※この記事は2022年6月21日に公開した内容をアップデートしています。写真は取材当時のものです。
ホテルのバーを活用してみよう
静かな空間でゆっくりお酒を楽しみたいとき、ここぞというデートのとき、一人の時間を過ごしたいとき…。そんなときに活躍してくれる「バー」。オーセンティックな空間で、しっとりと大人の時間を楽しめるのが魅力ですが、バー初心者には少し勇気がいりますよね。
そんな人におすすめしたいのがホテルのバー。ホテルのバーというと、バーの中でもさらに敷居が高い印象があり、「マナーやルールを間違ったらどうしよう」と思う人も多いはず。ですが、ホテルならではの安心感や信頼感があったり、宿泊の場合なら同じホテルの建物内のレストランでディナーをとった後にそのまま来れてそのまま客室に戻れたり、意外とメリットも多いんです。
この記事では、バー初心者のために押さえておくべきマナーやルールを解説します。
創業100年以上! 憧れの奈良ホテル
明治42(1909)年、「関西の迎賓館」として奈良公園内に誕生した奈良ホテル。100年以上の歴史を誇るこちらのホテルは、日本を代表する名門ホテルとして多くの人に愛されています。
建築を担当したのは、東京駅などを手がけた辰野金吾氏。奈良の街並みになじむようにと、外観には瓦葺屋根を採用しながらも、内観には洋風のエッセンスも取り入れた重厚感あふれる建物も魅力のひとつです。
多くの国賓や皇族が宿泊してきた奈良ホテルは、サービスも超一流。創業以来フランス料理を提供し続けてきたメインダイニングルーム「三笠」をはじめ、日本料理「花菊」やティーラウンジ、ホテルショップなど、館内には極上のひとときを過ごせる施設が揃っています。
NGルールはある?バーデンダーに聞く、バーでのマナー
講師(バーデンダー)の紹介
林祥央(はやしあきひさ)
奈良の大学を卒業後、2019年奈良ホテルに入社。元々お酒が好きだったこともあり、2020年秋からTHE BARに配属。現在、奈良ホテル唯一の男性バーテンダーとして活躍中。週に1回は奈良や京都のバーを訪れ、勉強に励む。今後はバーテンダーの大会で入賞するのが目標。
今回は、奈良ホテル内にあるTHE BARのバーテンダー・林さんにスマートなバーの使い方を教えてもらいました
そもそも、利用するのは食前? 食後? 利用時間は?
ずばり、食前でも食後でもOK。「実はマナーといっても、使うお客様次第なので、意外と自由なんですよ。食前酒を飲まれる方もいらっしゃいますし、食後に来られて寝る前に1杯飲まれる方もいらっしゃいます」と林さん。ちなみにTHE BARの営業時間は18~22時(21時30分L.O.)。
一人での来店もOK?
「もちろんです。おひとりのお客様も多いのでまったく問題ありません!分からないことがあれば、どんどんバーテンダーに聞いてくださいね」。敷居が高いと思われがちなホテルのバーですが、そんなことはありません。初歩的な質問にもバーテンダーが丁寧に答えてくれるので、気軽に尋ねてみてください。
ドレスコードはある?
「ホテルのバーの場合は、男性は襟付きのシャツ、女性はワンピースなどカジュアルすぎない服装がベスト」とのこと。街中のバーではもちろんカジュアルでも問題ないそうですが、ホテル内にあるバーならば、少しドレスアップした方が良いとのことです。
THE BARには、着物で来店される女性のお客様も多いそう。そういったお客様の装いの雰囲気を楽しむのも、クラシカルな空間が魅力のホテルならではの楽しみ方ですよね。
予約は必要?
マストではありませんが、席には限りがあるので予約した方が安心。「座りたい席がある場合や、人数が多い場合も予約がおすすめ」だそうです。
席はどこに座るのがよい?
「特に“初心者はここ!”みたいなことはありません(笑)」とのこと。
ただ、カウンター席では必然的にバーテンダーとの距離が近いので、色々話を聞きたい人や、相談しながらお酒を楽しみたい初心者にはおすすめのようです。
「カウンター席に座ったお客様には、お酒を作りながら奈良ホテルにまつわるいろんな豆知識をお話ししているんですよ」
THE BARの場合は、創業当時から残るすりガラスが見えるカウンター席や、庭園のライトアップを眺めながらお酒を楽しめるベランダ席が特に人気です」と林さん。
カクテルをよく知らない…!どうやって注文すればよい?
飲みたいカクテルやお酒の名前がわかる場合はいいですが、カクテルはその名前からどんなものかが想像しづらく、どれを頼めばいいかわからない人も多いのではないでしょうか。
そんなとき、頼りになるのがやはりバーテンダーさんです。
ドラマのように「私をイメージしたカクテルを作って」といったオーダーではなく、「いちごが好き」とか「さっぱりしたものが飲みたい」など、具体的な好みや要望を伝える方がよいそう。
「THE BARではメニューも用意しているので、オーダーに慣れていない初心者のお客様も安心です。メニューのお酒が分からない場合はお尋ねください」
お酒が飲めなくてもOK?
ソフトドリンク、コーヒー、紅茶の注文でもOKですが、せっかくならば「ノンアルコールカクテル」がおすすめなのだそう。お酒が弱い、ということも含めてきちんとバーテンダーに相談すれば調整して出してくれるそうなので安心ですね。
どれを頼んでいいか迷ったら?
「何を頼めばいいか分からない」「お店の味を楽しみたい」という場合は、まずはそのお店の「オリジナルカクテル」を注文してみてください。旬のフルーツを使ったものなど、季節ごとに楽しめるものも変わるので、まずはメニューをチェックしましょう。
どのくらいのペースで飲めばよい?ロングカクテルとショートカクテルの違いって?
ご自身のお酒の強さに合わせて“無理しない”程度に楽しむのが大切だとのこと。カクテルには「ショートカクテル」と「ロングカクテル」と呼ばれるものがあり、ショートカクテルは、三角形のカクテルグラスで提供するカクテルで、ある程度短時間で飲み終えることを想定されて作られています。量が少なく、氷が入っていないため、アルコール度数は高めの場合が多いのだとか。ロングカクテルは、大きめのグラスで提供する氷が入っているカクテルで、時間が経っても冷たさがキープされるため、ゆっくり楽しむことができるのだそうです。
「お酒が強いのか、弱いのか、寝る前の一杯なのか、食事と一緒に楽しみたいのか、などバーテンダーと話しながら、要望を伝えてもらうのがバーで楽しくお酒を飲むコツだと思います」と、林さん。
たとえば、食後に、寝る前のシチュエーションであれば、強いお酒から徐々に緩やかに終わるのがいいと思います。ショートカクテルから始め、ロングに移っていくのがいいよう。逆に、飲み始めのシチュエーションであれば、ロングなどの飲みやすいお酒からスタートし、徐々にショートなどの強めのお酒に移行していくのがスマートです。
滞在時間は?長居してもOK?
さっと1時間程度で帰るのがスマートなのかと思いきや「1杯のみでも大歓迎ですし、2~3時間かけてじっくりお酒を楽しまれても問題ございません」とのこと。THE BARではフードメニューやデザートメニューもあるので、ゆっくり食事をしながらお酒を飲むのもいいですね。
予算はどのくらい?
カクテル1杯ほどで十分だという場合は2,000円前後、たくさん飲みたい場合は5,000~8,000円程度が目安。バーで食事も楽しみたい場合は1万円程度用意しておくと安心です。別途テーブルチャージ料などがかかる場合もありますが、奈良ホテルのTHE BARはチャージ料なしで利用できます。
過ごす時間や会話を楽しもう
正しいマナーやルールを心得ていると、これまでハードルが高いと思っていたホテルのバーも身近な存在に感じられますよね。林さんいわく「バーをマスターする近道は、バーテンダーと会話すること」だそう。マナーやルールだけでなく、お酒やグラス、バーの空間についてもどんどん質問してみてくださいね。
番外編:奈良ホテルならではの楽しみ方はバーの行き帰りに
通路やロビーに何気なく置いてあるので、ついつい見逃してしまいそうになりますが、奈良ホテルの館内には、貴重な美術品や調度品がたくさん。
ロビーでも案内してくれますが、バーテンダーさんに話を聞いた後、帰宅する前にじっくり見て回ることをおすすめします。
ひとつひとつにストーリーがあり、著名人や歴史上の人物などが使用した調度品も残っています。こうした逸品にまつわるエピソードを目の当たりにするのもまた一興ですよね。
こだわりのオリジナルカクテルを味わうだけでなく、バーテンダーとの会話やオーセンティックな空間そのものを楽しむのがバーの醍醐味。マナーやルールにとらわれすぎずに肩の力を抜いて、ホテルのバーで「粋」な大人時間を過ごしてみてはいかがでしょう。
スポット | 奈良ホテル「THE BAR」 |
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住所 | 奈良県奈良市高畑町1096 |
営業時間 | 18:00~23:00 (L.O. 22:30) |
Web | https.//www.narahotel.co.jp/bar_the_bar.html |
ももぱん
使い方のポイントを押さえれば、意外とそんなに敷居が高くないバー。私もお酒好きなので、これからは一人でもバーを楽しみたいと思います!