そこで本記事では、家電のコンセントを抜くことが節電につながるのか、わかりやすく解説します。読めばきっと、コンセントを抜いてもよい家電とそうでない家電を見分けることができるようになるでしょう。家電ごとの適切な節電の方法を知りたいという方は必見です。
コンセントを抜いて節電効果があるかは場合による
家電のコンセントをさしたままにしておくと、待機電力が発生することがあります。待機電力とは、機器を使っていなくても消費される電気のことです。コンセントを抜くと待機電力の発生を抑えることができるため、節電につながります。
しかし、家電によっては、コンセントを抜いてしまうと次に起動する際にかえって多くの電気を使ってしまったり、家電に設定されていたデータが消えてしまったりすることがあります。電気の使用量が増えるのはもちろん、家電を使うのに問題が起こっては本末転倒です。そうならないためには、それぞれの家電に適した方法で節電に取り組むことが大切です。
コンセントを抜いた方がいい家電と抜かない方がいい家電
では、コンセントを抜いた方がいい家電とそうでない家電について、家電の種類ごとに具体的に説明します。コンセントを抜いた方がいいとされる家電でも、抜く前に注意すべきポイントがあります。実践する際には、事前にこうした注意点をしっかりと押さえておきましょう。
待機電力が大きい家電
コンセントを抜いた方がいいかどうかの判断材料となるのが「待機電力」です。資源エネルギー庁の調査によると、待機電力が大きい家電・機器の上位5位は次のとおりです。
- ガス温水器(19%)
- テレビ(10%)
- 冷暖房兼用エアコン(8%)
- 電話機(8%)
- BD・HDD・DVDレコーダー(6%)
家電や機器の中でも、映像・音響に関する機器や給湯機器、通信機器などの待機電力が大きいことがわかります。実際の待機電力の消費量は家電のメーカーや機種などによっても異なりますが、一般的に、待機電力の大きい家電ほど、コンセントを抜くことによる節電効果が期待できるといえるでしょう。しかし、中には常に電源に接続していなければ機能しないものもあるため、注意が必要です。
コンセントを抜いた方がいい家電
では、コンセントを抜いた方がいい家電とは何でしょうか? 日常生活において、常に電源を入れておかねばならない家電も多く、その判断はなかなか難しいかもしれません。
上述した待機電力が大きい家電のうち、テレビやエアコン、BD・HDD・DVDレコーダー※などは、常に電源が入っていなくても機能する家電です。例えば、旅行などで長期間テレビを使わないケースや、春や秋などエアコンの必要性が低い季節には、コンセントを抜くことで待機電力の発生を抑えることができるでしょう。
ただし、BD・HDD・DVDレコーダーなどの録画予約機能を使う場合は、コンセントを抜かずに省エネモードなどを活用することをおすすめします。コンセントを抜いてしまうと、こうした録画予約機能が使えなくなるからです。コンセントを抜くかどうかは、ライフスタイルなどに合わせて調整するようにしましょう。
なお、こうした録画機器には、電源オフの状態から高速で起動するクイックスタート機能が搭載されていることがあります。クイックスタート機能を設定していると待機電力がより大きくなります。そのため、節電の観点からはクイックスタート機能を利用せず、省エネモードなどを活用するのがよいでしょう。
※BD:ブルーレイディスク、HDD:ハードディスク
参考:資源エネルギー庁
コンセントを抜かない方がいい家電
反対に、コンセントを抜かない方がいい家電には、冷蔵庫・冷凍庫やWi-Fiルーター、電子レンジなどが挙げられます。冷蔵庫・冷凍庫やWi-Fiルーターは常に電源が入っていないと機能せず、コンセントを頻繁に抜きさしすることは現実的ではありません。
また、近年、電子レンジの省エネ性能などが向上し、待機電力も低く抑えられているものがあります。ほかにも、電気炊飯器や洗濯機などの待機電力も小さく、コンセントを抜いて節電を行う必要性は低いと考えられるでしょう。
待機電力とは非使用時でも家電が消費する電力のこと
そもそも待機電力とは、機器を使っていなくても消費する電力のことを指します。「待機時消費電力」と呼ぶこともあります。
なぜ、機器を使っていないときも電気を消費するのでしょうか。その理由は、大きく3つあります。1つ目は機器に内蔵されたメモリや時計、モニターなどを表示する機能維持のため、2つ目はリモコンの操作などの指示を待つため、3つ目は単にコンセントを接続しているだけで電力を消費するためです。
私たちが使いたいときに、スムーズに家電を利用できるのは、待機電力のおかげで常に家電がスタンバイできているからなのです。待機電力がなぜ発生するのかという理由を知ったうえで、適切な節電に取り組むとより良いかもしれません。
延長コードのさしっぱなしでも待機電力は発生する
上述のとおり、待機電力が発生する原因の一つに、単にコンセントを接続しているからということを挙げました。実は、延長コードをコンセントにさしっぱなしにしているだけで待機電力が発生してしまう場合があるのです。使用していない延長コードはコンセントから抜き、余計な待機電力の発生を抑えるよう心がけましょう。
待機電力が電気代に占める割合は約5%
資源エネルギー庁の調査では、家庭1世帯あたりの1年間の待機電力の消費量は228kWhと推計されています。これは、1世帯が1年間に使う電気の使用量4,432kWhの約5.1%にあたります(2012年時点)。近年は家電の省エネ性能が上がり、待機電力の消費量も減少傾向にあるものの、まだ節電の余地があるといえそうです。
電気代を節約する方法4選
節電に取り組むには、待機電力の役割を踏まえたうえで家電の特徴に応じた方法をとることが大切です。また、そろそろ家電の買い替えを予定しているという人は省エネ家電に買い換えるのも有効です。上手に電気代を節約する方法を4つご紹介します。
①長期間使わない家電のコンセントを抜く
身の回りを探してみると「しばらく使わないのにコンセントをさしっぱなしにしていた」という家電があるかもしれません。多くの家電はコンセントをさしているだけで待機電力を消費してしまいますので、機能に問題がないようであれば抜いた方がよいでしょう。
②スイッチ付きの電源タップを使う
頻繁にコンセントの抜きさしをするのが難しい場合は、スイッチ付きの電源タップを活用するという方法があります。スイッチ付きの電源タップなら、コンセントがある壁から離れたところでも家電を使え、使わないときはスイッチをオフにすることで待機電力を抑える効果が期待できます。
③省エネ家電に買い換える
家電の買い換えを検討している人は、省エネ家電に買い換えることで電気の使用量を大幅に削減できる可能性があります。最新の家電は、10年ほど前と比べると省エネ性能が大きく向上しています。そのため、家電を買い換えるだけで、特別な工夫をしなくても節電できると考えられるのです。
なお、エアコン、冷蔵庫、テレビ、温水洗浄便座、照明を買い換える際には「統一省エネラベル」を参考にするとよいでしょう。統一省エネラベルには、省エネ性能が星の数で示されていたり、その家電を使った場合の年間の電気料金の目安が記載されたりしており、省エネ家電を選ぶ際に役立ちます。
④家電の使い方を工夫する
家電を買い換える予定がないという人は、使い方を見直すことで節電につなげることができます。例えば、テレビなどに搭載されている省エネモードなどに設定するだけで、簡単に節電することができます。ほかにも、冬場の冷蔵庫の温度設定を「弱」などに調整したり、エアコンのフィルターを月1~2回掃除したりすることも効果的です。
コンセントを抜いて節電をする際の注意点
コンセントを抜くことは待機電力の削減に役立ちますが、その一方で、安全面から注意したいポイントもあります。コンセントは暮らしに欠かせない身近な存在ですが、目に見えない電気が流れています。安全には十分に配慮したうえで節電に取り組むようにしましょう。
①家電の電源を入れたままコンセントを抜かない
家電の電源を切らずにコンセントを抜いてしまうと、コンセントに電気が通っている状態のまま引き抜くことになります。この場合、コンセントに湿気やほこりが加わると「トラッキング現象」につながる恐れがあり危険です。
トラッキング現象とは、コンセントと電源プラグの間にたまったほこりに水分が混じり、火花などが出る現象のことです。火災の原因になることもあり、大変危険な現象です。トラッキング現象を防ぐには、長い間コンセントをさしっぱなしにしないことや、コンセントの周りにほこりや髪の毛などがたまらないように、こまめに掃除をすることが大切です。特に、湿気の多い洗面所や台所などのコンセントでは注意が必要です。
②生活に支障をきたさない範囲で行う
コンセントを抜くと節電になるからといって頻繁に抜きさししては、かえって生活が不便になってしまうことも懸念されます。スイッチ付きの電源タップを活用したり、省エネモードなどをうまく利用したりして、無理のない範囲で節電に取り組むのがよいでしょう。
まとめ:時と場合によってコンセントを抜くか考えよう
家電を使っていなくても消費される待機電力は、家庭で使う電気の5%を占めます。ちょっとした心がけで節電することもできますが、コンセントを抜く際は、家電の特徴に応じて判断することが重要です。コンセントを抜かなくても、スイッチ付きの電源タップを利用したり、家電の使い方を工夫したりするだけで節電につながることもあります。節電は、できるだけ長く続けることが大切です。生活に支障のない範囲で行い、毎日の習慣にするのがよいでしょう。
みなぱん
この夏に引き続き、この冬も電力の需給が厳しい見通しです。この記事で紹介したように、私も家電のコンセントを抜いたり、家電の使い方を工夫するなど、手軽にできるところから節電に取り組んでいます。ぜひ、みなさんもこの冬の節電の参考にしてみてください!