日曜朝市はいつから始まった?
日曜朝市が始まったのは今から25年ほど前。上條さんによると、「正確な年ははっきりしませんが、自分の伯父である閆景龍氏がこの近所に住む中国人向けに物産店を構え、お客さんの要望で日曜だけ朝食屋台を出し始めたようです」とのこと。現在は上條さんとお母様が現場に立ち、大勢のスタッフやアルバイトの方々で市を切り盛りしています。
朝市はだいたい5時頃に開き、終わるのは12時頃。とは言っても、7~8時が人出のピークで、10時を過ぎると品物も減っていくので早めに訪問するのがおすすめです。
店頭には、豚まん、腸詰、揚げ饅頭、揚げパン、中国式クレープなどをその場で作って販売する10個ほどの屋台が並びます。他にも、野菜、乾物、肉や魚を売る行商のような人々も出店。いうなれば「本場さながらの中国マルシェ」です。
1,000円で朝市を食べ歩き! 押さえておくべき本場グルメ
早速、朝市グルメを堪能しましょう。どれもお手頃価格なので、「1,000円でどれだけ食べられるか」というテーマで挑戦してみました!
屋台で購入した料理は、華龍食品の横にあるイートインスペースで食べられます。混み合って来るので先に席を確保しておくのが賢明です。
「最近はメディアに出るようにもなり日本人のお客様も増えてきたので、日本語メニューもご用意しています。ご安心を!」(上條さん)
【250円】中国の朝食で定番の豆腐スープ「豆腐脳」
上條さんが「まずコレは食べておくべき」とおすすめして下さったのは、中国でもポピュラーな朝ご飯である「豆腐脳(ドウフナオ)」。名前だけ見ると驚きますが、湯豆腐に近い料理です。気を付けなければいけないのは、何も言わないとお持ち帰り用のビニール袋に入れられてしまうこと。「今食べます!」と伝えて、器に入れてもらいましょう。
毎朝手作りしているやわらかな豆腐に、餡かけのような出汁のスープは身体にも優しい味わい。辛いラー油やパクチーのトッピングは「カライの?」「パクチー?」と聞いてくれるので、「要る」「要らない」を伝えましょう。卓上にもラー油やザーサイがあるので、セルフトッピングも可能です。
【60円】豆乳や豆腐脳に浸して食べるべし!「油条」
豆腐脳の売り場の手前でキツネ色にこんがり揚げられている「油条(ユーティヤオ)」もマストバイ。ほのかな塩味の揚げパンですが、豆腐脳に浸しても、そのまま食べても美味。サクサクでちょっとオイリーな風味がたまりません。
油条に少し似た揚げパンが隣に売られていますが、これは「麻花(マーファー)」という甘いお菓子のようなもの。バター味、あんこ入り、ハチミツ入りの3種があり、1本150円~220円。豆腐脳の横で売られている豆乳(200円)に浸して食べる姿もよく見かけます。
【250円】肉ずっしり! 次々揚げたてが運ばれる「揚げ饅頭」
屋台の右端あたりで、奥から揚げたてがどんどん並べられる「焼餅(シャオピン)」。中に肉と野菜の具が詰まったお焼きのような揚げ饅頭です。
「猪肉元葱(ジゥロウユェンツォン)」「猪肉芹菜(ジゥロウチンツァイ)」など4種がありますが、「猪肉」はイノシシではなく豚肉なのでご安心を。エビ、ニラ、豚肉が入った「三鮮(サンシェン)」が人気ですが、すぐに売り切れてしまう商品。次が揚がるまでに1時間ほどかかるなどレア商品なのでタイミングが合えばラッキーです。
【150円】シンプルだけどしみじみ美味しい「トウモロコシパン」
焼餅の手前に積まれた黄色い物体にも惹かれてしまいますね。こちらはトウモロコシ粉で焼いたパンで、塩味、甘め、蒸しパンの3種があります。中国東北地方の鍋料理に必須の主食ですが、そのまま食べても香ばしく、モチモチ食感もクセになります。
トウモロコシパンは具なしで、そのシンプルな味わいにハマる人も多いのだとか。お好みの種類を見つけて楽しんでください。
【150円】朝からビールが欲しくなってしまう「羊肉串」
ちょっと目立たない場所で売られている「羊肉串(ヤンロウチュアン)」もなかなか日本で食べられない味。ラム肉を炭火でじっくり網焼きにし、クミンや唐辛子をかけて味わいます。スパイシーでお酒が欲しくなる一品です。
「朝市の創始者が中国のハルビン出身なので、中国東北地方にルーツをもつ料理が多いんです。羊肉串もその一つです。」(上條さん)
【150円】日本のものとは似て非なる味! 「豚まん」
残金が140円になったのですが、どうしても食べたくて10円オーバーして買ってしまいました(笑)。〆の豚まん(150円)です。ホカホカと蒸し器の中で湯気を上げていて、見るからに具もたっぷり。
「豚肉と酸菜」「豚肉と玉ネギ」の2種があります。酸菜とは白菜を漬けた酸っぱい漬物のことで、東北地方でよく食べられる郷土料理です。せっかくなので酸菜を選びました。よく味の染みた豚肉と、酸菜の酸味が相まった独特な味わいです。
この日は満腹になってしまったので購入しませんでしたが、中国式クレープ(煎饼果子:ジィエンビングオズ)500円もかなりおすすめ。薄いクレープ状の生地に卵を割り落とし、キャベツ、油条、魚肉ソーセージなどを乗せて焼いて包んだ料理ですが、これ一つでもかなりのボリュームです。
「豆腐脳も豚まんも、麻花や焼餅も、全部お店の2階で手作りしているんです。中国の人々に、故郷で食べるのと同じ美味しい朝食を味わってほしいと、夜中2時からスタッフが用意しています。できたてに勝るものはありません!」(上條さん)
今回は1,000円(1,010円)縛りでグルメを堪能しましたが、計6品も食べることができました! 良心的なお値段と、かなりの満足感にびっくりです。ぜひ朝ごはんを求めて、今回ご紹介したグルメを食べ歩いてみてください。
(小話)日曜朝市のルーツ
大東市付近には在日中国人が多かったことから、25年ほど前より「華龍食品」が同胞のために朝食や生鮮食品を提供する市をスタート。以前は店員も客も中国人のみで日本人にはハードルが高かったが、最近はSNSの発信などで日本人も多く訪れ、日本語もだいたい通じるように。ほとんどの店舗でPayPay使用可。
食べ歩き以外の中国食材も満載! 帰りにお土産を買ってみては
買い食いグルメを楽しんだ後は、自宅で中国気分を味わえるお土産を購入しましょう。
華龍食品の店内には、調味料や乾物、菓子、冷凍食品がズラリ。中央の売り場には牛や豚、アヒルや鴨の丸焼き、燻製、煮込みなど珍しい加工食品が30種ほど山積みにされています。これらは量り売りなので購入のハードルがやや高いですが、日本語も少し通じるのでご心配なく。
「店内の売り場は常設なので、日曜朝市以外でも買い物OK。日本では売られていないような珍しい現地食材が手に入りますよ!」(上條さん)
缶詰や瓶詰、調味料やレトルト食品も安くて種類豊富なので、ついあれこれ買い込んでしまいます。何よりも早朝からの活気と熱気、皆さんのエネルギーに圧倒! 現地そのままの空気感や匂い、味を満喫でき、まさに中国にプチトリップした気分です。
一度訪れるとハマってしまい、リピーターになる人が多いというのも納得。日曜の朝は、早起きして“大阪の中国”へ出かけてみてはいかがでしょうか。
ゆっぴー
大阪にこんな朝市があるとは初めて知りました!
ディープな雰囲気がお好きな方は、ぜひ足を運んでみてくださいね*