
さやぱん
えっ、インターンって学生がするものじゃないの? しかも相手はIT企業のサイボウズ? と、正直最初はびっくりしました。
そこで今回は、関西電力の若手社員(以下、ワカテ社員)でかんでんWITH YOU編集部のさやぱんが、実際にインターンシップを体験した3名にインタビュー! 関西電力の中の人が“外”を見て感じたこと。そこから見えてきた組織の変化とは? そのリアルな気づきと変化を、ワカテ社員目線でお伝えしていきます!
【参加者プロフィール】

(左)浦川 貴史(組織風土改革室 組織風土改革グループ)
職場の組織風土改革支援、従業員との対話活動などを担当しています。
(中央)増田 真里奈(ソリューション本部 企画部門 システムグループ)
システム開発部署での人財育成や組織風土改革に携わっています。
(右)馬野 桃子(ソリューション本部 企画部門 総務グループ 人財開発チーム)
ソリューション本部全体の人財育成を統括。組織や人の問題解決を伴走支援しています。
ノリで決まった⁉ 異業種2社の相互インターンシップ実現秘話

――企業間での「相互インターンシップ」って珍しいですよね。きっかけは何だったのでしょうか?
浦川「きっかけは、当社の役員向けに実施された『社員のエンゲージメントを高める組織風土づくりについて』をテーマにした講演会です。そこで、サイボウズ社の組織風土づくりについてお話を伺い、講演後、参加した当社の役員やサイボウズの関係者の方々との懇親の場で、お互いの組織課題について話していたら『それなら実際にお互いの会社を体験してみたら』と盛り上がったんです。いわゆる“その場のノリ”ですね」
――そこから本当に実現できたのはすごいです!
浦川「懇親会から1週間ほどでサイボウズの方から『調整できそうです』と連絡がきたときは、そのスピード感に正直驚きました(笑)。最初は懇親会に居合わせた私とサイボウズの社員の1対1で交換する予定でした。ところが、噂を聞きつけた当社のシステム部門から『うちもぜひ』と話があり、さらに人財育成を担当する従業員にも参加してもらいたいと考えて、新たに増田と馬野のふたりが当社のインターンシップメンバーに加わりました」
増田「私の所属する部署ではサイボウズ製の業務アプリ『kintone』を導入していることもあり、身近な会社という印象でした。他社の働き方を体験できると聞いて、ワクワクしましたね!」
馬野「以前からサイボウズのWebメディアである『サイボウズ式』をよく読んでいて、その企業姿勢にとても興味を持っていました。私のミッションである人財育成に力を入れられている企業なので、インターンシップの話をいただいたときは、なんてラッキーなのかと嬉しかったです」

さやぱん
懇親会から始まって、あっという間に実現まで進んだこのスピード感…!
「まずはやってみよう」という姿勢の大切さを、あらためて実感しました。
関西電力が抱える組織の課題とは?
――皆さんは、普段から人財育成や組織風土改革に取り組んでいる立場だと聞いています。関西電力の魅力と、改善したいと感じていたところを教えてください。

浦川「エネルギーというスケールの大きな事業に関われるのは、当社で働く魅力だと思います。時にはお節介なくらい親身になって助け合う、人情味あふれる従業員が多いことも大きな魅力ですね。課題としては、失敗を過度に恐れる傾向が強いことや、専門性の高さに起因した縦割り意識が非常に強く、情報共有がスムーズではないことだと感じていました。ミスをしない、仕事にプライドを持つということは、必ずしも悪いことではないのですが」
馬野「グループ全体で3万人以上の従業員がいる組織。事業の幅も広く、希望すればさまざまな業務に携われるのは、関西電力ならでは。当社は研修制度やキャリアアップに向けた取組みが充実していて、どんどんチャレンジできる環境です。ただ、人財育成に関わっていると、それらの制度を積極的に利用する人が少ないのが悩みの種でした」
増田「エネルギー事業を通じて私たちのあたりまえの日常を支えることの使命感も当社の魅力だと思います。また、近年では多様なソリューションを通じた新たな価値の創出(VX:バリュートランスフォーメーション)も加速しています。ただ、所属する部署だけでも2,300人という大所帯で、部門を超えた連携や情報共有が十分ではありませんでした。それぞれが個別の課題に取り組むのではなく、ノウハウを共有できれば組織風土改革もスピードアップするのではないかと感じていました」

さやぱん
制度も環境も整っているのに“活かされにくい”。そのギャップは、ワカテ社員である私たちとしても共感するところ…。
だからこそ、今回の体験がどう変化に繋がったのか気になります!
経営会議もフルオープン!関西電力社員から見るサイボウズの組織風土とは

取材時、サイボウズの社員さんと和やかに会話する3人
――インターンシップは2週間行われたそうですが、どんな内容でしたか?
浦川「今回のインターンシップの目的は『サイボウズの働き方を肌で感じる』ことでした。なので、一つの部門に所属して特定のミッションを達成するということはありませんでした。あくまで体験です」
増田「社内のさまざまな会議に参加させてもらったり、毎日開催されている勉強会にお邪魔したり、あとはサイボウズのカルチャーである『ザツダン』もたくさんさせてもらいました」
――ザツダンとは、「雑談」のことでしょうか?
増田「はい。サイボウズではカタカナでそう呼ばれています。コミュニケーションを積極的に取って、お互いを知ろうとする姿勢が伺えました」
馬野「2週間で20人以上の方とザツダンさせていただきましたね。青野社長とのランチミーティングまでセッティングしていただき、盛りだくさんな2週間でした」

さやぱん
私たちも普段から「他部門ともっと話せたら…」と思うことがありますが、20人とザツダン、しかも社長とランチって!
サイボウズの“壁のなさ”に驚きです。
――サイボウズの働き方を実際に見て、一番驚いたことは何ですか?

増田「なんといっても、あらゆる情報がオープンになっていることです。部外者の私たちが経営会議に参加させてもらえることがカルチャーショックでした。社内制度についてもフルオープンにしていただいたおかげで、サイボウズ社員になれるほどに詳しくなりました(笑)。情報が誰にでも開かれているから、組織を超えた交流が生まれるのだと気付きましたね。メモを取るのに忙しく、ボールペン3本を使い切ったほどです!」
馬野「情報共有のスピード感も素晴らしかったです。インターンシップ中は、サイボウズ社内で使われているkintoneを使って日報を書いていたのですが、私が『大学ではラクロス部に所属していた』と書いたら、ザツダンでお話した人事の方が『〇〇さんもラクロスをしてましたよ』とコメントしてくれたんです。このことがきっかけで、ラクロス経験者同士で話す会を後日開催しました」

kintone上での実際のやり取り
浦川「驚いたのは『大人の体験入部』という制度があることです。社員が希望する部署での仕事をお試しで経験できるというもの。さらに、現在の仕事と希望する業務を兼務することも可能だそうです。当社も公募制度はありますが、より自由度が高い制度だと思いましたし、利用する社員が継続的にいらっしゃる。これはすごいことだと思いました」

さやぱん
人と人が垣根を越えて繋がる仕組みが、制度として確立されていることに感動しました。
他部署を“お試し”できるしくみも、部署間の相互作用に繋がりそうです…!
インターンシップを終えて何が変わった? 関西電力で実践した組織改革アクション
――サイボウズでのインターンシップを終えて、考え方の変化や気付き、実践したことなどがあれば教えてください!
増田「サイボウズで感じたのは、社員の肩書や部署の違いによる情報格差がないということ。それが、社内の相互交流の活発さや知識の豊富さに繋がっているのだと思います。そこで、まずは自分から積極的に情報発信するようになりました。所属するグループ内で月1回『繋がるトーク』という取組みもスタートしています。仕事や趣味のことなど、何気ない会話をする機会を設けて社内の繋がりを作り、情報共有しやすい環境を作るのがねらいです」
浦川「情報共有といえば、当社はメールのやり取りが主流でした。そこで、私の部署ではMicrosoft Teams をメインにして、メンバーが誰でも気軽に情報を見られるようにしました。加えて、資料作成や打合せ時に『コンセプト』を明確化するようになりました。サイボウズでは、『誰に、何と言ってほしいか』ということが定型化されていました。試しに自部署でも使ってみると、施策目的等の目線を合わせやすくなったと感じています。…等々、事あるごとに『サイボウズでは』と言うようになった気がします(笑)。当社でも、まだまだできることは沢山あるな、と気づかされました」

馬野「今回の経験を通じて、制度とツール、そしてその会社のカルチャーが三位一体となって機能してこそ、大きな成果が表れると実感しました。当社の課題は、自律的なカルチャーの醸成なのだとあらためて気づきました。そのためには、自分の言葉で語る経験が必要です。インターンシップ後、プレゼンや説明に使用していた資料を見直しました。前任者が作ったものをそのまま使うのではなく、なぜその言葉を使うのか、なぜその説明をするのかを意識しようと所属部署内でも話し合いました」

さやぱん
インターンシップを実施して終わりではなく、自分ごとにして変化を起こしているんですね…!
小さくても、自分から動くことが未来に繋がると実感しました。
異業種のカルチャーを吸収し、関西電力の組織力を高めたい
――最後に、今後の目標や「関西電力という組織がこうなってほしい」と思う理想の姿を教えてください!

増田「組織風土改革というと、すごく大きなことをイメージして尻込みしてしまいがちです。でも、本当に大切なのは『小さなことでも、まずはやってみる』ことだと実感しました。前向きな姿勢で、気付いたことからどんどん取り組んでいきたいです」
馬野「サイボウズで学んだことを活かして、人財育成をリードする取組みを形にしていきたいです。大きな仕事も、人あってこそ。たくさんの方と対話や議論を重ねて、理想を追求していきたいと思っています。他社を見る経験の大切さも実感したので、これからは社外のセミナーやイベントにも積極的に参加したいですね」
浦川「社内外から『ええやん! 関電』と言われる会社になることが目標です。そのためにも、変えるべき”あたりまえ”を探し続け、変わり続けていく必要があると感じており、エンゲージメントサーベイや、本音の対話ができる環境づくり、各部署の風土改革活動の支援等、さまざまなことに取り組んでいます。今回のインターンシップのように、社内の”あたりまえ”に閉じず、他社との意見交換や交流機会を設けることで、外部からの刺激も取り入れて、『ええやん! 関電』を目指したいです」
業種も社風もまったく異なる2社で実現した相互インターンシップ。そこには、外に出たからこそ気づけた“内側の可能性”がたくさん詰まっていました。
今回の取材で、「小さなことでも、やってみることで組織は変わる」と力強く語ってくれた3人。ちょっとした工夫、ひとことの対話、他社を見る勇気――そうした小さな動きが、柔らかく確実に、未来を変えていくでしょう。

さやぱん
これからの関西電力が、どんなふうに進化していくのか。
その歩みを、私たちワカテ社員も一緒に作っていけたらと思っています!
【サイボウズ式の記事はこちらからチェック!】
──JTC を侮っていた…。サイボウズ社員が関西電力で見た「組織力」と「情熱」