※この記事は2023年11月30日に公開した内容をアップデートしています。写真は公開当時のものです。
入り口がわからない? 最近増えている「スピークイージー」なお店って?
そもそも、お客さんにたくさん来て欲しいはずのお店が、なぜ入り口がわからないようにしているのでしょうか?その理由は、禁酒法が成立された1920年代のアメリカで、お酒を密造し、提供していたバーを「スピークイージー」と呼んでいた歴史があります。当時は、警察の目を逃れるために「こんなところから!?」と驚くような入り口が各所に設置されていたそう。現代では、隠れ家バーの総称として使われ、遊び心溢れるお店がスピークイージーを取り入れることも増えています。
街を歩いていても、バーの入り口とは気付かずに通り過ぎてしまうような外観。隠れ家に入っていくドキドキ感も、話題になる理由の一つかもしれません。
秘密の入り口は電話ボックス! 「Bar Call me Tell me」に潜入
大阪・天王寺駅から徒歩約10分、居酒屋などのお店が並ぶなか、突如現れる赤い電話ボックス。薄暗い灯りに照らされながら、ロンドンに来たかのような異国感を放っています。少し見上げると、「Bar Call me Tell me」の表記。こちらが、隠れ家バーへの入り口です。
赤い扉を押して入店! 電話ボックスとバーがつながっているという、まるで映画のような体験…。この先にはどんな景色が広がっているのか、好奇心に掻き立てられながら足を踏み入れます。
入ってみると、店内は落ち着いたカウンターバー。バーテンダーとの会話を楽しみに、一人でもふらっと立ち寄れるような和やかさがあります。
バーの入り口は赤い電話ボックスに、と立案したマスターバーテンダーの三谷悠一郎さん。スピークイージーなお店にしたのは、アメリカに実際にあるホットドッグ店に影響を受けたのだそう。ごく普通のホットドッグ店の奥に電話ボックスがあり、電話をかけるとバーへの道が開かれるのだとか。「そこに面白さを感じ、お店を作る際に入り口を赤い電話ボックスにしました」と三谷さんは話します。
幅広い客層が訪れるという「Bar Call me Tell me」。なかには、20歳になった記念に、とバーへのドアを開けるお客さんもいるのだそう。
新しいお酒に挑戦していただくため、あえてメニューを置かないのもこだわり。その場でお客さんの希望を聞き、一人ひとりに合ったカクテルを作ってくれます。
今回オーダーしたのは、「さっぱりとしたフルーツ系のカクテル」。スポットライトの下で丁寧に作り始めたのは、18歳からバーテンダーを始めたという竹田晴暢さんです。当時働いていたホテルのバーテンダーに憧れ、勉強していくうちに、お酒の深さや楽しさに没頭していくようになったそう。
楽しく話している間に、ベージュに鮮やかな水色が映える爽やかなカクテルが完成。白ワインベースのジンとマスカットリキュールを使用し、フルーツの香りもフワッと感じられます。
味の希望を伝える人が多いそうですが、「あの日の夏の思い出のような味」や「私に合うようなもの」と注文する人も。お客さんと話しながら頭の中でイメージし、味を理想に近づけていくのだそうです。
どんなお酒にするか迷っている人には、優しく提案もしてくれるので安心を。目の前で作っている様子を見ながら、出来上がりを待ちます。
ひとりでも、バー初心者でも安心ですね!
サービス料にはチャーム代も込み。今回はどんなお酒にも合うようにと、クラッカーに生ハムとガーリック・ハーブのチーズ盛り、ドライイチジクを用意してくれました。三谷さん、竹田さんの気分によって変化するのも、楽しみの一つですね。
チャームとは、バーで最初に飲み物を頼んだ際に出てくる、スナックやナッツなどのちょっとした小鉢のことを指します!
次は「甘くてさっぱりした、ここでしか飲めないような一杯」とのオーダーに、三谷さんが応えてくれました。竹田さんと同じく、18歳の頃からバーテンダーをしている三谷さん。「いろいろな世界で活躍している人の話を聞く面白さや、作ったものを美味しいと言ってもらえることの嬉しさ。そんな経験をしていきたいと、バーテンダーとして働くことを決意しました」
お二人とも「バーテンダーやバーが好き」と話す姿が印象的で、仕事を楽しむ気持ちが伝わってきました。
完成したのは、卵白を使ったカクテル。カプチーノのような見た目ですが、お酒の上に泡立てた卵白をこし、ビターズという苦みの強いリキュールを垂らしてラテアートのように描いています。すだちの皮や、カルダモンのスパイスが香り、まろやかな酸味が心地良い一杯です。
時季によって、フルーツの種類が変わるのも楽しいポイント。クリスマスが近づくとイチゴが登場するそう。
カクテルからも季節を感じ取ることができていいですね!!
そしてお酒と一緒にぜひ食べたいのが、ブランデー入りの生チョコです。バーテンダーになる前に、調理師の学校にも通っていたという三谷さんの手作りで、その都度入れるブランデーを変えているのだとか。口に入れると柔らかいチョコレートがとろけていき、ふんわりとブランデーの香りが広がります。
「Bar Call me Tell me」には2階もあります。
1階店内には階段のようなものが見当たりませんが、なんと奥にある本棚が2階への入り口! スライドさせて開けると、2階への螺旋階段が奥に。また、トイレの扉も壁と同化して見えにくいよう、仕掛けが隠されています。
2階は、ちょっとさびれた雰囲気が隠れ家らしさを強調しています。赤い消火栓のデザインが気に入って購入したという椅子や机は、電話ボックスの赤色とリンクさせているそう。
「お酒の力を借りて、友達や家族、同僚には言えない悩みごとをバーテンダーに話しにくる人もいます。疲れた日、ここに来て息抜きをして、次の日もがんばろうと思ってくれたら嬉しいですね」と三谷さん。
また、お二人とも「いろいろな人と関わりをもてるのが楽しい」とのこと。店内に飾られている小物や備品のほとんどは、お客さんからのいただきものなのだとか。笑顔が素敵なお二人と話していると、また来たいという気持ちになりました。
居心地の良いバー「Bar Call me Tell me」への隠し扉を、ぜひ開けてみてください。
隠れ家バーでゆったりお酒を楽しもう
日本のみならず、海外にも点在しているというスピークイージーなお店。普段何気なく通り過ぎている、あの自動販売機や電話ボックスも、誰かの隠れ家だったりして…? そんな妄想を膨らませながら街を歩いてみるのも、楽しみ方の一つかもしれません。
店名 | Bar Call me Tell me |
---|---|
住所 | 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋3-8-21 |
営業時間 | 19:00~翌5:00 |
定休日 | 木曜日 |
https://www.instagram.com/barcallmetell |
ゆっぴー
入口から遊び心満載のお店には、思わず入りたくなってしまいますね!!入口がわからない店を巡ってみたいと思いました!!