実は、火力発電の燃料にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる特徴があります。しかし、現在主に使われている化石燃料には限りがあり、将来なくなってしまうおそれがあるのです。
そこで今回は、日本の発電量のうち、火力発電がどれくらいの割合を占めているのか、火力発電の燃料の使用量や種類について説明します。
そこで今回は、日本の発電量のうち、火力発電がどれくらいの割合を占めているのか、火力発電の燃料の使用量や種類について説明します。
※この記事は2023年3月15日に公開した内容をアップデートしています。
日本の火力発電の割合はどれくらい?ほかの発電方法とも比較
はじめに、日本ではどのような方法で電気がつくられているのか見てみましょう。資源エネルギー庁の「電力調査統計」によると、2025年度の国内の発電量の実績は次の通りです。

2024年度と比べると、2025年度は火力発電が1.0ポイント、原子力発電が0.6ポイント上昇した一方、新エネルギー等は0.9ポイント低下し、水力発電は9.6%で横ばいとなりました。
参考:資源エネルギー庁「統計表一覧 2025年度 発電実績」
資源エネルギー庁「統計表一覧 2024年度 発電実績」
火力発電の割合は74.4%で発電量の7割強
日本で使用される電気のうち、もっとも多くを占める発電方法が火力発電で、2025年度の発電量の割合は74.4%です。2023年度は76.1%、2024年度は73.4%となっており、7割強を維持し続けています。これは水力発電の9.6%(2025年度)の約8倍となっており、火力発電は日本の電力供給を支える主要な発電方法となっています。
火力発電で使用される燃料の種類は、主に石油、石炭、液化天然ガス(LNG)の3種類です。これらの燃料の種類については、後述で詳しく説明します。
火力発電の仕組みやメリット、課題などについてより詳しく知りたいという人は、こちらの記事も合わせてご覧ください。
水力発電の割合は9.6%
水力発電とは、水が高いところから低いところへ流れ落ちる位置エネルギーを活用して電気を作る発電方法のことです。ダムを活用した水力発電は古くから行われており、通称“くろよん”と呼ばれる黒部川第四発電所も水力発電所の一つです。2025年度の発電量の割合は9.6%となっています。
水力発電には、エネルギーを無駄なく使えることのほかに、3〜5分と非常に短時間で発電できるなどのメリットがあります。水力発電のメリットや課題については、こちらの記事をご覧ください。
原子力発電の割合は11.1%
原子力発電では、ウランという物質を燃料に使って発電します。電力を安定して供給でき、発電時に地球温暖化の原因と考えられている二酸化炭素(CO2)を発生しないなどのメリットがある発電方法です。2025年度の発電量の割合は11.1%となっています。
原子力発電がどのような仕組みで電気を作るかなどについては、こちらの記事で詳しく説明しています。
新エネルギー等の割合は9.6%
資源エネルギー庁の統計データでは、太陽光、風力、地熱、バイオマスを使った発電方法を新エネルギーと位置付けています。これらの新エネルギーの発電量の割合は、2025年度で9.6%となっています(バイオマス・廃棄物発電を含む「新エネルギー等」の値)。また、再生可能エネルギーといわれることもあります。
新エネルギーである再生可能エネルギーの種類や発電方法については、こちらの記事で詳しく説明しています。メリットや課題について知りたいという人は、ぜひチェックしてみてください。
火力発電の燃料別発電量。LNGが最多で石炭が2番目
火力発電では主に石油、石炭、LNGといった3種類の燃料を使用します。

2025年度の燃料別の発電割合(発電量全体に占める割合)は、LNGが33.3%で最も多く、次いで石炭が31.8%、石油が0.9%でした。2024年度はLNG33.3%、石炭31.6%、石油1.1%だったため、LNGの割合は変わらず、石炭は0.2ポイント上昇、石油は0.2ポイント低下しています。また、火力発電量だけを100%として見ると、LNGが約44.7%、石炭が約42.7%、石油が約1.2%で、LNGと石炭を合わせると約9割を占めています。
参考:資源エネルギー庁「統計表一覧 2025年度 発電実績」
資源エネルギー庁「統計表一覧 2024年度 発電実績」
火力発電の燃料はどこから輸入している?
日本は、火力発電の燃料をどこから輸入しているのでしょうか。
まず原油については、2024年の輸入量の95.1%が中東からの輸入となっており、国別ではアラブ首長国連邦が43.7%、サウジアラビアが40.0%と大きな割合を占めています。そのため、中東情勢の変化は、原油の安定調達や価格に影響を及ぼす可能性があります。
また、石炭の約7割、LNGの約4割をオーストラリアから輸入しています。LNGについては、オーストラリア(38.2%)だけではなく、マレーシア(15.5%)やアメリカ(9.6%)などからも輸入しており、比較的、輸入相手国の偏りが少ない燃料だといえるでしょう。
関西電力では、燃料の安定調達のため、調達先の分散化を進めています。
石油は、厳しい環境規制をクリアするために、東南アジアからの輸入を中心としています。石炭やLNGは、日本全体と同様にオーストラリアからの輸入を中心としていますが、燃料の安定調達のため、輸入先を世界中に分散させています。
参考:資源エネルギー庁「日本のエネルギー2025」
関西電力「燃料調達の現状」
火力発電に使われる燃料の種類
効率よく発電するためには、燃えやすく、より多くのエネルギーを得られる燃料を使う必要があります。現在、火力発電所で主に使われている石油、石炭、LNGの3種類の燃料の特徴をご紹介します。

石油
石油は、プランクトンの死がいが何千万年もかけて変化したものだといわれています。海の底に積み重なったプランクトンの死がいは、いつしか海中の土の中に埋もれ、地熱などの影響によって石油へと変化していくのです。
石油には、LNGや石炭に比べて扱いやすく、運びやすいというメリットがあります。しかし、価格がほかの燃料に比べて高いため、2025年度時点では、火力発電の燃料の中で、もっとも利用割合が少ない燃料です。
石炭
石炭は、枯れた植物が、長い年月を経て土の中で岩や石のように変化したものです。
実は石炭は国内でも採取することができます。かつては国内にも多くの炭鉱がありましたが、コスト面の問題などから、現在、燃料として利用されている石炭のほとんどを海外から輸入しています。
液化天然ガス(LNG)
大昔の動物や植物の死がいは、土の中でガスに変化します。このガスを汲み上げてマイナス162度まで冷やすと、液体になります。これが、LNGです。
汲み上げたガスを冷やして液体にするのは、体積を小さくするためです。
LNGは、石炭や石油に比べて、燃やしたときに排出される二酸化炭素(CO2)などが少なく、1970年代から利用され始めた比較的新しい燃料です。
燃料ごとの主なメリット・デメリット
石油・石炭・LNGには、それぞれメリットとデメリットがあります。

経済性、調達の柔軟性、環境性それぞれから比較してみましょう。
経済性においては、需要と供給の変動や地政学リスクなどによって変動はあるものの、一般的には石炭がもっとも優れており、次いでLNG、石油の順となっています。低コストの燃料を使用する発電所から順に稼働したり、より経済性が高い燃料を調達することで、発電コストを下げることができます。
調達の柔軟性で考えると、貯蔵しやすく契約期間が短い燃料ほど、必要な数量の増減に対して細かく対応することができ、柔軟性が高い燃料といえます。貯蔵しやすい石油は調達の柔軟性が高く、反対に、貯蔵に手間がかかるLNGは調達の柔軟性が低いとされています。
環境への負荷の面から見ると、CO2の排出量が少ないLNGが比較的クリーンな燃料といえます。
これらの燃料は、どれが優れていて、どれが劣っているといったものではありません。どれか一つに絞るのではなく、メリットとデメリットを補い合えるように、バランスよく利用する必要があります。
燃やしてもCO2を排出しない燃料も
現在、火力発電の燃料として主に利用されている石油・石炭・LNGは、排出量に差はあるものの、どれも燃やすことでCO2を排出します。
2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、2040年度の電源構成の見通しとして、再生可能エネルギー4〜5割程度、原子力2割程度、火力3〜4割程度にすることが示されています。火力発電は安定供給を支える役割を担いながら、脱炭素化を進めていくことが求められているのです。
そこで注目したいのが、燃やしてもCO2を排出しない、水素やアンモニアを用いた火力発電です。日本では、このような燃料を使った火力発電所や、工場から排出されたCO2を回収し、貯蔵または資源として再利用する「CCUS (Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)」といった技術の確立を進めています。
参考:国立環境研究所「ごみ発電は得か損か」
資源エネルギー庁「第7次エネルギー基本計画」
火力発電の燃料は枯渇しないの?
火力発電で主に使われている石油・石炭・LNGは、どれも自然にできたものですが、使う量が作られる量を上回っていれば、いつかはなくなってしまいます。
2020年末の統計によると、もっとも長い石炭でも139年、石油については、54年で底をついてしまうという試算がなされています。現状のスピードで使用していては、どの燃料も近い将来、なくなってしまうでしょう。
今の安心した暮らしを維持するためには、エネルギー資源の安定的な確保について一人ひとりが意識し、限りある資源を大切に活用していく必要があります。
火力発電の割合と燃料に関するQ&A
日本の火力発電で1番多く使われている燃料は?
2025年度の火力発電量に占める割合では、LNGが約44.7%で最も多くなっています。
日本の火力発電で2番目に多く使われている燃料は?
2番目に多いのは石炭です。2025年度の火力発電量に占める割合は約42.7%で、最も多いLNGの約44.7%との差は約2.0ポイントとなっています。火力発電における燃料の内訳では、LNGと石炭を合わせて約9割を占めています。
日本は火力発電の割合が高い?
2025年度の発電量では、火力発電が74.4%を占めています。水力発電9.6%、原子力発電11.1%などと比べても大きな割合を占め、現在の日本の電力供給において重要な役割を担っています。
火力発電の割合は今後どうなる?
第7次エネルギー基本計画では、2040年度の電源構成の見通しとして、火力3〜4割程度、再生可能エネルギー4〜5割程度、原子力2割程度が示されています。火力発電は、安定供給を支える役割を担いながら、脱炭素化を進めていくことが求められています。
まとめ
火力発電は、日本の電力供給を支える重要な発電方法です。火力発電を行うためになくてはならないのが、石油や石炭、LNGといった燃料です。
火力発電所の燃料は、日本や世界のエネルギー事情を反映して移り変わってきました。その中で電力会社は、もっとも効率よく発電できるよう、それぞれの燃料を組み合わせて発電を行っています。
今後、燃やしてもCO2を排出しない水素やアンモニアを用いた燃料や、さまざまな発電方法を組み合わせたエネルギーミックスの推進など、限りある火力発電の燃料に代わる選択肢を検討していく必要があります。地球環境に配慮しながら、私たちの生活を維持するために、より良い可能性を探っていきましょう。

みなぱん
それぞれの燃料の特徴を踏まえて、1種類に頼ることなく運用することが大切です!











