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「くろよん」(黒部ダム・黒部川第四発電所の総称)は、2023年、竣工60周年を迎えました。黒部ダムは年間約100万人が訪れる観光地となりましたが、かつての黒部峡谷は人を寄せつけない秘境。ここには、電源開発に果敢に挑戦しつづけた多くの人の知恵と努力によって、不可能といわれたダム建設を実現した歴史が刻まれています。そんな物語からみえる黒部ダムの魅力を、前後編にわたってお届けします。

前編では、くろよんができるまでを詳しく解説しています。

厳しい自然と対峙し、難工事の末、実現したくろよん建設。当時のことを知る人は少なくなりましたが、今でも、黒部ダムのあちこちでその歴史を伺い知ることができます。ここからは、黒部ダムの見どころをご紹介していきましょう。

勤続20年、黒部ダムを知り尽くした職員がナビゲートします!

画像: 黒四管理事務所 酒井由起子

黒四管理事務所 酒井由起子

いざ、歴史に触れる黒部ダム探索へ!

黒部ダム建設の最大の難所だった、関電トンネル

黒部ダムへの玄関口、扇沢駅(長野県大町市)。扇沢駅から黒部ダム駅を結ぶ「関電トンネル」は、ダム建設において最大の難所だったといわれています。摂氏4度という冷たい地下水と土砂が最大毎秒660リットルも噴出した破砕帯(※)。トンネル工法の権威者の知識と経験を集結し、7ヵ月にわたる苦悩の末、1957年12月、ついに破砕帯を突破しました。

※破砕帯とは、岩盤の中で岩が細かく割れ、地下水を溜め込んだ軟弱な地層。

画像1: 黒部ダム建設の最大の難所だった、関電トンネル
画像1: 【60周年記念】くろよんヒストリーを徹底解明!(後編)

酒井さん:現在は、電気バスに乗ってトンネル内を安全に通行できます。青い照明で照らされているのは、かつて破砕帯を掘ったところ。車窓からは、今でも流れ出る破砕帯の水を見ることができますよ!

黒部ダム駅へ到着すると、さっそく展望台へ。220段ある階段を上っていきます。

画像2: 黒部ダム建設の最大の難所だった、関電トンネル
画像2: 【60周年記念】くろよんヒストリーを徹底解明!(後編)

絶景に辿り着くために、頑張って上りましょう! ところどころにダムの解説や湧き水の給水ポイントがあるので、楽しく移動できるはずです。

画像3: 【60周年記念】くろよんヒストリーを徹底解明!(後編)

地中階段は、真夏の今でもひんやりと涼しくて気持ちいいです。でも、上り終わった頃には足がガクガク……。歩きやすい格好で来るのをおすすめします!

先人がつくりあげた黒部ダムの全貌を展望台から

階段を上り終えた先、標高1,508mの場所に展望台はあります。立山連峰をはじめとする北アルプスに囲まれた黒部ダムの姿を一望できるスポットです。

画像1: 先人がつくりあげた黒部ダムの全貌を展望台から

また、観光放水が行われる時期(※)には、毎秒10t以上の水が放水される大迫力の光景を目にすることもできます。

※毎年6月26日~10月15日に観光放水を実施。

画像: 取材日の放水には、虹が架かりました!

取材日の放水には、虹が架かりました!

画像4: 【60周年記念】くろよんヒストリーを徹底解明!(後編)

黒部ダムの壮大さに圧倒されますね! ちなみに、展望台にはレインボーテラスという名前がつけられていますが、虹はいつでも見られるんですか?

画像5: 【60周年記念】くろよんヒストリーを徹底解明!(後編)

日光の当たり方によって異なりますが、比較的虹が見えやすいのは晴れた日の10:00~12:00頃です。運がいいと2つの虹が同時に出現する、”ダブルレインボー”を見られるときもあるんですよ!

画像2: 先人がつくりあげた黒部ダムの全貌を展望台から
画像6: 【60周年記念】くろよんヒストリーを徹底解明!(後編)

観光放水期間の中で、おすすめのシーズンはありますか?

画像7: 【60周年記念】くろよんヒストリーを徹底解明!(後編)

はい。梅雨明けからお盆前にかけてはダイナミックな放流が見られるのがポイントですが、個人的なおすすめは紅葉シーズンです! 運が良ければ立山連峰の初冠雪と紅葉、そして緑の「三段紅葉」と放水のコラボレーションが見られるかもしれません。

画像8: 【60周年記念】くろよんヒストリーを徹底解明!(後編)

紅葉を見に、秋にもまた訪れたいです。見る時間や季節によって景色が変化する黒部ダムは何度も訪れたくなりますね。

見て、触れて、感じる。当時の軌跡

展望台の近くには、ダム建設時のダンプカーのタイヤ跡や人々の足跡が残された「ワダチモニュメント」が。実際に見ると、工事中の激しさや力強さを感じることができるでしょう。

画像1: 見て、触れて、感じる。当時の軌跡

また、破砕帯からの湧き水に触れられるスポットも!

画像2: 見て、触れて、感じる。当時の軌跡
画像9: 【60周年記念】くろよんヒストリーを徹底解明!(後編)

現場作業員たちが苦戦した破砕帯の水、いかがですか?

画像10: 【60周年記念】くろよんヒストリーを徹底解明!(後編)

わ、冷たい! 真夏の今でもずっと触っているのは厳しいですね……!

歴史を詳しく学ぶなら、新展望広場特設会場がおすすめ

新展望広場特設会場内では、黒部ダム建設の歴史をパネルや映像で楽しめるほか、石原裕次郎記念館から移設された映画「黒部の太陽」のトンネルセットレプリカが展示されています。

画像: 歴史を詳しく学ぶなら、新展望広場特設会場がおすすめ
画像11: 【60周年記念】くろよんヒストリーを徹底解明!(後編)

パネルや映像で視覚的に歴史を学べるので、当時のことについて詳しく知りたい方はぜひ訪れてみてください。

画像12: 【60周年記念】くろよんヒストリーを徹底解明!(後編)

実際にダムを見た後に現地で学ぶと、ダム建設の過酷さがよりリアルに感じられてぐっときます……。

日本一のえん堤に立ち、スケールの大きさを再実感

展望台から見下ろしていた、えん堤(水をせきとめている構造物)へ。黒部ダムは、高さ186mで日本一を誇ります。長さも492mあり、左右上下にひらけたこの地に立ってみると、大自然の中に黒部ダムを建てたスケールの大きさが実感できるはずです。

画像: 日本一のえん堤に立ち、スケールの大きさを再実感
画像13: 【60周年記念】くろよんヒストリーを徹底解明!(後編)

私も黒部ダムで働き始めて20年以上が経ちますが、いまだにこれほど雄大な人工物が自然の中に溶け込んでいることの神秘性と当時携わった方々の偉大さを感じます。

画像14: 【60周年記念】くろよんヒストリーを徹底解明!(後編)

不思議と、自然に抱かれているような安心感がありますね。

せっかくなら楽しみ尽くしたい!黒部ダムの名物は?

黒部ダムにはダム本体以外にも、多くの見どころがあります。

遊覧船ガルベ

遊覧船ガルべは、満水時には湖面の標高が1,448mとなる黒部湖を周遊する日本一高所の遊覧船。周囲の山並みだけでなく、ダム湖からの黒部ダムも見ることができます。

画像: 遊覧船ガルベ
画像15: 【60周年記念】くろよんヒストリーを徹底解明!(後編)

私のおすすめは7月下旬の遊覧です!雨や雪解け水で貯水量が多くなるため、船までの歩く道が短くなるんです。体力に自信がない人にぜひ教えてあげてくださいね。

くろにょん

黒部ダムのマスコットキャラクター、くろにょんも忘れてはいけない存在。後ろ姿のハートもかわいらしい猫モチーフのキャラクターです。

画像: くろにょん
画像16: 【60周年記念】くろよんヒストリーを徹底解明!(後編)

出没の告知は特にしていないため、とってもレアで運がよければ出会うことができます!

黒部ダムカレー

テレビ番組などでもよく取り上げられる”ダムカレー”。大量の出水に見舞われながらの難工事を余儀なくされた現場作業員にとって、宿舎へ引き揚げてきた際に出迎えてくれる手作りのカレーライスは心の拠り所だったそう。

画像1: 黒部ダムカレー
画像17: 【60周年記念】くろよんヒストリーを徹底解明!(後編)

少し歩いて疲れた身体にも染み渡るおいしさ。当時の作業員にとっては最高級のごちそうになりそうですね。冷えた身体を温めてくれるカレー、ぜひ現地で実食してみては?

画像2: 黒部ダムカレー

歴史を知ると、黒部ダムはもっと楽しい!

歴史を紐解きながら観光する黒部ダムは、ひと味違った楽しみ方ができるはず。訪れる時間帯や季節によって、見え方が変わるのも面白いポイントですね。

そんな黒部ダムでは、関電トンネル内の破砕帯区間(約80m)を歩いて見学するツアー等を開催しています。(2023年度開催は募集終了)さらに、2024年には黒部ダムと黒部峡谷の欅平を結ぶ工事用ルートが一般開放・旅行商品化され「黒部宇奈月キャニオンルート」の名称で運行開始を予定しています。

画像: 歴史を知ると、黒部ダムはもっと楽しい!

60年前の過去から現在まで、多くの歴史を残しながら、新たな取り組みを続けている黒部ダム、実際に足を運んでその壮大さを体験してみては?

画像18: 【60周年記念】くろよんヒストリーを徹底解明!(後編)

けいちゃん

ただ観光するだけでも楽しい黒部ダムですが、破砕帯やダムカレーなど、「くろよん建設の歴史」を知った後で体験すると、色々な感情がこみあげてきました。。。

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