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毎年のように猛威を振るう台風や大雨、地震などの自然災害から身を守るには、防災用品や生活必需品などをコンパクトにまとめた「防災リュック」が欠かせません。しかし、日頃から防災リュックを準備できているという人は少ないのではないでしょうか。むしろ「防災リュックの中身には何を入れたらいいの?」と疑問に思っている人が多いかもしれません。

そこで今回は、こうした疑問について、防災士の資格をもつ土界谷梨紗さんにわかりやすく教えてもらいました。普段の生活用品の備蓄方法なども解説してもらいましたので、これから防災対策に取り組みたいと考えている人はぜひチェックしてみてください。

画像1: 【防災士が解説】防災リュックの中身、何を入れる?最低限必要なチェックリストをご紹介!

土界谷梨紗(さかいやりさ)

防災士。東日本大震災では、宮城県仙台市で被災。その時の経験をもとに、防災士として活動している。2児の母でもあり、防災記事の監修や子育て家庭に向けた防災ノウハウも発信している。

X(旧Twitter):https://twitter.com/oidolodymama

リュックはどう選ぶ?1人につき1つのリュックを用意しよう

画像: iStock.com/sayukichi

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そもそも防災リュックとは、避難する際に必要な防災用品や生活用品などをまとめて持ち運ぶためのもの。避難するときには、両手が自由に使えるリュックが適しています。自治体が用意した避難所に避難すれば生活に必要な物資が届きますが、届くまでに時間がかかったり、足りないものがあったりすることも十分考えられます。

また、小さな子どもや高齢のご家族がいる場合には、それぞれの家庭によって異なる生活用品が必要になることもあるでしょう。自分たちに必要な生活用品をあらかじめ防災リュックに詰めていつでも持ち出せるようにしておけば、避難先での暮らしの不安を軽くすることができます。

男性、女性、子ども別に必要な防災リュックの容量

基本的に、防災リュックは1人につき1つ準備するのがベストです。荷物を入れすぎて重くなると、動きづらくなったり避難が遅れたりするリスクが上がってしまうので、なるべく必要最低限のものに抑え、軽くするのが良いでしょう。

防災リュックの容量は体力などによって個人差がありますが、一般的に、男性は40リットル、女性は20〜30リットル、子どもは15リットル前後が目安です。高齢の方でリュックを背負うのが難しい場合は、キャスター付きのものなども検討しましょう。大切なことは、実際に防災リュックを背負ってみて、肩のベルトの太さやクッション性などを確認し「これだったら長時間動き回っても大丈夫」と感じられるものを選ぶことです。

専用の防災リュックではなく登山やキャンプ用でもOK

画像: iStock.com/Drepicter

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防災リュックは、専用のものではなく登山用やキャンプ用のリュックでも問題ありません。新たにリュックを買うのが面倒であれば、自宅にある普通のリュックで代用してもOK。新たに購入をする場合は、近年増えているゲリラ豪雨や水害に備えるため、撥水加工より防水加工の施されたリュックがおすすめです。撥水加工のリュックにも水を弾く効果はあるのですが、バケツをひっくり返したような大雨の中を長時間移動していると、リュック内部に水が入り込んで中身が濡れてしまう恐れがあります。そのため、登山用やキャンプ用のリュックを使う際には、水をしっかりシャットアウトできる防水加工のリュックを選びましょう。

子ども用などで防水加工のリュックが見つからない場合には、リュックの上から専用の防水カバーをつけたり、リュックを背負ったままレインコートを着たりすると良いでしょう。

防災リュックにはホイッスルや反射板をつけよう

専用の防災リュックには、もともと災害用のホイッスルや反射板がついているものもありますが、一般的なリュックに後からつけることもできます。災害用のホイッスルは少しの息で高い音が出せるもので、救助を呼ぶ際などに役立ちます。

停電してしまうと辺りが真っ暗になるため、交通事故に遭うリスクが高まってしまいます。反射板をつけていれば周囲の人や車から見つけてもらいやすくなるため、防災リュックには反射板をつけるのがおすすめ。最近は、キーホルダータイプなど取り付けやすい反射板もあるので、子どもの防災リュックには必ずつけて安全に避難できるようにしましょう。

防災リュックの中身のチェックリストをご紹介

防災リュックを準備する際に、多くの方が「何を入れたらいいの?」と迷うのではないでしょうか。基本的に、防災リュックは長時間背負って移動することを想定して軽くするべきですが、避難先での生活必需品は省くことができません。まず、防災リュックに入れたい必要最低限のチェックリストは次のとおりです。

必要最低限のチェックリスト

●貴重品(現金、家の鍵など)
●携帯ラジオ
●懐中電灯
●救急薬品
●非常食
●水
●スマートフォンの予備のバッテリー
●乾電池
●紙の地図など
●常備薬(普段飲んでいる胃薬や痛み止め、ワセリンなど)

防災リュックには、千円札や小銭など細かい現金を入れます。最近はキャッシュレス社会になって現金を持ち歩かない人も増えているかもしれませんが、現金は必ず用意しておきましょう。非常時にはお店にお釣りがないこともあり得ます。一万円札や五千円札といった大きなお金は崩しておきましょう。金額は家族構成や支援物資の量にもよりますが、ATMなどでお金を引き出せるまでに日数がかかることも想定して、多めに準備しておくと安心です。

また、避難中の自宅の防犯対策も重要です。避難する際、通帳・印鑑・身分証明書を無理に持ち出す必要はありませんが、戸締りの徹底は必要です。さらに、火災リスクを減らすため、ブレーカーを落とすようにしましょう。

女性用リュックチェックリスト

●生理用品
●おりものシート
●防犯ブザー

女性の場合には、最低限必要なものに加えて生理用品なども用意しておきましょう。防犯ブザーは、避難所で共同生活をする際に常に身につけておくと安心です。

子ども(乳幼児〜小学生)用リュックチェックリスト

●ミルク缶
●おむつ
●母乳パッド
●ガーゼ
●おんぶ紐
●電池のいらないおもちゃ(塗り絵や折り紙など)
●お菓子など

乳幼児がいる場合、熱湯がなくてもそのまま飲めるミルク缶、おむつ、母乳パッドなどが必須です。小さな子どもが避難先で退屈しないように、停電しても遊べる電池のいらないおもちゃもいくつか用意しておきましょう。

高齢者用リュックチェックリスト

●お薬手帳
●ヘルプカード
●薬
●杖
●おむつ
●入れ歯
●入れ歯がなくても食べられるもの(ゼリーなど)
●眼鏡
●補聴器の電池など

高齢の方が避難する際には、お薬手帳や薬も準備する必要があります。避難先には医療関係者が従事している場合がありますが、かかりつけの医師や看護師がいるとは限りません。そういった場合に備えて、普段どのような薬を服用しているのかがわかるようにお薬手帳を入れておきましょう。また、障がいや認知症のある方、難病の方など、周囲の特別な配慮が必要な方は、ヘルプカードを身につけておきましょう。

余裕があれば入れたい避難生活を快適に過ごすためのアイテム

画像: iStock.com/South_agency

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避難先では、体育館などの広いスペースで共同生活をする場合が多く、トイレや洗面所が共用であることもしばしばです。もし防災リュックの中身に余裕があるなら、使い捨ての衛生用品などを入れておくと、避難生活のストレス軽減や身だしなみを整えるのに役立つでしょう。

●紙パンツ
●耳栓
●除菌シート
●洗面具
●携帯トイレ(粉用がコンパクト)
●ゴミ袋など
●ホッカイロ
●軍手
●スリッパ

コラム:セットで購入できる防災リュックはあり?なし?

通信販売などでは、いくつもの防災用品などがセットになった防災リュックが販売されています。防災リュックを初めて用意する人は、こうしたフルセットの防災リュックを買って試すのも良いと思います。専用の防災リュックには、はじめから反射板が付いているものなどもあって手軽に備えられますし、防災用品をそれぞれ購入するよりお得な場合もあります。

その一方で、セットになっている防災用品の中には、あまり使わないものや不要なものが含まれていることもあります。フルセットの防災リュックを買ってそのまま使うのではなく、中身をチェックして、本当に自分たちに必要な防災用品や生活用品を足したり引いたりしていくことが大切です。

100円ショップで揃えられる防災グッズリスト

画像: iStock.com/carlosgaw

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●紙皿
●紙コップ
●ラップ
●除菌シート
●アルコール
●歯磨きセット
●救急用品
●ポリ袋(使い捨て衛生用品)
●保温寝袋
●サイリウム
●ライト
●乾電池
●マスクなど

防災リュックに入れるもののうち100円ショップで用意できるのは、紙皿や紙コップなど使い捨てのもの。水が止まるとお皿が洗えないため、使い捨ての食器類は重宝します。また、食事の際、お皿にラップを敷いて使うと、ラップを交換するだけでお皿を洗う必要がないため便利です。

ほかに、電池や電源がいらず折るだけで一定の時間光るサイリウムも100円ショップで手に入ります。いろいろな色があるため、ライトの代わりにいくつか準備しておくと良いでしょう。

防災リュックを準備するときに気をつけたいポイント2つ

画像: iStock.com/recep-bg

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防災リュックを準備するときに気をつけておきたいポイントは、大きく2つ。1つ目は置き場所、2つ目は見直しのタイミングです。

ポイント①:置き場所は玄関または寝室

防災リュックの置き場所は、避難するときにすぐに持ち出せる玄関か寝室が良いでしょう。ただし、玄関の物置の奥深くなど、手前にあるものを引っ張り出さないといけないような置き方はNG。脚立が必要な高い場所に置くのもおすすめできません。どこに置くと持ち出しやすいのか、ご家庭ごとに考えてほしいと思います。土界谷さんのご自宅はマンションなので、避難する際に必ず通る玄関の物置の手前に置いているそう。

戸建住宅で浸水のリスクがある場合には、重要なものをあらかじめ2階に移動させておくことも大切です。玄関以外のところから避難するケースが考えられるなら、防災リュックの近くに外靴も用意しておきましょう。可能であれば、自治体が公表しているハザードマップを確認し、お住まいの地域にどのようなリスクがあるかをチェックしたうえで防災リュックの置き場所や避難ルートを考えるのがベストです。

ポイント②:防災リュックの中身は定期的に見直す

防災リュックに入れる防災用品の中には、定期的にチェックや交換が必要なものもあります。懐中電灯や携帯ラジオが使えるかどうかや、除菌シートが乾燥していないかどうかなどは、年に1回〜2回は定期的に確認することをおすすめします。

コラム:備蓄用の生活用品は「ローリングストック」しよう

画像: iStock.com/zepp1969

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「ローリングストック」とは、普段から少し多めに生活用品を買っておき、使った分だけ新しく買い足しながら一定量の生活用品を常に備蓄しておく方法です。普段使うものと備蓄用のものを区別しないため、備蓄したものを無駄にすることがありません。普段の買い物のたびに新しいものに入れ替えるため、期限を定期的に見直す手間もなくて便利です。

また、非常時でも普段食べ慣れた食品を食べることができるので、安心感にもつながるでしょう。ローリングストックは、備蓄するスペースさえ確保すれば、すぐにでも取り組める災害対策です。この機会に、防災リュックと一緒に始めてみてはいかがでしょうか

9月は防災月間!家族全員で防災対策をしよう

画像: iStock.com/niwatoko

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防災対策といっても、普段の生活ではなかなか想像ができない部分も多いでしょう。しかし、万が一、災害が起こってしまってからでは手遅れになってしまいます。日常的に防災を意識するのは難しいかもしれませんが、9月1日の防災の日や9月の防災月間を機に、防災リュックの準備やハザードマップの確認を家族全員で行って、防災について考える時間を設けてほしいと思います。まずは、自分の住んでいる場所や家庭の環境から防災リュックに入れるものをピックアップしてみて、徐々に防災への意識を高めてもらえると嬉しいです。

画像2: 【防災士が解説】防災リュックの中身、何を入れる?最低限必要なチェックリストをご紹介!

けいちゃん

日常生活ではなかなか意識しずらい「防災」ですが、”備えあれば憂いなし”ご家族等で話し合う時間を設けてみてはいかがでしょうか?

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