近年、自然災害による大規模な停電などが相次いで発生し、停電・災害に強い住宅への関心が高まっています。特に電気ですべてのエネルギーをまかなうオール電化住宅で、もし停電が起こったらどうなる? と疑問や不安に思う人も多いのではないでしょうか。
今回は、関西電力から、オール電化と停電の関係を詳しく解説します。広く役立つ停電対策についても紹介するので、万が一に備えて正しい知識を身につけましょう。
宮本功彦
(ソリューション本部 営業部門 リビング営業計画グループ リーダー)
オール電化営業に携わり20数年、エンドユーザー営業から、地域の工務店等に対するサブユーザー営業まで幅広く営業活動を経験。現在は、販促施策の立案等、販売計画業務に従事しています。
白川文彦
(阪奈和リビング営業本部 南大阪営業グループ)
オール電化営業20数年。幾多の自然災害の経験や教訓をもとに、お客さまに寄り添う営業パーソンの育成を役割としています。
オール電化でも停電は怖くない
はじめに、「ガスと電気を併用している住宅と比べて、オール電化住宅だから停電しやすい」ということはありません。たしかに、オール電化住宅では、ガス・電気を併用している住宅と比べて使用する電力量は大きくなります。しかし、“ブレーカーが落ちること”と停電は全く別の問題なので、電力会社へ正しい負荷設備で申し込みができていれば、オール電化住宅であってもブレーカーが落ちやすいことはありません。
停電の主な原因は、災害や台風によって、電力会社の電線や電柱が電気を送れなくなることです。停電が起こってしまったときは、オール電化住宅に限らず、地域全体の住宅も同じように停電します。
もし、突然電気が使えなくなってしまったら、まず、自宅だけが電気を使えないのか、あるいはエリア全体が停電しているのかを確認しましょう。周りの家や建物に電気が付いている場合は、自宅の中に原因があると考えられます。一方で、周りの電気も消えてしまっている場合は、電力会社のネットワークに何らかのトラブルが発生して停電しているのかもしれません。
電気が使えない原因が家の中にある場合には、電気の使いすぎや家電の漏電などの原因が考えられますので、お住いの地域の電気工事店に連絡するなど、適切に対処するようにしましょう。
広く役立つ停電対策3選
ここでは、もし停電が起こってしまったときに備えて、オール電化住宅に限らずできる停電対策について解説します。
①カセットコンロとガスボンベを備えておく
オール電化住宅では、電気を使うIHクッキングヒーターで調理します。万一のときに備えて、カセットコンロとガスボンベを揃えておくと、停電時でも温かい食事をとることができます。
ガスボンベには使用期限があるため、こまめに期限を確認したり、普段の食卓でもカセットコンロを使うようにしたりしておけば、「いざというときに期限が切れていた」といった不測の事態を避けることができるでしょう。念の為、複数を備蓄しておくとより安心です。
ただし、停電中には換気扇を使うことができません。宅内でカセットコンロを使う際には、窓を開けるなどして十分に換気するようにしましょう。
②飲料水を用意しておく
手洗いやトイレの水といった生活用水に加えて、飲料水を用意しておきましょう。ペットボトルの水を防災グッズとして備蓄する際には、「ローリングストック」という方法がおすすめ。普段から食べたり飲んだりしている食品を多めに買い足し、期限の早いものから消費する方法です。期限切れによる廃棄リスクを避けることができるので、ぜひトライしてみてください。
③防暑・防寒グッズを備えておく
停電すると、エアコンや電気ストーブなど、電気を使う冷暖房器具は使えません。そのため、防暑対策としては、電気を使用しないうちわなどを用意しておくとよいでしょう。また、防寒対策としては、使い捨てカイロの他に、湯たんぽがおすすめです。エコキュートのタンク内に温かいお湯がある場合、そのお湯を湯たんぽに入れるだけで、すぐに暖をとることができます。
オール電化の停電・災害時での利点
オール電化住宅には必ず、エコキュートなどの電気給湯機が備え付けられているため、停電時でもお湯が使えることもあり、実は台風や災害にも強い住宅だといえるのです。
暮らしの中の給湯と調理という観点から、オール電化の停電・災害時でのメリットについて説明します。
給湯|エコキュートでお湯が使える
エコキュートなどの貯湯式の給湯機には、大きなタンク(370〜460L)が付いていて、常にたっぷりの湯水が満タンに入っています。そのため、停電・災害時にも湯水を取り出して利用することができます。
2024年に発生した能登半島地震では、広い範囲で断水が長期化し深刻な水不足が問題となっています。トイレの水が流せない、お風呂に入れないなど、日常生活に支障をきたすだけでなく、健康・衛生面にも影響するため、生活用水の確保は非常に重要です。
エコキュートがあることで、タンクの中のお湯を生活用水として使うことができます。例えば手洗い、トイレの水、入浴などはもちろん、湯たんぽなどに入れて暖をとることも可能です。
※メーカーや機種によって利用できない場合があります。また、タンクの中の湯水は飲用ではありません。
ただし、タンクからお湯を取り出す際には、高温になっている場合もあるので、くれぐれも火傷には注意してください。取扱説明書をよく読んで、安全に操作するようにしましょう。
コラム:過去の災害では電気の復旧が早い
大きな災害が起こると、電気、ガス、水道、電話といったライフラインが使えなくなることがあります。1995年の阪神淡路大震災や2011年の東日本大震災では、発災の直後はこうしたライフラインが停止してしまいました。
電気は阪神淡路大震災では6日後、東日本大震災でも数日のうちに復旧したというデータが報告されており、こうしたデータから考えると、電気は災害に強いライフラインであるといえるでしょう。
参考:関西電力「エコキュート」
調理|ガス漏れのリスクを防げる
一般的に、ガスコンロは点火の際に電気を使います。乾電池で点火するタイプは停電時でも使うことができますが、そうでない場合には、ガスのライフラインが復旧していても、ガスコンロが使えないケースも考えられます。
また、停電時にはガス漏れ警報機が停止するため、ガス漏れが起こっても気づかないおそれがあるでしょう。また、換気扇も使えなくなるため、停電時にガスコンロを使う場合には、窓を開けるなど十分に換気しながら使用することが大切です。
一方で、オール電化住宅には、そもそもガスを使用する環境がないため、こうしたガス漏れのリスクを防ぐことができます。なお、カセットコンロとガスボンベを使う場合には、十分な換気を行うようにしましょう。
【コラム】太陽光発電を利用して自家発電も
住宅の屋根などに太陽光発電を設置して、発電した電気を自宅で使うことを「自家発電・自家消費」といいます。太陽光発電があれば、日中ならば停電時も電気を使うことができるので、大きな安心に繋がります。
太陽光発電に加えて蓄電池を設置すると、発電した電気を貯めて、夜間や雨天時にも使うことができます。その際には、家電の消費電力が太陽光発電や蓄電池の容量を超えない範囲で使用することが重要です。
こうした自家消費は、停電などの非常時にも役立ちますが、普段の暮らしにもメリットがあります。自宅で発電した電気を使うことで電力会社から購入する電気を減らし、電気代の節約に繋がるでしょう。また、太陽光発電は環境にやさしい発電システムといえるため、エコにも役立ちます。
「蓄電池を導入したいけど初期コストが気になる」という人には、関西電力が4月1日からサービスをスタートした「はぴeセット ストレジ」がおすすめです。蓄電池設備・太陽光発電設備を初期費用0円(※1)から導入できます。
自宅の電気使用量に合わせて、複数のメニューから選ぶことが可能で、電気料金メニューには、一定量の電気使用量が含まれており、使い切れなかった分は、電気料金のお支払いにお使いいただける「はぴeポイント」として還元(※2)される仕組みです。こうしたサービスを検討することで、導入ハードルを下げることができるでしょう。
※1 関西電力が定める標準取付工事の費用はサービス料金に含まれますが、追加工事が発生する場合は、別途、費用が必要となります。
※2 定額のご使用量に満たなかった場合の「はぴeポイント」は、各月の検針日の翌営業日から5営業日以内に加算し、加算された日から5ヶ月後の月の末日に失効します。ただし、ご使用開始月の料金算定期間が1月に満たない場合には加算しません。
まとめ:正しい知識で災害に備えよう
オール電化住宅は、家中のエネルギーを電気でまかなうため、一見すると停電に弱いような印象を受けるかもしれません。しかし、電気は、過去の災害において早期に復旧しており、災害に強いインフラだといえます。また、オール電化住宅に備わっているエコキュートは、非常時にもタンク内のお湯を使うことができるため、防災対策に大変有効です。
さらに太陽光発電や蓄電池を導入すると、停電が続いても、一定期間は、自宅の電気を使い続けることができ、災害時でも普段に近い生活を維持できるでしょう。オール電化住宅であっても停電は怖くないので、正しい知識と対策を知り、万一のときに備えましょう。
みかりん
オール電化住宅では、エコキュートなどの自宅の設備を上手に活用しながら停電・災害に備えることができるので、ありがたいですね!いつ起こるかわからない災害に対応できるように正しい知識と対策を身につけておきたいです!