バイクのツーリングや、サイクリングで出かける方も多い、ダム。川をせき止めることで水の貯蔵や治水を行ったり、ダムの水を活用した「水力発電」で私たちに電気を届けてくれたりする、巨大なインフラ設備です。近年、そんなダムの外観や、役割、歴史に魅力される「ダムマニア」と呼ばれる人たちが急増しています。
しかし、普段の生活では、ダムや水力発電となかなか接点がないのも事実。一体、「ダムマニア」たちは、どんなところに魅了されているのでしょうか。
自称ダムマニア兼、水力発電のスペシャリスト、関西電力 再生可能エネルギー事業本部 計画グループの村田 雅と土橋 智之に、ダムや水力発電の奥深い魅力や見どころについて、掘り下げてもらいましょう。
また、ダム・水力発電所限定の超マニアックなフォトコンテストも開催中。ぜひ、記事の最後までチェックしてみてください。
知ると虜に!?ダムや水力発電の魅力とは
巨大建造物の迫力と構造を楽しむ
―さっそくですが、近年「ダムマニア」と呼ばれる方々がいたりと、観光資源にもなっているダムですが、どんな魅力があるのでしょうか?
村田「なんといっても、まずはその大きさが魅力です。日本の法律では、15m以上のものが”ダム”、それ以下の川をせき止めるものは”堰””や水門”と区別されています。そのため、ダムへ訪れると、必ず15m以上の壁がそびえ立っているというわけです。」
村田「ちなみに、日本で最も巨大なダムは、富山県にある黒部ダムです。仕事柄、何度も訪れていますが、訪れるたびにその大きさに圧倒されます。日本一の高さを誇るダムであるだけに、内部は高低差が激しく、確認して回ったり、点検作業を行ったりすると足が棒になることもあります」
発電所とダムを結ぶ水圧鉄管の点検には、約2,600段の階段を昇り降りするそう!確かに、足が棒になりそうです…。
-日本には様々なダムがありますが、何か違いはあるのでしょうか?
土橋「ひとくくりにダムといっても、実は用途や規模によって形や構造はバラバラです。ですので、どのダムに訪れても、それぞれの形や構造の違いを楽しめます」
土橋「例えば、ダムには貯めた水を流す“ゲート”と呼ばれるものが設置されているのですが、岐阜県の大井ダムは、21個もゲートが設置されていて日本一のゲート数を誇ります。水量が多い木曽川に建てられたため、洪水が起きないように多くのゲートが設置されたという背景があります」
すべてのゲートで放流されると、ものすごい景色が見られそうですね!
見ているだけで爽快!豪快な放流
-ダムといえば、ものすごい水しぶきがあがる観光放流のイメージも強いのですが、どれくらいの水が出ているのですか?
村田「黒部ダムだと、1秒間に1万リットルの水が流れています。東京都水道局によると、家庭で1人が1日に使う水の量の平均は214リットルだそうですから、47日分の水が1秒間に流れていることになりますね」
-ものすごい水量が流れているんですね。ちなみに、どんな時に放流が行われているのでしょうか?
村田「大雨が降った後や、山奥にあるダムであれば雪解けで水が流れ込む時、点検放流などで見られることがあります。ちなみに、黒部ダムでは、観光放流を毎年夏から秋にかけて実施していて、毎年多くの方々に訪れていただいています」
黒部ダムの観光放流を様々な角度から撮影してきました! 放水開始のサイレンや放水の瞬間は、我々水力部門の社員も滅多にみることのない、貴重映像です。
ダム建設の歴史をたどる
-ちなみに、土橋さんもダムマニアとのことですが、ダムのここが一番好き!という部分は何なのでしょうか?
土橋「ダムの一番の魅力はその歴史にあると思っています。黒部ダム建設の歴史は有名ですが、個人的に一番好きなのは、京都府にある蹴上発電所の歴史です」
-蹴上発電所には、どんな歴史があるのでしょうか?
土橋「蹴上発電所は、1891年に運転開始した日本初の事業用水力発電所です。情緒あふれるレンガ造りの蹴上発電所で生まれた電気が、当時の京都のまちを活気づけました。現在残っている赤レンガの建物も、当時のものなんです」
土橋「当時の京都の街灯や工業用電力、鉄道に使われ、京都だけでなく日本の産業の近代化に貢献したといっても過言ではありません。運転開始から130年近く経った今なお、”電気の安全安定供給”という想いを受け継ぎ、現役の発電所として京都のまちに電気を送り続けている姿に、深い歴史と使命を感じます」
蹴上発電所に掲げられている「功天亮※(てんこうをたすく)※右から順に読む」の文字は、当時の皇族である久邇宮邦彦殿下の筆によるものです。「水力エネルギーという自然の恵みを、人々の暮らしに生かすことこそ、天の意思に叶うものである」という意味が込められています。
ダムカードのコレクションやグルメも楽しめる!
土橋「また、ダムマニアの方の中には、ダムでゲットできる『ダムカード』をコレクションされている方も多いです。公式・非公式合わせて1,000種類以上あるといわれています」
村田「その他、ダムカレーやダムで熟成されたお酒といったグルメも楽しめるので、週末のおでかけなどにもおすすめです」
ダムや水力発電の魅力を発信中!「みずいろネット」企画に迫る
さまざまな魅力があるダムや水力発電ですが、そんな魅力を伝える「#みずいろネット」という企画が進行中とのこと。「#みずいろネット」の企画について、詳しく伺ってみました。
―「#みずいろネット」とは、一体どういった取組みなのでしょうか。
村田「『#みずいろネット』は、水力の魅力をお客さまに知ってもらうことを目的とした企画です。現在は、ファンの獲得に向けて、SNSを中心に水力発電所やダムの様々な映像をお届けしています。」
―どういった内容の投稿があるのでしょうか。
土橋「ダムや周辺の美しい景色から、設備点検の様子、設備の紹介など、多岐にわたっています。普段は水力発電所の新規開発の仕事を行っているため、日頃の業務とは異なる視点での取組みになりますが、日々思考錯誤しながら投稿を続けています。」
【水車発電機が動き出す瞬間⚙~ #みずいろネット 第11弾~】
— 関西電力グループ (@KANDEN_Official) November 6, 2022
今回は、水力発電の「どうなってるの?」シリーズとして、水車発電機が動き出す瞬間をご紹介�
舞台は滋賀県高島市に位置する荒川発電所。通水する瞬間の音、メーターの動きなど、なかなか見られない貴重な映像をぜひご覧ください�✨ pic.twitter.com/OTZbSdb2Kl
こちらは普段は無人の滋賀県・荒川発電所で、水車が動きだす瞬間を撮影しました。様々な機械が動き出す瞬間は、当社だからこそ発信できる動画ですし、見ていてワクワクしていただけると思います!
こちらは自然と調和する水力発電所の四季折々の美しい風景を紹介しました。みなさんにも足を運んでいただけるスポットを選びましたので、ぜひ訪れていただきたいです。
―「#みずいろネット」の今後について教えてください!
土橋「個人的には、将来、自分で選んだ発電所の電気を買うことができる時代が来るのではないかと思います。『#みずいろネット』をきっかけに、水力発電の歴史や構造物などの魅力を見つけるきっかけになったら、と考えています。そして、そんな時代が訪れたら、お気に入りの水力発電所の電気と共に、自分がゼロカーボンに貢献していることを体感できるような取組みとなってほしいです」
ダムマニア垂涎!?マニアックなフォトコンテストも開催!
このたび、もっとたくさんの方に水力の魅力を知ってほしい!ということで、「#みずいろネット」フォトコンテストの開催が決定!
テーマは、『あなたの好きな水力』。関西電力の水力発電所・ダム、その周辺の皆さんの愛あふれる写真を募集します。応募方法は、関西電力のTwitterもしくはInstagramをフォローの上、「#みずいろネット」をつけて写真を投稿するだけ!
今回のコンテストの最優秀賞の方にはなんと、関西電力のお好きな水力発電所・ダムご案内※、超プレミアな特典となっています。「癒し・爽快部門」、「タイムスリップ部門」、「マニアック部門」の計3部門から入選者を決定し、それぞれの最優秀賞受賞者をご案内予定ですので、ぜひ奮ってご応募ください。
応募方法などの詳しい情報は、フォトコンテストの特設ページをご確認ください!
※安全、設備運用上ご希望に沿えない箇所があります。
まとめ
私たちの生活を支えてくれている、水力発電所やダム。普段生活していても、なかなか接点がなく、意識することも少ないですが、実際にその姿を見てみると、大迫力な光景に圧倒され、その奥深い歴史に心ゆさぶられるはず。そんな「知ったらハマる」奥深い魅力を、現地や「#みずいろネット」企画を通してぜひ体感してみてください。
みなぱん
私はダムマニアではないのですが、ダムカードやグルメなど、ダム初心者でも楽しめるものがたくさんあることを知りました!私もダムに訪れて、フォトコンテストに応募してみようと思います!