今回は、ハザードマップの種類や使い方、色別の意味、どこで入手できるのかなどについて解説します。編集部が実際にハザードマップを使ったレポートもお届けするので、ぜひ自宅でも実践して災害に備えましょう。
※この記事は2023年5月14日に公開した内容をアップデートしています。
ハザードマップとは?
ハザードマップとは、洪水、土砂災害、津波などのリスクが想定される区域や避難場所、避難経路などの情報をわかりやすく示した地図のこと。自宅の周りにどのような災害のリスクがあるのかを知ることができるため、日頃から確認しておくことが重要です。
また、ハザードマップでは、最寄りの避難場所がどこにあるか、どの避難ルートが安全なのかも確認することができます。新しく引っ越してきた人、旅行に出かける人など、土地勘のない場所では、ハザードマップを確認しておくことで、防災対策に役立てることができます。
ハザードマップには、大きく分けて、国が公開している「重ねるハザードマップ」と、それぞれの自治体が公表しているハザードマップへのリンクがまとめられた「わがまちハザードマップ」の2種類があります。
「重ねるハザードマップ」
「重ねるハザードマップ」とは、国土地理院がホームページで公開しているハザードマップ。1つの地図上から日本各地のさまざまな災害リスクを閲覧することができます。
①地域を選ぶ
まず、地図上で都道府県を選択するか、検索バーに地名を入力して、地域を選びます。市町村などの災害リスクを確認したい場合には、検索バーに直接地名や住所を入力するとスムーズです。
②災害種別を選ぶ
次に、画面上に表示されている災害種別のアイコンから、確認したい災害の種別を選択します。災害種別としては「洪水」「土砂災害」「高潮」「津波」「道路防災情報」「地形分類」などがあります。
③自然災害リスクを選ぶ
続いて、「リスク検索」のボタンから、より細かい場所の自然災害リスクを確認します。自然災害リスクを確認すると、洪水によって想定される浸水の深さや、津波の想定される高さなど、さまざまなリスクをより具体的に確認することができます。
「リスク検索」のボタンで自宅付近を指定すると、どのようなリスクがあるのかを細かく見ることができます。
「わがまちハザードマップ」
「わがまちハザードマップ」は、各自治体のハザードマップへのリンクがまとめられたページです。地図上から、調べたい都道府県・市区町村を選んでクリックすると、各自治体のハザードマップへのリンクが表示されます。
①都道府県・市区町村を選ぶ
はじめに、地図上で確認したい都道府県・市区町村を選びます。市区町村をクリックすると、それぞれの自治体が公開しているハザードマップがリストアップされます。
②ハザードマップの種類を選ぶ
リストアップされたハザードマップから知りたいものをクリックすると、各自治体のホームページにつながり、公開中のハザードマップを確認することができます。
なお、それぞれの地域の特性などによって、公開されていないハザードマップもあります。例えば、火山のない地域では「火山ハザードマップ」は公開されていません。
【色で判別】ハザードマップで確認できる災害の種類
ハザードマップで確認できる災害の主な種類として、地域の特性によって火山などの種類も公開されている場合がありますが、基本的には大きく分けて4つあります。
津波・高潮
台風や地震などによって起こりうる高潮や津波の高さを色別に示しています。ハザードマップ上に示される色が濃いほど、高潮や高い津波が到達するリスクがあるとわかります。
例えば、大人の膝までつかる程度の0.0~0.5m程度であれば薄い黄色、建物の2階より上まで浸水するような5m以上であれば赤色、20m以上になると濃い紫色などで表示されます。
土砂災害
土砂災害では、崖崩れや土石流、地滑りなどのリスクを示します。急な傾斜地などは、崩壊リスクの警戒度に応じて、警戒区域が黄色、特別警戒区域が赤色で地図上に表示されます。
洪水・氾濫
洪水や下水道の氾濫、ため池の決壊などによる浸水リスクを示したものです。ハザードマップ上に示される色が濃いほど、深い浸水のリスクがあるとわかります。
道路防災情報
アンダーパスなど、道路が冠水して車が水没するリスクがある場所を示します。また、土砂崩れや落石のおそれがある場所では、災害発生前に通行止めなどの規制が行われる可能性があり、ハザードマップ上では赤いラインで示されます。
ハザードマップの見方と活用方法|見るべきポイント3選
ハザードマップにはたくさんの情報が掲載されているので、「どのような見方をすればよいのかわからない」という人もいるかもしれません。ハザードマップの見方において、3つのポイントを解説します。
①危険なエリア・災害リスクを確認する
はじめに、身近な地域のどこにリスクの高いエリアがあるのかを確認しましょう。自宅や学校、勤務先の周りを選んで、災害の種類ごとに地図上の色分けを確認します。特に色が濃く表示されたリスクの高いエリアがあれば、家族全員でチェックしてリスクを共有しておきましょう。
②避難場所の位置を確認する
続いて、自宅や学校、勤務先などの最寄りの避難場所を探します。それぞれの自治体では、公民館や小中学校などを避難場所に指定していることが多いため、あらかじめ避難場所をチェックしておきましょう。
③通行規制となる道を確認する
自宅や学校などから、最寄りの避難所までの安全なルートを確認します。災害時に冠水や土砂崩れなどのリスクがある道路は、あらかじめ通行規制が行われることがあるので、こうしたルートは、避難の際に通ることはできません。
そのため、できるだけ安全に避難できる経路を地図上で探しておきましょう。可能であれば、普段からそのルートを通ってみて、いざというときにスムーズに避難できるようにしておくと安心ですね。
【編集部体験】ハザードマップポータルサイトを使ってみた
編集部も実際に、国のハザードマップポータルサイトの「重ねるハザードマップ」を利用して、関西電力本社周辺エリアの災害リスクを確認してみました。
津波や高潮など、それぞれの災害のリスクについて、実際に確認してみます!
まずはスマートフォンで「重ねるハザードマップ」と検索。住所を入力して、表示したいエリアを選びます。
地図が表示されたら、早速、災害種別「津波」を選択しました。すぐに地図上の色が変わり、津波の災害リスクがわかりやすく表示されます。
続いて、「高潮」の災害リスクを選択。先ほどの「津波」のリスクの上に「高潮」のリスクが重ねて表示され、より広い範囲にわたって色分けされました。選んだ地点では、高潮による浸水のリスクが3~5mになる可能性があるとのこと。できるだけ建物の高いところに避難する必要があることがわかりました。
さらに、「土砂災害」と「洪水」の災害リスクも重ねていきます。「土砂災害」のリスクは比較的低い一方で、場所によっては「洪水」のリスクが高いことがわかりました。特に淀川近くのエリアでは注意が必要なようです。
最後に、「道路防災情報」のみを設定し確認すると、道路の所々に注意マークが現れました(他の災害種別と重ねて検索することも可能です)。これは、冠水などが想定される場所であることを示しています。避難する際にはこうしたルートを避ける必要があります。
職場付近では、津波のリスクは低いものの、洪水や高潮に注意する必要があることがわかりました! 大きな川の周囲はより注意が必要で、災害時には近づかないよう、日頃から意識しておこうと思います。
ハザードマップはどこで手に入る?
ハザードマップを入手する方法はいくつかありますが、どの方法でも基本的に無料で入手することができます。
ハザードマップポータルサイトを利用する
国のハザードマップポータルサイトでは、インターネット上でいつでもハザードマップを確認することができます。ポータルサイトの「重ねるハザードマップ」では、災害の種別を組み合わせたり、ズームしたりして確認できるため便利です。
市区町村役場に問い合わせる
各自治体のハザードマップは、自治体のホームページで公開されているほか、役所などで配布していることがあります。どの施設に行けば入手できるかなどを知りたい場合には、市町村の役場に確認するのがよいでしょう。
防災アプリを活用する
例えば大阪府や大阪市など、自治体によっては防災アプリを配信しているところがあります。あらかじめダウンロードしておくと、防災情報を簡単に確認できるでしょう。
また、アプリによっては日頃から防災に関する知識を高められるパズルやクイズができるものもあります。こうした機能を活用して、防災を身近にできるとよいですね。
参考:大阪府「大阪防災アプリの提供を開始します」
大阪市「大阪防災アプリ(大阪市防災アプリ)」
まとめ:日頃からハザードマップを確認しておこう
ハザードマップにはたくさんの情報が入っているので、一見すると「見方が難しそう」と感じる人もいるかもしれません。ですが、ハザードマップは防災対策のために重要なツールの1つです。普段から確認して、万が一の場合はどの避難所に行くか、どのルートを通るかなどを決めておくことが大切です。まずはハザードマップを入手して、防災対策の一歩を踏み出しましょう。
けいちゃん
ハザードマップは、自分だけでなく周囲や家族の方々としっかり確認しておくことが大切です。もしもの災害に備えて、積極的に活用していきましょう!