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2023年3月に、JR大阪駅(うめきた地下口)と新大阪駅で実証実験が開始された顔パス改札は、大きな話題になりました。実は、2025年の大阪万博に向けて、関西の交通はどんどん“未来の姿”に進化しているといいます。その先駆けとなる取組みの舞台裏を、JR西日本の四家井祐一さんに教えてもらいました。
画像1: 2025年万博に向けて!「顔パス改札」から見える未来の交通

JR西日本 四家井祐一さん

大阪駅(うめきたエリア)開業時には、イノベーション本部うめきたPT。現在は施設部機械課に所属。

大阪駅(うめきたエリア)を、リアル(駅)とデジタルを融合した未来駅へと挑戦するプロジェクトのメンバーとして従事。プロジェクト以前、改札機や券売機などお客様がご利用される駅の機械設備に携わってきた経験から、顔認証改札をはじめとした、「近未来の駅設備」を中心に、計画・構想から導入に至るまで担当。

そもそも「顔パス改札」ってどんなもの?

JR大阪駅のうめきた地下口と新大阪駅東口の改札に行くと、見慣れないゲートが設置されていることに気が付くはずです。これは通称、「顔パス改札」と呼ばれるもの。顔認証改札の実証実験機です。実証実験を実施しているのは大阪駅~新大阪駅間。実証実験期間中は、この区間を含むICOCA定期券を持っている方がモニターとして利用できます。

「顔パス改札」の仕組み

利用者は、まずスマホの専用サイトからICOCA定期券の情報と顔情報を登録。これだけで初期設定は完了です。あとは改札通過時に、利用者の顔をカメラで識別。ICOCA定期券の情報と瞬時に照合し、改札処理を行うという優れものです。

画像: 「顔パス改札」の仕組み

四家井さん「従来は財布などに入れた定期券を取り出したり、スマホやスマートウォッチを準備したりする必要がありましたが、この改札機ならポケットに手を入れていても通過できます。

裏ではかなり複雑なことをやっていて、まず顔認証改札機を通過する際に、認証用のカメラが人を検知し、顔の特徴点をサーバーに送ります。サーバーには事前に登録いただいた顔画像の特徴点データが保存されており、即時に照合・確認して、個人の識別までをほぼ瞬時に終えているんです」

歩くだけで改札を通れるというスムーズさにばかり目が行きがちですが、セキュリティについてもかなり配慮しているそう。

四家井さん「事前登録いただいた顔画像などのデータは厳正に管理するとともに、改札通過時に検知する顔の特徴点データは、録画することなく照合・確認の完了とともに即時削除されます」

「顔パス改札」はなぜ生まれたのか

こんなに便利な「顔パス改札」。実は2025年の大阪・関西万博に向けたうめきた再開発プロジェクトの一環だそう。誕生に至るまでの経緯を教えてもらいました。

万博に向けたイノベーションの実験場“うめきたエリア”

四家井さん「大阪駅(うめきたエリア)は、2025年の大阪・関西万博に向けたイノベーションの実験場『JR WEST LABO』の中心地と位置づけており、さまざまな最先端のデジタル技術を取り入れた“近未来のリアル空間”を創出しています」

画像: うめきたエリアに導入されている最新技術(AI案内ロボット、AI券売機)

うめきたエリアに導入されている最新技術(AI案内ロボット、AI券売機)

画像: うめきたエリアに導入されている最新技術(インタラクティブアート)

うめきたエリアに導入されている最新技術(インタラクティブアート)

四家井さん「そんな中でも顔認証改札は、タッチレス改札によるストレスフリーかつスムーズな通過でのシームレスな移動の提供を目的に、グループデジタル戦略におけるリアルな場での顧客接点としての機能を実現するために開発しました。

未来駅“うめきたエリア”のゲートに相応しい革新的なデザインと、顔認証通過、サイネージ、足元プロジェクション案内による演出など、ここでしか味わえない“わくわく感”を届けたいと考えています」

いわば“未来の駅”のテストケースとして、今回設置されたというわけですね。

タッチ式改札のストレスをなくす、改札の最新進化系

画像: タッチ式改札のストレスをなくす、改札の最新進化系

シームレスな移動の提供を目的とする中で、既存の改札におけるストレスについても考えなければなりませんでした。

四家井さん「既存の交通系ICカードによる改札通過速度を一つのベンチマークとし、ストレスを感じさせない顔認証+通過判定によって、スムーズに改札を通っていただけるよう意識しました。

また、利用者のみなさまには、改札通過にともなう動作がないことをはじめとして、混雑によるストレスを軽減できるほか、非接触かつスムーズな通過による安心感も、メリットとして感じていただけるかと思います。同時に、『顔パス』で通過できることへの特別感も感じていただけたらと思います」

四家井さんの言うように、完全にタッチレスであるため、衛生面での安心も感じられそうです。また、荷物で両手が塞がっているような場合でも、通過するだけでいいというのはまさにストレスフリー。混雑するラッシュ時でも、列に並ぶことなく進めるというのも魅力です。

改札という場所では、かつては人の手で切符を切ったり、定期を目視確認していたりといったアナログな手段が使われていましたが、やがて磁気カード式の自動改札に変わり、交通系ICカードが導入され、タッチ式へと進化してきました。利用者の手間を最小限にするための技術が盛り込まれてきた分野といえるでしょう。

四家井さん「交通系ICカードの利用開始から20年以上が経過し、新たな交通の決済手段における一つの可能性を示すことができたのではないかと思っています」

顔パス改札だけじゃない。顔認証システムの汎用性

画像1: 顔パス改札だけじゃない。顔認証システムの汎用性
画像2: 顔パス改札だけじゃない。顔認証システムの汎用性

そもそも私たちの日常において、デジタル技術による顔認証は珍しいものではありません。例えばスマホのセキュリティロック解除は、もっとも身近な利用方法でしょう。また、カメラでは人の顔に自動でフォーカスを合わせるほか、写真アプリでは特定の人物の顔相情報を認識し、同じ人物が写った写真をまとめてくれるようなものもあります。

一方、公共の場でもっとも身近なのは、顔認証による体温測定かもしれません。これは個人の顔相を識別するものではありませんが、より高度な顔認証は、会社の入り口など各種のセキュリティゲートに使われているほか、すでに国際空港では出国時にパスポートとの写真照合が実用化されています。

これらの技術は今後ますます実用化が期待される分野で、私たちの日常にあたりまえに溶け込んでいくことが予想されます。そんな視点から見れば、今回の顔パス改札は、来るべき未来の生活に向けて、生まれるべくして生まれたモデルケースの一つといえるかもしれません。

関西の街の交通はどう変わる?

画像: 関西の街の交通はどう変わる?

うめきたエリアをはじめとして、現在掲げている目標の一つが「2025年大阪・関西万博」だといいます。今回のケースを皮切りに、続々とほかの駅への展開を考えているそう。

四家井さん「実証実験の期間や今後の展開は未定です。とはいえ、顔認証はストレスフリーでスムーズな鉄道改札口の通過を提供する、有効な手段の一つとなるポテンシャルはあると思っています。認証技術とゲートレス改札口の導入に向けた具体的な課題の洗い出しと検討を行い、将来にむけた改札口の在り方を検討していきたいと考えています」

顔認証改札が本格導入される日が訪れることは間違いなさそうです。ではその先に、どんな生活が待っているのでしょうか。

四家井さん「今回は改札機で顔認証技術を活用しましたが、この技術がより一般的となる、来たるべき“未来”への挑戦として実証実験を続けていきたいです。

すでに検討を重ねていく上で、例えば『交通系ICカードの残金と顔情報を連動させ、直接運賃を引き落とす』ことのハードル、といった課題があるのも事実です。今後の検証を通じてこうした課題をどう解決するか思慮するとともに、将来的には『顔』をキーにした認証・決済についても検討したいと考えています」

具体的には、ホテルでのチェックインや部屋の開錠、駅ナカショップでの決済など、公共交通機関を取り巻く膨大な認証作業に、顔認証が役に立つ未来が訪れそうです。

顔認証が日常化した未来型交通が訪れるかも

画像: 顔認証が日常化した未来型交通が訪れるかも

四家井さん「また、当社が提供するMaaSとの連携も検討していきます」

MaaSとは「Mobility as a Service」の略で、デジタル技術を活用し、交通手段の手配や利用をスマートにする概念のことです。電車やバスの乗換のほか、EVバスや空飛ぶクルマなど、大阪・関西万博に向けて開発されているまったく新しいモビリティも含めて、複数の交通手段を自分の顔だけで利用できる日が来るかもしれません。

四家井さん「JR西日本は、この検証を通じて得た課題やニーズを参考に、今後、お客様の利便性向上だけでなく未来の交通網発展につながる画期的なソリューションを導入し、挑戦し続けていける企業でありたいと考えています。

顔認証改札は、今後広げていくにはまだ解決するべき課題が残っており、これからも変化対応力を向上させるためのチャレンジを続けていきたいプロジェクトです。新たな価値の創造、社会課題の解決、経営課題の解決を実現する最先端の技術を、社会に発信し続けていければと思います」

より幅広い分野で顔認証技術が導入されれば、生活がもっと便利になることでしょう。カメラなどのセンシングデバイスさえあればいいため、もしかしたら、改札のゲートそのものがなくなってしまう可能性もありそうです。そうなったときには、今回の事例は「顔パスで電車に乗れた最初の日」として、長きにわたって記憶されるかもしれません。

画像5: 2025年万博に向けて!「顔パス改札」から見える未来の交通

さっさん

「移動の未来」が垣間見えるテクノロジーですね!こうやって「あたりまえ」の変化を見届けるのを楽しんでいきたいです。

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