ここ数年、日本でも「なんだか今までの気候と違う」と感じる機会が増えてきました。そうした異常気象の原因の一つが「地球温暖化」によるものだと耳にすることもあるでしょう。
一言に「地球温暖化」といっても、その規模の大きさもあいまって、私たちの暮らしの小さな行動が直結しているとは、なかなかイメージしづらいかもしれません。

くわえて、最近は「脱炭素社会」といった言葉も耳にしますが、一体どのような社会を指すのでしょうか。そして、地球温暖化とどのように関係しているのでしょうか?
ここでは、地球温暖化のメカニズムや影響、対策などについて解説します。今地球に起きていること、私たちの暮らしの中でできることを考えていきましょう。

地球温暖化のメカニズムとは?

地球温暖化には温室効果ガスが関係しているということは、多くの人が知っているかもしれません。では、「そもそも温室効果ガスとは何か」「どのように地球温暖化に影響しているのか」といった地球温暖化のメカニズムについてわかりやすく説明します。

地球温暖化の原因は?

20世紀半ば以降に見られる地球規模の気温の上昇、つまり2022年現在問題となっている地球温暖化の主な原因は、人間活動による温室効果ガスの増加である可能性が極めて高いと考えられています。

温室効果ガスは地球を温かく保つという大切な役割を果たしています。温室効果ガスがなければ、地球の平均気温はマイナス19℃になってしまうといわれています。温室効果ガスがあることで、現在の地球の平均気温は14℃程度に保たれているのです。

このように温室効果ガスは、生物が地球で暮らす上で欠かせないものですが、増えすぎると地球の熱が宇宙へ放出されにくくなります。
そうなると、地表付近の気温が徐々に上昇してしまうのです。これが地球温暖化のメカニズムです。

温室効果ガスとは

では、その温室効果ガスとは、具体的にどのようなものなのでしょうか?

温室効果ガスとは、地球を温かく保つ働きを持つ気体を指す総称です。具体的には、二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)が含まれます。

2022年現在の温室効果ガスの7割以上を占めるのが、CO2です。CO2は、石炭や石油の消費、セメントの生産などによって排出されます。また、大気中のCO2を吸収する森林も、農地の拡大などによって減少しています。これらの結果として大気中のCO2は年々増加しています。

メタン(CH4)は腐敗した廃棄物から発生するほか、牛や羊などのゲップにも含まれています。メタン(CH4)の増加は、湿地やシロアリといった自然によるもののほかに、畜産や稲作といった人間活動が原因とされています。

一酸化二窒素(N2O)は、CO2やメタン(CH4)といった他の温室効果ガスと比べて大気中の濃度は低いですが、単位濃度あたりで温暖化をもたらす能力(地球温暖化係数)が高くなっています。また、成層圏オゾン層の破壊物質でもあります。

画像1: 温室効果ガスとは

18世紀半ばから始まった産業革命によって、人類は石炭や石油などの化石燃料を多く使うようになりました。こうした化石燃料を燃やすことによって、大気中に排出される温室効果ガスがだんだん増えていきました。

温室効果ガスを多く排出する一方で、これらを吸収する森林の伐採も進んでいます。森林には、光合成によってCO2を吸収するという働きがあります。しかし、人類は畜産や稲作のために森林を切り開いてきました。

画像2: 温室効果ガスとは

エネルギーのために化石燃料を燃やすことや、自動車や冷暖房を使うなどといった人間活動によってCO2の排出量が増える一方で、森林伐採による吸収量が減ったため、大気中のCO2の濃度が増え続けていると考えられているのです。

ここ最近「カーボンニュートラル 」「ゼロカーボン」などの言葉を耳にしたことがある人もいるでしょう。これは、温室効果ガスの排出量をまったくゼロにするということではなく、大気への排出量と大気からの吸収量をバランスさせることを意味しています。

2021年11月に開催した「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)」でも「森林の減少傾向を2030年までに止め、回復に向かわせよう」という声明が出され、100ヶ国以上が賛同しました。

2022年はまさに、カーボンニュートラルの実現に対する、世界の関心と期待が高まってきている最中といえるでしょう。

太陽放射と地球放射

さて、温室効果ガスが地球を温める仕組みについてもう少し詳しく説明しましょう。

地表にある熱は、太陽から放射された熱エネルギー(太陽放射)からもたらされます。しかし、その熱エネルギーをそのまま温室効果ガスが吸収するというわけではありません。太陽からエネルギーのほとんどは、地表面に吸収されて熱に変わります。そして、温められた地表面から熱が赤外線として放出されます(地球放射)。

温室効果ガスは、この地表からの熱(赤外線)を吸収する性質を持っているのです。そのため温室効果ガスが多くなる(濃度が濃くなる)と、これまで以上に地表の熱(赤外線)が吸収され、それが再放出されることにより地上の温度が上昇してしまいます。
これが地球温暖化のメカニズムです。

画像: 太陽放射と地球放射

このまま温室効果ガスが増え続けたらどうなる?

もし、温室効果ガスがこれから先も増え続けて地球温暖化が進行したら、地球はどうなってしまうのでしょうか? 予測されるさまざまな影響について説明します。

影響1 気温の上昇

画像1: Photo by iStock
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気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表した2013年発表の「第5次評価報告書」によると、1880年から2012年の130年あまりで地球の平均気温は約0.85℃上昇したとされています(下図)。

画像: 影響1 気温の上昇

また、2021年8月から2022年9月にかけて「第6次評価報告書」が発表される予定です。すでに公表されている情報によると、産業革命以来すでに約1.1℃の気温上昇が確認されています。「第5次評価報告書」の内容と照らし合わせると、地球の平均気温が上がり続けていることがわかるのではないでしょうか。

1℃でどれくらい地球環境に影響があるのか、想像することは難しいかもしれません。しかし、この平均気温が1℃上昇することは想像以上のインパクトを地球に与えます。例えば、2019年の気象庁などによる研究結果では、平均気温が1℃上がることで最高気温が35℃以上の猛暑日が1.8倍増えるという報告がありました。ここ5年間の大阪市の猛暑日は平均で19.6日/年です。これが1.8倍となると……、約35.3日/年!つまり、夏に35℃を超える日が、1ヶ月以上も続くという計算になります。

さらにIPCC「第5次評価報告書」は、現在以上の温暖化対策を取らなかった場合、21世紀末に世界の平均気温が最大で約4.8℃上昇すると予測しています。そうなると、夏はほとんど猛暑日か、それ以上の暑さになり熱中症になってしまう人も激増すると予想されているのです。

気温の上昇は、私たち人間だけでなく植物にも影響を及ぼします。桜の開花が早まったり、紅葉が遅くなったりするだけでなく、米や果物といった作物がうまく育たなくなるような現象もすでに確認されています。

用語解説!「IPCC」とは?

IPCCとは、国連気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)の略。人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、1988 年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立された組織です。

世界の科学者が発表する論文や観測・予測データから、政府の推薦などで選ばれた専門家が文書をまとめます。科学的な分析のほか、社会経済への影響、気候変動を抑える対策なども盛り込まれます。国際的な対策に科学的根拠を与える重要な文書となるため、報告書は国際交渉に強い影響力を持ちます。

「第5次評価報告書」は2013年、「第6次評価報告書」は2021年から発表されているレポートです。

影響2  海水面の上昇

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気温が上がると、海水も徐々に温まっていきます。海水は温まると膨張する性質を持っているため、水面の上昇につながります。また、南極やグリーンランドの氷河がとけることで、今世紀末には海水面が最大で約82cm上がってしまうと予想されているのです。

海水面が上昇すると、海抜の低い島国では住むのに適した土地が減ってしまうという深刻な問題が起こると予想されます。実際、南太平洋の島嶼(とうしょ)国ツバルなど、海面上昇により水没の危機に直面している国もあります。もちろん日本も例外ではありません。沿岸地域などで高潮の被害が増えるほか、海岸の侵食や砂浜の消失が起こると考えられているのです。

影響3 自然生態系の変化

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地球温暖化は、生物の多様性にも影響を与えると考えられています。国際自然保護連合(IUCN)が発表している、世界の絶滅のおそれのある野生生物のリスト「レッドリスト」には、2021年10月時点で、3万8,543種以上の野生生物が「絶滅危機種」として掲載されています。そしてレッドリストは、野生生物を追いつめる大きな要因の一つに、地球温暖化を挙げています。

もちろん地球温暖化のみならず、密猟や生息環境の破壊など、他の要因も大きく関わっているでしょう。しかし、それら全てが重なることで、より絶滅の危機が増大していく可能性があるのです。

また、現時点でははっきりと地球温暖化の影響と確認されてはいませんが、マラリアやデング熱という感染症を媒介する蚊の分布や個体数が増えてしまうことも懸念されています。気候変動により、自然宿主である鳥類などの渡り経路が変わることで、感染症にかかるおそれのある地域や時期が拡大していく可能性も否定できません。

このように、気温の上昇は自然生態系や私たちの暮らしに大きな影響を及ぼすと考えられているのです。

影響4 異常気象

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地域によっては豪雨が起こる一方で、乾燥した地域では干ばつが発生するなど、極端な気象現象が起こると予測されています。また、海水温が上昇することで熱帯低気圧が発達し、地域によっては台風やハリケーン、サイクロンによる被害が大きくなるのではないかと心配されています。

地球温暖化を止めるためにできること

画像5: Photo by iStock
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地球温暖化は、近年起こった問題ではありません。日本では、30年以上も前の1990年に「地球温暖化防止行動計画」という国内で初めての温暖化対策がスタートしました。

世界では、1995年から「国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)」が開催され、世界各国が足並みを揃えて地球温暖化対策に取り組むためのルール作りが行われています。2021年には「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)」が英国で開催されました。

用語解説!COP26とは?

「COP26」とは、2021年10月31日から11月13日にかけて英国グラスゴーで開催された「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議」のことです。世界中から200ヶ国近い国々が参加し、今後の地球温暖化対策について話し合いました。

COP26では、CO2などの温室効果ガス排出量の国際的な取引に関するルールが決まったほか、各国の温室効果ガス排出量の削減目標が発表されました。日本は「2030年度に温室効果ガスを2013年度比で46%削減することを目指すこと、さらに50%の高みに向け挑戦を続けること」を宣言したのです。

参考:外務省

SDGsの目標にも盛り込まれている温暖化対策

2015年に採択された持続可能な開発目標(SDGs)の17の目標の中にも、地球温暖化対策が盛り込まれています。SDGsの目標13は「気候変動に具体的な対策を」とされていて、地球温暖化や気候変動を防ぐための具体的なアクションが求められています。

用語解説!SDGsとは?

最近よく聞くようになったSDGsですが、正式には「Sustainable Development Goals」、日本語では「持続可能な開発目標」といいます。SDGsは、2015年の国連サミットにおいて全会一致で採択されました。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標として位置付けられています。

環境省の取り組みについて

日本の環境を守るためにさまざまな取り組みを行っている省庁に、環境省という機関があります。環境省は、日本全体の温暖化対策の方向性を定めています。

また、国全体だけでなく、温室効果ガス別や部門別の排出削減目標を設定し、それぞれについて対策を求めています。ほかにも、イノベーションによって地球温暖化対策を推進するための戦略なども策定しています。

参考:環境省

身近なところでできること

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私たちの身近なところでも、地球温暖化対策に取り組むことができるのです。
例えば、ちょっとした移動であれば、車ではなく歩いたり自転車を利用したりすればエコにつながります。

また、家の中でも、使っていない部屋の照明をオフにしたり、エアコンの設定温度を適切にしたりすることも有効な対策だといえるでしょう。電気の使用を節約したり効率化したりする省エネは、電気代の節約だけでなく地球温暖化対策にもつながっているのです。

さらに、IHクッキングヒーターなどを備えた住宅施設の採用や、自動車などのモビリティーの電化の推進も重要です。

地球温暖化の原因や影響を正しく知り、アクションを起こすことが大切

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地球温暖化が起こるメカニズムや、その原因となっている温室効果ガスがなぜ発生するのかを正しく理解することは大切です。なぜなら、私たちの身近な暮らしからも温室効果ガスが発生していて、地球温暖化を引き起こす一因となっているからです。

日本に住む私たちにとっても、地球温暖化が深刻な問題であることは間違いありません。地球温暖化の原因や、未来にわたって予測される影響を学んで、温暖化を防ぐためのアクションに移していくことが重要だといえるでしょう。

画像: 【図解】地球温暖化のメカニズムは?原因や将来の影響をわかりやすく解説

だいちゃん

一人ひとりの小さな努力の積み重ねが、地球の環境を守ることにつながるんですね!

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