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「風力発電」は、風の力を利用して発電するため、発電時に地球温暖化を引き起こす二酸化炭素(CO2)を排出しない発電方法として期待されています。今後さらなる普及・拡大が期待される再生可能エネルギーの一つですが、実際には、風の力がどのようにして電気に変わっていくのでしょうか?

ここでは、イラストを使って風力発電の仕組みや特徴、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。さらに、「風の力で生まれた電気は本当に使えるの?」「風力発電って家庭にも設置できるの?」といった素朴な質問にも回答します。読めばきっと、風力発電の特徴や可能性が理解できるでしょう。

※この記事は2022年3月15日に公開した内容をアップデートしています。

風力発電とは?

オランダにある美しい風車の写真を一度は見たことがあるかもしれません。これらは発電用ではなく治水や製粉、油搾り、脱穀等に利用されているものですが、こうした歴史的な建物に象徴されるように、「風から動力を生み出す」という考え方はかなり古くから利用されているシンプルな原理です。風力発電も、風の力を使って巨大な羽を回転させ、そのエネルギーをつかって発電機を通じて電気に変換する発電方法です。では、風力発電の仕組みについてより詳しく見ていきましょう。

風力発電の仕組み

風力発電は、風力発電機や風力発電設備と呼ばれる発電システムによって電気を作ります。まず、風力発電設備を構成する3つの主要な部品を紹介します。

画像: 風力発電の仕組み

風力発電設備は、「タワー」と呼ばれる柱の先端に「ブレード」という風を受け止める大きな羽がついています。ブレードと回転軸などを組み合わせたものを「ロータ」といいます。ロータの中心から、後方に伸びているのが「ナセル」と呼ばれる部品です。

次に、風力発電の仕組みです。ブレードという巨大な羽に風が当たると、ロータが回転を始めます。ロータは中心でナセルとつながっているため、ロータの回転運動がナセルへと伝わっていくのです。

ナセルの内部には、ロータの回転を発電機に伝える「増速機(ギアボックス)」という機械が入っています。この増速機がロータから伝わってきた回転のスピードを速めていきます。

増速機によって回転速度がアップすると、この回転エネルギーが発電機に伝えられます。そして、発電機が回転の力を電気エネルギーに変換することで、初めて電気が作られるのです。

こうした平常時の発電の仕組みとは別に、風力発電設備には災害などが発生した場合は安全に発電を止めるための機能も備えられています。それが、ナセルの中の「ブレーキ装置」です。台風が接近しているときや点検が必要なときには、このブレーキ装置を使ってブレードの回転を止め、発電をストップして安全を確保するのです。

風力発電の大きさ

画像: 風力発電の大きさ

陸上に建設される風力発電機の場合、ブレードが最も高い位置に来るときの高さは120m以上に達することがあります。高さ120mというと、30階建てのビルに相当するくらいの高さです。また、ブレードの回転の直径が80mを超えることもあり、高さだけでなく幅も大きいことがわかります。

風力発電機には、陸上に建てられるものだけでなく、海に建設される「洋上風力発電機」というタイプもあります。洋上は陸上と比べて土地や道路など輸送・設置における制約が少なく、周りに建物がないことで騒音への影響も限られるため、洋上風力の方が比較的大規模なものを設置できます。

このように、洋上風力発電は設備を大型化でき、洋上は風をさえぎるものがなく、安定的に発電できるため、より大きな電力を生み出すことができるのです。

風力発電の形

画像: 風力発電の形

風車といえば、羽が3枚や4枚あるようなタイプをイメージしがちですが、実は、ほかにもさまざまな種類の風車があるのです。

まず、風車の形は、風車の回転を伝える軸の向きによって大きく2種類に分けられます。軸が地面と水平のタイプの風車を「水平軸型」、軸が地面と垂直になっているタイプを「垂直軸型」と呼びます。

それぞれのタイプをさらに詳しく見ていくと、水平軸型にはプロペラ型、オランダ型、多翼型といった種類があります。私たちがよく目にする、羽の数が3枚の風車はプロペラ型に該当します。2022年現在は、効率性やコスト、安定性などを総合的に考えて、このプロペラ型が主流となっています。

一方で、垂直軸型には、サボニウス型やダリウス型といったタイプの風車があります。こうした風車はあまり見かけませんが、風向きに対して軸が垂直なため、どんな風向きでも風車を回すことができるという長所があります。

ただし、垂直軸型は水平軸型よりも効率が低いため、多くの電気を発電しようとすると大規模な発電設備のための広い土地が必要になってしまうといった短所もあるのです。

参考:独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

風力発電の発電量

画像: 田原4区風力発電所

田原4区風力発電所

風力発電は、風を受け止めるブレードの大きさや風車が回るスピードなどで作り出す電気の量が変わります。どのくらいの規模の風力発電設備で、どれほどの量の電力が作られているのでしょうか。関西電力グループが運用している田原4区風力発電所を例に挙げて解説します。

関電エネルギーソリューションが愛知県田原市で運転している田原4区風力発電所は、1つの風力発電設備によって1年間に約460万kWhの電気を作ることができます。風力発電設備のタワーの高さは約80m、ロータの直径も約80mという大規模なものです。

田原4区風力発電所には3基の風力発電設備があり、合計すると年間の発電量は約1,400万kWhになります。これは、一般家庭の電気の使用量(260kWh/月)に換算すると4,500もの世帯が1年間に使う量に相当します。

持続可能な風力発電
課題を乗り越えさらなる普及・拡大へ

画像: Photo by iStock
Photo by iStock

風力発電は、今後拡大が期待される発電方法の一つです。風の力で発電できるため、地球温暖化の原因となるCO2を排出せずに電気を作ることができるという特徴から、注目を集めています。

さまざまなタイプのある風力発電設備のうち、現在の主流となっている水平軸・プロペラ型の風力発電機は大規模な発電に適しています。発電量が天候に左右されやすいという課題をクリアし、普及・拡大が進めば、日本を支えるエネルギー源に成長していくことでしょう。

画像: 【イラスト解説】風力発電の仕組みとは?

こうちゃん

欧州での洋上風力の現状を見ると、今後クリーンなエネルギーとしてさらに注目されるかもしれませんね!

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