舞台は「大阪水上バス」
2023年で40周年を迎えた「大阪水上バス」は、大阪城や中之島を巡る「アクアライナー」、大阪城と道頓堀を行き来する「アクアmini」、大阪港を周遊する「サンタマリア」、船内で食事ができる「ひまわり」の4つのクルーズ船を運航し、“水都・大阪”の魅力を発信しています。
「物流や観光でたくさんの船が日本中を行き交っていた江戸時代は、天満橋を中心に大阪が賑わっていて、まさに大阪は“水都”でした。ところが物流や移動手段が電車に変わっていくとともに、次第に人々の生活が水上から遠のいていきました。そこで1983年、“水都・大阪”の復活を目指して大阪水上バスが開業しました」
そう話してくれたのは、専務の清家將之さんです。
かつては海外の海運会社に勤め、船乗り歴は30余年を誇る清家さん。幾多の海を見てきた清家さんだからこそ感じる大阪ベイエリアの特長は、ずばり「岸が近いこと」。川幅が比較的狭いので、両岸の景色が迫ってくるような臨場感を味わえるといいます。
「サンタマリア」に乗船! 「かんでんWITH YOU」編集部の体験レポート
今回は、大阪・関西万博の会場である夢洲が見えると話題の「サンタマリア」を体験します!
乗船したのは、約45分のデイクルーズ。「サンタマリア」は、コロンブスの旗艦「サンタマリア号」をモチーフに約2倍の規模で建造された船です。
チケットを買っていざ乗船!
サンタマリアの乗船場所は、「天保山ハーバービレッジ・海遊館 西はとば」。デイクルーズは11時発、12時発、13時発、14時発、15時発、16時発の6回運航(※)しています。
※運航時間は季節により異なります
出航前に船の中を探険
サンタマリアは4階建て。1階には展示スペース、2階ではなんと食事を楽しむこともできるとか。
デッキから見える景色はもちろん、船内も十分にお楽しみいただけるようになっています!
航海に必要な器具が展示されたスペースでは、大陸に到達するまでの軌跡などをまとめたパネルが掲示されていて、大航海時代の歴史を学べるようになっていました!
3階は、ワンドリンク付きで500円のチケット(※)を買うと入ることができる特別室「ファーストクラス」。ワンランク上の船上体験をしたい、船の上で落ち着いた時間を過ごしたい人におすすめです。
※ファーストクラスの利用券は、土日祝のみ
いよいよ出航! 「天保山大橋」をくぐるときは頭上に注目
船の旅がスタート。「天保山大観覧車」を右手に眺めていると、すぐに「天保山大橋」にさしかかりました。大阪ベイエリアのランドマークでもあるこの橋は、全長640m。標高4.5mの日本一低い山・天保山を見下ろすように建っています。真下をくぐるときには頭上に注目してください。
もしかしてぶつかっちゃう!? と、ちょっぴりドキドキ。アトラクションに乗っている気分でスリルが味わえます。
次に見えるのは「ユニーバサル・スタジオ・ジャパン」
スタートしてから約10分後には、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のホテル郡が見えてきました。
あれは「ダイナソー(ザ・フライング・ダイナソー)」だ! 学生時代は年間パスポートを持っていたほどのUSJ好きなので、この景色はテンションが上がります。今すぐ向こう岸に行きたくなっちゃいました(笑)
岸が近いからこそ見える景色ですね。こんなところをサンタマリアのような大型の船が通るのはあまりないこと。初めて見たときは、私も感動しました。昔は岸沿いに結婚式場が建っていて、式に参加されている方々と乗船しているお客さまが手を振りあう様子もよく見られたものです。
確かに、こんなに近くに見えるなんて思いもしませんでした。ただクルーズを楽しむだけじゃなくて、まさに大阪のあらゆるスポットを船の上から発見できるのはサンタマリアだからこそですね。梅田のビル郡も見えました!
いよいよお目当ての「夢洲」が……!
トークが盛り上がってきたところで、いよいよ大阪・関西万博の会場となる夢洲が見えてきました。
よく目を凝らすとコンテナの後ろに木造の建造物が! これが会場のシンボルである通称「万博リング」です。ちなみに、2024年10月27日(日)までの土日祝日のみ運航するトワイライトクルーズは、さらに会場に近いルートを通ります。もっと間近に体感したいという方はチェックしてみてください。
「夢洲」はニュースや新聞などで見聞きしてはいましたが、こうして自分の目で確認するとワクワクしてきますね。完成が楽しみです!
トワイライトクルーズではもうひとつ楽しみが。実は、西に開けた港は、大阪港のほかに国内で2つしかないので、太陽が沈む瞬間を間近に見られる数少ない船がサンタマリアなんです。夕陽に向かって進むクルーズ体験では極上の景色が待っています。太陽が沈む直前には、太陽光が緑色に輝いて見える『グリーンフラッシュ』という現象が見られることがあるので、それを狙ってみるのもおすすめです。
「コスモタワー」がお目見え
大阪府咲州庁舎(コスモタワー)が見えてきたところで、クルーズも後半へ。国際フェリーターミナルやIKEAなど、ベイエリアにはランドマークがたくさん点在しています。
ゴール目前の「港大橋」
鮮やかな赤いボディが特徴の「港大橋」です。車で渡ったことはあっても、真下から見るのは初めてという人も多いのでは。
大阪市内のベイエリアと南港を結ぶ全長約980mの橋で、青空とのコントラストがたまりません。中央径間は510mで、これはなんと世界第3位、日本第1位を誇る長さなのだとか。
実は、航空法の基準では海面から60mの高さを超える構造物は赤と白に塗装する決まりがあります。しかし、景観の観点から航空局と協議を重ねた結果、港大橋のカラーは「赤1色」と決まったそうです。
そんな歴史も知ると、より充実したクルーズになりますね。
クルーズ終了!
海遊館と天保山大観覧車が見えてきたところで、約45分の船の旅が終了です。
次から次へと見どころが満載なので、45分間がとてもあっという間に感じました!
次のお休みは、クルーズ体験に出かけよう
「かつての大阪は船が非常に身近な存在でしたが、今は非日常を体験する乗り物になっています。ありがたいことではあるのですが、万博をきっかけに、船が移動手段の一部として皆さまに親しまれるようになれば、これほど嬉しいことはありません」と、力強く話す清家さん。
“水都”として栄えていた昔ながらの大阪の景色が現代に蘇る――まさに、大阪・関西万博の開催は、大阪水上バスにとっての「原点回帰」。そんな背景に思いを馳せながら、あなたも水上から大阪を眺めてみませんか。
【コラム】大阪・関西万博に向けた取り組み
2025年の大阪・関西万博に向けて、岩谷産業は国内初となる水素燃料電池船の旅客運航をスタート。中之島ゲートから大阪・関西万博会場までの移動を特別な体験に変え、水素エネルギーの魅力を世界に発信することを目指しています。なんと、その操船を担当するのが大阪水上バス。運航する水素燃料電池船は水素を燃料としているので、運航時にCO2や環境負荷物質を排出しないのが特長です。
水素燃料電池船の旅客運航は国内初! 関西電力は、運航以外のエネルギーマネジメントの部分で関わっています!
大阪ベイエリアで長きに渡って船を走らせていた私たちにとって、大阪・関西万博に関われることは非常に光栄に感じています。せっかくなら船の移動ならではの楽しみを味わっていただこうと、船をタクシーのように利用できる『おおさかスイバー』というアプリも開発しました。現在は実証実験が終了した段階ですが、実現に向けて改良を続けているところです。そのほかにも万博と合わせて大阪を満喫できる仕掛けを考え中なので、楽しみにしていてください。
大阪・関西万博への期待感がふくらむ話題に、早くも胸が高鳴ります。
大阪水上バス | |
住所 | 大阪府大阪市港区海岸通1丁目 |
アクセス | 大阪メトロ中央線「大阪港」駅より徒歩約10分 |
開催日 | 通年運航 ※2025年1/8・9、1/14~2/7、2/19・20、臨時休業日を除く |
WEB | https://suijo-bus.osaka/intro/santamaria/ |
デイクルーズ(約45分):11:00、12:00、13:00、14:00、15:00、16:00
※12/23~25は16:00の便はなし、12/31は14:00、15:00、16:00のみ運航
※季節により運航時間が異なります
料金:大人1,800円、こども(小学生)900円
トワイライトクルーズ(約60分):7月・8月は19:00発、9月は17:30発、10月は17:15発
※2024年7/6~10/27の土日祝の期間限定運航
※出航時間は季節により異なります
※貸切ナイトクルーズ運航時は運休します
料金:大人2,300円、こども(小学生)1,150円
※天保山大観覧車の乗車券とセットのペアチケット(5,000円)もあり
みかりん
夢洲も間近に見ることができ、大阪・関西万博がますます楽しみになってきました!