火力発電は燃料を燃やして電気を作る発電方法ですが、一体何を燃やしているのでしょうか?
実は、火力発電の燃料は1種類ではありません。さまざまな燃料があり、それぞれ異なる特徴を持っています。しかし、どの燃料にも限りがあり、将来なくなってしまうおそれがあります。今の便利な暮らしが限りある資源の上に成り立っていると知れば、将来のためにできる“何か”に気づくことができるかもしれません。

そこで、今回は火力発電の仕組みと燃料について説明します。毎日の生活になくてはならない電気が何から作られているのか、また、どんな課題があるのか、改めて考えてみましょう。

火力発電の仕組み

まずは、火力発電がどうやって電気を起こしているのかから見ていきましょう。下記のイラストは、火の力で電気が作れる仕組みを表したものです。

画像: 火力発電の仕組み

この図を見ると、水がボイラーの火で温められて、蒸気が作られていることがわかります。この蒸気が発電機につながったタービンを回転させることで、電気が作られるのです。それでは、タービンとは一体なんなのでしょうか?

タービンは、たくさんの羽根が重なり合うように取り付けられた大きな機械です。蒸気の熱を回転するエネルギーに変える役割を担っています。

なお、タービンを回した後の蒸気は、その後、冷やされて水に戻ります。この水は、再びボイラーに運ばれて蒸気になり、タービンを回します。これは「蒸気タービン」と呼ばれるタービンを使った火力発電の仕組みです。火力発電の中にもいろいろな種類があり、このほかに、圧縮させた空気と燃料を燃やしたガスでタービンを回す「ガスタービン発電」や、蒸気タービンとガスタービンを組み合わせた「コンバインドサイクル発電」といった方法もあります。

火力発電に使われる燃料

効率よく発電するためには、燃えやすい燃料を使う必要があります。
現在、火力発電所で主に使われている燃料は石油、石炭、液化天然ガス(LNG)の3種類です。

画像: 火力発電に使われる燃料

石油

画像: 石油火力発電所「御坊発電所」

石油火力発電所「御坊発電所」

石油は、プランクトンの死がいが何千万年もかけて変化したものだといわれています。海の底に積み重なったプランクトンの死がいは、いつしか海中の土の中に埋もれ、地熱などの影響によって石油へと変化していくのです。

石油には、天然ガスや石炭に比べて扱いやすく、運びやすいというメリットがあります。しかし、価格がほかに比べて高いという課題もあるため、2021年10月時点では、火力発電の燃料の中で、もっとも利用されている割合の少ない燃料です。

石炭

画像: 石炭火力発電所「舞鶴発電所」

石炭火力発電所「舞鶴発電所」

石炭は、枯れた植物が、長い年月を経て土の中で岩や石のように変化したものです。

日本はエネルギー自給率の低い国ですが、石炭は国内でも採取することができます。実際に、かつては多くの炭鉱がありました。しかし、コスト面の問題などから、現在、燃料として利用されている石炭のほとんどは海外からの輸入品です。

液化天然ガス(LNG)

画像: 液化天然ガスを運ぶタンカー

液化天然ガスを運ぶタンカー

大昔の動物や植物の死がいは、土の中でガスに変化します。このガスを汲み上げてマイナス162度まで冷やすと、液体になります。これが、液化天然ガスです。
このガスをそのまま使うのではなく、冷やして液体にしているのは、体積を小さくするためです。運搬しやすい形にして、海外から輸入されています。

液化天然ガスは、石炭や石油に比べて、燃やしたときに排出される二酸化炭素(CO2)等が少なく、1970年代から利用され始めた比較的新しい燃料です。

燃料ごとの主なメリット・デメリット

石油・石炭・液化天然ガスには、それぞれメリットとデメリットがあります。

画像: 燃料ごとの主なメリット・デメリット

経済性、調達の柔軟性、環境性それぞれから比較してみましょう。

経済性においては、石炭がもっとも優れており、次いで液化天然ガス、石油の順となっています。安い燃料を使用する発電所から順に稼働することや、同じ種類の燃料の中でも、より経済性のある燃料を調達することで、電気コストを下げることができます。
調達の柔軟性で考えると、貯蔵性が高く契約期間が短い燃料ほど、必要な数量の増減に対して細かく対応することができ、柔軟性が高い燃料といえます。貯蔵が容易な石油は柔軟性が高く、反対に、貯蔵に手間がかかる液化天然ガスは柔軟性が低いとされています。
環境への負荷の面から見ると、液化天然ガスが比較的クリーンな燃料といえます。

これらの燃料は、どれが優れていて、どれが劣っているといったものではありません。どれかひとつに絞るのではなく、メリットとデメリットを補い合えるように、バランスよく利用する必要があります。

燃やしてもCO2を排出しない燃料も

現在、火力発電の燃料として主に利用されている石油・石炭・液化天然ガスは、量に差はあるものの、どれも燃やすことでCO2を排出します。

そこで注目したいのが、燃やしてもCO2を排出しない、水素やアンモニアを用いた火力発電です。日本では、このような燃料を使った火力発電所や、排出されたCO2を再利用する「CCUS」や、地中に埋める「CCU」といった技術の支援を進めています。

参考:国立環境研究所

火力発電の燃料は枯渇しないの?

火力発電の燃料は、どれも自然にできたものですが、使う量が作られる量を上回っていれば、いつかなくなってしまいます。

これは、世界のエネルギー資源が今後どのくらい持つかを示した図です。

画像: 火力発電の燃料は枯渇しないの?

2020年末の統計によると、もっとも長い石炭でも139年、石油と液化天然ガスについては、約50年で底をついてしまうという試算がなされています。現状のスピードで使用していては、どの燃料も近い将来、なくなってしまうでしょう。

今が安心して暮らし続けるためには、エネルギー資源の安定的な確保について一人一人が意識し、限りある資源を大切に活用していく必要があります。

日本の火力発電の最新状況【2022年度版】

ここでは、火力発電の状況について、数字をもとに解説していきます。火力発電の現状について、知っておきましょう。

エネルギーの使用割合と消費量

これは、日本の発電量がどのようになっているかを示す円グラフです。

画像: エネルギーの使用割合と消費量

日本では、東日本大震災が起きた2011年以降、原子力発電の割合が大幅に減少しました。原子力発電は、2000年には全体の34.3%と、3分の1以上を占めていましたが、2014年には一度0%まで減少しています。その後、徐々に増加しているものの、2021年は11.6%にとどまっています。

この不足分を担う形で割合が増加したのが、火力発電です。2000年には全体の55.5%と半分ほどの割合だったのが、2021年には72.9%と、大幅に増加しています。

また、風力や太陽光といった新エネルギーを活用した発電も年々増加していますが、2021年10月時点では全体の1割に満たない状況です。

参考:資源エネルギー庁「総合資源エネルギー調査会」報告資料(2021年10月)

火力発電に使用する燃料の発電量割合

さらに、火力発電の燃料別の割合を見ていきましょう。

石炭液化天然ガス石油その他火力
発電量23,911,56320,865,3151,000,6664,889,148
割合47.2%41.2%2.0%9.6%
※単位:1,000kWh ※2021年9月時点

2021年10月時点で、燃料ごとの発電量の割合で見てみると、石炭が47.2%とおよそ半分の割合を占めており、続いて液化天然ガスが4割程度となっています。前年(2020年)は石炭より液化天然ガスの発電量が多かったのですが、近年、世界の各地域でLNGの価格が高騰していることで、国内での需要が安価な石炭に傾いているのです。

参考:資源エネルギー庁「総合資源エネルギー調査会」報告資料(2021年10月)

燃料の輸入先

日本は、火力発電に使う燃料をさまざまな国から輸入しています。以下は、石油、石炭、液化天然ガスの輸入国を示すグラフです。

画像: 燃料の輸入先

原油は、火力発電のほか、ガソリンや灯油などにも利用されています。火力発電で利用される量はそれほど多くありませんが、輸入量自体は非常に多くなっています。

円グラフの通り、日本の原油は、9割以上が中東から輸入したものです。そのため、中東情勢が混乱すると、ガソリン等の価格が上下したり、安定供給ができなくなったりするリスクがあります。

一方、液化天然ガスはもっとも輸入国が分散されている燃料だといえるでしょう。石炭と同じく、もっとも多いのはオーストラリアからですが、液化天然ガスは東南アジア諸国からも2割程度を輸入しています。

まとめ

火力発電は、日本の電力供給を支える重要な発電方法です。火力発電をおこなうためになくてはならないのが、石油や石炭、液化天然ガスといった燃料です。

火力発電所の燃料は、日本や世界のエネルギー事情を反映して移り変わってきました。その中で電力会社は、もっとも効率よく発電できるよう、それぞれの燃料を組み合わせて発電をおこなっています。

今後、燃やしてもCO2を排出しない水素やアンモニアを用いた燃料や、さまざまな発電方法を組み合わせたエネルギーミックスの推進など、限りある火力発電の燃料に代わる選択肢を見据えていく必要があります。地球環境に配慮しながら、私たちの生活を維持するために、より良い可能性を探っていきましょう。

画像: 【2022年最新】火力発電に使用される燃料の種類について解説

みなぱん

それぞれの燃料の特徴を踏まえて、1種類に頼ることなく運用することが大切です!

RECOMMEND この記事を読んだ
人におすすめ

This article is a sponsored article by
''.