅の分野に関しても、省エネな暮らしを実現できるような住宅も登場しています。例えば、太陽光発電や高効率な設備のある住宅などです。
国では、こうした省エネルギー住宅の導入を促進しており、さまざまな施策を打ち出しています。
旅行|環境や文化の維持や地元住民への配慮の実施
旅行やレジャーといった余暇の場面でも、サステナブルな姿勢を大切にしようとする考え方が広がっています。「サステナブルツーリズム」とは、観光地の環境や文化、地域に住み人々の暮らしに配慮した観光のこと。観光客を受け入れるために自然を破壊して開発したり、もともと地域に住んでいる人々に不便をしいたりすることなく、全員が快適に過ごすことができる状態を目指します。
サステナブルツーリズムは、現地の食材や物産品の購入を推進し、現地での雇用拡大など、地域経済にも良い影響を与えると期待されています。
企業ができるサステナブルな経営に向けた取組み
この章では、企業で行われているサステナブルに役立つ取組みについてみていきましょう。サステナブルに取り組む企業が増えることで、新たなビジネスの誕生にもつながっています。
サステナブルファッションの取組み
ファッション産業では、衣類の素材である綿花の栽培に大量の水を使用するほか、生産地から消費地への輸送、販売などにおいても多くのエネルギーを使います。そのため、ファッション産業は地球環境に大きな影響を与えると考えられているのです。
そこで、環境省では「サステナブルファッション」として、これまでのファッション産業のあり方を見直し、企業や個人がアクションを起こすように促しています。その一環として、企業は、長期間着られることを前提に商品を企画したり、リサイクル素材を使うなど環境に配慮した設計で衣類をデザインしたりといった取組みをスタートしています。
ほかにも、サステナブルファッションに関する企業の取組みとしては、在庫が過剰にならないようにあらかじめ生産量を予測してロスを減らしたり、消費者からのオーダーに応じて衣類を生産する受注生産に切り替えたりすることなどが挙げられます。また、アパレル企業の中には、着なくなった衣類を店頭で回収してリユース、リサイクルに取り組む企業もあります。
参考:株式会社ワールド「2022 WORLD SUSTAINABILITY PLAN」
参考:株式会社アーバンリサーチ
食品ロスを削減する新たなビジネス
食の分野においても、フードロスを削減してサステナブルな社会を実現しようとするビジネスが行われています。例えば、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)といった新技術を活用して、食品の需要を正確に予測し、売れ残りなどを防ぐ取組みがあります。
他にも、食品の予約システムを開発してあらかじめ需要量を把握し、作り過ぎを予防するなど、食料資源を有効活用するためのビジネスを始めている企業もあります。
社屋などに国産の木材を取り入れる取組み
企業の社屋などの建物といえば、コンクリートでできたビルというイメージが強いかもしれません。しかし、近年は、社屋などに木材を積極的に取り入れ、資源を有効活用しようとする取組みも進められているのです。
運用されている例として、学校の校舎やホテルなどの宿泊施設、医療施設、公共施設などに国産の未利用木材を採用するプロジェクトが挙げられます。国産の木材を使うことで、日本の林業を後押しすることができます。
また、社屋全体を木造化しない場合であっても、自動ドアなどのサッシに木材を採用する企業もあります。それぞれの企業スタイルに合わせて、資源を効率よく使うための取組みが始まっています。
従業員が働きやすい環境の整備
誰もが働きやすい社会の実現を目指した取り組みも進められています。男女間の格差をなくすジェンダー平等や、働く側のニーズに応える環境を目指す動きとして、厚生労働省は「働き方改革」を進めています。
企業のサステナブルな経営を支援する関西電力のソリューション
関西電力では、持続可能な社会の実現に向け、お客さまのサステナブルな取組みを支援するさまざまなソリューションをご提供しています。省CO2・省コスト等の課題を手間なく解決するクラウド型制御システムの提供やゼロカーボンコンサルティングなど、お客さま一人ひとりの課題に真摯に向き合い、最適なソリューションをご提案させていただきます。
ホームページからは、それぞれの業種にあわせた最適なソリューションを探すことも可能です。「サステナブルな経営、何から始めたら良いのだろう?」という疑問を持たれた方は、ぜひご覧ください。
生活者ができるサステナブルな取組み
サステナブルな社会を実現するために、私たち生活者ができる取組みには、どのようなものがあるのでしょうか?
環境に配慮した衣服の購入や着用。リユースを楽しむ(古着もおしゃれ)
ファッションについては、リサイクルやリユースによる古着でおしゃれを楽しむのが効果的だといえるでしょう。
最近では、古着を販売する店舗やネットショップも増えてきており、古着を選ぶことへの抵抗感も薄れてきているようです。逆に、古着だからこそ出会える一点ものの服に価値観を見出すこともでき、おしゃれが多様化しているといえるのではないでしょうか。
使用済みの製品を再利用するリユースについては、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。リユースが必要とされている理由や、リユースの具体例などについてもわかりやすく説明しているため、詳しく知りたいという人はぜひ併せてご覧ください。
無農薬の食品購入やマイ箸、マイストローの使用
食品に関しては、サステナブルフード関連の認証を受けた食品を選ぶのも有効なアクションです。
また、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで配られるプラスチック製品を断ったり、マイバッグを持ち歩いたりすることでも、余計なゴミを減らすことができます。外出の際にはマイボトルやマイ箸、マイストローなどを使えば、さらにゴミ減量につながるかもしれません。
可変性の高い住宅選びや資源を多く使わない暮らし
家族構成が変わっても住み続けられる住宅や、自然素材を使った住宅を採用することも、サステナブルな取組みです。例えば、出産や子供の結婚などにより、住宅に住む家族構成が変わることがあるでしょう。可変性の高い住宅であれば、家族構成の変化に応じて間取りを変更しやすく、住み心地の面で持続性があるといえます。
また、地球に優しい自然素材を使うことも、地球環境の持続性を考慮する取組みです。具体的には、木質系の断熱材や漆喰が例に挙げられます。自然素材にはそれならではの温かみがあるので、住み心地を良くしてくれることでしょう。
もちろん、家を建てたり引っ越したりしなくても、サステナブルな取組みを暮らしに取り入れることはできます。例えば、毎日のお買い物にエコバックを持ち歩いたり、使っていない部屋の照明を消して節電に取り組んだりすることもその一つ。また、家庭から出るゴミを適切に分別し、資源の再利用に貢献することも効果的です。取り組みやすいアクションから始めて、サステナブルなライフスタイルを実現してみましょう。
節電の方法については、こちらの記事でより詳しく解説しています。家庭や企業ですぐに始められる節電方法を紹介しているので、ぜひ併せてチェックしてみてください。
旅先でもエコバッグや自転車を使用
サステナブルツーリズムの一貫として、旅先でも普段通りエコバックやマイボトル、自転車を利用することなども効果的です。宿泊先で、使い捨てのアメニティを使うのではなく、日頃自分が使っているものを持参することによって、ごみを減らすことにつながります。無理のない範囲で自分にできるサステナブルな取り組みを積み重ねていきましょう。
まとめ:サステナブルの意味を正しく理解しよう
最近話題のサステナブルですが、その背景には、実は地球温暖化という大きな問題があります。そして、これまでの資源を消費することに偏った経済や社会のあり方を改め、より環境にやさしい未来を目指していこうとする考えを基礎にしていることもわかりました。
重要なことは、こうしたサステナブルの意味や本質を正しく理解し、衣食住をはじめさまざまなアクションを実行に移していくことではないでしょうか。サステナブルな社会に向けた取組みとは、国や事業者だけが行えばよいというものではなく、私たち生活者も買い物や生活する上での工夫を通して意思表示を行うことが重要だといえるでしょう。
さっさん
私も古着を選んでみたり、リユースショップを活用してみたり、身近な「サステナブル」を楽しみながら取り組んでいきます!