恵文社一乗寺店 | 美しい空間にゆるやかに並べられた本のなかから、特別な一冊と出会う
京都で最も有名な書店の一つ、レンガ造りの外観が印象的な「恵文社一乗寺店」。にぎやかな中心地から少し離れた落ち着きのある一乗寺エリアに佇み、訪れる人を静かな空気で迎えてくれます。

イギリスのガーディアン紙が選ぶ「世界で最も美しい10の書店」にも名を連ねたこの店の魅力は、アンティーク調の空間にゆるやかに広がる本棚。本の並べ方は機能的というよりも、内容や周りの本との流れを意識して置かれており、歩くだけで思いがけない一冊と出会えるのが特徴です。

店内を進むと、「生活館」「ギャラリーアンフェール」「イベントスペース コテージ」があります。衣食住をテーマにした本と雑貨が並ぶ「生活館」では、暮らしに寄り添う新しいヒントに出会えるかもしれません。ステーショナリーや理科学系の雑貨、地元の学生から海外で活躍するアーティストまで多彩な展示が行われ、思いがけず心を揺さぶられる作品と出会うことも。「イベントスペース コテージ」では、キッチンを活かした喫茶やワークショップが不定期に開かれており、本を選ぶ時間と同じように、人や文化との交流を楽しめます。

本とアート、暮らしと人。さまざまなカルチャーが交差するこの空間では、訪れるたびに新しい発見があります。棚をめぐりながら偶然の出会いを重ねる――そんな体験を楽しみたいときにこそ、訪れてみたい書店です。
恵文社一乗寺店
住所 | 京都府京都市左京区一乗寺払殿町10 |
電話番号 | 075-711-5919 |
営業時間 | 11:00〜19:00 |
定休日 | 無休(元旦を除く) |
Web | https://www.keibunsha-books.com/ |
https://www.instagram.com/keibunsha_books/ |
誠光社 | 書店の「新しいあり方」を試みながら、カルチャーを発信する街の書店
京阪電車「神宮丸太町」駅近く、気持ちの良い眺めの鴨川を渡ってすぐの路地にたたずむのは、「誠光社」です。
店主の堀部さんは、かつて「恵文社一乗寺店」で店長を務め、2015年に独立してこの書店をオープンしました。こぢんまりとした店内には、新刊書だけでなく、洋書や古書、さらにはレコードやCDが並びます。

歩を進めると、自費出版のリトルプレスやZINEが豊富に揃っており、思わぬ作家や作品との出会いが待っています。さらに店の奥にあるギャラリースペースでは、写真展や原画展から木工やニット作品展まで多彩な展示が定期的に開催され、刊行記念のトークイベントなども。ここでは、作品と人、そして本を介した交流が日常的に生まれています。

誠光社は、個人が書店を経営するにはさまざまな構造上の障壁があると感じた店主の堀部さんが「本屋の新しいあり方を提案すべく始めた、ささやかな実験」でもあるのだそう。出版社から直接仕入れ、選書も取引も全て自らの手で行う。その積み重ねが、ほかにはない独自のキュレーションを生み、お客さんにとって唯一無二の体験を提供しているのです。
カルチャーの今に触れたいときにも、思索を深めたいときにも立ち寄りたい場所。購入した本を鴨川沿いのベンチで開けば、街の空気とともに新しいアイデアが静かに広がっていくはずです。
誠光社
住所 | 京都府京都市上京区中町通丸太町上ル俵屋町437 |
電話番号 | 075-708-8340 |
営業時間 | 10:00〜20:00 |
定休日 | 無休(12月31日〜1月3日を除く) |
Web | https://www.seikosha-books.com/ |
https://www.instagram.com/seikoshabooks |
シスターフッド書店 Kanin | ふたりの女性店主がセレクトした書籍が並ぶ、ブックカフェ
左京区・北白川のゆったりとした空気に包まれる界隈にたたずむ「シスターフッド書店 Kanin」。「本とお酒を楽しめる女子のためのブックカフェでありたい」という想いのもと、幼なじみの井元さんと京極さんのおふたりが営んでいます。

店名の「Kanin」は、店主ふたりが卯年生まれであることにちなみ、デンマーク語で“ウサギ”を意味する言葉から。店内の棚には、フェミニズムやジェンダーにまつわる本、女性作家の作品をはじめ、韓国カルチャーから学べる一冊や、店主が愛してやまない『源氏物語』関連の本まで、多彩なラインナップが並びます。そのユニークな選書は、まるで“頼れるお姉さんの本棚”を覗かせてもらっているよう。

店内では読書会やブックトークも開かれ、社会のなかで抱えるモヤモヤや問題意識を共有できるコミュニティの場にもなっています。さらに2024年からは、カウンセラー(公認心理師)でもある井元さんによる「北白川相談室」もスタート。女性やマイノリティをめぐる課題について、安心して相談できる場や“選書カウンセリング”が用意されています(要予約)。

カフェスペースでは、お酒やコーヒーに加え、デンマーク風オープンサンドやティラミスなどの軽食も提供。気になる本を片手に、リラックスしながら過ごすひとときは、本を読むことそのものを新しい体験へと変えてくれます。
学びたいときも、語り合いたいときも、ただ一息つきたいときも。Kaninは、その全てを包み込むように迎えてくれる場所です。
シスターフッド書店 Kanin
住所 | 京都府京都市左京区北白川堂ノ前町1 デュ北白川105 |
営業時間 | 月・木・金曜 12:00~17:00、水曜 12:00~16:30、土・日曜 12:00~18:00 |
定休日 | 火曜 |
Web | https://kanin.base.shop/ |
https://www.instagram.com/kaninbooks/ |
hoka books | 路地の奥にたたずむちいさな古民家で、世界が広がる本に出会う
京都駅からほど近い堀川五条エリア。路地の奥に、青い本棚のような外観をもつ小さな本屋「hoka books」が静かにたたずんでいます。店主の嶋田さんと西尾さんは、それぞれ編集や出版の仕事を続けながら、このお店を開業しました。小さなお店だからこそ、一冊一冊の蔵書をじっくり見てまわれる規模で、訪れてくれた人たちそれぞれが「つくり手」としてのヒントを見つけられる本屋でありたいという想いで運営されているのだそう。

あえてジャンルを分けずに並べられた棚は、思いがけない発見を誘い、「こんな本があったんだ」と驚かれることも少なくありません。嶋田さんは「ほかの書店では見逃してしまった本も、ここでは見え方が違ったからこそ手に取れたのかもしれません」と話します。

2階には作品と密に向き合えるような小さなギャラリーもあり、作品展や、古本などを含むブックマーケットを開催。編集の仕事を通じて出会ったアーティストや出版社と一緒に企画をすることも多く、hoka booksがハブとなって人と人が繋がる場になっています。京都駅からのアクセスも良いため、「京都書店巡り」のスタートや締めくくりに訪れるのもおすすめです。

最後に、おふたりに、本選びを楽しむコツを聞いてみました。
「実用書や啓蒙書、AIが答えてくれるようなすぐに役立つ情報から離れ、一見じぶんとは関係なさそうなテーマに向き合ってみてはどうでしょう。意外な発見がきっとあるはずです。少し遠回りかもしれませんが、豊かな本との出会いを楽しんでいただけたら嬉しいです」
hoka books
住所 | 京都府京都市下京区小泉町100-6 |
営業時間 | 12:00〜19:00 |
定休日 | 月・火・水曜 |
Web | https://hokabooks.com/ |
https://www.instagram.com/hoka_books/ |

あややん
京都の独立系書店は、それぞれに個性的な空気をまとっていて歩くだけでもワクワクします! それぞれの店が持つ思想や文化的な視点が、棚の並びや空間づくりから伝わってきます。本を選ぶ行為が単なる買い物ではなく、価値観や時代の感覚に触れる体験になるのは、この街ならではの魅力だと思いました。ページをめくるだけでなく、人や場所との繋がりを感じさせてくれる。そんな出会いがありました!