この主人公が連呼していた「ゼロカーボン」とは?CMでは伝えきれなかった想いを紹介させてください。
「ゼロカーボン」と似た言葉に「カーボンニュートラル」というものもありますが、関西電力ではあえて「ゼロカーボン」を使っています。2つの違いがわからない……という方も多いかもしれませんが、詳しくは、関西電力 エネルギー・環境企画室の景山敏行に説明してもらいましょう。
「ゼロ」に込めた思い。電気をつくる側の挑戦
さっそくですが、「カーボンニュートラル」ではなく「ゼロカーボン」という言葉を選ばれた意味を教えてください。
景山「厳密な使い分けがあるわけではありませんが、『カーボンニュートラル』は、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる、というニュアンスが含まれています。例えば “やむを得ず排出された二酸化炭素”から“森林による吸収量”を差し引いて、二酸化炭素の排出量を全体としてゼロにする、というイメージです」
温室効果ガスを排出しても、吸収や除去によってニュートラル(中立)の状態にする、だから「カーボンニュートラル」なんですね。
景山「はい。確かにそれも有力な手段かと思いますが、私たちは、強い意味を持つ『ゼロ』をあえて使用することで、『事業活動に伴うCO2排出を全体としてゼロとする』決意を、分かりやすく表現しました」
世の中には便利な電化製品があふれ、デジタル時代の到来で快適な毎日を過ごす日々。その動力となる電気は、日本のおよそ7割が化石燃料(石油、石炭、液化天然ガスなど)を燃やす「火力発電」でつくられ、その過程で二酸化炭素(CO2)が排出されます。
毎日の生活が便利になればなるほど、地球にとって増えすぎている温室効果ガスの代表、つまり二酸化炭素が排出され、地球温暖化が加速している状態です。
景山「そもそも発電には大きく分けて3つあります。
まずは、風力・太陽光・水力など自然界に存在する環境や資源を利用する『再生可能エネルギー』です。これは皆さんも馴染みがあるとおり、発電時に二酸化炭素を発生させない環境に優しいエネルギーですが、毎日風が吹くとも晴れるとも、雨が降るとも限りませんし、自然由来ですから電力の供給が安定しません。
2つ目は、『原子力発電』。ご存知ない方もおられるかもしれませんが、実は原子力発電も、発電時に二酸化炭素を発生させない、ゼロカーボン電源です。
3つ目が『火力発電』です。原子力発電とは違い、電力需要に合わせて柔軟に発電できるのが特徴です。しかし、化石燃料を使うので二酸化炭素を排出します。そのためにアンモニアや水素、バイオマスなどのゼロカーボン燃料に移行するとともに、最新の排ガス回収技術を使うことで、ゼロカーボン化を図ろうとしています」
景山「こういった取組みの背景のひとつに、2020年10月に発表された、国の『カーボンニュートラル宣言』があります。こちらでは2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることが目標とされています」
そう遠くない未来の話ですね。
景山「そうなんです。電力由来のCO2排出量は全体の4割を占めており、これは真摯に取り組むべき課題。私たち関西電力がまず声を上げて、『ゼロカーボンエネルギーのリーディングカンパニー』としてお客さまと社会の役に立つ存在になるよう、結果を出したいと考えています」
電気を利用する側・消費者ができる、脱炭素につながる選択とは
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、生活者側としてできることはあるのでしょうか?
景山「自分ひとり頑張っても力にならないと感じてしまうかもしれませんが、その積み重ねが大切です。誰にでもできることがたくさんあります。
例えば、省エネ性能が高い電化製品を選ぶというのも、1つの手。一度、家電の消費電力のところを見てみてください。テレビにしてもエアコンにしても年々省エネ家電に進化していて、実際に電気代も安くなるんです」
使用電力を抑えるということは、電気代の節約にもなりますもんね!
景山「また、ソーラーパネルを設置して再生可能エネルギーを活用する、オール電化を導入するといった選択肢もあります。オール電化にして(住宅用蓄電池やエコキュートを導入して)電気料金が割安に設定されている深夜電力をうまく使うことで、夜間に発電している電気を無駄なく使用できるようになります」
ゼロカーボンでつくられたエネルギーを選ぶということも重要です。
関西電力では、お客さまにお届けする電気に、特約として、再生可能エネルギー由来の非化石証書の持つ環境価値を付加した電気料金メニュー「再エネECOプラン」をご用意しています。このメニューにご加入いただいたお客さまは、実質的に再生可能エネルギー由来のCO2フリーの電気をお使いいただけることになります。今後はお使いいただく電気にも、こういった「色」がついてくるのです。
ゼロカーボンにとって重要な「水素」とは
他に、ゼロカーボンを実現できるエネルギーとしては、どんなものが挙げられますか?
景山「新時代のエネルギーとして注目されているのは『水素』です。関西電力は、水素社会の実現に向けて挑戦しています。水素は、酸素と混ぜることで燃焼させて熱エネルギーとして使うことができます。その際に生まれるのは水で、二酸化炭素を排出しません。
当社は、火力発電所において、この水素を燃料にして発電を行うことを考えており、これを『ゼロカーボン火力』と呼んでいます。水素はゼロカーボン社会の実現のために必要不可欠なエネルギー。水素社会の実現に向けて準備を進めています」
まとめ
2050年のゼロカーボンを確実に達成するために、今から様々な選択肢を考慮に入れて準備を進めていかなければなりません。また、あと数年後の2030年には、温室効果ガスを2013年比で46%削減という目標もあります。
そこで、2022年3月、ゼロカーボンの実現に向けた道筋を定める「ゼロカーボンロードマップ」を策定しました。2050年に向けた取組み内容を掲げるとともに、2030年度の削減目標も設定し、ゼロカーボンに向けて着実に歩みを進めていきます。
「今後はより一層、電気を売るだけではなくてエネルギーにまつわるサービスも含めて、選ばれる魅力をつくっていくことが大切」だと、景山は語ります。皆さんに「環境のため」と仕方なく使っていただくのではなく「便利だから」「経済的だから」欲しいと思われるものを提供していきたいと、そう考えているのです。
ややもすると、「義務や責任ばかりが問われ、暮らしの豊かさや楽しさにつながらない」と思われがちなゼロカーボンの世界。だからこそ、暮らしの中でポジティブに浸透していく工夫や努力が理想の実現に向けたポイントになるかも知れません。
だいちゃん
2050年に向け、「ゼロ」という言葉に込められた決意を感じますね!
みんなでアクション すすめ、ゼロカーボン!