“迷子になる”と度々ネット上で話題になる、大阪の梅田地下街「梅田ダンジョン」。大阪の7つの駅を結ぶ日本一複雑と言われる地下街は、地元民でさえも迷子になってしまう、まさに迷宮(ダンジョン)です。そこで、大阪でプロガイドとして活動する〝たけちゃん〟に案内してもらいながら、「攻略ポイント」を探ります。
※この記事は、2023年5月23日に公開した記事をアップデートしています。掲載している写真は公開当時のものです。
たけちゃん
大阪生まれ、大阪育ち。“オモロい大阪”を案内する観光プロガイド。おいしいお店の情報から、思わず誰かに話したくなる豆知識まで、たけちゃんと街を歩けば「へー!」「ほー!」が止まりません。国内添乗員資格・国内旅行業取扱管理資格、所有。
ダンジョン化は大阪人気質の表れ⁉
梅田地下街といっても、旅行者にはピンと来ないかもしれません。梅田=大阪駅周辺を指します。大阪駅エリアには、JR大阪駅、JR北新地駅、大阪メトロ(地下鉄)御堂筋線梅田駅、谷町線東梅田駅、四つ橋線西梅田駅、阪急大阪梅田駅、阪神大阪梅田駅と実に7駅もの駅が存在し、その駅と駅を結ぶように地下街が広がっています。さらに、複数の商業施設やビルとも繋がっているため広大かつ複雑化しているのです。
地元民でさえも迷ってしまう梅田地下街。旅行者や出張者になるともうお手上げ…と白旗を上げる方が多いのではないでしょうか。そんなあなたのために、街歩きのプロである「たけちゃん」に攻略法を徹底解説していただきます。
たけちゃんこと奥村武資さんは、大阪生まれ大阪育ちのコテコテの大阪人。会社員時代から街歩き好きが高じて、現在はプロの大阪観光ガイドとして団体や個人ツアーを企画しています。
まず、なぜ梅田の地下がこんなに複雑なダンジョン化してしまったのかを簡単に説明していだだきました。
「現在ではかなり広大になってしまった梅田地下街ですが、その始まりは、1933年に開業した大阪メトロ御堂筋線の梅田駅なんです。その後、阪神電車が地上から地下に潜り、梅田駅とつなぐ通路ができました。ここからが商人の町で育った大阪人らしいところなんですが、『普通に通路だけやったらオモロないやん、モノ売ったら儲かるやん』と、その通路にお店をぽつぽつと作り始めたんです」
1963年には、交通渋滞の問題から扇町通の下に地下通路「ウメダ地下センター」が建設されました。これが、現在の「ホワイティ梅田」の原型になったものです。元の「ウメダ地下センター」という名称から「ウメチカ」とも呼ばれていますよね。1970年にはさらに東に延びて、「泉の広場」や「イーストモール」が完成しました。
また、もともと阪急百貨店前にあった阪急梅田駅が北側へ移設された1969年に「阪急三番街」が登場。現在のホワイティ梅田もそこまで延長され、「ノースモール」が設けられました。
要は、「つぎ足し」によって拡張されていった梅田地下街。たけちゃんによると、「新しく建設されたビルのオーナーが『ウチのとこも繋いでぇや』と地下に入り口を設けたことで、周辺ビルの地下フロアともどんどんつながっていったのです」
なるほど、大阪の商売人気質から梅田がダンジョンと化したといえるのですね…!
梅田地下街の要「ホワイティうめだ」を目的別に使いこなそう!
梅田地下街においてキーとなるホワイティうめだは、グルメもショッピングも充実した巨大商業施設。その便利な使い方を目的別にご案内します。
ランチ、昼飲みはイーストモール&NOMOKA
ホワイティうめだの「イーストモール」は、たこ焼きや回転寿司などの飲食店が並び、ランチにも便利。たけちゃんイチオシは大阪の高級店「日本料理 湯木」がプロデュースした「YUKIー湯木のカレーバルー」です。吉兆系の名店が作るカレーが1000円以内で味わえるとは見逃せませんね。
また、たけちゃんの大好きな新バル街「NOMOKA」は、泉の広場の北にできた新しいゾーン。ここは昼からお酒が飲める〝昼飲みストリート〟で、肥後橋にあった居酒屋「わすれな草」など人気酒場が軒を連ねています。
がっつりご飯が食べたい時はノースモールへ
東梅田方面への通路との分岐点、通称「スクランブル交差点」を北に行くと「ノースモール」があります。ここは、たけちゃん曰く「ごはんすじ」(すじ=通り)。串カツ、お好み焼き、蕎麦、焼鳥…など、しっかり食べて飲めるお店が20店舗ほど並んでいす。昔ながらの老舗が多く、若者から年配まで幅広い年代の人で賑わうエリアです。
歩き疲れたらノースモール南のカフェゾーンへ
広大な梅田地下街を歩き疲れた時に、お茶や休憩ができるカフェも知っておきたいですよね。そんな時は、ノースモールの南(スクランブル交差点寄り)へ。オフィスが入る富国生命ビルの地下にも隣接していることから喫茶店やカフェが多く、「KIEFEL」「CAFE 英國屋」「Bechamel Cafe」などが集まっています。
プチシャンは生活密着エリア
ノースモールから北へ進み、「プチシャン」ゾーンに入るとほとんど飲食店がなく、ドラッグストア、眼鏡店、雑貨店などが並びます。なお、プチシャンに隣接した「ABC-MART梅田ビル」には大きな「DAISO」も。ほか、リラクゼーションや占いまでさまざまな業種があります。雨の日に地上に出ることのないまま、買い物ができるのはありがたいですよね。
「困った!」時はどうしたらいい?
さて、広くて深くて煩雑な梅田地下街にいれば、いろいろな「困った!」が発生するもの。そんな時に覚えておくべきポイントをたけちゃんに教えてもらいました。
ズバリ、迷ったら?
①インフォメーションカウンターに聞く
スクランブル交差点にある「インフォメーションカウンター」は、困った時の駆け込み寺。10時から19時までスタッフが常駐しており、フロアマップも配布しています。
行きたい場所やしたいことなど、相談すれば教えてもらえるので、積極的に利用しましょう。
「観光客などからよく道を尋ねられるそうなので、スタッフさんたちは案内のプロフェッショナルです。迷ってもここまで来られればもう安心!」
②阪急百貨店を目指す
また、現在地と目指す方向がまったく違う方面だった場合、わかりやすい施設を目指すのもよい作戦だそうです。梅田のダンジョンのほぼ中央に位置する「阪急百貨店 うめだ本店」はまさにぴったり。
阪急百貨店の四角い建物には、全方向に出入り口があるので、館内に入れば、行きたい方向の出口に抜けることができます。
「阪急百貨店はすべての扉の上部に番号が書いてあるので、待ち合わせなどでも自分がどこにいるか伝えやすいですよ!」
トイレに行きたくなったら?
移動中や買い物中、急にトイレに行きたくなってしまったらどうしたらよいのでしょうか。
「実は、結構な数のトイレがあるので、あんまり心配いりません!」
ホワイティうめだ内にトイレは6カ所ありますが、地下で繋がっている施設内のトイレも使える場合が多いので、選択肢はかなり広がります。デパートはもちろん、地下飲食店のあるオフィスビルなど。困った時はどこかのビルに駆け込んでみるのも手です。
梅田駅からの乗り換えルートが分かりません!
梅田駅まで来て、そこから別の路線に乗り換える人も多いと思いますが、その際の最短ルートも迷ってしまう人も多いでしょう。大阪メトロ御堂筋線梅田駅は大きく分けて「北」「中」「南」に改札があり、出る場所を間違えると乗り換えに1駅分ほど歩くことになってしまう場合も。
「阪急は『北』、JRは『中』、阪神は『南』の改札から出ると近い、という覚え方が簡単。出る改札さえ間違えなければ簡単に移動できますよ」。もちろん駅なので表示看板を見ながら進めば安心ですが、これを覚えているとスムーズに移動できることでしょう。
梅田地下街を使いこなせば大阪マスター
梅田地下街は日本一複雑ともいわれていますが、使いこなせば楽しくて便利。ぜひマスターして、誰かを案内できるようになりましょう。
もっと知りたい時は、たけちゃんにガイドしてもらうのもよし!穴場の絶景スポットや大阪駅周辺の歴史なども楽しく知ることができるので、観光客でなくとも参加すると新たな発見がありそうです。
みなぱん
大阪生まれ・大阪育ちの私でも、電車の車両を活用したアート作品があることや、梅田地下街に住所があることを初めて知りました!この記事を読むと、関西人でも梅田地下街歩きがさらに楽しくなること間違いなしです!