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廃校となった小学校の跡地を活用した神戸市のコミュニティ型複合施設「NATURE STUDIO」が、今、注目を集めています。「自然と暮らしをつくる」をコンセプトに、小さな水族館やニジマス釣りができる池、「エディブルプランツ」が植栽された森などを通じて、カジュアルに自然と触れあえるのが最大の魅力。今回は、「かんでんWITH YOU」編集部のさっさんが実際に施設を巡る中で感じた、自然と暮らす心地よさをお届けします。

NATURE STUDIOとは

画像1: NATURE STUDIOとは

三宮駅からバスに乗って約20分。141年の歴史がある旧湊山小学校をリノベーションしたNATURE STUDIOは、校舎だった建物の一部を水族館やフードホールに様変わりさせ、さらにビール醸造所やグリーンショップなども入った複合施設として2022年にオープンしました。今では、保育や就労支援など地域のための施設も入り、地元の人からも多く利用されています。

画像2: NATURE STUDIOとは

かつて子どもたちが走り回っていた校庭は、グリーンが植栽された森やニジマス釣りを楽しめる池、多彩なイベントが開かれる広場へと姿を変えました。

施設内では、ランドセル置き場を活用した棚や授業で利用していた黒板、一部の階段や窓もそのまま活用。油と歴史が染みこんだフローリングも再利用され、初めて訪れたのにどこか懐かしさも感じられます。

画像3: NATURE STUDIOとは

NATURE STUDIOがある湊山エリアは、神戸が急成長した時代のニュータウンとして開発された歴史を歩んできました。しかし時代とともに転入数が減少し、少子高齢化や空き家問題が大きな課題に。そんな状況を近くで見ていたのが、同施設の事業主体である村上工務店代表取締役の村上豪英(むらかみ たけひで)さんです。

実は村上さん自身も、かつて湊山小学校で学んでいたそう。「湊山エリアの魅力である豊かな自然や昔ながらのコミュニティは、特に子育て世代に喜ばれるのではないか」と、小学校の跡地活用事業者のコンペティションに応募。「自然と暮らしをつくる」をコンセプトにしたNATURE STUDIOを通じて、地域の人々はもちろん、エリア外からも多くの人が訪れ、地域のにぎわいや活性化へつながることを目指しています。

NATURE STUDIOで自然と過ごす1日

画像: (cap)上戸了子さん

(cap)上戸了子さん

今回は、そんなNATURESTUDIOの魅力を、施設の運営を担当する有限会社リバーワークスの上戸了子(かみと りょうこ)さんに案内していただきました。

画像1: NATURE STUDIOで自然と過ごす1日
画像5: 身近な心地よさを再確認。NATURE STUDIOで見つめる、自然との共生

一番最初に目に飛び込んでくるこの特徴的な建物は…?

画像6: 身近な心地よさを再確認。NATURE STUDIOで見つめる、自然との共生

施設の顔ともいえる印象的な外観ですが、こちらは、神戸大学教授も務めるティーハウス建築設計事務所の槻橋修さんが考案した『フレームグリッド』という手法でデザインされています。よく見ると、45cmの立方体から植物が少しずつ芽吹いているのがおわかりでしょうか。この構造物から有機物が育っていく様子が、地域再生のシンボルになればという想いでつくりました。

画像2: NATURE STUDIOで自然と過ごす1日

「自然と暮らしをつくる」をコンセプトにしているだけあって、環境への意識が高いのがNATURE STUDIOの特徴。

「実は公募では必ずしも校舎を残す必要はなかったんです。ただ、地域の方々にとって小学校はアイデンティティの象徴ともいえる存在。さらに天井が高い体育館などを有効活用することが、何よりも環境に貢献できるのではないかと考えました」

みなとやま水族館|見せ方に工夫を凝らした小さな水族館

画像1: みなとやま水族館|見せ方に工夫を凝らした小さな水族館

NATURE STUDIOの中でも人気を集めているのが、こちらの「みなとやま水族館」です。

「生きものと語ろう」というコンセプトに沿った水族館だけあって、じっくりと生きものを観察できるように、敢えて順路を設けず、椅子やクッションに座って鑑賞できるのが魅力。時間が経つのを忘れて、生きものの美しさや動きの面白さを楽しめます。

画像10: 身近な心地よさを再確認。NATURE STUDIOで見つめる、自然との共生

座ってじっくり魚を見るって、思い返すとあまり経験したことがないですよね。間近で見られるからこそ、まるで自分も水の中に入ったような感覚になります。

画像2: みなとやま水族館|見せ方に工夫を凝らした小さな水族館

懐かしい学校の椅子に座ったり靴を脱いでじゅうたんの上でくつろいだりしながら、魚がゆらゆらと泳ぐ姿を間近で眺められるなんて…。なんだか夢心地です。

画像3: みなとやま水族館|見せ方に工夫を凝らした小さな水族館

展示室には、水槽の上で水耕栽培を行っている様子も観ることができます。「魚の糞が分解されて野菜の栄養分になっている様子を見ていただけます」と上戸さん。

ただ楽しいだけでなく、自然のしくみを学ぶことができるのも、NATURE STUDIOならではの体験です。

魚やクラゲ、鳥類やフタユビナマケモノなど約250種類の生きものに出会えるみなとやま水族館。かつて図書館や理科室だった特別教室で子どもたちが勉強したように、生きものの生態を学べる施設です。

FISH POND|フライで食べられるのもうれしいニジマス釣り体験

画像1: FISH POND|フライで食べられるのもうれしいニジマス釣り体験

水族館の前には、ニジマス釣りを楽しめる釣り堀「FISH POND」があります。

受付を済ましたら、いざ魚釣りにチャレンジ! といっても池の中にはたくさんのニジマスが泳いでいるので、魚釣り未経験という人でも簡単に釣れるとのこと。生き餌も使わないので、虫が苦手という人も安心です。

画像19: 身近な心地よさを再確認。NATURE STUDIOで見つめる、自然との共生

魚釣り経験がほとんどない私も実際にチャレンジしてみましたが、あっという間に竿に魚がかかりましたよ!小さな子どもから大人まで、みんなが一緒に楽しめますね!

画像2: FISH POND|フライで食べられるのもうれしいニジマス釣り体験

また、釣ったニジマスは近くのGARDEN KITCHENでフライにしてもらえます。

画像20: 身近な心地よさを再確認。NATURE STUDIOで見つめる、自然との共生

魚釣りだけではなくしっかりと食べていただくことで、生きものの循環を体感できます。

open air|給食室がビール醸造所に!?

画像1: open air|給食室がビール醸造所に!?

かつて給食室だった空間は、設備の特徴を活かし、神戸発のクラフトビールブランド”open air”の醸造所に生まれ変わりました。神戸の地下水やその時期に取れる素材を使った季節の移り変わりを感じられる、まさにオープンエアなクラフトビールを醸造しています。

画像2: open air|給食室がビール醸造所に!?
画像21: 身近な心地よさを再確認。NATURE STUDIOで見つめる、自然との共生

すごい!扉の前を通るだけで、ビールの醸造の香りが漂ってきて、幸せな気分になります。

すごい!扉の前を通るだけで、ビールの醸造の香りが漂ってきて、幸せな気分になります。

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ビール造りに携わるスタッフは、クラフトビールの本場として知られるオレゴン州ポートランド出身のヘッドブルワー、ベン・エムリックさんをはじめ、国際色豊か。すでに地元・神戸をはじめ、東京や北海道にも出荷するなど、クラフトビール界でも注目を集めています。

FOOD HALL|体育館をリノベーションした飲食エリア

画像1: FOOD HALL|体育館をリノベーションした飲食エリア

このできたてのビールを味わえるのが、みなとやま水族館の上階にあるFOOD HALL。かつて体育館だった空間をリノベーションしているだけあって、天井が高く、屋内にいながら開放的な気分でビールやこだわりのカレー、りんごスイーツなどを味わえます。

画像2: FOOD HALL|体育館をリノベーションした飲食エリア

ズラリと並ぶタップから注がれるできたてのクラフトビールは、定番のIPAなどをはじめ、季節限定やNATURE STUDIO限定のものもあり、どれを飲もうか迷ってしまうほど。スタイリッシュなラベルの缶ビールも販売され、おみやげにもおすすめです。

画像24: 身近な心地よさを再確認。NATURE STUDIOで見つめる、自然との共生

休みの日に窓の外に見えるグリーンをみながら、クラフトビールを飲む…。控え目に言って最高です…!

画像3: FOOD HALL|体育館をリノベーションした飲食エリア

ビールと合わせていただきたいのが、神戸発祥の「マンドリル」が手がけるカレー。牛すじや季節野菜、バターチキンなど9種類から2種類のカレーを選べるプレートは、白米または玄米と一緒にいただけます。大人にとっては、学校給食でも人気のカレーを、ビールと一緒に味わうなんて……。元々学校だった施設だけに、少し背徳感もありますね。

そのほか、青森りんごで作ったスイーツを提供する“あら、りんご”も見逃せません。大きなリンゴで作るりんご飴やタルトタタン、蜜入りりんごのアップルパイなど、りんごスイーツが充実しています。

PICNIC GARDEN|エディブルプランツが植栽されたガーデン

画像1: PICNIC GARDEN|エディブルプランツが植栽されたガーデン

フードホールでひと休みしたあとは、元校庭をリノベーションしたPICNIC GARDENへと向かいましょう。園内に植えられている植物は、実際に食べたり薬用にしたりできる「エディブルプランツ」が中心。「実際に体の中に取り入れてもらうことで、より自然を身近に感じてほしい」との想いから、実っている果実はその場で食べてもOKなのだそう。

画像2: PICNIC GARDEN|エディブルプランツが植栽されたガーデン

芝生の空間もあり、子どもたちがよく遊んでいます。

画像27: 身近な心地よさを再確認。NATURE STUDIOで見つめる、自然との共生

緑に囲まれて、駆け回る子ども達を見ながら風に吹かれる…。心が浄化されていくのを感じます。

HERB SHOP|帰った後も暮らしに自然を取り入れる、グリーンショップ

PICNIC GARDENの果樹などの植栽を手入れをしているのが、こちらのHERB SHOP。観葉植物のほか、ハーブや野菜、果樹の苗木など、エディブルプランツを取り扱っているのが特徴です。

画像30: 身近な心地よさを再確認。NATURE STUDIOで見つめる、自然との共生

お店に入ると、すぐにハーブの良い香りが身体を包んでくれます!

画像1: HERB SHOP|帰った後も暮らしに自然を取り入れる、グリーンショップ
画像2: HERB SHOP|帰った後も暮らしに自然を取り入れる、グリーンショップ
画像3: HERB SHOP|帰った後も暮らしに自然を取り入れる、グリーンショップ

こちらで販売しているアロマオイルやアロマスプレーは、通常ゴミとして処分される剪定したハーブから抽出したものを使用。環境に配慮したユニークな商品は、エシカル消費への関心が高い人たちからも選ばれています。

また、エディブルプランツ寄せ植えワークショップなどのイベントも定期的に開催。店員さんと会話を楽しみながら、自宅で育てるエディブルプランツを選ぶのも楽しそうですね。

画像4: HERB SHOP|帰った後も暮らしに自然を取り入れる、グリーンショップ

このHERB SHOPのスタッフとしても働く上戸さん。実は元々虫が苦手ということもあり、これまではあまり植物と縁のない生活を送っていたそうです。

「HERB SHOPのスタッフになってからは、料理にハーブを取り入れたりアロマオイルを楽しんだり植物を生活に取り入れるようになり、ブドウの生育にもチャレンジしています。植物が身近になって、暮らしそのものがより豊かなになった実感がありますね。水族館だけでなく、施設全体の自然を感じて、ぜひご自宅での生活にも自然を取り入れていただければうれしいです」(上戸さん)

自然とともに生きる心地よさをあらためて実感

画像: 自然とともに生きる心地よさをあらためて実感

「自然と暮らしをつくる」と聞くと、少し難しいと感じるかもしれません。しかし、NATURE STUDIOを通じて、日頃忘れてしまいがちな“自然の心地よさ”をあらためて実感できました。上戸さんも「決して難しく構えることなく、できるところから自然を取り入れてほしい」と話します。この体験をきっかけに、自然とともに生きることを意識してみるのもいいかもしれません。

画像31: 身近な心地よさを再確認。NATURE STUDIOで見つめる、自然との共生

さっさん

「最近自然とのふれあいが少ないなぁ…」という方には特におすすめの、手軽に自然の心地よさを感じることのできるスポットです!

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