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さやぱん 「WITH YOU」編集部員
麺類は大好き!うどんは、讃岐うどんの本場・香川で名店巡りをしたことも。今回お邪魔する「惑星のウドンド」は麺が硬いと聞きました。讃岐うどんと比べて、どちらのコシが強いのか気になります!
怪しさ満点!な「惑星のウドンド」はどんなお店?
「惑星のウドンド」があるのは、豊中市北部の蛍池(ほたるがいけ)。最寄りの阪急蛍池駅から徒歩すぐの場所に店を構えています。「24時間完全セルフ」と染め抜かれたのれんが目印。本当に店内は無人なのでしょうか。恐る恐る店内に入ってみます。
BGMが流れる店内を見回してみますが、本当にスタッフは誰もいない模様。お客さんもたまたまいないタイミングで入店したので、店内は貸し切り状態。麺の硬さとおいしさを伝える大きなマンガのコマパネルが、圧倒的な存在感を放ち、ますます不思議な店感が漂います。さて、どうやって注文するんだろう……?
①うどんは2種類。サクッと注文!
カウンターに目を向けると「①こうにゅう」のPOPを見つけました。どうやらここでうどんを買うことができるようです。
POPに記載されたQRコードを読み込んでみると、お店の購入ページが表示されました。メインメニューは、「かけウドンド」と「かけ油ウドンド」の2種類。今回はベーシックな「かけウドンド」を注文してみます。代金の支払いは、カード、PayPay、現金が利用できる模様です。
現金の場合は、へんてこりんなポーズをしたポストに投入します。ちなみにおつりは出ないのでご注意を!
決済を終えたら、冷蔵庫にあるうどんを取り出します。
袋の中身はこんな感じ。麺とつゆ、薬味のネギと天かす、うどんのレシピが入っています。さっそく、うどんを茹でていきましょう!
②初心者は10分待つべし。うどん職人になりきり、麺を茹であげる!
店内には、麺をゆがいたりつゆを温めたりするための機械が設置されています。麺とつゆを同じお湯につけないよう、機械に貼られたラベルをよく読んで投入!
店の壁には、麺の参考茹で時間が書いてあります。初めての人は10分。スタンダードな硬さは6分。エキスパートになると3分半が茹でごろなのだそう。いきなりエキスパートにチャレンジしたい気持ちを抑えて、素直に10分間待つことにします。
うどんを茹でる間は、時折、麺がくっつかないように棒でほぐします。誰にも言われたわけじゃないけど、こうやって棒でほぐすとなんとなくおいしくなりそう(笑)
麺を湯切りする「てぼ」の中でクルクルと回転する麺。その様子をマジマジと眺めたり棒でかき回したりしながら、待つこと10分。
タイマーが鳴って、ようやく麺が茹であがりました! そーっとお湯の中からてぼを取りだして……
チャチャチャっと湯切りします。うどん職人になったみたいでテンション上がる!
用意した器に麺をよそって、
温めていたつゆを注ぎ、薬味のネギ、天かすを添えて、完全セルフうどんの完成です!
③いざ、実食。完全セルフうどんのお味はいかに?
まさか、本当に自分でうどんをイチから作るなんて……。おいしくできているでしょうか?
麺を持ち上げてみると、見るからに太くて硬そう……!
わ、すごいコシがあって噛み応えも抜群! 麺に濃い目のつゆがからんで、なにこれめっちゃおいしい!
あっというまに完食。ごちそうさまでした!
本当においしかったー! 満足満足。讃岐うどんにも負けないコシの強さ、私好みです。こんなにおいしいうどんを自分で作れるなんて、近くにあったら通いたくなりますね。
衝撃! 硬すぎるうどんの秘密とは……
それにしても、なぜこんなに硬い麺なのでしょうか。惑星のウドンドの「管理人」こと、店主の斉藤光典さんにお話を伺いました。
さやぱん
いただいたうどんはコシが本当に強くて、私の大好きな讃岐うどんに負けない歯応えにびっくりしました! とてもおいしかったです!
斉藤さん
うちのうどんの麺は、山梨県富士吉田市のローカルフード「吉田のおうどん」の麺をモチーフに作ったんです。
さやぱん
「吉田のおうどん」は、関西ではあまりなじみがありませんね。
斉藤さん
「吉田のおうどん」は、「日本一硬い」ともいわれる麺が特徴で、噛めば噛むほど素材とダシの旨みが口いっぱいに広がることから、地元・富士吉田市を中心に多くの人から愛されています。「吉田のおうどん」は醤油と味噌をブレンドしたつゆでいただくのが一般的ですが、当店では醤油ベースのつゆと、オリジナルの油かけうどんを用意しています。
さやぱん
店内にも「やわらかいうどんがお好きな方はお口にあわないかと思います……ごめんなさい!」と書いていて驚きました。
斉藤さん
私自身も、「吉田のおうどん」の麺を初めて食べた時、あまりの硬さに衝撃を受けました。スタンダードで6分、初めて食べる方は10分と、しっかりと時間をかけて茹でる必要があるから、セルフで作ってもクオリティにブレがない。この麺なら、お客さん自身に作っていただいても美味しいうどんに仕上がるのではないかと感じたんです。
斉藤さん
実はお客さまに好みのレシピをまとめていただいた「レシピノート」もあるんです。うちは持ち込みも自由なので、近くのスーパーでお惣菜を買ってうどんにのせたり、自宅で輪切りにカットしたスダチをうどんの上に並べて食べたり、自分好みのアレンジを楽しむ人もいらっしゃいますよ。
さやぱん
え!持ち込みも自由なんですか!?
斉藤さん
近くにある酒屋さんで缶ビールや缶チューハイを買って、プチ飲み会を始める人もいます。お酒のアテも、スーパーのおつとめ品を買って晩酌を楽しんで、最後はうどんでしめる。そんな楽しみ方もできるんです。
さやぱん
やってみたいです!
斉藤さん
蛍池駅近辺は深夜に食事ができる店がほとんどないので、うちのピークタイムは深夜11時以降。日中はガランとしていることもありますが、深夜にのぞいていただいたら、初めて会った人同士がお酒を飲みながら会話に花を咲かす、なんて光景に出会えることも多いですよ。
さやぱん
楽しそうですね。今度は夜に来たいです!
完全セルフサービスの理由は、性善説実験?
さやぱんには、硬いうどん以外にも気になることがたくさんありました。なかでも、一番気になったのは、完全セルフサービスでお店にスタッフが誰もいないこと。商品やお金を盗られることはないでしょうか。
さやぱん
そもそも、どうして完全セルフサービス店舗を開いたのでしょうか。
斉藤さん
「飲食業の薄利多売が本当に正しいのか」という振り返りを行うためです。元々、私は「みつか坊主」というラーメン店を営んでいますが、飲食店を営むためには、初期投資はもちろん、材料費や人件費、広告費など、ランニングコストが必要です。でも結果的に利益率が下がってしまうことで、経営者が苦労してしまうことも少なくありません。そこで、店舗運営にかかるコストが本当に必要なものなのかを、「惑星のウドンド」で一つひとつ見直しているんです。
斉藤さんによると、以前は釣り銭も用意していた(現在は設置していません)そうですが、開店から約2年間で実際に盗難の被害に遭ったのは数件のみなのだとか。また人件費削減に効果的だと思われがちな券売機も、アップデートやメンテナンスが必要なことが意外と多いため、必ずしも大幅なコスト減にはつながらないそうです。
さやぱん
これまで2年間店舗を運営して、店舗運営にかかるコストの見直しはできましたか?
斉藤さん
一定の答えは出たのかなと思います。店舗運営にかかるコストを一つひとつ見直したおかげで「固定費に対して何食出ればOK」と、考え方がとてもシンプルになりました。
さやぱん
なるほど、そうなんですね!
斉藤さんは、こうした「性善説」をベースに店舗運営を行うだけではありません。「みつか坊主」のアルバイトだった学生たちと共同で売れ行きを予測するプログラムを作成し、発注業務に役立てているとのこと。
斉藤さん
でも大事なのは「無人で店舗を運営すること」が目的ではなく、飲食に携わる人が、どうやってより利益を上げて幸せになれるかということ。これからは人口減の時代で、今のスタイルだと飲食店経営がままならないお店も増えると思うんです。だからこそ、より効率的な店舗運営が求められているのではないのかなと考えています。
さやぱん
確かにそうですね。私が働く関西電力でも、人口減に対する業務効率化は課題の一つです。惑星のウドンドのようにユニークでキャッチー、面白くてみんなが幸せになる方法が発明できたら最高ですね!
深夜になると真っ暗になる蛍池で数少ない明かりが灯る店として、地域の人々の新しい集いの場にもなっている「惑星のウドンド」。初めて店を訪れた人に常連さんがうどんの作り方を教えるなど、今までの飲食店にはない新しいコミュニケーションも生まれているそうです。さやぱんもその硬さと旨さに驚いた麺を食べに、蛍池まで出かけてみませんか?
惑星のウドンド
住所 | 大阪府豊中市蛍池中町2-5-13 |
電話番号 | なし |
営業時間 | 24時間(店内の清掃・メンテナンスのためにうどんをゆがけない時間が1時間程度あり) |
WEB | https://www.udondo.com/ |
さやぱん
茹で時間を変えたり、食材を持ち込んだり、何度でも楽しめちゃう「惑星ウドンド」!ぜひ皆さんも足を運んでみてください(^^♪