今回のナビゲーター
脈 脈子(みゃく みゃくこ)さん
海の生きものを愛するライターで、水族館ラブリスト。特に深海生物を好み、深海性WEBメディア「フカメディア」の編集長もつとめる。
りかごん 「かんでんWITH YOU」編集部員
一人でも行くくらい水族館好きですが、スマシーは初めてです! 脈さんに楽しみ方を教えてもらいながら、スマシーの魅力をお届けします!
待ちきれない! “スマシー”に、いざ潜入
朝9時半過ぎ。平日にもかかわらず、エントランス前は10時の開館を待つ人がたくさん。列のあちこちから「待ちきれない!」という声が聞こえてきそうで、こちらも気持ちが高まります。
シャチを眺めながら食事ができるブッフェレストランの整理券をもらうために、ずいぶん早くから並んでいる人も多いと聞きます。
エントランスをくぐる前から、スマシーでの一日はもう始まっているんですね。ここにいる皆さんが、今日という日をとても楽しみにして来たのが伝わってきます。そしていよいよ開館。ゲートを抜けると......シャチのモニュメントがお出迎えです。とても大きな広場にはキッチンカーの姿もありました。
ここには、スマスイを象徴する三角屋根の本館があったんです。スマシーに建て替えるとき、一番最後まで残っていたのはこの本館。魚たちにストレスをかけないよう、スマシーの建物が完成してからお引越ししたそうです。その後に本館は解体されて、この広場「シーワールドプラザ」になりました。
あぁ! なるほど。それを知って見ると、この広場が違って見えてくるような......。このモニュメントを見るたびに、スマスイは確かにここにあったんだな〜と思い出すことができそうです。
おはようございます。神戸須磨シーワールドの藤田です!
ようこそお越しくださいました。
ここからは広報の藤田誠さんにもご一緒していただいて、ちょっとディープなスマシーの旅に出発です!
目玉はやっぱりシャチ。水族館ラブリストはこう楽しむ!
まずはシャチに会いにいきましょう、と案内されたのは「オルカスタディアム」。パフォーマンスの開演まで少し時間がありますが、すでにたくさんの人が並んでいます。
水がかかる席は人気で、前列席を目当てに2時間前から待たれる方もいます。
2時間待ち! それって、次の回まで待ってでもシャチに水をかけてほしい人がいるということですよね。驚きです。ちなみに「オルカ」とはシャチの学名「オルシナス・オルカ」に由来する呼び名で、「シャチ」は和名だそうですよ。
さぁ! りかごんさん、できるだけ前に行きましょう!
後ろでのんびり見るのと水をかぶりながら見るのでは、まったく違った楽しみ方ができますよ!
思ってもいなかった、まさかの提案。どれくらい濡れるんだろう? ちょっとドキドキしますが、ここは「かんでんWITH YOU」編集部のナビゲーターとして体当たりレポートしてみせます。私たちが座ったのは、右側の前から2列目。スタンドではポンチョやタオルの売り子さんが練り歩いていて、なんだか野球場に来たみたいです。
ポンチョを着て、スマホや時計も濡れないようにしっかりしまって準備万端。BGMがひときわ大きくなり、開演しました。すると、シャチが挨拶がわりにさっそくジャンプ! すごい量の飛沫でトレーナーさんもびしょ濡れですが、私たちは大丈夫でしょうか......?
パフォーマンスを見せてくれたシャチは、母親のステラと娘のランの母娘。どちらも体長は5メートル以上もあるんだとか。あまりの迫力と、しなやかな身のこなしに感動です。
私たちにも、ステラ&ラン母娘からしっかり水かぶりのプレゼント。おかげですっかりずぶ濡れに!あっという間の20分でした。
ずぶ濡れになりましたね! スタディアム上段のお客さんが「前の人たちびしょ濡れで大変そう!」って楽しんでるかも? と思うと、自分たちもパフォーマンスの一部になったような楽しさが湧いてきませんか?
はい! 見え方が全然違いました。こんな楽しみ方があったとは......臨場感たっぷりでとても楽しかったです!
オルカスタディアムの1階にある「ブルーオーシャン オルカスタディアム」では、パフォーマンスが行われるメインプールに面した席で食事ができるんだそう。鴨川シーワールドにある同様のレストランと比べると、水槽の見える幅がとてもワイド。多くの席からシャチを眺められる、西日本唯一のシャチビューレストランなんです。
※2024年8月3日より事前予約制となります。シャチが見られる席は、公式サイトをご確認ください。
神戸牛や丹波鶏、須磨が面している瀬戸内の海の幸、灘五郷の日本酒など、食の宝庫・兵庫の食材を使った地産地消ブッフェには自慢の料理がたくさん並んでいるんですよ。
オルカスタディアムでは、2階の「ポートダイナー オルカスタディアム」で買えるシャチソフトクリームもかわいくておすすめです!
黒と白、ツートンカラーのソフトクリームにチョコの尾びれがついて、さっき見たジャンプ中のシャチみたい! 食べるのがもったいないかわいさですが、溶けないうちに、ペロリといただきました。
受け継がれる “スマスイ愛” にジーン……
シャチがやってきたと沸く関西ですが、須磨海浜公園の再整備事業が発表された時にはスマスイとの別れを惜しむ声も多く聞かれました。ところが、生まれ変わってもスマスイの大切な思い出が受け継がれているポイントがたくさんあるのだと脈さん。
続いて、魚やペンギン、アザラシたちがいる「アクアライブ」にやってきました。
「アクアライブ」の1階は誰でも入れる「スマコレクション」が無料開放されています。例えばこのステンドグラス。見覚えのある方もいるのではないでしょうか?
こちらは、スマスイから移築されたステンドグラス。近くでよく見るとちょっとした傷もあり、スマスイで重ねた時間を感じます。ほかにもオブジェや当時の風景を写した写真パネルが展示されているなど、スマスイの素敵な思い出がたくさんありました。
スマスイにいた魚たちのおよそ9割がスマシーに引っ越してきてるんです。アマゾン館にいたピラルクやアロワナ、(飼育下において)世界最高齢・47歳のロングノーズガーたちにも、「スマコレクション」で会えますよ!
「アクアライブ」の2階から4階では「水の一生」をテーマに、兵庫の山に降った一滴の水が川になり、海に注ぐまでを表現したそうです。水の流れにフォーカスして生きものが展示されているって、おもしろいですよね。
多くの淡水魚やオオサンショウウオ、ペンギン、ウミガメなどのスマスイでおなじみだった子たちにも再会できるって、なんだか同窓会みたいですね。
「アクアライブ」では、泳ぐイカナゴが見られるのも個人的なおすすめポイントです。イカナゴといえば、兵庫ではくぎ煮でおなじみ。甘辛い佃煮の姿とはかけ離れた、イキイキした姿をぜひ見てほしいです。
イルカパフォーマンスの穴場スポットに、かわいすぎる限定グッズも。見どころが盛り沢山!
「ドルフィンスタディアム」にもイチオシポイントがあるというので案内されるままについて行ってみると、静寂な水槽が。ここは一体?
藤田さんに教えてもらった、とっておきのスポット「ドルフィンホール」です。パフォーマンスをあえてここから見ていると、とても不思議な感覚に浸れるんです。
あ!のびのび泳いでいたイルカたちが、急にすばやく動きはじめました。
上でパフォーマンスが始まりましたね!
一度スタンドで見て、次はここで見る、というのも楽しいですよ。
真上で、今まさにパフォーマンス中だとはとても信じられないくらいの静けさです。歓声も、ジャンプしたイルカが着水する音も聞こえてこない空間で、プログラムの裏側を見ているような特別な感じがたまりません。時々、イルカたちの発する鳴き声(ホイッスル)が聞こえることもあるそうです。ここ、ハマりそうかも。
なんだか夢見心地のまま、スマシーでの時間が終わりに近づいてきたみたいです。オルカスタディアムのショップをのぞいてみると、かわいすぎるオリジナルグッズがいっぱい! すれ違う人たちの多くが、シャチのぬいぐるみを抱えています。私も欲しい!
りかごんさん、今日の思い出に「オルカくじ」を引いて帰りませんか?
1回1,200円でかならずぬいぐるみが当たるオルカくじ……? すごい、めっちゃお得感ありますね。これはもちろん挑戦です。
こちらを見つめるカラフルな子たちは、4等の景品。くじを開いてみると、あ! 3等が当たりました。ふわふわでかわいい。部屋に飾って大切にします!
“水族館ラブリスト”も大絶賛。神戸須磨シーワールドでダイナミック&ディープな時間を
スマシーといえばシャチ! と思っていましたが、知らなかった見どころや意外な楽しみ方がこんなにあるなんて驚きでした。シャチのダイナミックなパフォーマンスも、引っ越してきた生きものたちの変わらない日常も、大切にされているスマスイの思い出も、ぜんぶ含めてのスマシーなんですね。
まだまだご案内しきれなかった魅力がたくさんあるんですが、最後にこれだけご紹介させてください。
神戸ポートタワーの近くにもあるモニュメントですよね。前からここにあったんですか?
中のカラフルなブロックは、スマスイの大水槽に使われていたアクリルを、建屋の解体後に砕いて染めたものなんです。これが県内で6つめの「BE KOBE」になりました。
スマシーを見守るように佇むモニュメント。「BE KOBE」には、“神戸の魅力は人にあり”という思いが込められているそう。スマスイを愛したたくさんの人々の思いがここに永遠に閉じ込められているような、そんな頼もしさもスマシーの魅力なのかなと感じることができた一日でした。
ぜひまた、生きものたちに会いに来てくださいね!
神戸須磨シーワールド
住所 | 神戸市須磨区若宮町1-3-5 |
電話番号 | 078-731-7301 |
営業時間 | 10:00〜18:00 ※時期により変動あり |
定休日 | 不定休 |
入館料 | 大人(高校生以上)3,100円、小人(小学生・中学生)1,800円、幼児(4〜6歳)1,800円、シニア(65歳以上)2,500円 ※時期により変動あり |
WEB | https://www.kobesuma-seaworld.jp/ |