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ペットボトルやレジ袋など私たちの暮らしに欠かせない素材である「プラスチック」。しかし、現実にはプラスチックによるゴミ問題が後を絶ちません。ウミガメなどがプラスチックゴミを誤って食べて傷ついた、などというニュースを見たことがある人もいるでしょう。

プラスチックゴミ問題は、日本だけでなく世界にも共通する大きな課題です。対策に取り組みたいと思っても、何から始めたらよいのかわからない人も多いでしょう。そこで、プラスチックゴミ問題の現状や原因、対策についてわかりやすく解説します。

※この記事は2023年2月7日に公開した内容をアップデートしています。

プラスチックゴミ問題とは

画像: iStock.com/Utopia_88

iStock.com/Utopia_88

はじめに、プラスチックゴミ問題とは、プラスチックゴミによる環境問題全体のことを指します。プラスチックゴミは地球温暖化や海洋汚染など環境にさまざまな悪影響を与えることが心配されているのです。

プラスチックゴミを焼却処理する際には、二酸化炭素(CO2)が発生します。CO2は地球温暖化を引き起こす温室効果ガスの一つです。プラスチックゴミの増加によって焼却処理が増えれば、それに伴ってCO2の排出量も増加してしまいます。

また、不法投棄されたプラスチックゴミは、川などを流れ、海にたどり着いて海洋汚染を引き起こします。海洋汚染は海の生き物だけでなく、それを食べる人間にも影響を与えると考えられています。海洋汚染によって水質が悪化すると、水産業や住環境にも悪影響を及ぼすでしょう。

海外のレポートによると、1950年以降に世界で生産されたプラスチック83億トンのうち、7割を超える63億トンがプラスチックゴミとして廃棄されたとのことです。また、回収されたプラスチックも、約8割が埋め立てされるか海洋に投棄されていて、その量は今後も増え続けると予想されているのです。2050年には海洋中のプラスチックゴミの量が魚の量を上回るという驚くべきデータも報告されています。

このように、プラスチックゴミ問題は深刻な環境問題の一つです。これ以上、環境へダメージを与えないように、解決に向けたアクションが急がれています。

参考:環境省

プラスチックゴミ問題が起こる2つの原因

そもそも、なぜプラスチックゴミ問題は起こってしまうのでしょうか? 主な原因を2つ解説します。

①プラスチック製品の使用量増加

画像: iStock.com/Olga Kurbatova

iStock.com/Olga Kurbatova

プラスチックは、ペットボトルやレジ袋、ストローなど、いろいろな容器や商品に加工することができます。また、軽量であるため容器や包装に適していて、輸送する際の燃料を削減できるといったメリットもあります。こうした便利さから広く活用され、私たちの暮らしに欠かせないものになっているのです。その結果、日本は一人当たりのプラスチック容器包装の廃棄量が米国に次ぐ世界第2位だとされています。

これまでのプラスチック生産量の増加に比例して、プラスチックの廃棄量は今後も増え続けると予想されています。特に、アジアの発展途上国を中心として海に流れ込むプラスチックゴミが多いことも指摘されています。プラスチックゴミの適正な処理と削減が世界的に求められているのです。

参考:環境省

参考:WWFジャパン

②プラスチックが自然分解されない

画像: iStock.com/zianlob

iStock.com/zianlob

多くのゴミの中でもプラスチックゴミ問題が注目される理由は、プラスチックが自然に分解されにくいという特徴にあります。プラスチックは生ゴミなどと違って、自然に分解されるまでに数十年から数百年という長い時間を要します。そのため、長期にわたって自然界に残り続け、さまざまな問題を引き起こすことが懸念されているのです。

参考:国民生活センター

プラスチックゴミが環境に与える3つの影響

プラスチックが環境に与える影響は幅広く、生き物だけでなく大気にも悪影響を及ぼすことがわかっています。具体的にどのような影響が起こっているのか説明します。

①動物の生息環境の減少や海洋生物の誤飲による被害

画像: ①動物の生息環境の減少や海洋生物の誤飲による被害

海岸をプラスチックゴミが埋め尽くす写真などを見たことがある人もいるのではないでしょうか。プラスチックゴミが海洋生物の生息環境を奪ってしまう、恐ろしい光景です。沿岸だけでなく、海中の岩礁や海底などをプラスチックゴミが覆い尽くし、魚などが住みにくい環境にしてしまうこともあるのです。

また、ウミガメや海鳥、クジラなどの生き物が海中を漂うポリ袋をクラゲなどと誤認し誤って食べ、命を落としてしまう危険も指摘されています。

さらに、使われなくなったプラスチック製の魚網が海の生き物に絡みつき、動けなくなるという事故も起きており、持ち主がいなくなったり廃棄されたりして海を漂う魚網は「ゴーストネット」と呼ばれ、世界中で問題視されています。

参考:WWFジャパン

②焼却時に有害物質が発生する

画像: iStock.com/simonkr

iStock.com/simonkr

現在、捨てられたプラスチックのほとんどが埋め立て処理もしくは焼却処理されています。プラスチックは石油からできており、焼却処理の際には地球温暖化の一因であるCO2が発生してしまうため問題視されています。

加えて、海から回収したプラスチックゴミを処理する際には、さらに注意が必要です。なぜなら、海水を含んだプラスチックゴミを燃やすと、塩素やダイオキシンといった有害物質が発生するからです。これによって、焼却炉そのものを傷めてしまう可能性もあります。CO2の排出を抑えるためにもプラスチックごみのリサイクルを増やすことや、海洋プラスチックゴミを安全に処理する方法の確立が急務だといえます。

参考:政府広報オンライン

③化石燃料の枯渇

前述した通り、プラスチックは石油からできています。石油などの化石資源は、地球の埋蔵量に限りがあると考えられています。国の資料によると、石油の埋蔵量は2020年末で残り54年分と予測されています。今後、経済成長や途上国などの人口の増加によってエネルギー消費量が増えるとされており、化石資源の枯渇は極めて重要な問題です。こうした観点からプラスチックの生産や消費にも影響が及ぶと予想されます。

プラスチックゴミ問題の4つの対策

一刻も早い解決が求められるプラスチックゴミ問題ですが、一体どのような対策が行われているのでしょうか。

①リデュースやリユース、リサイクル

画像: iStock.com/Prompilove

iStock.com/Prompilove

プラスチックゴミ問題を解決するには、まず、そもそもプラスチックゴミを出さないことが大切です。そこで、リデュースやリユースといった取組みを通じて、ゴミの減量が行われています。

リデュースとは、ゴミを減らすことそのものや、ゴミの減量につながる取組みのことです。身近な
例としては、買い物にマイバッグを持参してレジ袋を使わないようにすること、必要以上のもの
は買わないことなどが挙げられます。その他、企業が商品を販売する際に簡易包装をしたり、生産する際の原材料を節約したりすることもリデュースに該当します。

一方リユースとは、使い終わったモノを捨てずに繰り返し使うことです。具体的には、使い終わった容器を洗って繰り返し使ったり、フリーマーケットなどで不要になったものを売ったりすることなどが挙げられます。

さらに、リデュースやリユースに加えて、プラスチックゴミのリサイクルも重要です。リサイクルとは、不要になったものを一旦資源に戻して再利用することを指します。たとえば、ペットボトルをリサイクルして衣類や靴などの原料にする取組みなどが一例です。

このように、プラスチックゴミを減らすには、リデュースやリユースを通じてプラスチックゴミの発生そのものを抑えることに加え、使い終えたプラスチックをリサイクルすることも有効だといえるでしょう。

②プラスチック使用量の削減

画像: iStock.com/Maria Korneeva

iStock.com/Maria Korneeva

前述した通り、日本は一人当たりのプラスチック容器包装の廃棄量が世界第2位です。国民一人ひとりの取組みも大切ですが、削減に向けては行政がリーダーシップをとって強力に推し進めることも重要です。

そこで、日本では2019年に「プラスチック資源循環戦略」を策定し、2030年までにワンウェイ(使い捨て)プラスチックの排出量を累積25%減らすという目標を設定し、取組みを進めています。

参考:環境省

③プラスチックに代わる素材の開発・利用

画像: iStock.com/Darren Curzon

iStock.com/Darren Curzon

従来のような化石燃料に由来するプラスチックに 代えて 、新たな素材でできたプラスチックの開発も進められています。その一つが「生分解性プラスチック 」。通常のプラスチックと同じように使うことができますが、使用後は微生物のはたらきによって 分解され 自然に還ることが特徴です。

生分解性プラスチックにはさまざまなものがあり、トウモロコシなどの穀類やジャガイモなどのデンプンから作られるものもあります。また、すでにフィルムやシートなどとして実用化されているものもあります。

参考:環境展望台

④プラスチック資源循環促進法など法律による規制・取組み

画像: iStock.com/jchizhe

iStock.com/jchizhe

国内では、「プラスチック資源循環戦略」に基づいて、2020年7月から全国一律でプラスチック製のレジ袋が有料化されました。さらに、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、ホテルなどに対しても、スプーンやフォークなどの使い捨てプラスチック製品の使用削減を促し、プラスチック使用量の削減に取り組んでいます。

また、自治体の多くがゴミ袋を有料化するなど、プラスチックゴミを含むゴミ全体の減量に向けた施策を行っています。

参考:経済産業省

参考:環境省

プラスチックゴミ問題解決に向けた日本の取り組み事例

プラスチックは私たちの暮らしや経済に深く関わっているため、政府は次のような取り組みを通じてゴミ問題の解決を目指しています。

海洋プラスチックごみ対策アクションプランの策定

海洋プラスチックごみ対策アクションプランとは、プラスチックを有効利用することを前提として、新たな汚染を生まないことを目指すために、環境省が2019年に策定したものです。ごみの適正な回収・処理を徹底し、環境中に出てしまったごみをできるだけ回収すること、海洋に流出しても影響の少ない素材を開発し、途上国の海洋プラスチックごみの流出防止に取り組むことを目指しています。

プラスチックスマートの展開

画像: プラスチックスマートの展開

プラスチック・スマートとは環境省が2018年に始めたキャンペーンで、世界的な海洋プラスチック問題の解決に向けて、個人、企業、自治体、NGOなどの取り組みを後押しするものです。イベントなどを通じて、プラスチックごみを減らす取り組みを発信するほか、SNSで「#プラスチックスマート」というハッシュタグをつけてごみを減らす取り組みをシェアするなど、全国に広がりつつあります。

参考:環境省「プラスチックスマート」

プラスチックゴミ問題解決に向けた世界の取り組み事例

プラスチックゴミ問題は、国際的な問題です。プラスチックごみの発生を抑えるために、世界の国々もさまざまな取り組みをしています。

プラスチック袋の使用禁止・利用規制

画像: プラスチック袋の使用禁止・利用規制

アフリカの国の中には、ビニール袋の輸入を全面的に禁止している国があります。ケニアでは、商用・家庭用を問わずビニール袋の輸入が禁止されており、違反すると懲役や罰金が課されます。米国カリフォルニア州では、2026年から食料雑貨店でのプラスチック製ビニール袋の仕様を全面的に禁止する法律が制定されています。

マイクロビーズ製品の製造・販売禁止

マイクロビーズとは、目に見えないくらい小さな数ミクロンのマイクロプラスチックのこと。洗顔料や練り歯磨きのスクラブ(研磨剤)などに使用されますが、小さすぎるため環境中に排出されると回収が極めて困難になります。

英国では、2018年からマイクロビーズを含む商品の製造を禁止しています。また、アルゼンチンでは2021年、意図的にマイクロビーズを添加した化粧品や歯科衛生用品の生産、輸入、流通を禁止する法律が制定されました。

再生プラスチックの品質基準制定

循環型経済を目指す欧州では、プラスチック産業団体である「プラスチックス・ヨーロッパ」が、2030年までにプラスチック包装に再生材料を30%含有することの義務化を目指しています。また、米国の環境保護庁は2021年、プラスチックを含む固形廃棄物のリサイクル率を2030年までに50%に高める戦略を制定しています。

プラスチックゴミ問題に対し個人ができる6つの取組み例

国や自治体などの行政がプラスチックゴミ対策に取り組む一方で、個人でできるプラスチックゴミ問題の解決に向けた取組みには、次のような対策があります。取り組みやすいものからアクションを起こしてみてはいかがでしょうか。

①マイボトルやマイバッグなどを利用する

画像: iStock.com/Inna Dodor

iStock.com/Inna Dodor

お出かけのときには、マイバッグに加えてマイボトルを持ち歩いて使い捨てペットボトルの使用を控えると、プラスチックゴミの発生を抑えることができます。最近では、マイ箸やマイストローなどを持ち歩く人も見かけるようになりました。こうした習慣を身につけると、飲料代などの節約もできて一石二鳥です。

②ゴミの分別を細かく行う

画像: iStock.com/TinaFields

iStock.com/TinaFields

家庭でゴミ出しをする際には、自治体の定める区分に従って、ゴミの分別をしっかりと行うようにしましょう。「混ぜればごみ・分ければ資源」という言葉があるように、ゴミの分別をしっかり行うとリサイクルしやすくなります。限りある資源を使い続けるために、リサイクルの第一歩であるゴミの分別から始めてみましょう。
ゴミの分別方法は、自治体のWebサイトなどに記載されています。自治体によっては、分別方法を毎年少しずつ変更しているところもあるため、最新の分別方法を確認してみましょう。

参考:鰺ヶ沢町ホームページ

③清掃活動といったボランティアに参加する

画像: iStock.com/Alfa Studio

iStock.com/Alfa Studio

自治体や町内会などでは、地域の清掃活動を定期的に行っている場合もあります。自分が住んでいる地域や近隣の海や川などでこうしたイベントが開催されていれば、参加してみるのもおすすめです。意外にもポイ捨てされたゴミが多いことに驚くかもしれません。

④ショッピングの包装は簡易的にする

画像: iStock.com/Artur Nichiporenko

iStock.com/Artur Nichiporenko

ショッピングの際には、不要な包装を思い切って断るように心がけましょう。マイバッグを持参するほか、過剰な包装や余計な紙袋などをもらわないことで、さらにゴミを削減することができます。

⑤マイクロビーズ入りの製品を使用しない

マイクロビーズは、洗顔料や練り歯磨きのスクラブ(研磨剤)として使われることがあります。化粧品や日用品のメーカーの中には、プラスチック素材のスクラブを使用していないことを自社WEBサイトで表明している企業があります。商品を選ぶ際には、こうした情報を参考にするのもよいでしょう。

⑥使い捨てのプラスチック製食器の使用を避ける

スーパーマーケットやコンビニエンスストアで配られるフォークやスプーンの多くは、プラスチック製です。こうした食器は便利ですが、誤って落とすなどして環境中に排出されると、海洋プラスチックごみやマイクロプラスチックになってしまう可能性があります。そのため、マイフォークやマイスプーンを持ち歩いたり、環境に出ても影響の少ない素材でできた食器を使ったりするのがベターです。

(コラム)マイクロプラスチック問題とは?

画像: iStock.com/Sansert Sangsakawrat

iStock.com/Sansert Sangsakawrat

マイクロプラスチックとは、5mm以下の小さなプラスチック類のこと。プラスチックゴミが川や海などを流れるうちに細かく砕かれたり、紫外線などの影響を受けて小さくなったりすることでマイクロプラスチックになることがあります。ほかにも、洗顔料や歯磨き粉、洗剤などに含まれるスクラブ(研磨)剤のことを指すこともあります。

マイクロプラスチックは、生き物の体内に長く留まり続けるほか、化学物質を含んだり吸着したりすることで、生態系に影響を与えることが指摘されています。また、すでに北極や南極でもマイクロプラスチックが観測されたと報告されていて、マイクロプラスチックによる汚染が地球全体に広がっていることがわかっています。

参考:環境省

まとめ:プラスチックゴミ問題解決に向けて行動しよう

画像: iStock.com/Waridsara Pitakpon

iStock.com/Waridsara Pitakpon

プラスチックゴミ問題は、地球温暖化や海洋汚染などの環境破壊につながる深刻な問題です。プラスチックゴミが海に増え、海の生き物の命やすみかを奪ってしまうという痛ましい事態に発展しているのも事実です。私たちができることは、まず、プラスチックゴミの発生を抑えること。そして、出てしまったプラスチックゴミを正しく処理することではないでしょうか。本記事でご紹介したアクションの中で取り組みやすいものから実行に移し、プラスチックゴミ問題の解決に向けた一歩を踏み出しましょう。

画像: プラスチックゴミ問題とは?現状や原因・対策を徹底解説

けいちゃん

プラスチックゴミ問題と聞くと、問題が大き過ぎて自分では何も解決できないように感じますが、日々の習慣として個人でできる対策もたくさんありますね!僕も、マイボトルやマイバックを持ち歩くようにしたいと思います。

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