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動画撮影だけでなく、建物や設備の点検、農薬や肥料の散布などさまざまな用途に活用されている「ドローン」。しかし、ドローンを利用するにあたっては、飛行ルールや禁止事項などを定めたドローン規制を守らなければなりません。

では、ドローン規制とは具体的にどのような内容なのでしょうか。今回は、ドローン規制についてわかりやすく解説します。読めばきっと、ドローンを使うにあたって注意すべきこと、必要な免許や資格、そして罰則なども知ることができるでしょう。

日本では法律によってドローン飛行が規制されている

画像1: iStock.com/okugawa

iStock.com/okugawa

現在、国内でドローンを利用する際には、飛行ルールや禁止事項などを定めた複数の法律やルールを守らなければなりません。こうしたルールを総称して「ドローン規制」と呼びます。ドローン規制を守らなければ罰則が適用されることもあるため、ドローンを使おうと考えている人は、ドローン規制の内容をしっかりと確認する必要があります。

ドローンが現在ほど広く普及する前には、ドローンに関する規制は明確に定められていませんでした。しかし、遠隔操作によってモノを運んだり、撮影したりできるというドローンの特徴を悪用すれば、重大な事件に発展するおそれがあることから、国はドローンの利用にルールを設定するようになったのです。

ドローン規制に関係する9つの法律やルール

ドローン規制に関する法律やルールには、主に次の9つがあります。具体的な規制の内容などについて、それぞれ解説していきます。

画像: ドローン規制に関係する9つの法律やルール

①航空法

画像: iStock.com/Pakhnyushchyy

iStock.com/Pakhnyushchyy

そもそもドローンは、航空法では「無人航空機」と呼ばれます。航空法の規制の対象となるドローンは重さ100グラム以上のもので、100グラム未満のものは「模型航空機」に分類され、規制の対象外とされています。航空法によって禁じられている事項には、次のようなものがあります。

・飛行の禁止区域

空港などの周辺、人口集中地区の上空、150メートル以上の高さの空域などでドローンを飛ばすことは原則として禁じられています。

・飛行の方法

アルコールを飲んだ状態でドローンを操縦しない、騒音を立てないなど飛行の方法についてもルールが定められています。

・例外事項

150メートル以上の高さの空域であっても、構造物から30メートル以内であればドローンを飛ばすことができるなど、例外的な事項が定められています。

参考:国土交通省「無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン 令和5年1月26日」より2023年5月17日確認

②電波法

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出典:総務省ホームページ

ドローンには、操縦したり撮影した画像を送信したりするために電波を発する無線設備が搭載されていますが、国内で無線設備を使う場合には、電波法を守る必要があります。そのため、国内の技術基準に適合した「技適マーク」がついたドローンを使用しなければなりません。こうしたマークのないドローンを利用するには、総務大臣の免許や登録が必要です。また、ドローンの発する電波によっては、アマチュア無線の免許が必要なケースもあります。

参考:総務省 電波利用ホームページ「ドローン等に用いられる無線設備について」より2023年5月17日確認

③小型無人機等飛行禁止法

画像: iStock.com/TkKurikawa

iStock.com/TkKurikawa

重要な施設の周辺300メートルの地域でドローンを飛ばすことを禁止する法律です。警察庁が定めた重要な施設の一例としては、次のような施設があります。

・国会議事堂

・内閣総理大臣官邸

・外国公館等

・防衛関係施設

・空港

・原子力発電所、など

参考:警察庁 小型無人機等飛行禁止法関係「対象施設<小型無人機等禁止法に基づき指定する施設>」より抜粋2023年5月17日確認

④民法

画像: iStock.com/Mystockimages

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民法では、私有地の上空や地下にも土地の所有権が及ぶと定められています。つまり、私有地の上空も、その土地のオーナーが所有しているということ。そのため、私有地の上空でドローンを飛行させる際には、私有地に立ち入る場合などと同じように、土地所有者の許可が必要になります。

参考:民法 第207条(土地所有権の範囲)2023年5月17日確認

⑤道路交通法

画像: iStock.com/Rui Viana

iStock.com/Rui Viana

ドローンの離着陸を道路(公道)上で行う場合には、道路交通法の定める道路使用許可が必要になる可能性があります。なお、ドローンが道路の上を飛行する場合は、道路使用許可は必要ありません。

参考:道路交通法 第76条(禁止行為) 第77条(道路の使用の許可)2023年5月17日確認

⑥都道府県や市区町村の条例

画像: iStock.com/RyanKing999

iStock.com/RyanKing999

都道府県や市区町村などによっては、公園でのドローン使用などを禁止している場合もあります。ドローンを飛行させるにあたっては、こうした自治体の条例なども確認する必要があります。

⑦国立公園や国定公園などのルール

画像: iStock.com/rprisarn

iStock.com/rprisarn

国立公園や国定公園などでは、公園の管理者が独自のルールを設定していることがあります。また、事前の連絡が必要なケースもあるため、国立公園や国定公園でドローンを飛行させたいときは、まず公園の管理者へ連絡するのがよいでしょう。

参考:環境省 信越自然環境事務所「国立公園内におけるドローンの使用について【注意喚起】2023年5月17日確認

⑧河川事務所や土木事務所のルール

画像: iStock.com/peepo

iStock.com/peepo

河川や海を管理する土木事務所や河川事務所などによっては、事前にドローンの飛行について連絡を求めるケースもあります。またドローンの飛行を原則として禁止しているところもあります。管轄の土木事務所などがどこかわからない場合は、自治体に問い合わせ、確認するようにしましょう。

参考:国土交通省 淀川河川事務所「淀川河川事務所管内における無人航空機の飛行について」2023年5月17日確認

⑨肖像権・個人情報保護法

画像: iStock.com/Dmytro Varavin

iStock.com/Dmytro Varavin

ドローンを使って撮影する場合、人の顔などが映り込んでしまうと肖像権やプライバシーに関わるおそれがあるため、配慮が必要です。総務省は、撮影する許可を得ずにドローンで撮った映像をインターネット上で公開すると、民事・刑事・行政上のリスクを負う可能性があると指摘しています。また、場合によっては、無断で撮影するという行為が不正な個人情報の取得とみなされ、個人情報保護法に抵触するおそれもあるということです。

こうしたリスクを避けるため、撮影する際には事前に撮影の許可を得るとともに、総務省が発行している「『ドローン』による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン」などをしっかりとチェックしておきましょう。

参考:総務省 「『ドローン』による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン(平成29年5月最終改定)」2023年5月17日確認

ドローン規制に違反すると受ける措置2つ

前述のようなドローン規制に違反した場合には、どのような罰則があるのでしょうか。主な罰則の種類について説明します。

①警察官から退去命令などが下される

画像: iStock.com/Anastasia Usenko

iStock.com/Anastasia Usenko

航空法などドローン規制の違反に対して、警察官は機器の退去などの必要な措置を取ることができます。これを無視すると、飛行の妨害やドローンの破壊などを行うことも認められています。

参考:警察庁 小型無人機等飛行禁止法関係「違反に対する措置等」より抜粋」2023年5月17日確認

②懲役や罰金の対象となる可能性がある

画像: iStock.com/Bulat Silvia

iStock.com/Bulat Silvia

ドローン規制に含まれる航空法などの法律の中には、罰則が定められているものもあります。例えば、航空法に定める飛行の方法として、アルコールを飲んだ状態でドローンを操縦した場合、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

参考:警察庁・国土交通省「ドローンに関する2つの規制を御存知ですか?2023年5月17日確認

ドローン規制に関する2022年以降の2つの変更点

画像: ドローン規制に関する2022年以降の2つの変更点

ドローン規制は年々アップデートされており、2022年度からの変更点には注目すべきポイントがあります。

①ドローン操縦に関する国家資格の整備

2022年12月からは、国土交通省による「無人航空機操縦者技能証明等」という技能証明制度が設けられました。具体的には、一等無人航空機操縦士(一等資格)と二等無人航空機操縦士(二等資格)に分けられ、有人区域でドローンを飛行させる場合には一等資格を取得する必要があります。これらの技能証明は、主に仕事でドローンを使用する人向けのものとなっています。

参考:国土交通省「無人航空機操縦者技能証明等」2023年5月17日確認

②ドローン機体の登録を義務化

2022年6月からは、ドローンなど無人航空機を飛行させる際には、事前に国土交通省に登録することが求められるようになりました。対象となるのは100グラム以上の機体で、登録には手数料が発生します。事故発生時の所有者を明確にしたり、事故の原因究明や安全確保のためにドローンの情報を把握したりする目的があります。

参考:国土交通省「無人航空機登録ポータルサイト」2023年5月17日確認

ドローン規制に関する法整備が進んでいる3つの理由

ドローン規制に関する法整備が年々進んでいる背景には、ドローンをより安全に有効活用したいという考えがあります。

①ドローン配送などのビジネスにつなげるため

画像: iStock.com/PhonlamaiPhoto

iStock.com/PhonlamaiPhoto

ドローンを配送で利用できるようになると、遠隔地への生活必需品や薬などの輸送がよりスピーディにできるなどのメリットが期待されます。また、ドローン配送による新たなビジネスも生まれるでしょう。こうした利活用のために法制度を整備する動きが始まっています。

②ドローンを有人地帯で使う際の安全性を確保するため

画像1: iStock.com/ribitts

iStock.com/ribitts

前述のように人がいる有人地域でドローンを操縦する際には、誤って人を傷つけることがないように、しっかりと安全性を確保しなければなりません。事故の発生を防ぐために法制度を整える重要性も高まっています。

③事故が起きた際の責任の所在を明確にするため

画像2: iStock.com/ribitts

iStock.com/ribitts

2022年からドローンの機体の登録が義務化されたことの背景には、実際に事故が起きた場合、誰がどのように責任を負うのか明確にする意図があります。操縦者やドローンのメーカーの責任を把握するために、機体登録や技適マークなどの仕組みを設け、事故の原因究明をスムーズにできるように法制度が整えられています。

まとめ:規制を理解してドローンを有効活用しよう

画像2: iStock.com/okugawa

iStock.com/okugawa

このようにドローン規制にはいくつもの法制度が深く関わっています。ドローンを利用する際には、こうした規制の内容をきちんと理解し、しっかりとルールを守ることが重要です。もちろん、ルールとして明文化されていなくてもマナーを守り、周囲の状況に配慮することは当然のこと。ルールやマナーに気をつけて、ドローンを有効活用するようにしましょう。

なお、この記事の内容は2023年5月時点のものです。法制度やルールは日々アップデートされる可能性があるため、ドローンを利用する前には必ず最新の情報を自身でも確認するようにしてください。また、ドローンの飛行ルールに関係する情報が掲載された省庁のWEBサイトを以下にまとめましたので、確認の際の参考にしてください。

参考:国土交通省「「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」
   警察庁「小型無人機等飛行禁止法関係」」
   総務省「『ドローン』による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン」
   総務省 電波利用ホームページ「ドローン等に用いられる無線設備について」

画像: 日本のドローン規制に関する9つの法律を解説!必要な免許や資格、罰則などを紹介

さっさん

映像や写真の撮影から、建物の点検・警備など、さまざまな場で活躍を広げているドローン。これからますます活躍の場が広がっていくからこそ、法律やルールをしっかりと確認した上で使っていかなければいけないですね!

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