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夏本番で暑い日が続くこの頃。キーンと冷えたかき氷、食べたくなりますよね。そんな時におすすめのお出かけ先が氷の聖地「奈良」です。
実は、全国からかき氷愛好家(通称ゴーラー)が集まるほど、かき氷のまちとして有名な奈良。今回は、そんな奈良の中でも、ゴーラーが注目するホットなかき氷「おかず氷」をピックアップしました。一般社団法人日本かき氷協会代表の小池さんの案内のもと、ビジュアルにも味にも驚きの3店舗をご紹介します。

掲載しているTRICOの情報について、一部記載内容に誤りがございました。
読者の皆様および関係者の皆様にご迷惑おかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます。
尚、現在掲載している情報は、訂正させていただいております。

画像1: 氷の聖地・奈良で出会う「おかず氷」

小池隆介さん
一般社団法人日本かき氷協会代表。日本中のかき氷を食べ歩いて取材し、かき氷の素晴らしさをまもり、広めるためにさまざまな活動を行う。日本初のかき氷イベント「かき氷コレクション」主宰のほか、著書に『かきごおりすと』シリーズ(フィッシュレコード)、『日本の美しいかき氷』(旭屋出版)がある。

氷の聖地、奈良のかき氷

現在では「かき氷のまち」として有名な奈良ですが、実は単なる一過性のブームではありません。農水省のホームページでも「奈良の郷土料理」としてかき氷が挙げられているほど、奈良に根付いた食文化とも言えるのです。

これは、奈良が「氷の聖地」と呼ばれることに由来します。その始まりは、奈良市にある「氷神」を祀る氷室神社。和銅3年(710年)に創建されたという氷室神社では、まだ冷蔵庫のなかった時代、山中に氷を貯蔵する「氷室」を作り、夏になるとその貴重な氷を平城京に献上していたそう。その儀式は約70年間続き、「氷の聖地」として知られるように。今でも氷室神社では5月に献氷祭が行われ、全国から集まった製氷・販売業者が商売繁盛を祈願しています。

そしてこの頃からすでに、「削った氷に甘い蜜をかけて貴族たちが食べていた」という記録も残っています。

画像: 氷の聖地、奈良のかき氷

歴史がある奈良の氷文化ですが、小池さんによると「かき氷のまち」として有名になったのは意外と近年なのだそう。

画像2: 氷の聖地・奈良で出会う「おかず氷」

「昔から氷の文化があった奈良ですが、今のようにかき氷を提供するお店が増えたのはここ10年ほどのこと。氷室神社で行われた『ひむろしらゆき祭り』などのかき氷イベントをきっかけに、お店や行政など、いろんな方を巻き込んでここまでの大きな盛り上がりとなりました」(小池さん)

ゴーラーも注目するかき氷「おかず氷」とは

ふんわりとした泡状のムースのエスプーマでおしゃれに飾ったり、フルーツをまるごと豪快にトッピングしたりと、進化が止まらないかき氷。そんな中、ゴーラーの注目を集めているのが、野菜やチーズ、肉や惣菜などをトッピングしたかき氷。これらは「おかず氷」と呼ばれ、スイーツの域を超えた新たなかき氷として人気を博しています。

画像3: 氷の聖地・奈良で出会う「おかず氷」

「昔から変わり種として意外な食材を取り入れるかき氷はありましたが、最近では元々レストランやカフェだったお店が、それぞれの特徴を活かすためにこうしたかき氷を提供し始めることも増えました。ここ3〜4年で『おかず氷』という言葉も徐々に浸透してきて、奈良はもちろん全国でもぜひ注目してほしいかき氷です」(小池さん)

本来温かいものが多い「おかず」を冷え冷えの氷と合わせて美味しいの?と疑問を持たれる方も多いでしょう。というわけで今回は、そんな「おかず氷」の魅力を探るべく、奈良でかき氷の名店と言われる3軒に、「おかず氷」を実食しに行ってきました!

一度は食べたい、奈良のおすすめおかず氷店3選

生産者への敬意をかき氷で表現「TRICO」

もともと奈良県中部の河合町でパティスリーとして人気を博していた「TRICO」。チョコレートのかき氷を作ったことがきっかけで“かき氷道”に目覚め、奈良の食材を活かしたかき氷を次々と考案。ピスタチオと県産ブランドいちごを使った「古都華ピスターシュ」はここでしか食べられない絶品の一品です。

画像1: 生産者への敬意をかき氷で表現「TRICO」

2021年に同じ河合町の役場内に移転。役場は大正時代に造られた豪壮な元邸宅の敷地内にあり、隣接する築40年超のモダンな建物が空き家になっていたことから、オーナーが移転を名乗り出たそう。向かいには古墳や四季の花が美しい県営馬見丘陵公園もあり、散策にもピッタリな立地です。

こちらでは旬の素材を使ったかき氷を常時10~12種用意。今回ご紹介するのは「トマトとチーズ」のかき氷(時価。取材時は2200円)。作る様子を見せてもらうと、トマトにオリーブオイル、ニンニク、バジルを和え、それを氷にのせ、マスカルポーネやカマンベールのチーズソースをかけ…と、とてもかき氷を作る工程とは思えません。

エスプーマも白ワインや赤ワインでできており、仕上げに赤ワインソースをまとわせ、最後はパルミジャーノ・レッジャーノを雪のように降らせて完成。

画像2: 生産者への敬意をかき氷で表現「TRICO」

一口食べてみると、よく冷えた氷にバジルの香りとトマトの甘みが重なり、冷製パスタを食べているよう。その後にマスカルポーネとミルクソースの層が現れ、チーズのコクとソースの甘さが口中に広がります。

画像3: 生産者への敬意をかき氷で表現「TRICO」

「周りを覆うパルミジャーノは常温なので、氷の冷たさを和らげますよ」とオーナー。
確かに、食べ続けても全くキーンとならず、かなりのボリュームなのにサクサクとスプーンが進みます。

驚くのはひと匙ごとに全く違った味わい、食感が楽しめること。バジルミルクが溶けた氷の部分や、ワインのふわふわエスプーマ、アーモンドシロップのナッティなコク、フレッシュなトマトの甘さ…。どの部分もそれぞれの食材が融合して新たな味が生まれ、まるでコースの前菜からデザートまでをこのかき氷一つで味わっているような感覚に。

何より、層によって氷の削り方が違うのが凄い!オーナーによると、「氷はケーキのスポンジと一緒。ケーキは生地が命なので、かき氷も生地(氷)の質感を大事にしています」とのこと。なるほど…!

そして、なぜトマトをかき氷に使っているのかというと、全ては「食材へのリスペクト」から。ケーキ作りに際しても、まずは生産者に会い「お互いが納得できる形で素材を使わせてもらう」ことをモットーとしているそう。その中でもトマトは全国で美味しい品種が通年育てられているため、パティスリーのノウハウを活かした「かき氷」という形で魅力を伝えられると考えたのだとか。

予約はInstagramフォロワー承諾制で、営業日も限られていますが、食べれば誰もが納得する「TRICO」のかき氷。日本庭園が見える座敷で、オーナーが集めた沖縄のやちむん(陶器)でいただけるのもまたプレミアムな体験です。

画像12: 氷の聖地・奈良で出会う「おかず氷」

「パティスリーならではの技術と、かき氷を組み合わせる絶妙なバランスがほかにはなく、流石の一言。おかず氷では、こだわりの奈良の食材を使っていらっしゃって、地産地消という意味でもぜひおすすめしたいお店です」(小池さん)

TORICO(トリコ)

住所奈良県北葛城郡河合町池部1-1-1 河合町役場敷地内
SNSInstagram

もはやフランス料理!なおかず氷 「氷匠ル・クレール」

看板のない外観に一瞬ひるむ「氷匠ル・クレール」。夜は完全予約制で2組限定の【紹介制】フレンチレストラン、昼間は火・水・土・日曜限定で【web完全予約制】かき氷店となり、週替わりで2種のかき氷を提供しています。

画像1: もはやフランス料理!なおかず氷 「氷匠ル・クレール」

基本的に1種は「フルーツカルピス」など甘い系、もう1種は「おかず系」。もともとフランス料理にもグラニテやソルベといったシャーベット状の料理があり、店主の吉崎公浩さんが「じゃがいもの冷製スープであるビシソワーズを凍らせたらどうだろう」と考えたことから、おかず氷のレパートリーが広がったそうです。過去には、キャビア、オマール海老、アワビなど高級食材を使った5~10万円クラスのかき氷も登場したとのこと。

画像2: もはやフランス料理!なおかず氷 「氷匠ル・クレール」

この日いただいたのは、毎年ファンが待望するほど人気の「スーパーモロチー」(1800円)。クリームチーズを溶かし込んだミルクシロップ(クリチー)や、クリームで煮詰めたトウモロコシを氷と交互に重ね、中にはキャラメルにラム酒を加えたシロップがアクセントとして入っています。

画像3: もはやフランス料理!なおかず氷 「氷匠ル・クレール」

上にはトウモロコシのクリーム、バーナーで炙ったトウモロコシをたっぷりとのせ、そこにパルミジャーノ・レッジャーノをおろして、黒コショウをひとふり。さらに「テット・ド・モワンヌ」というチーズをカーネーションのように巻いて飾ります。

画像4: もはやフランス料理!なおかず氷 「氷匠ル・クレール」

いただいてみると…チーズとトウモロコシの香ばしくコクのあるソースが氷と溶け合い、フレンチの一皿を食べているよう! 焼きトウモロコシは一粒一粒しっかり甘く、プチプチとした食感もユニーク。なんでも、トウモロコシは粒の下の部分が一番甘いため、手で一粒ずつ芯から外して使うそう。何という手間でしょう…!

画像5: もはやフランス料理!なおかず氷 「氷匠ル・クレール」

最後には氷とソースが融合し、まさにトウモロコシの冷製スープが出来上がります。黒コショウが利いており、ワインが欲しくなるような味わい。パンに付けても美味しそうです。

画像6: もはやフランス料理!なおかず氷 「氷匠ル・クレール」

「氷匠ル・クレール」は比較的年齢層の高いゴーラーが多いそうですが、「1日で2杯食べられるお客さんもいます」とのこと。確かに、香り高いチーズやトウモロコシの甘みが濃縮したポタージュのような一皿、重たくないのでおかわりしたくなる気持ちもわかります。

画像7: もはやフランス料理!なおかず氷 「氷匠ル・クレール」

吉崎さんは奈良の「おかず氷」の発案者と呼ばれていますが、「そんな、おこがましい」とご謙遜。「県外にはもっと先輩がおりますし、そういった先駆者がいらっしゃるから僕らみたいな後進が成り立つんです。自分は広報部長ぐらいですね」。一人一人に配られる手描きの可愛いかき氷図解イラストからも、温かい人柄が伝わります。

画像8: もはやフランス料理!なおかず氷 「氷匠ル・クレール」
画像15: 氷の聖地・奈良で出会う「おかず氷」

「フレンチレストランだけあって、バーナーなど一見かき氷とは結びつきづらいような幅広い調理法を取り入れているル・クレールさん。そのノウハウは味だけでなく、見た目もフレンチならではの華やかさがあり、芸術的なかき氷だと思います」(小池さん)

氷匠ル・クレール

住所奈良県奈良市南袋町6-2コーポやすらぎ 1F
SNSInstagram

おかず氷というより、ベジ氷「バンブーノ」

最後は、おかず氷ではなく「ベジ氷」として10年前から野菜を使ったかき氷を提供しているイタリアンカフェ「バンブーノ」。オーナーシェフの竹野公浩さんは、天理の自家農園で野菜を育てており、料理はもちろんかき氷にもその野菜をできるだけ使用。かき氷は、「里芋とルビーチョコバナナ」「赤パプリカとゆめのかいちご」などフルーツやスイーツと合わせた常時2~4種類を用意しています。

画像1: おかず氷というより、ベジ氷「バンブーノ」

そんなベジ氷の中でも、奈良県で唯一無二⁉と話題になっているのが「野迫川村本わさび&きたまち豆腐&黒川本家吉野葛」(1200円)。かき氷のネーミングとは思えませんが、その名の通り、わさび・豆腐・吉野葛がメイン食材となっています。

画像2: おかず氷というより、ベジ氷「バンブーノ」

奈良はわさびの産地というイメージがありませんが、吉野郡の標高の高い野迫川村という場所で稀少なわさびが育てられていることを知り、その美味しさを伝えられないかと考えたことからわさびかき氷を考案。吉野葛でわさびのすりおろしを固めてジュレにしてトッピングするほか、蜜とわさびを合わせたソースとして使っています。

画像3: おかず氷というより、ベジ氷「バンブーノ」

一つポイントなのが、「バンブーノ」のかき氷はあくまでも「おかず」ではなく「甘味」だということ。竹野さんは、「やはりかき氷は子どもの頃から食べていた庶民的なおやつなので、“甘さ”からは離れたくないんです」と語ります。

画像4: おかず氷というより、ベジ氷「バンブーノ」

なので、このかき氷もベースは豆腐ペーストに蜜を混ぜた甘めの豆腐ソース。竹野さんが信頼する「きたまち豆腐」の濃厚な青大豆豆腐を使い、蜜も奈良町にある「砂糖傳増尾商店」のものと決めています。

画像5: おかず氷というより、ベジ氷「バンブーノ」

わさびなので辛いの⁉と恐る恐る食べてみると、びっくりするほどクリーミーでまろやか!口の中で溶ける時に、ほのかな辛さが爽やかな余韻を残します。豆腐も青大豆なので“ずんだ”のような味わいで、マスカルポーネチーズやホワイトチョコレートと合わせることでしっかりした甘さもあります。

トッピングのわさびジュレはツブツブした食感で、こちらも甘さと辛さが絶妙なマリアージュ。まさに、随所にわさびのアクセントを利かせた大人のピリ辛かき氷と言えるでしょう。

画像20: 氷の聖地・奈良で出会う「おかず氷」

「イタリアンのお店としても人気のバンブーノさん。野菜とスイーツ・フルーツの意外な組み合わせを美味しくまとめあげたかき氷はぜひ一度味わってほしいですね。今回紹介した以外に、トマトやパプリカを使った鮮やかなかき氷も必見です」(小池さん)

バンブーノ

住所奈良県奈良市今御門町22
WEBhttps://www.naraitalian-bambuno.com/

ちなみに、今回ご紹介した3店で使っていた氷は全て、奈良の老舗「日之出製氷」の純氷「大和氷室」だそう。同じお店の同じ氷なのに各店で細やかさや食感が違うのは、それぞれがかき氷のソースやトッピングに合うよう削り方を研究しているからだとか。かき氷、シンプルなようで奥が深いですね!

今年の夏は一味違うかき氷を体験しよう

画像: 今年の夏は一味違うかき氷を体験しよう

まさに、かき氷は奈良の郷土食。かき氷店同士の結束も強く、削り方講習会や、日々のかき氷に関する悩み事相談会なども開催し、奈良のかき氷文化のブラッシュアップを図っているのだそう。毎年4月には「ひむろしらゆき祭り」が開催(2024年は3月予定)され、全国のかき氷店が集結するほか、県内各店でも期間限定メニューが提供されます。2024年度の実行委員長を務めるTRICOのオーナーは、「来年は子連れ保護者さんが来場しやすいイベントできれば」と構想しているそう。

奥が深く、歴史も長い奈良のかき氷。スイーツ系もおかず系も、各店の愛と研究の結晶なので、ぜひ存分に体感してみてください!

画像21: 氷の聖地・奈良で出会う「おかず氷」

「おかず氷という名前で、少し躊躇してしまう方もいるかと思いますが、この機会にぜひ『かき氷は甘いシロップがかかっているものだ』という先入観を一旦忘れて、食べてみてほしいと思います!

元々涼をとるためのかき氷。氷はどんなものにも合う食材なので、純粋に『冷たくておいしいもの』として味わっていただければ、これまでにない “驚き”を感じる出会いが待っていると思います」(小池さん)

画像22: 氷の聖地・奈良で出会う「おかず氷」

かき氷とはひと味違う、食べたことない新感覚の美味しさが味わえそうですね!暑い日が続いていますが、おかず氷を食べてひんやりと涼んでみてはいかがですか?

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