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さやぱん 「かんでんWITH YOU」編集部員
ポン酢好きで何にでもかけちゃいますが、もっと美味しいポン酢や食べ物との組み合わせを知りたいです!
全国のポン酢を飲み歩くポン酢マニア!全ポン協の藤島琴弥さんに聞く、関西ポン酢カルチャー
まずは、全国各地のポン酢を飲み歩くこと20年以上、「全国ポン酢飲み歩き協会」の代表・藤島琴弥さんに、関西におけるポン酢カルチャーやルーツ、地域ごとの違いなどについて、お話を伺いました!
藤島琴弥さん
「全国ポン酢飲み歩き協会」代表。ポン酢料理研究家。ポン酢マイスター。俳優業で地方公演の際に出会った、とあるポン酢に魅了されたのがきっかけで全国各地のポン酢を飲み歩く。ポン酢のすばらしさを広めるべく、全国各地のポン酢や、ポン酢を使った料理をブログやSNSで発信している。
関西ではポン酢があるのがあたりまえになっている
さやぱん
先日、テレビ番組で「関西人はポン酢好き」といわれているのを見て「私のことだ!」ってハッとしたんです(笑)。実際にはどうなんでしょうか?
藤島さん
関西人のポン酢好き、いつからかそういわれるようになりましたよね。もともと、関西には「旭ポンズ」や「ひろたぽんず」、「勝貴屋」といった、名だたるメーカーのポン酢があり、ポン酢使用頻度は高いはずです。ですが、ポン酢好きを自称している人はあまり見なくて……! おそらく、食卓にポン酢があることがあたりまえになっているからではないでしょうか?
ポン酢が関西で親しまれるようになったのは、関西ならではの料理「てっちり」の文化があるからではないかと藤島さんは推測します。
藤島さん
家族で何か特別な日にご飯に行くとき、贅沢するときには、てっちりを食べに行くという習慣が関西、特に大阪にはあります。てっちりといえば、合わせる調味料はポン酢。それがポン酢文化を広める後押しとなったのではないでしょうか。
ポン酢は味も地域も多種多様
「ポン酢」といえば、おそらく醤油ベースに酢が入っていて、酸味がきいているものと思っている方も多いのでは? ところが、たくさんのポン酢を飲み歩いてきた藤島さんは、メーカーごとに全く味が異なり、酸味が強いものばかりではなく、むしろマイルドなものもたくさんあるといいます。
藤島さん
ポン酢は、カツオや昆布、野菜などから出汁をとった醤油に、酢と柑橘、砂糖やみりんで甘みなどを加えたものが基本です。地域によって使用する醤油は甘口、濃口、薄口と味に違いがあり、そこに合わせる酢や果汁によっても、まるで別もののように味が異なるんですよ。酢は、純米酢や醸造酢、米酢、りんご酢、黒酢など。果汁もゆず、すだち、かぼす、だいだいなど種類豊富で。だからこそ、出汁×醤油×酢×果汁と、多種多様な組み合わせのポン酢があって面白いんですよね!
さやぱん
ポン酢って“合わせ技”でおいしくなっているんですね! ちなみに、地域によって味わいの違いはあるんですか?
藤島さん
最近、関東地方では、ニンニクや香辛料の入ったものなど、いろいろな種類のポン酢があり、それらを使った料理のバリエーションも多いです。一方、関西は、ポン酢が主役になることが多く、ポン酢を食べるための料理をします。こんなにも地域の特徴があるとは驚きですよね。
それぞれに個性があり、料理に影響をもたらす調味料、それがポン酢! ポン酢愛をもっと育みたいと思った方におすすめなのが、京都の「孝太郎の酢」のMyポン酢作り体験。自分だけの特別なポン酢を作ることができます。
酢を作って180余年。京都の名店「孝太郎の酢」に学ぶ、Myポン酢作り!
京都、西陣で180年余り酢を作りつづけてきた「孝太郎の酢」。京料理店からの信頼も厚い老舗です。
角がなく、口に入れた時に感じる「まろやかさ」が特徴の「孝太郎の酢」。お茶や昆布のうまみを引き出すのに適した西陣の軟水と、国産米を使い、半年から1年かけてじっくりと自然の力で発酵させることで出る風味が特徴です。昆布や、カツオ、シイタケなどから贅沢に出汁を抽出し、化学調味料や防腐剤などは使用しないのもこだわりの一つ。口あたりが柔らかく、ふんわりと香りや風味が口いっぱいに広がり、料理を一層引き立てます。
この酢を使ったポン酢を、自分好みに調合するMyポン酢作りが評判です。「もっと面白くて真新しい商品を」といったお客様の声から始まり、今や延べ1,000人以上が体験しているこのワークショップ、さやぱんも体験してきました!
Myポン酢作りの最初の一歩は味のベースを決めるところから
「孝太郎の酢」のスタッフ、北村尚子さんが、ポン酢作りをナビゲートしてくれます。はじめに用意してくれたのは、人気商品の「だいだい酢」、「すだち酢」、「ゆず酢」の3種類のポン酢。その瓶の隣にはそれぞれの果汁も。一つずつポン酢の味見をしながら、どのポン酢を作るのか、1種類を選びます。
だいだい酢は3種類のなかでも酸味と香りが優しく、白身魚やお豆腐といったあっさりとした味わいにぴったり。広島県尾道産のだいだいを使っていて、果汁は透き通ったオレンジ色をしています。
さっぱりとした酸味が特徴のすだち酢は徳島県産のすだちを皮ごと絞った果汁を加えて作ります。このさわやかさは少しこってりしたものとマッチするとか。お肉や脂ののったお魚に合うそうです。
そしてゆず酢。フレッシュな果汁感や香りを楽しむことができ、どんな料理にも合うオールマイティな味。市販のポン酢は、ゆずを使っていることが多く、慣れ親しんだ味わいともいえます。「弊社のものは皮の内側の白皮を丸ごと使っていますので、ゆずの果汁量が増えていくと、少し苦味が感じられ、味に奥行きが出てくるんです」と北村さんが教えてくれました。
さやぱん
どれも本当においしくて悩みますね……。個人的にはすだちのさっぱりとした風味が好きです。ぶりしゃぶが好きで、よく作るのですが、それに合うものだと、どれになりますか?
北村さん
ぶりしゃぶでしたら、だいだいがおすすめです! ですが、すだちでもさっぱりと味わうことができると思います。すだちは唐揚げなどの揚げ物にぴったりですよ。
北村さんのアドバイスに背中を押され、すだちに決定!
自分好みの果汁感を見つけよう
好みのポン酢の味が決まったら、自分好みにブレンドする工程へ。ポン酢は出汁醤油に果汁を加えてつくりますが、Myポン酢作り体験では、基本のポン酢に果汁の量を少しずつ加えて、自分好みの割合を探していきます。
北村さん
それでは少しずつ果汁を足していき、自分好みの味を見つけていきましょう! まずは、通常の約1.2倍の果汁でご用意しましたので、味見をしてみてください。
さやぱん
最初に味見したものより、フルーティーですね! 今のままでもすごくおいしいですが、もう一段階、果汁を増やしたものも飲んでみたいです。
つづいて、さらに果汁を加えて通常の約1.5倍の量にして味見。
北村さん
すだちの果汁をしっかりと感じていただけると思います。果汁たっぷりだと揚げ物や油っぽいものとの相性は抜群ですね。
さやぱん
すだち感が増しました!この味がベストかもしれません……!
さやぱんは、約1.5倍が気に入った様子。ですがここで決定ではなく、もう一段階果汁を増やしたものも味見したうえで決めるのが北村さんのおすすめ。
北村さん
せっかくのMyポン酢作りなので、さらに自分好みの味にするには、もう一段階果汁をプラスして比べることは欠かせません!
引き続き、約1.7倍、さらには約1.8倍まで味見をさせてもらうことに。約1.8倍になると、全体の半分程度を果汁が占めることに。
約1.8倍を飲んださやぱんは、「すだちをそのまま食べているみたいで、めっちゃすだちです!!」とびっくり。果汁感が増せば増すほど、フレッシュさやさわやかな風味がはじけて、さやぱんを惑わせます。
北村さん曰く、味見を重ねると徐々に酸味に慣れてくるので、果汁多めがお好みの方も多いのだとか。市販のポン酢では味わえない果汁感! ぜひ、新しい味わいを追求するのも楽しいもの。最終的にさやぱんは約1.7倍果汁に決定しました!
Myポン酢の配合が決定。自分だけのレシピは永久保存
完成したMyポン酢は、通常のポン酢と並べてみると色合いの違いがはっきりとわかります。それだけ果汁がたくさん含まれているということです。
Myポン酢レシピはあなただけのもの。「孝太郎の酢」では大切にデータを保管しています。また同じものが欲しいと思えば、電話一本で追加オーダーが可能です。
同じものを注文する人や、さらには、もう1段階果汁を増やしたものが欲しいという問い合わせもあるそう。「Myポン酢作りを気に入ってくださった方はリピートしてくださる方も多く、この料理のためのポン酢を作るぞ!という玄人な方もおられます」と北村さん。
オリジナルラベルを作ろう
最後に、オリジナルラベルを作ります。色とりどりのマーカーや筆ペンを使い、自分の好きなイラストや文字など、何でも自由に書いてOK。
さやぱんは、すだちの絵を書き、すだちの果汁の割合も書きこんで、かわいいラベルが完成!
仕上がりを待っている間に、店内の商品の味見をさせてもらうことができるので、気になるものがあればぜひこの機会に。
ついに完成したMyポン酢が手元に!!
待つこと、15分ほど。さやぱんのMyポン酢が完成しました。
さやぱん
おお! 自分で配合を選んだからか、一層おいしそうに見えますね!
北村さん
今年の冬、ぶりしゃぶはもちろん、お鍋を囲むならぜひMyポン酢を使ってみてください。そしてポン酢はお鍋だけでなく、こんな料理を試してみたいという想像を掻き立ててくれるのではないでしょうか。ポン酢の可能性がたくさんの人に届いてくれたら嬉しいです!
ポン酢が料理をさらに楽しく、おいしくしてくれる
「全国ポン酢飲み歩き協会」の代表・藤島さんに伺った関西のポン酢事情や多種多様なポン酢の魅力についてお話、そして京都の「孝太郎の酢」のMyポン酢作り体験を通して、ポン酢の新たな世界を堪能していただけたのでないでしょうか。さまざまなポン酢料理に挑戦したい気持ちが湧いてきましたね! 果てしなく可能性の広がるポン酢。これからも目が離せません。
孝太郎の酢
住所 | 京都府京都市上京区新町通寺之内上ル東入道正町455 |
電話番号 | 075-451-2071 |
営業時間 | 9時~17時 |
定休日 | 第二第四土曜日・日曜祝祭日(長期休暇あり) |
WEB | https://koutarou-su.com/ |
備考 | Myポン酢作り体験は、1本1,296円(税込)。3日前までの要予約。1回につき最大2時間・5人まで。 すだちなどの果汁は不作の影響により、使用できる果汁量が制限される場合があります。 |
さやぱん
自分好みのポン酢が作れてめっちゃ楽しかったです! 電話一本で同じものが追加オーダー可能なのも嬉しいポイントですね♪