今回は、WITH YOU編集部さっさんと一緒に、新メンバー「みかりん」がお邪魔してきましたよ!
※この記事は、2023年5月23日に公開した記事をアップデートしています。掲載している写真や購入した商品はは公開当時のものです。
日本の“香り”は1400年以上の歴史がある
暮らしの身近にある「香り」
香水や石けん、シャンプーなど、 “香り”は私たちのライフスタイルに欠かせません。気持ちを整えたり、気分を上げたりと、香りをうまく使っている人もいるのではないでしょうか。
香りの歴史をさかのぼると、西洋では1920年代から、植物から抽出された精油を使い心身の健康をうながす「アロマテラピー」が誕生しました。いっぽう日本では1400年以上も前から、天然原料を使う「香り」が使われてきました。
いつの時代も、香りは「たしなみ」に使われている
平安貴族も“香り”を楽しんでいた
香りについて教えてくださったのは、「薫習館」を運営する、お香の専門店「香老舗 松栄堂」専務取締役の畑 元章さん。
「飛鳥時代、大陸からの仏教伝来とともに日本に香りがもたらされました。香りについてのもっとも古い記録は、『日本書紀』に記されています。595年、淡路島にたどり着いた香木を薪として燃やしたところ、良い香りがたちのぼったそうです。奈良時代は仏教儀礼でお香が使われていましたが、しだいに貴族たちが日常生活でも楽しむようになりました」。
「平安時代、貴族たちは香原料を調合して自分だけの香りを作っていました。香原料を練り合わせた『薫物(たきもの)』を炭火であたためることで、香りを部屋や髪、衣服に移して自分だけの香りとして楽しんでいたようです。香りは、社会的地位や教養、センスの良さを示す“たしなみアイテム”でもありました。
紫式部『源氏物語』には、香りを効果的に使うシーンが多く描写されています。特に有名なのが第3帖『空蝉(うつせみ)』です。空蝉という女性は、暗闇のなか漂ってきたよい香りで光源氏の来訪に気づきますが、彼女は身分の違いから逃げ出してしまいます。光源氏は空蝉が置いていった着物を持ち帰り、残り香のある着物をなごり惜しく抱きしめる、という話です」。
「江戸時代、スティックタイプのお線香の製造技術が大陸より伝えられます。お線香は火をつけて消えるまでの時間を計ることができるため、寺子屋や遊廓などで時計の役割をはたしていました。香りを楽しむ文化が町人に広まったのもこの頃です」。
現在は仏教行事でお線香が使われるほか、お部屋でのリラックスタイムにお香を焚いたり、クローゼットに「匂い袋」をしのばせて洋服に香りを移したりと、 暮らしに“香り”を取り入れて楽しむ人も多いようです。昔も今も変わらず、香りは「たしなみ」として使われているのですね。
「薫習館」とは?
撮影もSNS投稿も自由なおでかけスポット
「薫習館」は、「松栄堂 京都本店」に隣接する、“香りの情報発信拠点”です。さまざまな種類の香りを実際に楽しんだり、香りの歴史を学べたりするスペースのほか、国内外のアートを展示するギャラリー、聞香体験(月1回程度/要予約)などを行うイベントスペースがあります。
館内は写真も動画も撮影自由、SNSへの投稿も大歓迎だそう。おしゃれな展示が多いので、たっぷり撮影しちゃいましょう。
おしゃれな写真が沢山撮れるので、思わずSNSに投稿したくなりますよね!
原料を実際にかいでみよう
主な体験スポットは、1階にあるKoh-labo「香りのさんぽ」スペースです。
天井から吊り下がる「かおりBOX」は、大きな箱をかぶって香りを楽しむ仕掛けです。それぞれ「常温で香るお香」「熱を加えることによって香るタイプの『練香』」「素材そのものの香りを楽しむ『香木』」と香らせる方法の異なる3種類の香りで満たされています。※展示の香りは変更になることがあります
中に入ってびっくり!BOXごとに違う薫りで、癒されます~。私はかおりBOX 01が好きかな!
お香の原料は数十種類あり、それらのほとんどが中国やインド、東南アジアからの輸入品です。「沈香(ぢんこう)」「白檀(びゃくだん)」などの香木や、スターアニスといわれる「大茴香(だいういきょう)」といった乾燥果実、樹から取り出した樹脂、巻貝のフタなどがあります。白い円柱の中には、それぞれお香の原料が入っています。ラッパに鼻を近づけてポンプを押すと、原料ならではの野趣あふれる香りを体験することができます。
これらの原料を何種類も調合し、さまざまな香りが作り出されています。薔薇や紅茶などなじみのある香りも、天然原料を組み合わせて作られているというのは驚きですよね。
こちらは、原料の合わせ方で香りがどのように変わるのかを体験できるスポット。「原料が1種類の香り」「原料2種類を同量合わせた香り」「さらに2種類を合わせた香り」「10種類以上の原料を調合した香り」があります。
ちなみに、「松栄堂」で調合をおこなっているのは専門の調合師さん。詳しいレシピは社内でも秘密なのだとか。茶道家元お好みの茶席の香を調整したり、新しい香りを開発したりするのも、調合師さんの技によるものだそうです。
お香の歴史、お香の種類や使い方は、タブレットで見ることができます。
お線香は、海外から運ばれてきた原料を粉末にする、計る、調合する、水を加えてこねる、線状に成形する、長さを切り揃える、乾燥させる、といったステップで作られます。現在は機械で製造される線香もありますが、「松栄堂」の高級線香は、京都本店2階にある「香房」にて昔ながらの手作業で丁寧に作られているそうです。
どの香りが出るかはお楽しみ。お香のガチャガチャ「薫ガチャ」
こちらは、ミニ線香の「薫ガチャ」(1回500円)。すっきりとした香り、甘く華やかな香りなど6種類の香りがあり、どの香りが出るかはガチャを回してみてからのお楽しみ。「当たり」が出ると、お香立をプレゼントしてもらえます。
自分へのプチみやげにぴったりですね!
「松栄堂」でショッピング
創業約300年の老舗「松栄堂」が運営する「薫習館」
楽しみながら“香り”と触れ合える体験型ミュージアムの「薫習館」ですが、こちらを運営しているのが、お香の専門店「松栄堂」です。京都御所で水や氷の管理を行う主水(もんど)職だった3代目がお香づくりを始め、現在にいたるまで約300余年、一貫してお香の製造と販売を続けています。
お線香、練香、匂い袋など数百種類ものお香を取り扱っており、仏教各宗派の本山御用達でもあります。
ふだん使いできるお香を選び、思い出を持ち帰ろう
「薫習館」は「松栄堂 京都本店」と隣接しており、ミュージアムを体験した後に訪れればさながらミュージアムショップのように楽しめます。こちらには、高級線香から、日常づかいできるお線香、本格的な香道用具、お部屋で使えるインセンス、匂い袋、お香立などさまざまなお香やグッズをラインナップしています。ちなみに、20〜40代の女性に人気なのは、フルーツや紅茶などのフレッシュな香りだそう。
お香選びのポイントは、実際に香りをかいでみること。店員さんにお願いすれば、お香に火をつけてもらえます。好みやライフスタイルに合う香りに出会い、ぜひ暮らしに“香り”を取り入れて楽しんでみてくださいね。
スポット | 松栄堂 薫習館 |
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住所 | 京都市中京区烏丸通二条上ル東側 |
電話番号 | 075-212-5590 |
開館時間 | 10:00〜17:00 |
定休日 | 不定休 |
入場料 | 無料(体験会などは有料) |
公式HP | http://www.kunjyukan.jp |
公式Instagram | https://www.instagram.com/shoyeido_kunjyukan/ |
さっさん
薫習館を出た後も1日中お香のいい香りが全身からただよってきて癒されました!天候に左右されず無料で遊べるので、京都に行ったらぜひ訪れてみて欲しいスポットです!