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 今、SNSなどでも「名建築」がキーワードとなって盛り上がりを見せています。名建築と呼ぶにふさわしい芸術的な建物の中で過ごす時間は特別感もあって、とてもワクワクさせてくれます。関西エリアにはどんな名建築があるのか、そしてどんな時間が過ごせるのかいくつかご紹介しましょう。

※2022年7月29日に公開した記事をアップデートしています。記事内の写真は記事公開当時のものです。

“名建築巡り”ブーム

 「建築」はさまざまな用途の建物全般を指す言葉ですが、単なる建物としての意味合いを超えて、その造形美が立派な芸術といえるでしょう。巨匠が手がけた名建築や趣深い歴史ある建築物などには、構造や装飾など知識欲を満たしてくれるような見どころが満載です。

昨今はSNSが流行している背景もあり、思わず写真に撮りたくなるような建築や、その建物の中で時間を過ごせるような建築が人気を博しています。
また、レトロカルチャーや純喫茶のブームもあり、古くからある建物の良さを活かしたリノベーション建築も近年注目されています。

画像: “名建築巡り”ブーム

2021年にテレビ大阪で制作されたドラマ「名建築で昼食を」はファンも多く、同年の日本民間放送連盟テレビ/ドラマ番組部門優秀賞を受賞。2022年8月からは続編の「名建築で昼食を 大阪編」がスタートしました。

世界的建築家の“作品世界”で過ごす

 建築にあまり詳しくない人でも知っているであろう隈研吾さんや、2025年大阪・関西万博の会場デザインを担当する藤本壮介さんなど、日本にはたくさんの「名建築家」がいます。そこでまずは、関西で楽しめる「世界的建築家」の建築を紹介しましょう。建築家の特徴が色濃く出ている施設は、まさに「芸術作品」。その作品の中で過ごす時間は、まるで自分が作品と一体化したような、不思議なアート体験ともいえます。自分自身で美しい写真を撮るのもいいですが、「作品の中にいる私」を誰かに撮ってもらうのもいいですね。

淡路島に現れた坂茂建築「禅坊 靖寧」で癒しの時間

 「古い建築」だけが名建築ではありません。ゼロから作り上げる新築だからこそ、建築家のクリエイティブやコンセプトが大胆に出せる、名建築になり得るのです。

画像1: 淡路島に現れた坂茂建築「禅坊 靖寧」で癒しの時間

2022年春、淡路島に登場したのは世界的建築家・坂茂が手がける「禅坊 靖寧」。見た目のインパクトに圧倒されてしまいそうですが、こちらは「禅坊 靖寧(ぜんぼう せいねい)」という、座禅リトリート&レストランになっています。

画像2: 淡路島に現れた坂茂建築「禅坊 靖寧」で癒しの時間

こちらの建築を手掛けたのは坂茂(ばん しげる)さん。2014年に建築の分野では国際的な権威となる「プリツカー賞」を受賞、フランス芸術文化勲章コマンンドゥールを受賞している国際的な建築家です。坂茂さんの建築の特徴はなんといっても「自然との調和」。木や紙を多用することでよく知られています。こちらの「禅坊 靖寧」もまさに、自然豊かな淡路島のこの立地をこれ以上ないくらい堪能できる設計になっています。

宿坊での宿泊が滞在のメインとなりますが、この名建築は心身をととのえるためにつくられた施設。そのアクティビティを体験することこそが、名建築を堪能することにもなります。全長100メートルのウッドデッキはさながら「空中回廊」。ここで行われる「空中禅」のアクティビティは極上の体験です。

画像3: 淡路島に現れた坂茂建築「禅坊 靖寧」で癒しの時間
画像4: 淡路島に現れた坂茂建築「禅坊 靖寧」で癒しの時間

他にも、豆腐やお粥、淡路島産の野菜などを使用して独自に開発したヘルシーな「禅坊料理」に加え、精神を集中して文字をしたためる書道、香道、茶道など、5種のコンテンツを組み合わせた日帰りのリトリートプラン「ZEN Wellness Plan」や、「起きて半畳、寝て一畳」の精神に基づく1泊2日の「ZEN Stay Plan」など、滞在時間や目的に合わせたリトリートができるようになっています。

画像5: 淡路島に現れた坂茂建築「禅坊 靖寧」で癒しの時間

体と心をととのえながら、その身を名建築の中に置く……。自然を感じさせる坂茂建築の中で心と体を解放する時間は、単に「映え」ではなく、体ごとダイブするからこそ得られるものです。都会では決して味わえない、一味違ったマインドフルネス体験ができること間違いなしです。

スポット座禅リトリート&レストラン〈禅坊 靖寧(ぜんぼう せいねい)
住所兵庫県淡路市楠本字場中2594-5
公式サイトhttps://www.zenbo-seinei.com/

関西出身「安藤忠雄」の世界

 関西で名建築家といえば、外せないのは「安藤忠雄」さんです。

安藤忠雄さんは1941年大阪府大阪市生まれの建築家。代表作「光の教会」や直島の「地中美術館」などにみられるように、コンクリートの打ちっぱなしと計算された光の空間が特徴的といえるでしょう。世界的に評価が高い建築家ですが、拠点は大阪なので必然的に関西エリアには「安藤忠雄建築」が数多く存在します。

最新の安藤ワークス「丸福楼」任天堂本社がホテルに!?

 そんな安藤忠雄さんが今年手がけたことで話題の名建築を紹介しましょう。

画像1: 最新の安藤ワークス「丸福楼」任天堂本社がホテルに!?

京都・鍵屋町に2022年4月にオープンしたばかりのホテル「丸福樓」です。ここはもともとゲーム機器・玩具メーカーとして有名な「任天堂」の旧本社社屋でした。

画像2: 最新の安藤ワークス「丸福楼」任天堂本社がホテルに!?

1930年代から1950年代にかけて実際に任天堂の本社として使われており、創業家の山内家の住居としても使用されていた歴史的建造物の3棟に加え、新しく建てられた1棟を加えた全4棟。その全体監修は安藤忠雄さんが務めています。緑色のレンガ屋根やモダンなタイルなど、アール・デコ調のこちらの建物は、重厚感たっぷりのレトロな雰囲気。

画像3: 最新の安藤ワークス「丸福楼」任天堂本社がホテルに!?

宿泊する際は、ぜひホテルでの滞在時間を増やし、館内を隈なく巡るようにしましょう。

画像4: 最新の安藤ワークス「丸福楼」任天堂本社がホテルに!?

倉庫から発掘された木箱や調度品など、客室内も含めて館内の至るところで使用されており、昭和初期の和洋折衷の風情がたっぷり。とにかく“古くて新しい”モダンで魅惑のスポットとなっています。「これは当時どんな風に使われていたんだろう?」と思いを馳せるのも素敵ですよね。

画像5: 最新の安藤ワークス「丸福楼」任天堂本社がホテルに!?
画像6: 最新の安藤ワークス「丸福楼」任天堂本社がホテルに!?

約90年前の建物の中で過ごす時間は格別。歴史とじっくり向き合いながら、自分自身がその世界に埋没していく特別感を味わえます。どこを切り取っても美しい空間は、まさに名建築と呼ぶのにふさわしい存在ですね。

スポット丸福樓
住所京都府京都市下京区正面通加茂川西入鍵屋町342番地
TEL075-353-3355
公式サイトhttps://marufukuro.com

安藤忠雄建築巡り「こども本の森 神戸」「陶板名画の庭」

 名建築は、その素晴らしさをじっくり時間をかけて体験できるよう、現在はホテルなどになっている場合も多いですが、関西にはもっと気軽に「安藤忠雄建築」を楽しめる場所があります。近年大阪・中之島で人気の「こども本の森」は神戸にも開館しました。中之島では大きい「青いりんご」のモニュメントが人気ですが、神戸はまた少し違った雰囲気。もちろん中之島も神戸も安藤忠雄建築です。図書館は大人でも楽しめるようになっているので、たまには名建築の中で読書をしながら過ごすのもいいかもしれません。

提供:神戸市

スポットこども本の森 神戸
住所兵庫県神戸市中央区加納町6丁目1-1
開館時間9:30-17:00
休館日毎週月曜
入館料無料(土日祝は予約制、平日は空きがあれば予約不要で入館可)
公式サイトhttps://kodomohonnomori-kobe.jp/

 京都にある「陶板名画の庭」は世界中の名画を陶器の板に転写して展示している屋外美術館です。まさに安藤建築の骨頂ともいえるコンクリートが印象的な空間です。圧倒されるのはほぼ実物大に再現されているミケランジェロの《最後の審判》。名画と、安藤建築の美しい調和はまさにアート。ぜひ面白い角度から写真を撮ったり、遠目から眺めたりしてのんびり過ごしましょう。

画像2: 関西の有名建築に注目!「名建築」で過ごすひとときを。
画像3: 関西の有名建築に注目!「名建築」で過ごすひとときを。
画像4: 関西の有名建築に注目!「名建築」で過ごすひとときを。
スポット京都府立 陶板名画の庭
住所京都府京都市左京区下鴨半木町(京都府立植物園北山門出口左隣)
開館時間9:00〜17:00(入園は16:30まで)
休館日12月28日〜1月4日 ※施設メンテナンス等で休園する場合もあります
入園料一般 100円
公式サイトhttp://kyoto-toban-hp.or.jp/

“リノベーション”に注目する

 近年では、「重要文化財」である古い建物を大胆に変化させる、「名建築リノベ」も楽しいスポットのひとつとして人気を博しています。古いものを活かしながら、利便性やデザイン性をアップデートされた名建築は、「新・旧」両方を楽しむことができます。

銀行からホテルへ、憧れの「オーベルジュ豊岡」

 城崎温泉を擁する兵庫県・豊岡市にある「オーベルジュ豊岡1925」は、レトロな「国登録有形文化財」の香りを残しながら、斬新なデザインにリノベーションされた名建築。

画像1: 銀行からホテルへ、憧れの「オーベルジュ豊岡」

趣のある客室全6室のホテルと、カフェからなる複合施設です。(現在レストランは休業中)。

画像2: 銀行からホテルへ、憧れの「オーベルジュ豊岡」
画像3: 銀行からホテルへ、憧れの「オーベルジュ豊岡」

「兵庫縣農工銀行豊岡支店」として1934年に建てられ、その後「旧豊岡市役所南庁舎別館」としての役割を経て、現在の「オーベルジュ豊岡1925」に。

画像4: 銀行からホテルへ、憧れの「オーベルジュ豊岡」

建物は登録有形文化財に指定されている、昭和初期の近代建築です。斬新なデザインとレトロな箇所が融合し、まさに「今」という時だからこそ楽しめる空間になっています。

画像5: 銀行からホテルへ、憧れの「オーベルジュ豊岡」

カフェではランチタイム限定でのハンバーガーやビーフシチューの提供のほか、但馬産のフルーツを使ったタルトなど、デザートも味わえます。目で見て楽しむだけでなく、おいしいスイーツを堪能しながら、五感で名建築を味わえば忘れられない体験となるでしょう。

スポットオーベルジュ豊岡 1925
住所兵庫県豊岡市中央町11-22
公式サイトhttps://www.1925.jp/

名建築の中で過ごす時間、まるでアートな休日を過ごそう

 関西は名建築の宝庫。京都・大阪・神戸などの都市ごとにもまるで違った雰囲気の建物があります。今現在も現役で使われているモノもあり、時の流れを感じながら自分自身がアートピースになったような気持ちで過ごせそうです。

画像5: 関西の有名建築に注目!「名建築」で過ごすひとときを。

さっさん

一言で「名建築」と言っても、一つひとつの「表情」やそこに流れる空気感は全く違いますね。素敵な場所で過ごすひとときは、私たちの心を優しく癒してくれる気がします。

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