今回、気象予報士の蓬莱大介さんが未来の電気をリポートする関西電力YouTube企画「蓬莱さんのわくわく電気予報!」の収録に合わせて、かんでんWITH YOU編集部も現地を取材してきました。水素 からできた電気とは? いったいどんなメリットがあるの? 万博を支える“未来の電気”について、蓬莱さんとともに迫ります!

“電気”予報士として、蓬莱大介さんが姫路第二発電所へ!
万博会場に供給される「水素発電の電気」とは?
大阪・関西万博会場内を移動するEVバスの停留所には「水素発電の電気が届いています」と表示された掲示板が設置されています。水から作られた水素を燃料に生まれた電気が、会場のさまざまな場所で活用されているのです。

万博開催期間中、関西電力では水素と天然ガスを混ぜて燃やす「水素混焼発電」の実証実験を実施。こうして作られた電気が、万博会場に届けられています。
水素発電は、水素を燃やして蒸気を発生させ、その蒸気の力でタービンを回して電気を作るという仕組みで、クリーンエネルギーとして近年注目が高まっています。

※関西電力グループは火力発電時に発生した二酸化炭素を回収し、有効利用・貯留する技術の普及に向け取組みを推進しています
media.kepco.co.jp姫路第二発電所の内部をレポート!見て学ぶ、水素混焼発電の仕組み
兵庫県にある「姫路第二発電所」を訪れた気象予報士の蓬莱大介さん。この日は梅雨の晴れ間がのぞく、少し蒸し暑さを感じる陽気でした。
本企画の案内人を務めるのは、関西電力・松下。日々、水素混焼発電の実証実験に取り組むプロジェクト担当者です。松下の案内のもと、姫路第二発電所での水素混焼発電の取り組みを見ていきましょう!

左:案内人の関西電力 水素事業戦略室技術開発グループ 松下吉文
関西電力の火力発電所の中で最大の発電規模を誇る姫路第二発電所。構内には姫路LNG基地があり、燃料である液化天然ガス(LNG)の受入れ、貯蔵、発電までを一貫して行える関西電力で唯一の発電所です。水素混焼発電の実証試験は、この発電所で行われています。
姫路第二発電所は世界最高水準の熱効率で日々電気を作り続けています

蓬莱さん
前回訪れた紀の川蓄電所も広いと思っていましたが、姫路第二発電所はさらに広いですね! 従業員の皆さんが敷地内を車や自転車で移動していて、まるで一つの街のようです。
水から水素を作り出す「水素製造装置」をのぞき見!
最初に案内されたのは、コンテナのような建物。この中に設置された装置内の水に電気を流すと、水素(H2)と酸素(O2)に分離します。

この原理を利用し、コンテナ内の水に電気を流し、電気分解することによって水素を作り出す「水素製造装置」です。
詳しい仕組みについては、動画で解説しています!
中はどうなっているのでしょうか? 特別に見せてもらいました。
水素製造装置では、電気分解の原理を利用して水素を製造しています
「かなり大がかりな装置ですね!」と興味津々で中を覗き込む蓬莱さん

蓬莱さん
理科の授業で習った仕組みですね! あのころの自分に「今勉強していることが社会の役に立ってるんやで!」と教えてあげたいです。
水素を貯蔵する「水素ガスガードル」に驚く!
隣にあるのは、水素を貯蔵する「水素ガスカードル」。カードル1基につき30本、合計600本の水素ガスボンベが備えられており、ここで貯蔵した水素で7.2万kWの電気を作ることができます。これは一般家庭およそ1,100世帯が約1週間生活できる電力量に相当するのだとか…!
水素ガスを貯蔵する水素ガスカードル。20基のカードルが整然と並んでいます
ボンベの大きさに驚いた様子の蓬莱さん

蓬莱さん
松下さん、ズバリ、水素発電のメリットって何なのでしょう?
松下「一番のメリットは、燃やす時にCO2が発生しないこと。火力発電の燃料として使えるようになれば、ゼロカーボン(脱炭素)社会の実現に向けて大きな役割を果たすと期待されています。さらに、太陽光や風力といった再生可能エネルギーと違って天候などの影響を受けることなく安定した電力供給が可能なことや、さまざまな資源から製造できることからエネルギー自給率の向上にも貢献できます」

蓬莱さん
天候に左右される再生可能エネルギーと違って、安定した電力供給ができ、CO2を出さないとは。まるで夢のようなエネルギーですね!
将来的には水素を液化し、今よりも小さなスペースで貯蔵できる方法を模索しているとのこと。さまざまな課題をクリアすべく、技術開発が進められています。
水素をもとに電気を作る「タービン建屋」に潜入!
続いて向かったのは、実際に水素混焼発電を行う「タービン建屋」。今まさに水素を使った電気が作られています。


蓬莱さん
思っていたより静かで、きれいなところです。これが最先端の発電技術!
2025年6月、関西電力は日本で初めて混焼率30%(体積比)の水素混燃発電を達成しました。これにより、CO2削減効果も向上します。
松下「大阪・関西万博の期間中にこの数字を達成しようと、100人を超えるメンバーで頑張ってきました。なんとか間に合わせることができて、感無量です」
「あそこで電気を作っているんですね!」と確認する蓬莱さん
日本で初めて混焼率30%(体積比)の水素混燃発電を達成したという話を聞き、驚きの表情

蓬莱さん
水素発電が実用化されるのはいつ頃になりそうですか?
松下「水素発電の運転、保守、安全対策など、運用技術の確立に向けた実証を進め、2050年に実用化を目指しています。コスト面や貯蔵方法、安定的な供給方法など、まだまだ課題は多いですが、クリーンなエネルギーをご家庭に届けられるよう、引き続き取り組んでいきたいですね」

蓬莱さん
今の子ども達が大人になる頃に、水素発電が“あたりまえ”の生活がやってくるかもしれないのですね…! 同じ敷地内で燃料から一貫して作れることにもわくわくしました!
取材の合間には、気候変動や温暖化について語り合う場面も。「CO2を出さない未来の電気に期待したいです」と蓬莱さん
取材中にも空模様を欠かさずチェック。「海沿いの開けた場所は雲がよく見えるんです」
「今日の空は水蒸気をたっぷりと含んでいますね。鱗雲がきれいですし、先ほどは飛行機雲がなかなか消えませんでした」とお天気の話題も尽きませんでした
なぜ大阪・関西万博で水素発電が使われている?
姫路での見学を終え、今度は大阪・関西万博の会場にやってきました。照明や空調、EVバスの充電ステーションなど、会場内の至るところで使われる電気。その一部は水素発電によるものです。

蓬莱さん「この掲示板にも水素発電の電気が使われているんですね!」
では、なぜ大阪・関西万博で水素発電の電気が使用されているのでしょうか?
それは、大阪・関西万博が、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、持続可能な脱炭素社会の実現を目指す場だからです。最先端のエネルギー技術を実証・発信するこの万博において、水素発電はまさに未来のエネルギーの象徴。その取組みは、関西電力が推進するゼロカーボン社会への歩みと重なっています。
万博会場で人々が快適に過ごせる環境づくりを支えているのは、そんな未来志向のエネルギーなのです。

蓬莱さん
発電所で作られた電気がこんな風に使われているのですね。試験段階とはいえ、こうして水素発電の電気が使われている様子を目の当たりにして、「未来」はもうすぐそこにあるのだと実感できました!
新しいエネルギー=水素発電が、私たちの未来を支える!
水素発電は大阪・関西万博だけで使われるのではなく、閉幕後も実用化に向けた取り組みが続きます。蓬莱さんに今回の取材を振り返ってもらいました。

この日のために用意したイラストボードも登場! 万博会場でも大人気の蓬莱さんでした
蓬莱さん「電力は、人間でいえば“心臓”。社会を動かすエネルギーの源です。自分の国でエネルギーが作れることの大切さをあらためて感じました。20世紀の社会は化石燃料の活用によって文明が発展しましたが、その反面、温暖化や環境破壊も進みました。21世紀は、そのデメリットをふまえて、新しいエネルギー社会を築いていく時代になってほしいと願っています。2025年、21世紀はまだ始まったばかり。水素発電のような技術が、これからの未来を支えていくのが楽しみです!」
蓬莱さんの詳しい見学の様子は、動画でもご覧いただけます。ぜひ、発電所の最新設備や、蓬莱さんが新しい発見をする瞬間をチェックしてください!