NEWS!!

WITH YOU 公式LINEアカウントが開設されました !

くわしくはこちら
バイオマス発電は、近年注目を浴びている再生可能エネルギーの一つです。しかし実際のところ、どんな仕組みで発電が行われているのか 、どのような特徴があるのか、などについてご存じでしょうか? なんとなく「環境にやさしい」というイメージのあるバイオマス発電ですが、発電の仕組みやメリットを詳しく知っている方は少ないかもしれません。

そこで、ここではバイオマス発電がどのようにして発電するのか、具体的にどのようなメリットがあるのかをわかりやすくご紹介します。読めばきっと、バイオマス発電の仕組みやメリットを知ることができるでしょう。

※この記事は2022年5月24日に公開した内容をアップデートしています。

バイオマス発電とは?

画像: バイオマス発電とは?

まず、バイオマスとは、動植物などから生まれた生物資源の総称のことを指します。その種類は幅広く、木質系や農業・畜産・水産系、建築廃材系、生活系などさまざまです。具体的には、木材や農産物の廃棄物、家畜の排泄物、一般家庭から出る可燃ごみなどが生物資源にあ たります。

こうした生物資源を直接燃やしたり、ガス状の成分に変換(ガス化)して燃やしたりしてタービンを回し、発電機を稼 動させて電気を作るのが、バイオマス発電の仕組みです。火力発電では、石油、石炭、液化天然ガス(LNG)を燃料に電気を作りますが、バイオマス発電では生物資源を利用するのが特徴だと言えます。

コラム:関西電力が取り組む「バイオマス発電」

兵庫県朝来市にある「朝来バイオマス発電所」は、2016年、関西電力グループが初めて運転を開始した木質バイオマス専焼発電所です。木質バイオマス専焼発電所とは、バイオマス燃料のみを燃料とする発電所のこと。朝来バイオマス発電所では、木質チップと呼ばれる燃料だけを燃やして発電を行っています。

画像: 朝来バイオマス発電所

朝来バイオマス発電所

朝来バイオマス発電所の年間の売電量は、約3,700万kWh。これは、約12,000世帯※の一般家庭が1年間に使用する電力量に相当します。

また、2022年2月1日からは福岡県京都郡苅田町(かんだまち)で、同じく木質バイオマス専焼発電所である「かんだ発電所」の運転をスタートしました。関西電力グループが、関西エリア以外で木質バイオマス専焼発電所の営業運転を開始するのは、これが初めてです。

画像: 【関西電力のバイオマス発電への挑戦】かんだ発電所紹介(福岡県・苅田町) youtu.be

【関西電力のバイオマス発電への挑戦】かんだ発電所紹介(福岡県・苅田町)

youtu.be

かんだ発電所では、約16万世帯 もの一般家庭が1年間に使う電力量にあたる、年間約5億kWhを発電することができます。

また、2023年3月24日から、兵庫県相生市にある「相生バイオマス発電所」が本格運転を開始しました。関西電力グループは、これからもバイオマス発電をはじめとした、再生可能エネルギーの開発を推進し、ゼロカーボン社会の実現に向けて積極的に取組んでいきます。

バイオマス発電の燃料

画像: バイオマス発電の燃料

バイオマス発電で使用される燃料は、「乾燥材」「湿潤材」「その他」に分類されます。「乾燥材」とは、その名の通り比較的乾いたバイオマス燃料のことで、余った木材などをもとに作る木質チップなどを指します。ほかにも、稲わらやトウモロコシなどの農業系バイオマスも「乾燥材」に含まれます。

「湿潤材」とは、水分を多く含むバイオマス燃料のことです。家畜の排泄物や、水産物の残りかす、食品廃棄物などが該当します。「その他」としては、製紙工場で木材パルプを作るときに発生する黒液や廃棄される食用油などが挙げられます。

参考:国立研究開発法人 国立環境研究所

バイオマス発電の発電方式

バイオマス発電の発電方式は、燃料の種類によって異なり、主に、下記の3つに分類されます。それぞれの発電方式の特徴について、簡単にご説明します。

 ●直接燃焼方式|持ち運びしやすい乾燥系燃料が適する
 ●熱分解ガス化方式|ガス化することでより燃焼しやすく
 ●生物化学的ガス化方式|燃えやすいメタンガスが主流

直接燃焼方式|持ち運びしやすい乾燥系燃料が適する

画像: 直接燃焼方式|持ち運びしやすい乾燥系燃料が適する

「直接燃焼方式」では、バイオマス燃料をそのまま燃やしてタービン、発電機を回して電気を作ります。この発電方式には、水分の少ない乾燥系のバイオマス燃料が適しています。

木屑や間伐材を小さく加工した木質ペレットや木質チップなどが燃やされることもあります。また、一般家庭などから集めた可燃ごみを燃やし、その熱を使って発電することもあり、現在は多くのごみ処理施設に発電施設が併設されています。

直接燃焼方式の特徴としては、木質ペレットや木質チップといった、比較的運搬・管理しやすいバイオマス燃料を使用することや、ほかの方式と比べて燃料の加工プロセスが少ないことが挙げられます。

熱分解ガス化方式|ガス化することでより燃焼しやすく

画像: 熱分解ガス化方式|ガス化することでより燃焼しやすく

「熱分解ガス化方式」では、バイオマス燃料を直接燃やすのではなく、ガス状の成分に変換 する「ガス化」を行い、このガスを燃焼することで発電します。ガス化される前の燃料としては、木屑や間伐材といった木質のバイオマス燃料や、食品工場などから出る食品廃棄物があります。

なぜ木材や食品廃棄物などをわざわざガス化するのかというと、変換されたガスには、可燃性の成分がより多く含まれるからです。木屑や間伐材、食品廃棄物にはどうしても水分が残りますが、これらをガス化することでより燃焼しやすい状態に変換することができます。

以前から、木材を熱分解してガス化するという方法は、木炭の製造プロセスの一環として世界各地で行われてきました。

生物化学的ガス化方式|燃えやすいメタンガスが主流

画像: 生物化学的ガス化方式|燃えやすいメタンガスが主流

家畜の排泄物や生ごみ、下水汚泥などを、微生物の働きによって発酵させることでバイオガスが 発生します。この バイオガスで タービンを回し、発電を行うのが「生物化学的ガス化方式」です。また、この方式では、主にメタン発酵で発生するメタンガスが使用されます。メタンガスは燃えやすいことが特徴のガスです。

一方で、メタン発酵によって残った残りかすは肥料として農業などで活用することもできるため、循環型社会の形成にも役立つと考えられています。

参考:環境省

バイオマス発電は再生可能エネルギーなのか?

画像: iStock.com/tiero

iStock.com/tiero

これまで見てきたバイオマス発電の仕組みや発電方式では、さまざまなバイオマス燃料を燃やすことで電気を作り出していました。読者の皆さんの中には「燃焼によって二酸化炭素(CO2)が発生するのに、なぜバイオマス発電は再生可能エネルギーなの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。

バイオマス燃料を燃やして 発生するCO2は、もともと動物や植物が成長の過程で大気から吸収し たものだとされています。

そのため、 バイオマス燃料を燃やして発生したCO2は、地球温暖化の直接的な原因にはならないといった意見があります。

つまり、バイオマス発電は大気中のCO2を増やすことなくエネルギーを生み出すことができる「ゼロカーボン」の考え方に立っていると言えるのです 。

しかし、この理論は燃料の生産に使った植物が元どおりに再生するという前提の上に成り立っています。燃料を作る過程で森林が減少する可能性もあるため、バイオマス発電はカーボンニュートラルではないという意見もあります。

なお、地球温暖化の原因となるCO2をできるだけ削減するゼロカーボンという考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。 

バイオマス発電のメリット|循環型社会の構築に貢献する

iStock.com/RomoloTavani

バイオマス発電は、これまで利用されずに捨てられていた生物資源を発電に活用できるという可能性も秘めています。

例えば、私たちの家庭から出る可燃ごみは、ただ処分されるのではなく、焼却処分の際に一緒に電気や熱を作る燃料としても活用される場合もあります。バイオマス発電では、このように資源を無駄なく使えることから、循環型社会の構築に貢献すると考えられているのです。

バイオマス発電の課題

画像: iStock.com/fotojog

iStock.com/fotojog

バイオマス発電には多くのメリットがある反面、乗り越えるべき課題も残されています。ここでは、課題とそれらの課題に対してどのような対策が行われているのかも一緒に紹介していきます。

課題1 生物資源の調達方法やそのコスト

バイオマス発電の燃料となる生物資源は、広い地域に分散していることがほとんどです。そのため、調達や収集の方法に課題があるとされています。いろいろな地域から少しずつ資源を集めること考えると、収集や運搬、管理に時間 も手間 もかかり、 コストがかさむこととなります 。

そこで、こうした資源調達の課題に対して、生物資源が発生する場所の近くにバイオマス発電所を建設するという取組みが実施されています。例えば、森林資源の豊富な大分県日田市では、林業で発生する間伐材などを燃料とするバイオマス発電所を市内に建設し、2013年から商業運転を開始しています。

参考 : 経済産業省資源エネルギー庁
参考 : グリーン発電大分

課題2 食料との競合

トウモロコシなどの植物は、バイオマス燃料として活用できる一方で、食べることができる食料でもあります。このように、食料を燃料として使うことに対しては、以前から世界的に問題視されてきました。これを「食料競合」の問題と呼びます。

そのため、日本でも、食料と燃料をどのように区分するかの判断基準を国 が検討しているところです。

参考:経済産業省資源エネルギー庁

循環型社会の構築に役立つバイオマス発電

バイオマス発電とは、動物や植物から作られる生物資源であるバイオマス燃料を使って発電する仕組みで、 再生可能エネルギーの一つだとされています。

ほかにも、これまで捨てられていた生物資源を利活用することで、地域社会や環境に良い影響を与えるといった効果も期待されているのです。その一方で、燃料の調達や食料との競合に課題があるとされていますが、こうした課題を解決しようとする取組みも始まっています。

地球環境にやさしい、真の循環型社会を目指していくためには、バイオマス発電のメリットと課題を正しく見極めなければいけません。メリットを最大限活かす方法を考えつつ、課題と真摯に向き合い、乗り越える必要があります。

未来の地球環境をよりよくする一つの手段として、バイオマス発電が活躍してくれることに期待しましょう!

画像: バイオマス発電とは?仕組みやメリットを簡単に解説

こうちゃん

未来に向けてすすめ、ゼロカーボン!

RECOMMEND この記事を読んだ
人におすすめ

This article is a sponsored article by
''.