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神戸・六甲山上の各施設を舞台に展示される数々の作品を、ハイキング気分で周遊しながら楽しめる、現代アートの芸術祭『六甲ミーツ・アート芸術散歩2023 beyond』。2010年から開催され、14年目となる今年、新しくリニューアル! 長年、総合ディレクター兼キュレーターを務める高見澤清隆さんに、六甲ミーツアートの歴史や、リニューアルした見どころポイント、おすすめコースなどをご紹介していただきました。

『六甲ミーツ・アート』の歴史

画像: 写真:伊丹豪/ロゴマーク:佐貫絢郁/アートディレクション:芝野健太(株式会社ライブアートブックス)

写真:伊丹豪/ロゴマーク:佐貫絢郁/アートディレクション:芝野健太(株式会社ライブアートブックス)

六甲ミーツ・アートは、兵庫県神戸市、六甲山の山頂にて2010年から開催されている現代アートの芸術祭。これまで延べ470組以上のアーティストが参加し、六甲山の豊かな自然の中で、さまざまな作品が展示されてきました。高見澤さんによると、そのはじまりは『六甲山』という場所の歴史に深く関係しているそう。

画像: 総合ディレクター兼キュレーター 高見澤清隆さん

総合ディレクター兼キュレーター 高見澤清隆さん

「六甲山というのは、古くは明治の終わりくらいからレジャー開発がされてきた土地で、昭和30年頃にはロープウェーやケーブルカーの開発とともに、当時の若い人を中心に非常に賑わっていました。しかし、1995年の阪神・淡路大震災以降、交通が復旧してもなかなかお客さんが戻って来ず、観光の面で復興が進まない状況が長く続いていました。そうした時に、六甲山の観光復興策として始めたものの一つが、『六甲ミーツ・アート』なんです」

画像: 『六甲ミーツ・アート』の歴史

掲げたテーマは「表現の向こう側」。なぜ14年目のリニューアル?

画像1: 掲げたテーマは「表現の向こう側」。なぜ14年目のリニューアル?

そんな歴史のある六甲ミーツ・アートですが、14年目となる2023年、「beyond」という新しいタイトルを掲げ、リニューアルしました。新たなスタートを切ったその背景について、高見澤さんに伺いました。

「ここ3年ほどのコロナ禍でも、なんとか芸術祭を続けていましたが、実際お客さまも少なくなっていました。人々の消費行動もずいぶんと変わった中で、14年前と同じスキームで芸術祭をしていたので、この機会に更新したい、次のフェーズに進めていきたい、という気持ちがリニューアルのきっかけになりました。そしてこのタイミングで、阪急阪神ホールディングスさんや神戸市さん、そして地域の住民の方々など、ご協力いただける方が増えたのも、リニューアルの後押しになりましたね」

また、今回掲げたテーマ「表現の向こう側(にあるもの) Beyond Representation」も、時代とともに変化してきた価値観へのアプローチなんだとか。

画像2: 掲げたテーマは「表現の向こう側」。なぜ14年目のリニューアル?

「今はSNSをはじめとして、誰でも情報発信ができ、誰でも受け取れる時代だと思います。そうした環境は非常に便利な反面、ネットで集めた情報だけを見て分かった気になってしまうというのはすごく危ういと思っています。表面だけを見て物事を判断するんではなくて、その裏に何があるんだろう、と思いを馳せるトレーニングとして、現代アートはすごくいいと思うんです。複雑なものやわかりにくいものも多い、でもそれが作品として展示されているということは、なにか伝えたい思いがある。それを感じ取ってもらうトレーニングとして、『表現の向こう側』というテーマを作っています」

『六甲ミーツ・アート芸術散歩2023 beyond』見どころ作品

六甲山上を舞台にした、広大な会場の入り口は、六甲ケーブル下駅からスタート。

「六甲ケーブル下駅」「六甲山上駅」の駅舎内から、すでに芸術祭は始まっています。

会場は9つのエリアに分けられており、すべての作品をじっくり見ると丸一日あっても足りないくらいのボリューム。今回は特別に、高見澤さんに見どころを教えていただきました。

画像: ガイドマップ

ガイドマップ

風の教会エリア

画像: 『Daisy Bell』/椿 昇(2023)

『Daisy Bell』/椿 昇(2023)

建築家・安藤忠雄の「教会三部作」の一つ、「風の教会」の中いっぱいに膨らんだ、巨大なバルーン。目の前に立つと圧倒されるような存在感です。類人猿と、その上部にデイジーが添えられたこの作品は、世界で初めてコンピューターが歌ったとされる「Daisy Bell」をタイトルに引用しているそう。

「スタンリー・キューブリックの映画『2001年宇宙の旅』に触発された作品で、映画の中に出てくる宇宙船の暴走したコンピューターが歌うのがDaisy Bellです。映画は太古の類人猿が初めて道具を使うところから始まりますが、この作品はテクノロジーの発展とともに、道具として生まれたAIに戸惑う現代社会の到来を言い当てた作品でもあるようです」

六甲ガーデンテラスエリア

画像: 『case』/武田 真佳(2023)

『case』/武田 真佳(2023)

六甲山から臨める絶景の中、佇む白い彫刻が「case」です。タイトルの通りコンセプトは入れ物。白くゴツゴツとした不定形の立体は、見る人に解釈を委ねるような余地を感じさせます。

「ぜひ六甲の景色の移り変わりとともに鑑賞してほしいですね。あまり意識して考え込むよりは、河原で好きな石を拾うような、そんなシンプルな気持ちで、自然の造形を見るときと同じ視線で感覚的に見てほしいです」

ROKKO森の音ミュージアム

ROKKO森の音ミュージアムのさらに奥、今回からSIKIガーデン内に新設された野外アート作品展示ゾーンには4作品が並びます。他の展示とは異なり、これらは会期終了後も約3年間、展示される予定です。

画像: 『森を覗く 山の穴』/船井 美佳(2023)

『森を覗く 山の穴』/船井 美佳(2023)

「ステンレスミラーがくり抜かれた彫刻。後ろに見える風景を覗くと、鑑賞者が映り込みます。空と緑と自分自身のすべてで構成される作品です」

画像: 『石舞台に立つドリアン王女』/三梨 伸(2023)

『石舞台に立つドリアン王女』/三梨 伸(2023)

「神戸はブラジルと縁の深い土地なのですが、この作品はブラジルで現地制作したものを一度解体し、改めて組み立てられています。また、地面に敷かれた石は阪神電車が昔路面電車を運行していた時のもの。彫刻を形作るそれらのものが、神戸を物語るような作品になっています」

「自然の中にビビッドなイエローのカラーが象徴的作品です。インタラクティブな作品で、双眼鏡は自由に覗くことができます。その先にはいくつか巣箱がセットされているので、会期中野鳥が訪れることもあるかもしれません」

画像: 『タカラモノ』/北川太郎(2023)

『タカラモノ』/北川太郎(2023)

「大理石の彫刻で、触れられる展示になっています。見た目にはすごく柔らかそうですが、実際に触れるとずっしりとした重みを感じられます。大理石はとても触り心地がいいので、座ったり寝転がったりして、視覚だけでなく触覚でも作品を感じてもらえればと思います」

トレイルルート

ハイキングをしながら作品を鑑賞できるトレイルルートも、今年から新設された新エリアです。ここには7人の作家の作品が並びますが、見どころは美術関係者の中でも非常に評価が高いという、中﨑透氏の作品だそう。

戦前から残る古い別荘が一棟まるまる使われている作品。実際に暮らしていた住人とそのストーリーをもとに制作された展示は、一つの物語を表しています。

「今回の展示の中でも、特に超大作の作品です。もともと別荘に住んでいた方が、そこで過ごした幼少期の頃の思い出を、エピソード1〜16にまとめ、実際のストーリーとアーティストのオブジェで表現しています。すべて見終えた時には、映画を一本見たような感覚になるほどの満足感です」

大自然の中アートを堪能する、六甲ミーツ・アートを楽しもう

画像: 大自然の中アートを堪能する、六甲ミーツ・アートを楽しもう

六甲山の自然の中で、現代アートを通して感じた「表現の向こう側」。自然に囲まれてリフレッシュできただけでなく、自分の想像力を刺激された1日でした。最後に、これから訪れる皆さんにむけて、高見澤さんから一言いただきました。

「ぜひ好奇心をいっぱいに膨らませて、六甲山の自然を楽しんで、有意義で楽しい日を過ごしていただきたいなと思います」

スポット六甲ミーツ・アート芸術散歩2023 beyond
開催期間2023年8月26日~11月23日
住所兵庫県神戸市灘区六甲山町
電話番号078-891-0048
開館時間10:00~17:00 ※会場によって時間は異なる。17時以降鑑賞可能な作品もあり
休館日無休(ただし六甲サイレンスリゾートのみ8月~10月の毎週月曜休業。月曜が祝日の場合は翌火曜)
公式サイトhttps://www.rokkomeetsart.jp/

みかりん

最近やっと肌寒くなってきて、秋の到来を感じました!芸術の秋のシーズンにぜひ訪れたい自然豊かなスポットですね!

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