「フェリシモ チョコレートミュージアム」とは?
2018年に開港150年を迎えた神戸港。それを記念した再開発プロジェクトの一環として、ファッションや雑貨などを販売する「株式会社フェリシモ」の新社屋が2021年1月に建設されました。同年10月に開館したチョコレートミュージアムは、その社屋の2階にあります。
なぜフェリシモがミュージアムを開館するまでにいたったのか、担当の市川美幸さんに伺いました。
「私たちは、チョコレートは食べる人も贈られた人も、みんなが幸せになれる食べものだと考えています。フェリシモは『ともにしあわせになるしあわせ』をコアバリューとして掲げているので、まさにチョコレートの文化を体感できるこの場所は、フェリシモが考える『しあわせ』を表現しているのです。」(市川さん)
このほか、フェリシモが25年以上に渡って「幸福のチョコレート」という世界各国のチョコレートの通販事業を展開していることや、神戸の発展を支えた西洋文化の一つがチョコレートであることなども理由なのだとか。
全身でチョコレートを感じる、ミュージアムレポート
市川さん案内のもと、さっそくミュージアムの中へ。
はじまりは甘く漂うチョコレートの匂い
最初に足を踏み入れた部屋「Prelude」には、チョコレートの香りが充満しています。中央に置かれた幻想的なオブジェの中に山積みになっているのは、なんとカカオ豆の種皮・カカオハスク。
「チョコレートの製造過程で大量に出るカカオハスクを展示しています。まずはここでチョコレートの世界に浸るための“スイッチ”を切り替えてください。カカオの香りにはリラックス効果も含まれているんですよ。」(市川さん)
常設展や企画展でパッケージの奥深さを発見
次に向かったのは「creative walk」と題された長い廊下。両脇にはチョコレートのパッケージがずらりと並んでいます。
ここでは、ブランドや年代、素材、色など、さまざまな切り口で設定されたテーマにふさわしいチョコレートパッケージを展示。すべて、ミュージアムのコレクションや寄託品で構成されています。取材時は、板チョコに魅せられた右衛門氏のコレクションを世界の地域別にセレクトした「Tablets&Bars ~板チョコで世界を旅する」が開催中でした。
「チョコレートミュージアムは開館以来、国内外のチョコレート愛好家の方々からパッケージの寄贈をいただき、現時点で1万8000点以上のコレクションを有しています。それぞれに異なる特徴や世界観があり、時代背景や文化の違いなども見えてとても奥深いんです。」(市川さん)
さらに足を進めると、一気に空間が広がります。
ここ「art square」では、チョコレートをテーマに多彩なジャンルのアートとコラボレーションした作品を展示。取材時は、フィンランドのアーティストであるヴィルピ・ヴェサネン-ラウッカネン氏がリサイクル収集したお菓子の包み紙で手掛けた、ドレスやコルセットが飾られていました。光に反射してキラキラと光るその姿は、美しい宝飾品のようで思わずうっとりしてしまいます。
「奥の壁の装飾は、彼の作品に刺激を受けた私たちチョコレートミュージアムが作りました。寄贈の呼びかけに応じてくださったチョコレートメーカー「リンツ」さんの包み紙が使われています。」(市川さん)
大きな板チョコと記念に1枚
ガラス張りの眺めの良い空間は、休憩スペース。一角にはチョコレートにまつわる書籍が並ぶライブラリーコーナーがあります。
レシピ本や絵本、ビジュアルブックなど、あらゆる視点からチョコレートの世界を覗けます。さらに進むと、巨大な板チョコが出現!
ユニークな雑貨を企画販売するフェリシモらしい遊び心あふれるオブジェは、大人から子どもまで楽しめる撮影スポット。ホワイトチョコ、ミルクチョコ、ビターチョコ、それぞれ撮影用のグッズがあるので、お気に入りのショットを見つけてください。
50カ国500ブランドが集結! 世界中のチョコレートパッケージ
いよいよメインの「symphonic forest」へ。チョコレートミュージアムが収集した世界中のチョコレートパッケージが、天井の高さまであるショーケースに収蔵・展示されている様子はまさに圧巻のひと言です。
ここでは、国内をはじめ世界50カ国から集めた500ブランドのパッケージを展示。その数は約1万5000点にのぼります。なかには1980年代の国内メーカーのパッケージもあり「懐かしい」「よく食べていたなあ」と思い出に浸る来館者も多いそう。
ちなみに、市川さんに好きなパッケージを尋ねると
「モロゾフですね。クリスマスになると、毎年、モロゾフのチョコレートを父が母にプレゼントしていたんです。そのときの母の喜ぶ顔を幼い頃から見ていたので、モロゾフは幸せな思い出が蘇るパッケージの一つです。」(市川さん)
と、教えてくれました。
時代とともに歩んできたチョコレート。そのパッケージには、たくさんの歴史が刻まれています。昔を懐かしむも良し、各国の色使いの違いに注目するも良し、好きなデザインを見つけるも良し……思い思いの楽しみ方で、じっくりとチョコレートパッケージの世界を満喫してください。
また、中央の「island gallery」でも期間限定の企画展が用意されています。
取材時は「アリカワコウヘイ! 展 マシューくんのチョコレートパーク」を開催。「Chocolate Makes Me Happy!!」をテーマに、アリカワ氏の分身でもあるオジリナルキャラクター「マシューくん」の賑やかで幸せに満ちた世界が展開されていました。
「アリカワさんの作品は『HAPPY!』という一貫したテーマで描かれています。まさにチョコレートを幸せの食べものだと考えるミュージアムの理念に通ずると思い、今回の展覧会を企画しました。このように、パッケージだけではなく、アートやカルチャーの側面からチョコレートの魅力が伝わるようなものをこれからも発信していきたいと考えています。」(市川さん)
出口には、パッケージを寄贈する箱が設置されています。「10万個のコレクションを目指しているので、ぜひご協力ください!」と、市川さん。あなたのパッケージで、チョコレートミュージアムを彩りましょう。
また、常設展や企画展の内容は半期に一度のペースで変更されるので、公式サイトをチェックしてから出かけることをおすすめします。
レアなチョコレートやオリジナルグッズをGET
最後はミュージアムショップへ。ここでは神戸のショコラティエはもちろん、ミュージアムがセレクトしたさまざまなチョコレートを販売しています。ときには、企画展にまつわる限定グッズや図録が登場することも。
フェリシモプロデュースのオリジナルグッズも充実。人気はミュージアムのロゴがプリントされたエコバッグ(2200円)や、最も美味しく見える割れ方を追求して作られた「板チョコチャーム」(770円)です。
商品は不定期で入れ替わり、何度行っても新鮮な気持ちで楽しめます。さらに、バレンタインデーやホワイトデーの時期には、バイヤーが厳選したとっておきのチョコレートを取り揃えているので要チェック。めくるめくチョコレートの世界を堪能してください!
住所 | 兵庫県神戸市中央区新港町7-1 Stage Felissimo 2階 |
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開館時間 | 11:00~18:00(最終入館は17:30) |
入館料 | 一般1000円、学生800円、小学生300円、小学生未満無料 ※そのほか団体割などあり |
休館日 | 年2回の春と秋の展示替えの時期 |
web | https://www.felissimo.co.jp/chocolatemuseum/ |
@felissimochocolatemuseum |
チョコレートの香りやレトロで落ち着いた雰囲気が漂う、とても素敵なミュージアムでした。
穏やかな幸せ空間に包まれたい方には特におすすめしたいスポットです♪