そこで今回は、ブレーカーが落ちる3つの主な原因についてわかりやすく説明します。ブレーカーを落とさないための方法も解説するため、ぜひ参考にしてください。
※この記事は2023年7月11日に公開した内容をアップデートしています。
ブレーカーの役割は電気の遮断
ブレーカーは、分電盤という四角いボックスのようなものの中に設置されています。分電盤そのものをブレーカーだと認識している人も多いようですが、ブレーカーは分電盤にあるスイッチのことを指します。そして、ブレーカーは、住宅の電気回路に異常が発生した場合に、すみやかに電気を遮断するための機器です。電気回路に何らかのトラブルが起きて漏電が発生してしまうと、感電するだけでなく、火花が引火して火災へと発展してしまうおそれあり、大変危険です。そのため、ブレーカーによって電気を遮断することで、こうした事故を未然に防いでいるのです。
ブレーカーが落ちる原因を種類ごとに解説
住宅の分電盤の多くは、上の図のように3種類のブレーカーによって構成されています。ブレーカーが落ちる原因はブレーカーの種類によって異なるため、それぞれについて解説します。
①アンペアブレーカー|契約したアンペア数を超えた
アンペアブレーカーとは、住宅で使える電気の容量を管理するブレーカーです。電気料金の契約が「アンペア制」である場合に設置されるもので、関西エリアでは、アンペア制ではなく従量制が一般的なため、アンペアブレーカーがない分電盤もあります。アンペア制では、一度に流れる電流の容量(アンペア数)が、あらかじめ設定され、それ以上の電気が流れるとアンペアブレーカーが落ちる仕組みになっています。
例えば、複数の電化製品を同時に使うなどして、電流の量が契約の数値を超えると、アンペアブレーカーが落ちます。このときには、住宅全体が停電します。
②安全ブレーカー|特定の部屋が定格容量を超えた
安全ブレーカーとは、部屋や電化製品ごとの電気を管理するブレーカーのことです。特定の部屋や電化製品で定格容量以上の電気を使うと、その部屋や電化製品に該当する安全ブレーカーが落ちるようになっています。定格容量とは、ブレーカーに対して流すことができる最大の電流のことを指します。
また、電気を使いすぎている場合だけではなく、電化製品がショートしているなどの異常があるときにも、安全ブレーカーが自動的に落ちることがあります。
③漏電ブレーカー|漏電を検知した
漏電ブレーカーには、住宅の漏電を検知して、感電事故などを防止する役割があります。漏電とは、電気が本来通るべきルートから外に漏れてしまうことを指します。漏電すると感電するおそれがあり、とても危険です。漏電ブレーカーは、電化製品などの漏電を検知すると電気の流れを遮断し、感電事故などを防止します。
漏電ブレーカーには、正常に機能しているのかを確かめるためのテストボタンがついており、漏電ブレーカーが作動すると住宅全体が停電します。
それぞれのブレーカーが落ちたときの復旧方法
突然ブレーカーが落ちたら、すぐに復旧したいと焦ってしまうかもしれません。ですが、やみくもにブレーカーを上げるだけでは、きちんと電気を復旧できない可能性があります。正しい復旧方法はブレーカーが落ちた原因によって異なるため、それぞれの方法を知っておくと安心です。ブレーカーの種類別に3つの復旧方法を解説します。
①アンペアブレーカー|すべての電化製品をオフにする
アンペアブレーカーが落ちたときには、まず、使用中の電化製品の電源をすべてオフにします。次に、アンペアブレーカーをオンにして、電気の復旧を試みます。アンペアブレーカーが落ちる原因は、一度に電気を使いすぎることなので、電力消費量を減らす必要があります。電化製品を使うタイミングをずらしたり、使っていない電化製品の電源を切ったりするとよいでしょう。
②安全ブレーカー|停電した部屋全体の電化製品をオフにする
安全ブレーカーが落ちた場合、落ちたブレーカーに該当する部屋や電化製品で電気を使いすぎている可能性があります。第一に、落ちた安全ブレーカーがどこなのかを特定し、その部屋や電化製品の電源をすべてオフにします。続いて、安全ブレーカーをオンにして電気の復旧を試みます。
③漏電ブレーカー|電化製品の不具合をチェックする
前述したとおり、漏電ブレーカーは漏電を検知する役割を持っています。つまり、漏電ブレーカーが落ちる場合は、電化製品などが漏電している可能性があります。電気を使えるようにするには、アンペアブレーカーと違って、漏電が疑われる箇所を切り離す作業が必要になるので注意が必要です。
漏電ブレーカーを復旧する方法は次のとおりです。
- すべての安全ブレーカーを一旦オフにする
- 漏電ブレーカーをオンにする
- 安全ブレーカーを一つずつオンにしていく
順番に安全ブレーカーのレバーを上げるなかで、すぐに漏電ブレーカーが落ちてしまったら、その電気回路内で漏電が起こっていると特定する - 漏電が疑われる安全ブレーカーが見つかったら、もう一度、漏電ブレーカーをオンにする
- 漏電が疑われる安全ブレーカーをオフにしたまま、それ以外の安全ブレーカーをオンにする
ブレーカーを落とさないためにできる4つの対策
ブレーカーを落とさないためには、いくつかの対策があります。中には、今からすぐに取り組むことができる対策もあります。ブレーカーが落ちて困ったことがあるという人は、ぜひ取り組んでみましょう。
①契約アンペア数を上げる
契約アンペア数を上げると、住宅で一度に使える電気の容量そのものをアップすることができます。これにより、同時に使用できる電化製品の数を増やすことができます。アンペアブレーカーや安全ブレーカーがよく落ちる場合に有効な対策だといえます。ただし、アンペア数や電気の使用量が増えると、電気代も上がる可能性があるので、注意が必要です。
②1つの回路につなぐ電化製品の数を減らす
人数が多い家庭では、エアコンやドライヤー、電子レンジなどの電化製品を使うタイミングが重なってしまうこともあるでしょう。
しかし、アンペアブレーカーや安全ブレーカーが落ちるのを防ぐには、1つの回路で同時に使用する電化製品の数をできるだけ減らすことが重要です。特に、ドライヤーや電子レンジは、電力消費量が大きいため、使うタイミングをずらすとよいでしょう。
③ブレーカーが故障していないか確認する
漏電の疑いがなく、電力の使用量も適正なのにブレーカーが頻繁に落ちる場合には、ブレーカーや関連機器の故障が考えられます。ブレーカーは電気を安全に使うために重要な機器であるため、ブレーカーの故障が疑われる場合には、お近くの電気工事店などへ連絡しましょう。
④電気の利用タイミングと場所を見直す
家電を使うタイミングが重ならないようにずらしたり、同じ部屋で複数の家電を使わないようにしたりする工夫も有効です。例えば、キッチンでは電子レンジと電気ケトルを同時に使わないなど、家庭内でルールを決めておくとよいでしょう。
自己解決せずに専門家に相談すべきタイミング
ブレーカーが落ちたときの復旧方法をご紹介しましたが、次のようなケースでは自分で復旧しようとするのではなく、専門家などに相談することをおすすめします。
①自分の家以外でも同時に停電が発生しているとき
自宅の周囲が広範囲に停電している場合、停電の原因は自宅の中ではなく、外部にある可能性が高いです。停電の原因としては、近くの事業場などの電気トラブルが波及したケースや、台風などで電力会社の送電網にトラブルが起きたケースなどが考えられます。電力会社のWEBサイトの停電情報に自宅の住所が含まれている場合には、復旧を待つのが賢明です。
②漏電が原因でブレーカーが落ちた可能性が高いとき
漏電ブレーカーが落ちた場合は、漏電ブレーカーを再び入れようとしてもすぐに切れてしまって入らないことがあります。このときは回路のどこかで漏電が発生しているため、前述の方法に従って漏電した回路を特定しましょう。漏電の原因が家電にある場合は修理や買い替えをしますが、住宅に原因がある場合は、電気工事店などに対応を依頼しましょう。
ブレーカーに関するQ&A
日常生活でブレーカーに触れることは少ないものです。いざブレーカーが落ちたときに慌てないように、この機会に確認しておきましょう。
ブレーカーが落ちた原因がわからない場合はどうする?
ブレーカーが落ちたら、まず、分電盤を見てどのブレーカーが落ちているかを確認します。アンペアブレーカーと安全ブレーカーが落ちていたら、電気の使いすぎが主な原因。使わない家電の電源を切ったり、家電を使うタイミングをずらしたりして対処します。それでも再びブレーカーが落ちる場合には、ブレーカーの劣化などの不具合を疑いましょう。漏電ブレーカーが落ちた場合には、漏電が疑われる箇所を速やかに切り離して、電気工事店などに連絡しましょう。
ブレーカーが落ちたのが原因で家電が故障することはある?
多くの家電は、ブレーカーが落ちても故障するケースはほとんどありません。ただし、バックアップ電源のないパソコンや録画中のレコーダーなどは、作業や記録が途中でできなくなる可能性があるため注意が必要です。
ブレーカーの落ちやすい家電はある?
消費電力が大きい家電ほど、アンペアブレーカーや安全ブレーカーが落ちる原因になりやすいでしょう。例えば、電子レンジや電気オーブン、食器洗い乾燥機、電気ケトル、洗濯乾燥機(乾燥時)、ドライヤーといった、キッチンや水回りの家電には消費電力が大きいものがあります。これらの家電を使う際には他の家電の使用を控えるなどして、ブレーカーが落ちないように心がけましょう。
部屋単位でブレーカーが落ちることはある?
安全ブレーカーを部屋単位で設定している場合、その安全ブレーカーが落ちると部屋全体の電気が使えなくなる場合があります。その場合には、その部屋で電気を使い過ぎている可能性があるので、使わない家電の電源を切るなどして電気の使用量を抑えましょう。
コラム:災害時にはブレーカーを落としておく
台風などの災害時に避難するときには、あらかじめすべてのブレーカーをオフにしておきましょう。なぜなら、地震や台風などによって電化製品が故障すると、漏電を引き起こすおそれがあるからです。漏電に気がつかずに電化製品に触れると、感電事故を起こしてしまう可能性があります。そのため、災害などで避難する前にはブレーカーをオフにすることをおすすめします。
まとめ:適切な管理でブレーカーを落とさないようにしよう
ブレーカーが落ちる原因には、電気の使いすぎだけではなく漏電の可能性もあることがわかりました。もしブレーカーが落ちてしまったら慌てずに、どのブレーカーが落ちているのかを見極め、ブレーカーの種類に応じた対応をとることが大切です。また、ブレーカーが落ちる原因を正しく理解して、電気の使いすぎや漏電に注意し、電気を安全に使えるように心がけましょう。
ブレーカーの仕組みをしっかり理解して、日ごろから電気の使い方に注意していきたいと思います!