行ってみたいけれど、マナーに自信がない……という方も多いはず。そこで今回は、マナー講師の高田将代さんに教えてもらいながら「ザ・リッツ・カールトン大阪」のアフタヌーンティーに挑戦してきました。基本のマナーだけでなく、知っておくとスマートな“デキる大人”になれるポイントまで! マナーをしっかりおさえて、アフタヌーンティーを楽しみましょう。
※この記事は2022年3月15日に公開した内容をアップデートしています。掲載している写真やアフタヌーンティーのメニューは取材当時のものです。
高田将代(たかだ まさよ)
マナーコンサルタント・ふるまいコンシェルジュ
Mエレガンスアカデミー代表
国宝「當麻曼荼羅」を有する奈良の當麻寺に生まれ、茶道、華道など、和の文化に親しんで育つ。その後、グレース・ケリーも学んだフィニッシングスクールに入学。和と洋の幅広い学びを経て、マナー講師となる。日本人ならではの細やかな精神性をいかしたマナーや所作、コミュニケーション術など、美しいふるまいを通して多くの女性の魅力と自信を引き出している。
2021年、なぜか大切にされる女性になるマナーと心得56「オトナ女子のふるまい手帖」を上梓。重版、海外出版となっている。
アフタヌーンティーとは
アフタヌーンティーは、19世紀のイギリス貴族社会ではじまった文化。「女性の社交の場」として発展しました。
本来、正式なアフタヌーンティーとはとても格式が高く、決まり事が多いものですが、現在ではカジュアルにアレンジされたスタイルのアフタヌーンティーがほとんどだそう。高級ホテルなどで、季節の食材を使ったものや、ブランドとのコラボレーションといった、オリジナリティ溢れるアフタヌーンティーを堪能することができると人気です。
今回お伺いしたのは、「ザ・リッツ・カールトン大阪『ザ・ロビーラウンジ』」。
「ストロベリーアフタヌーンティ・イン・パリ」(税込6,900円、2021年12月28日〜2022年3月13日まで開催のメニュー。最新のメニューは公式HPで確認してください。)をいただきます。
教えてくださるのは、マナー講師・ふるまいコンシェルジュとして活躍する「Mエレガンスアカデミー」代表の高田将代さん。
2016年から開催している「アフタヌーンティーレッスン」では、知識やマナーだけでなく、美しい所作やアフタヌーンティーの楽しみ方を学ぶことができると人気を集めています。
足を一歩踏み入れるだけで非日常を感じられる、エレガントでクラシックな空間。美味しいティーフーズや紅茶をいただきながらゆったりと過ごす時間は、まさに大人の至福タイム! マナーをおさえて、よりスマートに楽しみましょう。
アフタヌーンティーの服装は何が正解?
現代のホテルなどでのアフタヌーンティーのドレスコードは「スマートカジュアル」とされているお店が多いです。スマートカジュアルとは、フォーマルとカジュアルの間をとった服装のこと。
女性なら、ワンピースやブラウスとスカート、男性はシャツやジャケットなどです。肌の露出が多いものや、ジーンズ、スニーカーは避けた方がいいでしょう。
基本的な考え方としては、「お店に敬意をはらう」ということ。もしわからなければ、事前にお店にドレスコードを問い合わせておくと安心。
高田先生によると、「服装を気にしすぎるよりも、オシャレをしてアフタヌーンティーに行く、ということを楽しんでくださいね」とのことです。
入店後のマナー!着席時の適切な席順や所作
かさばるコートや大きな荷物を持っている場合には、入店時にスタッフの方に預かってもらうことができます。貴重品を入れた小さなバッグのみ席に持ち込めるようにしておくと良いでしょう。
着席時は、スタッフの方の誘導に従い、指定された席にスマート着席しましょう。また、テーブル席の時はもちろん、ソファ席の場合も美しい座り姿勢を意識すると良いでしょう。
アフタヌーンティーで使用される食器
アフタヌーンティーで使われる食器の名称を覚えておくと、より楽しい時間を過ごせます。聞いたことのある名称もあるかもしれませんが、訪れる前におさらいしておけば、スタッフの方に何かお願いしたい場合でもスムーズなやり取りができるでしょう。
- カップ、ソーサー
お茶をいただくときの器「カップ」と、カップの下の皿を「ソーサー」と呼びます。 - ティーポット
器の側面に取っ手部分があり、注ぎ口から紅茶をカップに入れます。 - シュガーポット
紅茶のための砂糖が入っている器です。 - ミルクポット/ミルクピッチャー
紅茶に入れるミルクが入っている器です。 - ジャグ
ポットに入っているお茶は時間が経つと濃くなってしまいます。その濃くなったお茶を薄めるためのお湯を「ジャグ(ホットウォータージャグ)」と呼びます。 - ティースタンド / ケーキスタンド
サンドイッチやスイーツなどがのった3段のお皿を「ティースタンド / ケーキスタンド」と呼びます。
アフタヌーンティーの基本のメニュー
次に、アフタヌーンティーの基本的なフードメニューを紹介します。
3段重ねのティースタンドで運ばれてくるフードメニューは、手で食べられるフィンガーフードが中心で、基本のスタイルとして種類と位置が決められています。
・(上)スイーツ
・(中)スコーン
・(下)サンドイッチなどのセイヴォリー(一般的に塩気もしくは辛味のある、甘くない食べ物)
しかし、高田先生によると、最近はこの基本スタイルに「こだわっていない」お店がほとんどだといいます。今回も、一つのお皿の中にセイヴォリーとスイーツが混ざり合っていて、スコーンも一番下にありました。
アフタヌーンティーの人気の高まりとともに、オリジナリティを追求するお店が増えているのも理由の一つ。より美しい盛り付けや見栄え、または料理の温度などの兼ね合いで、このあたりの細かいルールはお店によるということが多いそうです。
また、主なドリンクはお店によって異なりますが、席に着くとまず運ばれてくるのが、シャンパンなどの「ウェルカムドリンク」。そのあとはフードに合わせて紅茶をいただきます。
アフタヌーンティーのマナーを学ぼう!
ウェルカムドリンク
前述のとおり、席に着いたらシャンパンなどのウェルカムドリンクが運ばれてくることがあります。
スマートな乾杯の方法は、
・自分の目の位置の高さにグラスを持つ
・相手とアイコンタクトをしながら、「乾杯!」と少し持ち上げる
・お互いのグラスを当てないこと
以上が“デキる大人”のポイントです!
ウェルカムドリンクは、紅茶が運ばれてくるまでに飲むのが良いとされますが、無理のないペースで楽しみましょう。
ティーフーズ
基本スタイル(ティースタンドの下からサンドイッチ、スコーン、スイーツ)の場合は下から順に食べるのがマナーであり、この順番を逆戻りするのは(スイーツを食べて、塩気のものが欲しくなったからまたサンドイッチをいただくなど)正式にはNG。
また一皿一皿、周りの方とペースを合わせることも大切です。
ですが、先程紹介したように、最近では基本スタイルで提供されないお店も多いので、食べる順番を迷ってしまうことが多いです。基本のサンドイッチ、スコーン、スイーツの順番を思い出しながらも、あまりこだわりすぎず自由にいただきましょう。
迷った時は、コース料理をいただくように、塩気のあるものから、甘いものへと食べすすめると考えておくとスムーズです。
ティースタンドの食器はそのまま動かさず、フードを自分の取り皿に下ろして食べるのがマナーです。取りにくい場合は、ティースタンドのお皿を回してもOK。
基本的にすべてのティーフーズは直接手で掴んで良いのですが、持つと手が汚れてしまいそうなものは、ナイフとフォークを使って取り皿に移しましょう。ティースタンドに数人分のフードがまとめられている場合も、ナイフとフォークを使うのがスマートです。
また、取り皿にのせる数は2〜3個が目安。盛りすぎてしまわないように気をつけて!
スコーン
アフタヌーンティーで必ず登場するスコーン。先生に教わった、押さえておきたいポイントは5つです。
①手で割って食べる(手で割れない硬さの場合はナイフとフォークで)
②必ず上下に割る
③ジャムとクロテッドクリームは全体に塗らず、食べるところにひと口分を塗る
④一口〜二口で食べ切るのが上品に見えるコツ
⑤温かい状態で提供された場合は、せっかくなので優先して食べる
イギリスではスコーンは神聖なものとされており、ナイフを使わず手で割るのが基本です。テーマやコンセプトによっては硬いものを提供していることもあって、今回はナイフを使っています。ちなみに今回お邪魔した「ザ・リッツ・カールトン大阪」ではフランス人シェフが監修されているので、スコーンはフランス式に硬めになっているそうです。
紅茶
紅茶の飲み方も、必ず知っておきたいポイントですよね。
まずは、ティーカップの扱い方。
ソーサー(カップの下に置かれる置き皿)は持ち上げず、カップだけを持つのが基本です。(ローテーブルでソファ席の場合など、テーブルと椅子の距離がある際はソーサーごと胸の高さに持っていただきましょう)
持ち方は、ハンドルに指をかけないで、つまむように持ち上げるのが美しいとされています。この持ち方、初めは難しく感じたものの、先生に「薬指でハンドルの下側を支える」というコツを教わると安定して持つことができました。
また、反対側の手は添えないことも大切。「手を添える=紅茶がぬるい」という表現になってしまうそうです。さまざまな飲み物の中でも紅茶は、最も熱い温度で淹れるのが美味しいとされています。できるだけ熱々のものを出すのが大切なので、手を添えてしまうと、お茶がぬるいのだとホストに気を遣わせてしまう可能性があります。
スプーンは、カップの奥側に置くと邪魔になりません。砂糖やミルクを入れて混ぜる時は、回すのではなく、カップに当てないように上下に静かに動かしましょう。
紅茶をおかわりする時は、本来はホストが注ぐもの。ですが、テーブルにポットが置かれていれば自分でポットから注いでも、スタッフの方にお願いしてもどちらでもOK!
ナプキンの正しい使い方
アフタヌーンティーのナプキンの使い方は、基本的には通常の食事のときと同じです。
食事用の大きなナプキンの場合は手前1/3を、ティータイム用の小さなナプキンの場合は手前1/2を内側に折って膝の上に置きましょう。このとき、折り目が手前になるように気をつけてください。
口元を拭くときは折り込んだ内側を使い、汚れが周りに見えないように配慮するとスマートです。
食後の振る舞い
食事が済んだら、カトラリーは6時の方向に縦置きしましょう。近年では、アフタヌーンティーなどでカトラリーレストが用意されている場合もあります。その際は、カトラリーレストに置くのがスマートです。
また、ゼリーなどの小さい器はティースタンドに戻さず、通常の食事と同様、スタッフの方に下げてもらいましょう。
膝の上のナプキンは、簡単にたたみ、お皿の横に置いてください。このとき、きっちりとたたまないのがポイント。きちんとたたんでしまうと「満足できなかった」「おいしくなかった」という意味になってしまうといわれています。
なにより、いただいた後のお皿やテーブルが美しいことを大切にしましょう。
【Q&A】アフタヌーンティーの疑問
他にもアフタヌーンティーに関する疑問について、高田先生に答えていただきました。
お皿を下ろすとマナー違反?
先述した通り、ティースタンドの食器はそのまま動かしたり、下ろしたりせず、フードを自分の取り皿に取り分けていただくのが基本のマナーです。
ただし、最近はさまざまな形状のティースタンドがあり、食器を下ろさないと食べられない場合もあるかもしれません。その時はスタッフに声をかけてお願いするなど、柔軟に対応すれば良いでしょう。
食べきれなかった場合は?
無理せず残してOK。ただ「とても美味しかったけれど、お腹がいっぱいで」などと、スタッフの方に一言伝えるのがベター。持ち帰りのサービスはしていないお店が多いそうです。
予約なしでも大丈夫?
予約制のお店が多いので、事前に確認しておく方が◎!
一人で行ってもいいの?
もちろん!ただし、お店によっては2名からOKという場合もあるので確認しておくと安心です。
夜に行ってもOK?
名前はアフタヌーンティーですが、夜の時間まで実施しているお店もあります。今回訪れた「ザ・リッツ・カールトン大阪『ザ・ロビーラウンジ』」の時間は19時まででした。
また「ハイティー」と呼ばれる、アフタヌーンティーよりも食事の要素が強いものもあります。夕食時に肉や魚料理とともに紅茶を楽しむ労働者階級の文化。「ミートティー」とも呼ばれ、ハイテーブルでいただいていたからハイティーというそうです。男性でも楽しめると人気なのだとか。
マナーを心得てスマートにアフタヌーンティーを楽しもう!
はじめは非日常の空間にドキドキしたものの、心地よいおもてなし、目も舌も楽しめるティーフーズとドリンク、楽しいお喋りによって、心が解けていくような体験をすることができた、アフタヌーンティー。
「マナーはお互いが気持ちよく過ごすためのもの。必ず守らなければならないという訳でなく、心得ておくことが大切です。アフタヌーンティーを心から楽しんでくださいね」と高田先生。
季節ごとにテーマが変わったり、場所によって特徴があったり、それぞれにオリジナリティ溢れるテーマで実施されているので、ぜひ皆さんもアフタヌーンティーにチャレンジしてみましょう!
取材協力 | 「ザ・リッツ・カールトン大阪『ザ・ロビーラウンジ』」 |
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Web | https://lounge.ritzcarltonosaka.com/afternoontea |
みなぱん
マナーを心得て、アフタヌーンティーで優雅な休日もたまにはいかがでしょうか?