発酵のまち・木曽
長野県の南西部に位置する「木曽」。江戸時代には京都と江戸を結んだ中山道・木曽路に沿い、宿場町として栄えました。しかし、新鮮な食品やそれらを保存するための塩がなかなか手に入らない山間地。そのため独自の発酵文化が芽生え、育まれていったといいます。
現在、木曽の中心地である「木曽町(JR木曽福島駅)」には、新大阪から約2時間半で訪れることができます。宿場町としての風情が残る街並みや雄大な自然を楽しめるため、人気の観光地になっています。
「かんでんWITH YOU」編集部おすすめ! 発酵観光スポット4選
関西電力では、木曽町の事業者と協力して「三浦ダム発酵食品プロジェクト」を進めています。このプロジェクトを通じて出会った発酵文化の継承者による個性豊かな発酵食と、それらを楽しめるスポットをご紹介しましょう。
① “すんき漬”を使ったヨーグルト|開田高原アイスクリーム工房
標高1,100m、御嶽山の山麓に広がる開田高原は、長野県内でも人気の避暑地。JR木曽福島駅からバスで36分、木曽馬の里入口停留所から徒歩5分の場所にある「開田高原アイスクリーム工房」では、高原の牧場でのびのびと育つ牛のミルクを使ったグルメを楽しむことができます。
ここでぜひ試していただきたいのが「SNKY(スンキー)」というヨーグルト。なんと、木曽を代表する発酵食「すんき漬(※)」の植物性乳酸菌を使った日本初・スンキ菌ヨーグルトです。
ポップでかわいらしいパッケージと漬物の組み合わせのギャップに驚きますが、漬物らしい風味はなくマイルドな味わい。スンキ菌が腸の奥まで届き、お通じもよくなるといいます。ノーマルタイプとハードタイプ、お好みにあわせてトライしてみてください!
(※)すんき漬とは、赤カブの葉や茎を使った漬物。かつて「米は貸しても、塩は貸せるな」というほど、木曽で塩が貴重なものだった時代に生まれた、乳酸菌発酵による無塩漬物です。
開田高原アイスクリーム工房では、そのほかにも地元産の食材をふんだんに使ったアイスクリームやソフトクリームを楽しむことができます。
店名 | 開田高原アイスクリーム工房 |
住所 | 長野県木曽郡木曽町開田高原末川4411-9 |
営業時間 | 10:00〜16:30 |
定休日 | 毎週火曜日 ※時期によって変動があります |
WEB | https://www.hif.jp/ |
開田高原アイスクリーム工房から歩いてすぐの場所に、開田高原観光案内所もあるので、立ち寄ったついでに周辺の観光を楽しむのもおすすめです!
② まるで芸術品! 木曽の地酒飲み比べ体験|七笑酒造
日本酒も発酵の賜物だとご存知でしたか? 次にご紹介するのは、JR木曽福島駅から徒歩12分の場所にある「七笑酒造」。1892年に創業された老舗の造り酒屋です。
七笑酒造が取り扱うのは、長野県産のお米・美山錦と、七笑酒造の敷地内に湧く清水で仕込んだ、正真正銘の地酒です。その味わいは、甘口・辛口に留まらない“旨口”を目指して丁寧に醸されています。
店内に並ぶ日本酒の数々は、まるで芸術品のよう。手にとるのは緊張しちゃう……という方もご安心を! 店内の一角には、一杯100円でさまざまな日本酒を試飲できるコーナーがあります。ゆっくり味わって、自分好みのお酒を見つけてみてくださいね。
店名 | 七笑酒造 |
住所 | 長野県木曽郡木曽町福島5135 |
営業時間 | 平日 8:00〜18:00 土日祝 8:00〜18:00 |
定休日 | 元旦のみ |
WEB | https://www.nanawarai.co.jp/ |
七笑酒造には、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード(※)」を受賞した日本酒がたくさんあるんだそうです。ワイングラスで飲むなんて新鮮! おうちで試してみたいです!
(※)ワイングラスでおいしい日本酒アワードの詳細はこちら
③ 熟成発酵にひとクセあり!? ユニークな日本酒と出会いに|中善酒造
もう一つ、木曽の酒造をご紹介。JR木曽福島駅から徒歩9分の場所にある「中善酒造店」です。こちらも1865年創業の老舗店ですが、新たな熟成発酵の手法に次々と挑戦しています。
看板商品は、御嶽山系の伏流水と自家栽培の「山恵錦」を含む長野県産の酒米で仕込んだ木曽の地酒「中乗さん」。これを例えば、和太鼓の音を聞かせて熟成させたり、井戸の中で熟成させたりとユニークな手法で発酵させています。味わいの違いを楽しむことはもちろん、地域の文化や自然に想いを馳せながらいただくことができるのも魅力の一つ。中乗さんのほかにも、木曽八景の一つに数えられる「風越青嵐の里」の田園風景をテーマにした日本酒など、木曽愛にあふれた品々に出会えます。
木のぬくもりを感じる店内には、試飲カウンターがありお店の方と相談しながらお酒を選ぶことができます。また、おちょこやトートバックなどのオリジナルグッズが購入できるコーナーも要チェック!
店名 | 中善酒造店 |
住所 | 長野県木曽郡木曽町福島5990 |
営業時間 | 4〜10月 9:00〜18:00(試飲17時まで) 11〜3月 9:00〜17:00(試飲16時まで) |
定休日 | 1月1日~3日 |
WEB | https://nakanorisan.com/ |
中善酒造では、日本酒の風味はもちろんのこと、「物語」を大切にされているのだそう。試飲をしながら、それぞれの日本酒に秘められた物語を聞いてみては?
④ チーズのような風味!? 伝統の味噌玉製法で二度発酵「熟成味噌」をお土産に|小池糀店
最後にご紹介するのは、JR木曽福島駅から徒歩9分の場所にある「小池糀店」。全国的にも珍しい「味噌玉製法」の伝統を守るお店です。
味噌玉製法とは、味噌づくりに必要な“発酵”を二度の工程に分けて進めるものです(※)。また、味噌を仕込む場所は、空気の澄んだ木曽駒高原。自然の寒暖にゆだねて、ゆっくりと円熟させた味噌は、深い香りとコクを感じられる逸品です。
(※)通常の味噌作りでは、蒸した大豆にすぐ糀・塩を混ぜ込む。味噌玉製法では、大豆を丸めた“味噌玉”のみで一度熟成させ、その後に糀・塩を混ぜてもう一度熟成させる。春に仕込み、夏に熟成し、秋から初冬に完成する、日本ならではの四季を利用した伝統的な製法。
こうして作られる「熟成味噌(500g 税込713円〜)」が、小池糀店の名物。酪酸菌がはたらくことでチーズのような独特の風味となっています。味噌汁はもちろん、カレーやピザ、ラーメン、餃子などさまざまな料理の隠し味にもおすすめ。いつものレシピに“ちょい足し”して楽しんでみてください。
そのほかにも、せんべいの老舗店とコラボした「味噌せんべい(税込594円)」や、味噌を練り込んだホロホロクッキー「ブールド・ネージュ(税込410円)」、味噌に使われている糀をごはんに合わせる「ピリカラ糀(税込464円)」など、カジュアルに楽しめる品々は、お土産にもぴったり!
店名 | 小池糀店 |
住所 | 長野県木曽郡木曽町福島5831 |
営業時間 | 9:00〜19:00 |
定休日 | 不定休 |
WEB | https://www.koji-miso.com/ |
熟成味噌は、初めて感じる濃厚な味わい。そのほかにブールド・ネージュをお土産に購入しましたが、ホロホロっとした口あたりと甘じょっぱさが、クセになりそうな美味しさでした!
木曽でディープな食体験。発酵観光へ出かけよう!
普段、口にするものとは一味違った木曽の発酵食。気になる商品やスポットはありましたか?
食を楽しみながら、地域の自然や歴史に触れることができるのも、木曽で“発酵観光”をする醍醐味です。次の旅行先に迷っている方、ぜひ木曽を訪れてみてください!